カタカタブルブル。

娘・Rは1才2ヶ月になるのにまだ歩けない。
ほぼ同じ時期に産まれた嫁のママ友から

「うちの子、歩き出したのよ!」

という報告を次々と受け、焦り出した嫁が

「そうよ!『カタカタ』が必要なのよ!」

とひらめいて早速調達することにした。
「カタカタ」とはコレである。

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この「カタカタ」は嫁母がリサイクルショップで
買ってくれたのである。トイザまスで買おうとしたら
高かったので…。わりと貧乏性な僕ら。

ありがたいばば心に感謝し、早速Rに使ってもらうことにした。

「さあR、歩くのだ!」

「うきゃー!」

カタカタカタカタ…。

僕が始めに少し補助してやっただけでRは要領を
飲み込んだらしく、キャアキャアと嬉しそうに歩いていく。

ゴンと壁に行き当たると僕が方向転換をしてやる。
Rは飽きることなく何十往復もカタカタを繰り返す。

カタカタカタカタ。くるり。
カタカタカタカタ。くるり。

「R、すごいねー。いっぱい歩いてるねー」

僕は始めは楽しくRに付き合っていたものの、やがて疲れてきた。
一応初めてのことなので、Rがコケた時のことを考え中腰でRの後をつけ、
いちいち方向転換でくるりくるりとカタカタを動かすのである。

ああ、いかぬ。日ごろの寝不足も手伝って眠くもなってきた。

30分ほどカタカタし続けただろうか。Rも疲れたのかようやく
腰を下ろした。僕も体を横たえ、いつの間にか寝てしまった。

…。

目が覚めたら深夜だった。嫁もRもとっくの父ちゃんに寝ていた。
いや、父ちゃんは僕だが。

今日、Rを風呂に入れる役目は僕であった。
それをぶっちぎってしまったことになる。
嫁は怒っているだろうなあ。

そして台所にあった鍋を覗いてみた。
僕が食べるはずだった夕飯がそのまま冷えて残っていた。
嫁は怒っているだろうなあ。

夜が明けたらどんな制裁が待っているか…。
布団が針の筵になった気分で悶々と夜を過ごした。

翌朝。嫁は見事に一言も口を利いてくれなかった。
「シカトの刑」を食らったようである。
蛇に睨まれた蛙のような有様になった僕を尻目に
嫁は身支度をさっさと済ませ

「さあRちゃん出掛けますよ」

どこかに出掛けていってしまった。

…あのー。

二度と戻って来ないってのはナシね…。

娘カタカタ。
嫁カリカリ。
僕ガタガタ…。
.

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