レーザーカッター加工における技術資料


レーザーカッター加工における技術資料

No1030            2023.09.29

バルカナイズドファイバーをレーザーカッターで切る場合と切った後の処理の方法について
記載します。

※かなり複雑で面倒な工程をたどりますが多品種少量生産と言うメリットの大きさで網羅さ
れると考えます。(ダイセットプレス加工に比べれば許容範囲と思われます)

1,レーザーカッターで切る場合は素材が白色の場合はレーザー光を反射してしまいます。
  その場合は表面に着色をする必要があります。
  具体的には黒色のチョークの粉等を振りかけて全体に光を吸収しやすくすることが重要 
 になります。出力の大きなものでは構わず着る事は出来ますがその分周りが焦げる範  
 囲が大きくなります。

2,切る形状により切った部分が反り返ったり丸まったりします。
  上記の部分を緩和するために図形の長手方向の両端に微量の切り残しを設ける事で 
  緩和することが可能です。(切り残し部分は概ね0.3mm程度が良いようです)

3,切り抜き図形の中にまた切り抜き図形が存在する場合は切る順番を小さなものから大き
  なものになるように線色を変えて製図をし、レーザーカッター設定で色の順番で切るよう 
 です。

4,並行する線と線の間隔が少ないと全体で燃えてしまう事があります。
  出力との加減もありますので明確ではありませんが概ね0.5mm以下では2本が一本に
  なって燃える事があります。

カード部分とパーツ部分に切り残しを設けた写真です。

5,シート全体がレーザーカッターで切ると丸まってしまいます。
  自重による安定は有りませんので押さえる必要があります。
  今回のカットでは底板を鉄板にしてマグネットでガッチリと固定しました。
  重しで抑える事も出来ますが板が厚いと重しごと持ち上がって暴れることがあります。


円盤と四角の棒がネオジム磁石でシートを押さえております。




焼け焦げ処理の手順



これが圧縮乾燥板の素材です。

圧縮をしている面から水分を蒸発させます。

焼結金属板と言う分類になります。(特許出願済)

 乾燥の基礎理論から紐解く必要がありました。
 バルカナイズドファイバーの表面では触れる空気の相対湿度と同じになる、と言うのが基本
 原理のようです。(均等の法則ですかね?)
 素材の芯の部分では水分が表面方向に移行する訳ですがその意向速度がかなり遅くて素材の
 密度により変わると言う事のようでした。
 これは古本や古新聞紙に挟んで乾燥させても同じことになっておりました。
 例えば電子レンジで加熱をし水分だけに反応させても周りが水蒸気で覆われるだけになりました。
 本のページがべこべこになるだけ、と言う結果でした。
 故に以上の事からよい加減の穴が開いている板で圧縮を掛けその穴から微量の空気の出入りをさせる 方式が結果としては有効であるとなりました。
 表面から温風を送って通過させ乾かすとそれなりに早く乾燥は出来ます。
 ハンドドライヤー等ではある程度の高温(80℃)で送ると板が蓄熱をし徐々に冷めて、
 都合が良いと言う事もあります。

インデックスに戻る