ξ.2004年・鳥インフルエンザ流行
[2004年・海外の話題#2]
(Avian Influenza, 2004)

−− 2004.02.02 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2004.06.22 改訂

 ■はじめに − 今年は鳥インフルエンザが猛威
 先ず最初に、東南アジアの地図や感染症関連の用語は
  地図−東南アジア(Map of Southeast Asia, -Multinational-)
  資料−最近流行した感染症(Recent infectious disease)
を参照して下さい。
 昨年はSARSで悩まされたアジア各国ですが、今年は鳥インフルエンザが猛威を振るいそうで、ベトナムタイや中国南西部、そして日本で拡大しつつ在ります。そこでこのページでは鳥インフルエンザの状況について、ウォッチングして行きます。
  {このページの2月2日以前の記述は元々「2004年・今年もSARS流行か?」の中で一緒に併記して居たのですが、テーマをすっきりさせる為、04年2月2日に分離独立させました。}

 ■2月2日以前の経緯
 私が最初に鳥インフルエンザに注目したのは今年1月に入ってベトナムで人が鳥から感染し死者が出た時ですが、これが拡大するかどうか暫く様子見して居ました。しかし1月16日に日本の山口県阿東町の採卵養鶏場で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認され大量処分された」というニュースで、私はベトナムなどとの関連性に於いて渡り鳥媒介説が出て来た時から”ヤバイ”かな、と思って居ました。尚、「高病原性」とはに至る強い病原性を示すものを指します。
 案の定1月20日にはベトナムでの死者の数が5人に成りました。すると直ぐに1月22日にはタイで鳥インフルエンザが発生した疑いが有るとして、農水省は鶏肉などのタイ(=鶏肉の最大輸入先)からの輸入を停止しました。
 この段階で私は昨年の中国のSARSや日本の鯉ヘルペスや今年初めのアメリカでのBSEと絡めて1月20日に「「動物の為の謝肉祭」の提唱」を発表しました。

 ■2月2日以後の発生状況
  ○2月2日
 韓国政府1月26日天安の養鶏場(ソウルの南90kmの地点)で新たな鳥インフルエンザへの感染が確認され、近隣の鶏を処分する計画を発表しました。これで、韓国の鳥インフルエンザは昨年12月10日初めて確認されて以来、17例目だそうです。
 そして”やはり”と言うべきか、中国鳥インフルエンザの感染が広西チワン族自治区、湖南省、湖北省で報告されて居る他、上海市、安徽省、広東省でも疑い例が見付かって居ます。つまり中国南部はヤバイのです。鳥インフルエンザに於いても情報を隠蔽した疑いが有り、去年の二の舞を演じて居ます。
 タイ保健省の発表では、2月2日現在鳥インフルエンザ感染が疑われて居るのは18人で、内10人は既に死亡しました。又、ベトナムの衛生当局の発表では鳥インフルエンザ感染に因る死亡者は9人に成りました。
 ところが、ドイツ北部ハンブルク市在住の女性1人が2月2日鳥インフルエンザに感染した疑いで同市内の熱帯病研究所付属病院に入院したとのこと。この女性はタイ旅行から最近帰国したとのことで、アジア以外では初めての疑い例です。

  ○2月6日
 ベトナムのハノイに在る国連食糧農業機関の発表に拠ると、先月下旬、2〜3匹のの鼻の粘膜から、 今ベトナムで問題に成っている鳥インフルエンザと同じH5N1型のウイルスが検出されたということです。
 鳥インフルエンザウイルスは、鳥から人への感染例が確認されベトナムやタイで既に16人が死亡して居ますが、今の所は人から人への爆発的な感染を引き起こす新型ウイルスには変化して無いとされて居ます。しかし、豚の中で「鳥型ウイルス」と「人型ウイルス」が接触することに因り、人から人に感染する新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が有り「要注意」だそうです。
 しかし、豚もダメと為ると大変ですね、既に牛ダメ(←BSE疑惑)、鶏ダメで日本の牛丼屋は唯一「豚丼(とんどん)」に望みを賭けて居ましたが、この上豚ダメと為るともう肉で「食う物」有りませんゾ、中国の様に食いますか?、!、蛇丼も在りまっせ!、グワッハッハッハ!!

  ○2月7日
 ベトナムで鳥インフルエンザが人から人に感染した可能性が指摘されて居たケースについて、世界保健機関(WHO)6日死亡した23歳と30歳の姉妹から検出されたウイルスを分析した結果、「人から人に容易に感染する様なウイルスの変異は無かった」と発表しました。取り敢えずは一安心ですね。
 ところがAP通信などに拠ると、アメリカ東部のデラウェア州で6日鳥インフルエンザに感染した鶏が確認され、養鶏場の鶏約1万2000羽の処分が命じられたそうです。これを受けて農林水産省7日夜米国産の鶏肉など家禽(かきん)肉や加工品などの輸入を暫定的に停止しました。
 さあ大変です、愈々アメリカです。「アメリカがクシャミをすれば風邪を引く」我がアメリッポン、今後どうなることやら。

  ○2月8日
 デラウェア州での発症が疑われて居た鳥インフルエンザについて米政府から8日、日本側に対し発生を確認したと正式に連絡が在りました。検出されたウイルスはH7型で、日本を始めアジアで現在感染が広がっているH5N1型とは異なるタイプです。農水省は、引き続き米国産全ての家禽肉や加工品などの輸入停止を継続し、病原性が低いタイプと判明すれば、同州のみの停止に切り替えると発表しました。H7型は過去アメリカやドイツで発症して居る型です。

  ○2月9日 − スペイン風邪との関係
 ところで2月7日のニュースで、英国医学研究協議会のグループは1918〜19年に世界で4000万人以上の死者が出たとされるスペイン風邪の病因ウイルスは、鳥インフルエンザウイルスの遺伝子が僅かに変異しただけで人から人への強い感染力を持った、と6日発表しました。これはウイルスから棘の様に突き出ているヘマグルチニン(HA)に着目したものだそうです。
 これに関連し数年前、米陸軍病理学研究所などが、アラスカの永久凍土に埋められて居たスペイン風邪の患者の遺体と保管されて居た当時の患者の組織などから、病因ウイルスがH1N1型だったことや、その遺伝子の塩基配列を明らかにして居ます。H1N1型と言うとロシア型ウイルスです。
 そうなると香港風邪はどうなんだ〜あ?!

  ○2月10日
 ロシア政府9日鳥インフルエンザの発生が確認された米デラウェア州からの鶏肉などの輸入を同日から一時禁止したと発表しました。
 ベトナムの保健当局は9日ベトナムで新たに2人の男性が感染して居ることを認め、この内1人が死亡したということです。これでWHOが公式に確認すれば、ベトナム国内での感染者は19人、死者は14人に成ります。
 一方中国農業省9日天津市津南区で新たに鳥インフルエンザに感染した疑いの有る家禽類が発見されたと発表しました。これに拠り今迄南西部に限られて居た発症範囲が北に拡大した事に成り、到頭昨年のSARSと似た様相を呈して来ました。中国農業省は2月4日の段階で中国全土で約5万6千羽の家禽が鳥インフルエンザに感染し、その内約5万羽弱が死亡、その他に121万羽を処分したが、人への感染例は発見されて居ないと発表して居ます。昨年のSARSの様に後から「人への感染が有った」などと訂正しない様に願いたいですね!
                (>o<)

 ここで世界保健機関(WHO)に認定された統計資料を載せて置きましょう。

  ●2004.02.10日現在のヒトの発症例
  国/地域  確定症例数  死亡例数  死亡率(%)   型
  ベトナム    15    11    73.3   H5N1
  タイ       5     5   100.0   H5N1
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  計       20    16    80.0

 ■最新の鳥・ヒトの発症例(随時更新)
 下に最新の発症例数を載せます。この値を上の「2004.02.10日現在のヒトの発症例」と比較すれば、2月10日以降の広がりが解ります。

  ●2004.03.18日現在の鳥・ヒトの発症例(随時更新)
           鳥    <−−−−−− ヒト −−−−−−>
  国/地域    発症状況 確定症例 死亡例 死亡率(%)  型
  ベトナム    35地域   22  15  68.2  H5N1
  タイ      40県    12   8  66.7  H5N1
  カンボジア    数地域                 H5N1
  ラオス      1地域                 H5N1
  インドネシア 156ヶ所                 H5N1
  パキスタン    1県                  H5N1
  中国      16省                  H5N1
  香港       1地域                 H5N1
  台湾       2県                  H5N1
  韓国       9地域                 H5N1
  日本       4県                  H5N1
  アメリカ     5州                  H7N2他
  カナダ      1地域                 H7N3
  オランダ     1地域
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  計14ヶ国          34  23  67.6

  バングラデシュ (2004年2月2日):鳥インフルエンザを否定
  モンゴル (2004年2月12日):鳥インフルエンザを否定
  フィリピン (2004年2月12日):鳥インフルエンザを否定
  シンガポール (2004年2月12日):鳥インフルエンザを否定
  ネパール (2004年2月16日):鳥インフルエンザを否定
  ミャンマー (2004年2月16日):鳥インフルエンザを否定
  インド (2004年3月4日):鳥インフルエンザを否定

 ■■新情報追加記事(2月11日以降)
  <2月13日追加記事> − 高病原性ウイルスはH5N1型
 農水省は13日、山口県の養鶏場の鶏から検出された高病原性のウイルスの型が、韓国、香港、ベトナムで流行して居るのと同じH5N1型であることが判明した、と発表しました。今回山口県で検出されたウイルスがH5型であることは、動物衛生研究所(茨城県つくば市)の調査で判明して居ましたが、同研究所で更に詳しい分析を進めていたものです。感染ルートについて同省では、渡り鳥などに依り海外からウイルスが持ち込まれた可能性が高い、として居ます。

  <2月17日追加記事>
 2月17日大分県は大分県九重町の製材所で愛玩用のチャボ13羽の内3羽が14日に死に、翌15日にも4羽死んだと発表しました。そして17日夕刻、農水省はこのチャボからH5型のウイルスが確認されたと発表しました。これは山口県阿東町に続き、国内2例目です。
 鳥インフルエンザと確認された場合、家畜伝染病予防法農水省の防疫マニュアルに基づき、知事が原則として半径30kmの移動制限区域を指定。同区域内では鶏や鶏卵、鶏肉などの移動が禁止され、発生養鶏場の鶏は全て殺処分され、死体は埋却、又は焼却処分するなどの防疫措置を行う事に成って居ます。
 先に発症が確認された山口県阿東町は3万4000羽の鶏を処分し、今月14日感染が拡大して居ないことが確認された為、同県と農水省は19日、発生農場から半径30kmの鶏と卵の移動制限を解除する方針だったのですが、どうなることやら?!

  <2月19日追加記事>
 農水省は19日大分県ペットのチャボが感染した鳥インフルエンザウイルスは、山口県で発生したのと同じH5N1型であると発表しました。

  <2月20日追加記事>
 カナダのペティグル保健相は19日同国ブリティッシュコロンビアの養鶏場で鳥インフルエンザが発見されたと発表しました。感染源などは不明ですが、ウイルスは米東部のデラウェア州で発見されたのと同じH7型です。

  <2月27日追加記事>
 23日のニュースで、大分県のウイルスと山口県のウイルスの遺伝子が、塩基配列の細部に於いて殆ど一致することが判明しました。つまり大分県のチャボは山口県の鶏から感染した可能性が非常に強い、ということで感染経路が問題に成って居ます。
 ところが、今度は京都府丹波町の養鶏場で鶏計約1万羽が死んで居るのが見付かり、府農林水産部は27日、検査の結果死んだ3羽が陽性で、生きている2羽からも陽性反応が出たと発表しました。同時に府は、養鶏場から30km圏内での鶏と卵の移動の自粛を要請、業者に出荷済みの鶏と卵についても回収を命じたそうです。しかし1万羽はスゴイ!

  <2月28日追加記事>
 昨日27日の追加記事を書いた後のニュースで、この京都府丹波町の鳥インフルエンザは業者(=浅田農産船井農場)が鶏の大量死が始まってから約1週間も通報せず、匿名電話で初めて発覚したとのことです。しかもその間、鶏や卵が出荷されて居たことも判りました。
 そして28日兵庫県同農場から県内(=八千代町の食肉処理場)に生きた儘持ち込まれた鶏を簡易検査した結果、鳥インフルエンザの陽性反応が出たと発表しました。−−>「空白の7日間」に因る二次感染です。
 京都府丹波町の浅田農産船井農場(本社:兵庫県姫路市、浅田秀明社長)は2月25日、兵庫県八千代町の食肉処理場に生きた鳥8800羽を出荷し、その内3200羽が処理され、一部は加工工場に流れて居ました。残りの5600羽は愛知県豊橋市内の処理場に出荷されましたが、全て処理場に保管されて居るということです。

  <3月8日追加記事>
 3月8日の京都新聞ニュースに拠ると、鳥インフルエンザ問題で渦中の浅田農産の浅田肇会長(67)夫妻が首吊り自殺。8日午前7時40分頃、浅田農産本社が在る兵庫県姫路市豊富町神谷の鶏舎近くの空き地で、浅田肇会長(67)と妻で同社監査役の知佐子さん(64)が首を吊って死んで居るのを女性従業員が見付けたそうです。死因は窒息死、死後数時間経過して居るとのことで死亡推定時刻は7日深夜から8日未明に掛けて。又「大変ご迷惑をおかけしました...云々」という遺書の様な内容のメモも見付かって居ます。担当弁護士に拠ると刑事告発を気に懸けていた様です。
 −−>まあ、これも自己責任の取り方の選択肢の一つではありますが、...スケープゴートが自らを”排除”して仕舞いましたね。しかし、これで「加害者」だった浅田農産が「被害者」に転じる可能性が出て来ましたゾ、ムッフッフ!
 スケープゴートや「被害者」と「加害者」の立場の逆転については是非
  「片手落ちの綺麗事を払拭せよ!」の考察
をお読み下さい。私はこの様な現象を予見して居ます。

 ところで同日、京都府丹波町の浅田農産船井農場と同町に隣接する園部町で見付かった2羽のカラスの死骸からH5型の鳥インフルエンザウイルスが確認されました。船井農場で鶏の大量死が始まって以降、山積みされた鶏の死骸にカラスが群がっていたことが判明。−−>カラスの受難開始か?!

  <3月12日追加記事>
 環境省は12日農水省と共同で、生きたカラスドバトを捕獲しウイルスの有無を分析する調査をする様全国の都道府県に要請することを決めました。
 又、亀井善之農水相は12日の閣議後の記者会見で、船井農場での防疫作業が終了するのを待って刑事告発する方向で検討することを明らかにしました。

  <3月17日追加記事>
 中国農業省16日鶏やアヒルなどへの鳥インフルエンザ感染が確認された49箇所の内、最後迄現場を封鎖して居たチベット自治区ラサ市など2箇所が解除されたことを明らかにしました。又、「鳥インフルエンザ阻止の闘いは段階的な成果を挙げた」と述べ、1月下旬以来の中国に於ける流行は終息したことを宣言したそうです(←あなたは信じますか??)。
 一方、タイ保健省は16日中部アユタヤ県の女性(39)が鳥インフルエンザに感染して12日に死亡した、と発表しました。
 農水省は17日オランダ政府の公表情報で鳥インフルエンザ発生の疑いが有るとして、同国からの鶏肉や家禽類の輸入を一時停止したと発表しました。

  <3月20日追加記事>
 3月19日のニュースで、山口県・大分県・京都府など国内の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)は韓国のウイルスと遺伝子の塩基配列が99%以上一致しました(茨城県つくば市の動物衛生研究所の調査)。同じH5N1型でも、ベトナム(死者有り)や香港とは遺伝子レベルでは別系統であることが判っているので、タイ(死者有り)や中国との比較が待たれます。
 −−>まあ、これでほぼストーリーは描けますね。つまり日本の感染源は昨年12月10日に韓国で初確認された「H5N1型韓国版」から一元的に発して居ると考えるのが妥当で、この点は専門家の意見も同じです。つまり私の推理では

  12.10  01.16   02.20 ↑
  韓国 → 山口県 → 京都府 +→ 「空白の7日間」で近隣に飛び火
        ↓        ↓
       大分県
       02.14


という経路です。では誰が媒介したか?、やはり野ガモなどの渡り鳥が海を越え、山口県で一時休息し大分や京都に渡ったのです。その後の限定地域内では他の野鳥も媒介者に成り得ることはカラスが証明して居ます。

  <3月22日追加記事>
 韓国農林省の発表に拠ると21日南部・慶尚南道の農場付近で捕獲した鵲(カササギ、別名:朝鮮ガラス)1羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ました。韓国で野生の鳥から同ウイルスが検出されたのは初めてで、これは1月に感染が中部から南部へ広がった時の鶏からの感染と考えられます。
 さて日本のカラスの状況ですが、現在高病原性鳥ウイルスが分離されたカラスは浅田農産船井農場の4羽を含め計7羽に成り、何れもH5N1型です。−−>カラスの感染は「空白の7日間」に因るものです。
 しかし、タイと日本以外では少し小康状態に入っている様ですが、この儘収束するのかどうか?...。

  <6月22日追加記事>
 3月8日の浅田農産の浅田肇会長の自殺を契機に浅田秀明社長が「家畜伝染病予防法」違反罪(届け出義務を怠った)で刑事告発される事に成り、日本に於ける鳥インフルエンザ問題は完全に”昼のワイドショーのネタ”に摩り替わり、逆に海外の発症例の情報はニュースには成らなく成りました。皆が付和雷同し出すと逆に私は興味が無くなり、暫くウォッチングをサボって居ました...(-_*)。
 前回更新の3月22日以降の海外の発症例を今拾うとベトナムでの死者は結局16人に成りました。その後5月6日ベトナム南部の鶏に鳥インフルエンザ感染が見付かり、5月26日タイ北部の大学の農場で鳥インフルエンザ再発したり、東南アジアでは散発的に鶏が感染して小康状態は続いて居ます。
 国内では、渡り鳥に依って国内に持ち込まれたウイルスはネズミも媒介して居る可能性が有る6月11日に指摘されました。
 どうやら世界的にも感染がこれ以上広がる恐れは無くなった −元々、鳥インフルエンザウイルスは高温や紫外線に弱く、夏に成れば流行は収まるだろうと言われて居た− 様で、国内でも浅田農産船井農場の在る京都府「高病原性鳥インフルエンザについて、区域内の清浄性が確認され、4月13日午前0時を以て移動制限等全ての制限を解除しました。」という事実上の安全宣言を発表して居ますので、ほぼ収束したと見て良いでしょう。
 この安全宣言を受けて、このページでの鳥インフルエンザの”追っ掛け”記事は2004.06.22の更新を以て終了します。どうも有り難う御座いました!!
                m(_=_)m

 現在は鳥インフルエンザ騒動で供給不足に陥った鶏卵価格が7週連続で上昇中の様です。私などは供給不足のものを無理して食わなくても、と思いますが、どうも日本人は供給不足に成るとやたら並んだりして食いたがる傾向が強いですね。今年始めBSEで牛丼が一時無くなるという時も、普段牛丼なんか食わないヤツ(いや失礼、お嬢さんも居ります)が仰山並んで居ましたね、こういうの「食オタク」って言うんでっせ!!
    {このの章は04年6月22日に最終更新しました。}

 ■考察 − ウイルスも進化する
 これ迄の発症例に於けるウイルスの「型」の分布を見ると、アジア諸地域がH5N1を中心とするH5型で、アメリカやカナダがH7型です。これは過去の発生状況ともほぼ一致して居る様です。大雑把な分類ではH5型をアジア型、H7型を欧米型と見ることも出来るかも知れません。
 今回の鳥インフルエンザウイルスに対し、現在流行して居る型に対しては新たなワクチンなどを開発し我々人間はこれを防ぐでしょう。しかしウイルスも進化するのです(△1)。これらの感染症と人間との闘いは何処迄行っても「鼬(いたち)ごっこ」だということを、人のDNAの解析結果は証明して居ます。この関係は今迄同様、今後も何処迄も続いて行くことでしょう。そういう意味で「感染症は動物と人との関わり方の鏡」なのです。

  ○渡り鳥媒介説について
 これが一番有力な説です。媒介者として最も”怪しい”のはやはり野ガモでしょう。野ガモはは鳥インフルエンザウイルスの自然界保有体で、ウイルスに最も抵抗性が有るみたいです。媒介者は自らが死んで仕舞っては媒介出来ませんから、媒介者はウイルスを保有しても抵抗性が有る(=抗体を持って居る)ということが条件に成ります。

  ○当面の対策
 しかし、有効なワクチンが無い現状では、流行が収まる迄は鶏卵や鶏肉は良く火を通して食べることです。そうすれば鳥から人への感染は殆ど防げるのです。これが最良の対策です。

  ○新たな感染症は今後も発生する
 [2003年・海外の話題]でも同じテーマの考察を記しましたが、ウイルスが絶えず進化し続ける限りは、感染症と人間との闘いは「永遠のテーマ」なのです。
    {このの章は04年2月20日に追加し、3月20日に最終更新しました。}

 ■感染症は”我々”に影響を及ぼした時に問題に成る
 [海外の話題]と銘打って居乍ら日本の話題が中心に成って仕舞いましたね。感染症と言うのは何処かの見知らぬ国で蔓延しても、それが”我々”に影響を及ぼさなければ別に恐れるに足りないのです。エイズだってアフリカの奥地で猛威を振るっていた時は誰も騒がなかったのですが、それが”文明国”に影響を及ぼし始めた時に文明国のメディアや大衆が騒ぎ出したのです。鳥インフルエンザも世界的な広がりを持ちつつも、それが”我々”に多大な影響を及ぼしたからこそ、日本で大きな問題に成った訳です。インフルエンザの英語のスペルを見ればお解りの様に
  influenza という語は influence(=影響する) に由来
して居るのです。

 ■私はヘッチャラ!
 さて先程の「動物と人との関わり方の鏡」に映して良く見ると、現代文明人は排気ガスなどの人工的公害に対しては強く成りましたが自然に対しての抵抗力は段々と弱まった様に感じられます。最早現代文明人は「野生人」とは異質の、機械とエレクトロニクスの中に囲われ純粋培養された”ひ弱”な「家畜人」として完全に馴化されたのかも知れません。誰に依って馴化されたのかって?、機械やエレクトロニクスという文明を創り出したのは人間ですから人間は自分自身を馴化したのです。これを「自己家畜化」と言います(△2のp9〜53)が、思えばそれは人間が道具を使い自然に手を加え始め時から既に始まって居たのかも知れません(△2のp129〜140)。
 しかし私は「不摂生は健康の母」を信条とし「野生人」的な”野太い”生き方を志向して居ますので鳥インフル位はヘッチャラですゾ。鳥インフルのウイルスは熱に弱いので良く火を通して食えば良い訳ですから。
 インフルエンザの鳥持って来い、オレが食って遣る〜、ブワッハッハッハッハ!!!

 ■結び − 「感謝の心」を忘れた現代文明人
 (1)「感謝の心」を取り戻すには − 「動物の為の謝肉祭」が必要
 結びの言葉として、私の考えは
  「動物の為の謝肉祭」の提唱(Carnival for Animals)
の中に全て込めて在りますので、是非この論考をお読み下さい。そして「考察」の章で指摘した様に「感染症は動物と人との関わり方の鏡」ということを付け加えて置きましょう。
 例に依って日本のマスメディアは生産者がワルモン、消費者がイイモンという極端な二項対立に収斂させて居ますが、そんな単純な問題では無いでしょう。
 この特集の鳥インフルエンザを始めとしてSARS・鯉ヘルペス・BSEなど、一連の飼育・養殖動物の異変には、「感謝の心」を忘れた現代文明人の「驕りと傲慢さ」が底辺に有る、というのが私の見解です。例えば、現代文明の牽引車であり最も富み最も強く最も自由で広大な国土を領するアメリカが、”未だ足りない、もっと欲しい、もっと強く成りたい”と戦争を仕掛けている傲慢さです。これらの飼育・養殖動物の異変の原因は何れも感染症であり天災ではありますが、100%の天災ではありません。我々は100%の被害者では無いのです。
 そこには機械を生産するが如きに効率主義・大量生産主義を自然界に強引に持ち込み、大量消費しようとした現代文明人の、驕った心から発生した「人災」の影、を見て取ることが出来ます。つまり私たち人間の側に可なりの自己責任が有る、ということを私は強く指摘して置きましょう。

 (2)自己責任意識を持つには − 「生き方」の教育が必要
 ところでインフルエンザに感染した大量の鳥を恰も機械部品の如く、いとも簡単に”処理”しますねえ、まあ精一杯供養して遣って下さい。私はこういう生命を”処理”する場をこそ地元の小学生などに見届けさせて、地に足の着いた「生き方」の教育をすべきと思いますね。「生命の大切さ」などという綺麗事を振り撒くよりも、こういう汚いが「厳然たる真実」を実践する中から本当の「生命を慈しみ供養する」という心が湧いて来るというものです。
 [ちょっと一言]方向指示(次) 現代日本の低学年教育は、知識偏重の技術教育で「生き方」の教育が全く欠落して居るのが、”ひ弱”で無気力な若者を蔓延させて居る一つの原因です。明治維新を担った若い力を育てた江戸時代の「私塾」は全て「生き方」の教育を行って居たことを、もう一度見直すべきです。

 私は大鳥神社に又行きますので、「鳥たちの平安」を祈って置きましょう!!
                (-_-)
                _A_

 尚、[2004年・海外の話題]シリーズの他画面への切り換えは最下行のページ・セレクタで行って下さい。(Please switch the page by page selector of the last-line.)
    {このの章は04年3月20日に最終更新しました。}

ξ−− 完 −−ξ

【参考文献】
△1:『ウイルス進化論』(中原英臣・佐川峻著、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)。

△2:『ペット化する現代人』(小原秀雄・羽仁進著、NHKブックス)。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):東南アジアの地図▼
地図−東南アジア(Map of Southeast Asia, -Multinational-)
参照ページ(Reference-Page):感染症や免疫関連の用語集▼
資料−最近流行した感染症(Recent infectious disease)
補完ページ(Complementary):自然システムの
”何か何処か”が可笑しく成っている▼
(SARS・鳥インフルエンザ・鯉ヘルペス・BSEなどに言及)
「動物の為の謝肉祭」の提唱(Carnival for Animals)
03年SARSや「新たな感染症は今後も発生する」論▼
2003年・新型肺炎SARSとは?!(The SARS, new pneumonia, 2003)
アメリッポン論▼
狩猟民族国家アメリカの本性(United States of Hunting people, America)
スケープゴートやイイモン・ワルモンという極端な二項対立▼
片手落ちの綺麗事を払拭せよ!(Sweep away unbalanced virtue !)
韓国に沢山居る鵲▼
鵲(かささぎ)の故郷を訪ねて(Magpie's hometown)
軽薄で似非グルメの「食オタク」▼
民族変わればゲテモノ変わる(About the bizarre food)
肉食の在り方と自己家畜化の関係(脱家畜化の療法も提示)▼
「肉を食らう」ということ(Carnivorous life)
自然界の「厳然たる真実」について▼
2005年・年頭所感−幸せ保存の法則
(Law of conservation of HAPPINESS, 2005 beginning)

「不摂生は健康の母」という”野太い”生き方▼
私の健康論−不摂生は健康の母(My healthy life)
現代の”ひ弱”で無気力な若者の蔓延(「生き方」の教育にも言及)▼
戦後日本の世相史(Shallow history of Japan after World War II)
大鳥神社の記事▼
阪堺電車沿線の風景−浜寺編(Along the Hankai-Line, Hamadera)
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