パンツ落ちてました事件。

我が家のトイレに入ると、嫁のパンツが落ちていた。拾って
みると濡れている。まさに脱ぎたて染み付き臭い付き。

なんだお前も下着マニアか♪(電気GROOVE/電気ビリビリ)と
歌いそうになってしまったが、

…一体嫁はここで何をしていたのだろうか。

これが外での出来事であったらどんなに良かったか。持ち主は
誰か分からない故に色々なファンタジーを感じることが出来る。
勿論実際の持ち主はヤワラちゃん似の女性である、という悲劇
的な事実があるかもしれないが、見つけた者には分からない。

よって美少女女子高生のパンツであるとか、若奥様の生下着で
あるとか、妄想の赴くままにドリームをスパークできる自由と、
お持ち帰りして夜通しフィーバーし、そのままきれいに食べ
ちゃう自由がある。

しかしここは我が家。嫁以外のパンツであることは揺るぎよう
がない。今僕がつまんでいるものは、幻想も妄想も何一つ入り
込む余地のない、ただの汚れ下着に過ぎない。

僕はそのまま洗濯機に放り込んだ。そして考えた。何故トイレに
脱ぎ捨てたパンツがあったのか、嫁に聞くべきではないだろうか。
真実を知りたい好奇心と、いや、たとえ夫婦でもこれは見て見ぬ
フリをするべきではないかという羞恥心と、美少女の写真を撮り
まくる篠山紀信が頭の中で交錯し、迷った。

しかし嫁の顔を見た途端、口から出てしまった。

「嫁、トイレに君のパンツが落ちてたよ…」

「えええええ!それは失礼しました…」

嫁は大変動揺していた。やはり嫁がトイレで脱いだのだ。

「あ、ていうことは今ノーパン?」

「はいてるよ。取り替えたのよ」

「あ…」

そこで僕は全てを理解した。トイレに入った嫁は産後の悪露
(おろ:産後のおりもの)でパンツが汚れていることのに気が
付いたので着替えたのだ。ただ脱いだパンツを忘れてしまった
という…ただそれだけのことであった。

たかが嫁のパンツひとつ転がっていただけで、これだけ動揺
してしまったとは我ながら滑稽である。しかし平凡な日常の
中でこのようなちょっとした物に一喜一憂する。それの繰り
返しが人生の大半を占めるものなのかもしれない。

じーんせいは、ワンツーパンツ。

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