踊り踊るなら、ちょいと酔狂音頭。/酔生夢死…中島らも死去。

■踊り踊るなら、ちょいと酔狂音頭。

これも日曜日の話。

以前隣に住んでいたエゲレス人ジェームス君と奥さんの
モモミさん、そして娘・R(11ヶ月)と誕生日が一週間しか
違わない赤ちゃん・サリーちゃんが我が家にやって来た。

町内の盆踊り大会に参加するためである。ジェームス君が
殊の外好きらしい。量産型ザクのような色の甚平も着ており
気合充分。

「ジェームスが着て日本人が着ないわけいかないでしょ!」

熱い大和魂を持った嫁に叱咤され、僕も浴衣を着るハメに。
僕は体が貧相で胸板も薄く、色も白いので粋な着流し姿と
いうよりも脱走した入院患者のような有様になってしまう。
点滴台のオプションを付けたら完璧である。
なのであまり好きではないのだが止むを得まい。

「ジェームス君はワインが好きだったよね」

予め買っておいたワインをジェームス君とサシで飲み、
あっという間に1本空けた頃、ちょうど祭囃子が聞こえて
来たので、いい酔っ払い加減で盆踊り会場へ向かう。

早速サリーちゃんを抱きかかえ踊りの輪に入っていく
ジェームス君。

「え、近頃はわが町内も国際化が進み、外国の方の
 姿も見られます」

早速アナウンス係のオヤジにネタにされるジェームス君。
確かに彼がサリーちゃんを連れて歩くと目立つ目立つ。
見知らぬ爺さんに写真を撮られたり、おばちゃんが寄って来て
ジェームス君に東京音頭の踊りを教えたり…。

これがホントの007。ジェームス・オンド。なんつって。

あまり遅くならないうちにジェームス一家は帰っていった。
結構楽しんでいたようなので良かった、と安堵した。

ただし嫁はしっかりチェックしていた。

「アナタ!家で浴衣着てアグラかいてたでしょ!
 浴衣の間から見えてたわよ!モモミさんがいた
 位置からばっちりと!」

「まじでー!お嫁に行けない!」

慣れぬ浴衣を着るからこうなるのだ…。
ワインを飲んでリラックスしていたら、お粗末な物も
こんばんワインしてしまったようである。

これぞ後の祭り、というお話でしたとさ。

photo
団扇をもらってご機嫌なR。
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■酔生夢死…中島らも死去。

作家・中島らも、酒を飲んだ後階段から転落し、脳挫傷などで死去。
アル中でラリ中でロッカーの、らしいと言えばらしい死に方。

めったにはない、何十年に一回くらいしかないかもしれないが、
「生きていてよかった」と思う夜がある。一度でもそういうことが
あれば、その思いだけがあれば、あとはゴミクズみたいな日々で
あっても生きていける。


どんな本の文章や歌の詞でも「けっ」と、滅多に心を打たれない
僕であるが、この人の言葉だけは素直に受け入れることが出来た。

見たこともない人の死にここまで悲しくなるのは初めてだ。
せめて弔い酒を…と思ったら我が家には酒が何もなかったので
缶コーヒーにて合掌。
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