鼻の命は短くて/人間道場イベント



「人間道場」の館長さん主催によるトークイベント「とっぺんぱらりのぷぅ」を観にいって来た。手ぶらではアレかと思って、ちょうどカステラ1番電話は2番、3時のガサイレ110番でおなじみの文明堂が近くにあったので、カステラを買って行った。英国のアフタヌーンティーパーティーのような優雅な集いであった。

嘘である。20人程入れば満員になるお店に座布団を敷いて座り、内容は40%ぐらいが下ネタで、司会の永田王さんという女性も「うちの猫がね…」とさらっと言うような感じで「まんこがね…」とか発言していたし、館長さんもまんこの絵を描いていたし、修学旅行の旅館の夜のバカ話のようで楽しいイベントであった。

「この中で結婚されている方は?」

イベントの途中で館長さんが質問をされたので正直に手を上げたら

「既婚者がこんなとこに来てたらだめだよ!」

と言われてしまった。土曜ぐらい家族サービスしろよと。しかし僕は休日出勤の帰りで、どのみちホリデーが潰されたので息抜きしたかったのである。

確かに娘・R(2才)のハナタレがひどく、心配な今日この頃。まだ自分で鼻をかむことが出来ないので、僕が毎朝吸っている。

「娘の鼻を吸ってきましてね」

会社の同僚などにそう言うと、必ずうんこを踏んだかのような苦い顔をしてこちらを見るのだけれども、勿論ダイレクトに吸っている訳ではない。

鼻水吸い器

こういう便利なアイテムがある。片方のストローをRの鼻に入れ、もう片方を僕が吸う。すると真ん中の容器に面白いくらいに鼻水が溜まるのである。ドクター中松の灯油ポンプ(醤油チュルチュル)とタメ張るぐらいのアイデア商品、これが今ならなんとたったの1万円!(いちまんえん?)いや、嫁が買ってきたので知らないけど。

但し便利とはいえ、Rはこれをものすごく嫌がるのだ。鼻も恥らうお年頃。なんつって。しかしやらない訳にはいかない。Rを寝かせてストローを鼻に突っ込み、じゅじゅじゅじゅ…と吸う。

「うぎゃー!うぎゃー!」

全身で力の限り抵抗して泣き叫ぶRの手や頭を嫁ががっしりと抑える。

「ちょっと我慢しなさい。終わればお鼻すっきりだよー」

とは言うものの、顔を真っ赤にして涙を浮かべるRを見ると、集団で辱めをしているような気になって仕方がない。まるで自分がスーパーフリーか京大アメフト部と同じ悪行をしているような…。

「ふおおおおおお!」

突然襲われた恐怖のあまり絶叫した。鼻水が多過ぎて、容器から僕が吸っていたストローを逆流し、口の中に入って来てしまったのである。

お口でご奉仕する女性になった気分…。今は絶対やってくれないが、嫁も昔は極稀に…。

「うふふ…全部飲んじゃった」

とかよくエロビデオであるけれども、他ならぬ愛娘の鼻水である。僕もその気になって

「愛するアナタのだから、おいしいわ」

と微笑んで飲み干そうと思ったが、やはり出来なかった…ってバカか僕は。鼻水だけでここ迄エロネタを妄想するとは、つくづく僕も発想がオヤジであることよ。もうこの時点で大体の鼻水は吸えたのでこれにて終えることにし、

「じゃ、パパ会社に行くからね…」

とRにバイバイしたのであった。

鼻二オヤジノタトヘモアルゾ。サヨナラダケガ人生ダ。(井伏鱒二)
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