§.2013年・年頭所感-今年は巳さん
(This year is Mi-san, 2013 beginning)

-- 2013.04.16 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2013.06.10 改訂

 ■はじめに - 先ずはウチナーンチュに成った挨拶から
 皆さん、2011年12月2日(金)に脳出血で倒れましたが、その後の入院とリハビリ -「檻の中」の様な生活- を経て2013年2月18日に娑婆へ出て参りました。娑婆の空気は旨い!
 そして2月18日の朝に晴れて自由の身と成った私は、以後の余生を沖縄で暮らす事に決めて(実は2月18日以前に決めていた)、住む家を決め、引越をして3月19日から正式に那覇市の住民と成りました。という訳で、私は既にウチナーンチュ -「沖縄の人」という意味- なので宜しくお願いしま~す。ムッ、沖縄の皆さんは迷惑そうな顔をしてますな、然もありなん、ブハハハハハ!!

 ■今年は巳年
 この年頭所感は本来なら去年の内に仕上げて年頭の御挨拶にするのですが去年は”そういう訳”で出来なかったので、今年はもう大分食い込まれて居ますが今から遣ります。
 今年は巳年ですので、やはりの話から始めます。蛇(へび)は古くは「へみ」(※2)と言って居たのですね、それで巳(み)(※2-1)が当てられるのです。即ち、「み」「へみ」の略なのです。しかし蛇の呼び方は実は色々有って、蛟(みずち)(※2-2)とか、蝮(はみ)(※2-3)とか、蛇(くちなわ)(※2-4) -朽ちた縄の様だからで「朽縄」「口縄」を当てる- とか、長虫(ながむし)(※2-5)と言います。大蛇(だいじゃ)になると蟒蛇(うわばみ)(※2-6)、神話で有名な大蛇(おろち)(※2-7)、更に想像上の槌の子(つちのこ)(※2-8)などが居ます。未だ未だ色々な呼び方が有り、地方の方言などを入れると書き切れない程なのです。

 ■蛇 - 特に蛇食について
 そこで蛇(へび)(※5)ですが、これはトカゲ目ヘビ亜目に属する爬虫類の総称で、単にヘビと言っても全世界には約2700種も居るのです。先ずコブラ(※5-1)ですね。中でもキングコブラ(※5-2)が毒性に於いてもNo.1ですが、我々が寧ろテレビの映像などで良く知っているのは笛に合わせて「コブラ踊り」を躍るインドコブラですね。あのフードを広げると大きな眼鏡を掛けている様で別名を眼鏡蛇と言いますが、あれは擬態(※6)です。【脚注】を見て貰えば解る様に目立とうとする標識的擬態(display)です。
 ボア(※7) -アナコンダ(※7-1)は世界最大- とニシキヘビ(※7-2)は無毒の大型ヘビで、古名が上述の蟒蛇(うわばみ)です。原始的ヘビで後肢の痕跡が在るそうです。ところでニシキヘビが又ウチナーンチュ(沖縄の人)に関係が深いのです。そう、三線の胴(※8)、あれがインドニシキヘビの皮で出来て居るのです、元来は。しかし最近はワシントン条約(※9)などで難しく成って来て、アミメニシキヘビやビルマニシキヘビなどを養殖して使って居るそうです。天然モンが使えなくて養殖モンが幅を利かしてる訳ですな、更にはプラスチックとか。
 ユウダ(游蛇)(※10) -「游」は「遊」と同じ意味。つまり「水面に浮き漂う」の意味ですがヒバカリ(日計)(※10-1)やヤマカガシ(山楝蛇)(※10-2)やアオダイショウ(青大将)(※10-3)など- は馴染み深いですね。ヤマカガシは幼少の頃捕まえて尾を掴んでブンブン振り回したりして遊んでましたね、途中で尾が切れたりして。子供の時は怖さよりも好奇の方が先に立って「盲、蛇に怖じず」(※11)の状態です。アオダイショウは田舎のお婆さんが「家の主」(=守り神)だから捕まえたらダメだと言って、天井裏の部屋で脱皮した抜け殻を見せて呉れたのを未だはっきり覚えて居ます。序でに言うと、大戦後は未だ屋根裏で”お蚕さん”を遣ってました。間も無く止めますが、この頃は未だ遣ってました、戦時中は半ば国策でしたから。
 そしてマムシ(蝮)(※12)です。田舎のお爺さんはその頃は山を持っていて”半農半樵”の様な生活をしていたのですが1度山に入るのに付いて行った事が在り、その帰り道に竹で作った仕掛けでマムシを捕まえるのです。この日捕まえたのは2、3匹ですが、お爺さんは蝮酒(※12-1)を造って居たのです。1本や2本とちゃいまっせ、土蔵の中に20本位造ってました。そして「これを飲むとのう、...元気が出るのじゃ」と言って、私の鼻先に蝮酒を注いで出したので、思わず「臭~!」、強烈な臭いに土蔵から逃げ出しました。今と成っては懐かしい思い出です、田舎もすっかり変わりました。私は戦後生まれですが、この様な戦中的記憶がまざまざと存在するのです。
 メクラヘビ(盲蛇)(※11-1)は殆どミミズウミヘビ(海蛇)(※13)には硬骨魚でも海蛇と呼ばれるものが在りますが、ここでは蛇に焦点を合わせます。ウチナーンチュ(沖縄の人)として是非紹介したいのがエラブウミヘビ(永良部海蛇)(※13-1) -沖縄の人はイラブーと言う- という海蛇です。燻製干物粉末にしたり、干物からイラブー汁にして食べます。又、泡盛(※14)に干物を丸ごと浸けた「イラブー酒」もお薦めです。
 そしてハブ(波布)(※12-2)ですね。これも粉末エキス(※15)にしますが、極め付けは泡盛に浸けたハブ酒です。これも強壮剤、即ち精力剤です。国際通りから市場街に入り第一牧志公設市場(※16)に居ると、小母ちゃんが粉末やエキスを売りに来ます。ハブ酒は泡盛専門店で扱って居ます。しかし蛇の醍醐味は何と言っても食うことです、即ち蛇食(へびしょく)です。現在は蛇料理の専門店などが東京や大阪に在りますが、沖縄ではそんな”面倒臭い”ことはせず自宅で遣って仕舞います。空揚げ、煮物、焼き物など、何でも来いという感じで通向きにはハブの蒲焼きが乙ですね。先程の蝮酒を造ったお爺さん蝮の蒲焼きを食って旨かった、と言ってました。戦争中は何でも食ったのです。又、テキサスの砂漠にほガラガラヘビ(※12-3)が居ますがアメリカ人は今でもこれを食いますね。旨いらしいですよ。尚、ハブもガラガラヘビもマムシの仲間です。
 蛇食について興味有る方は、こちらをご覧下さい。
  中国のヘビーなお食事-”食狗蛇蠍的!”(Chinese heavy meal)
  民族変わればゲテモノ変わる(About the bizarre food)







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 ■蛇のペニス




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 ■蛇(へび/じゃ/だ)、巳(み)の熟語や諺
 蛇を「へび」と訓読みするものでは、「盲、蛇に怖じず」は既に出ましたが「蛇穴に入る」(※20)とは冬眠の準備で穴に入ること、「蛇穴を出(い)づ」(※20-1)とは冬眠から覚めて穴から出て来ること、「蛇は一寸にして人を呑む」は「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」に同じ、「藪をつついて蛇を出す(=藪蛇)」は余計な事をして却って災いが拡大すること、「蛇の生殺し」は最後の留めを指さずに相手が弱って行くのを楽しむこと、「蛇神憑き」(※45、※45-1)は蛇の霊に取り憑かれた様な精神錯乱、「蛇に見込まれた蛙」は恐ろしさに身が竦んで何も出来ないこと、などなどでこれも沢山在ります。
 蛇を「じゃ」「だ」と音読みして、「蛇(じゃ)の道は蛇(へび)」は同類のする事は同類には解るもの、蛇足(だそく/じゃそく)は有っても無駄なもの(←そもそも蛇に足は無い)、長蛇は長いものの譬え(→長蛇の列など)、蛇管(だかん/じゃかん)はホースなど、竜頭蛇尾は「頭でっかち尻すぼみ」のこと、委蛇(いい/いだ)(※21)とは恐る恐る進む様、「蛇(じゃ)が蚊を呑んだ様」は少量過ぎて腹応えの無いこと、蛇紋(じゃもん)は蛇の胴体の模様、蛇の目とか蛇の目傘は皆さんも良く御存知でしょう、「蛇蝎(蛇蠍)の如く嫌う」(※22)はヘビとサソリは人が恐れ嫌うものの代表、などこれも未だ沢山在ります。
 次に巳の文字を見てみましょう、意味は【脚注】を参照して下さい。巳籠り/巳妊(みごもり)(※31)、巳正月(みしょうがつ)(※32)、巳成る金(みなるかね)(※33)、巳の日の節会(みのひのせちえ)(※34)や巳の日の祓(みのひのはらえ)(※34-1)、巳糊(みのり)(※35)、巳待(みまち)(※36、△3のp170)の弁財天の祭 -蛇は弁財天の神使とされる- など暦関連が殆どです。

 ■蛇神を祀る神社 - 巳さん
 蛇神(へびがみ)(※45)を祀る神社など在るの?、と言われそうですが在るのです。更に言えば十二支獣は全て何らかの形で神として祀られて居るのです、これ覚えておいて下さい。日本の神道は八百万(やおよろず)の神々で成り立って居るんですね。そんな中で今回はお年寄りなどが親しみを込めて巳(みい)さんと呼んでいる蛇神を紹介しましょう。大阪市東成区中本4丁目に在る八王子神社の境内摂社の八立龍王大明神がそれです。
 でもその前に八王子神社 -八王子神社は各地に在ります- について簡単に記して置きましょう。境内の「八王子神社社殿御造営記念碑」に拠ると、創建は詳らかでは無いですが応神天皇御代の時とされ、孝徳天皇からは高麗狗(こまいぬ)一対の献納が伝えられて居ます。当社は地元の産土神として八王子稲荷大明神と称して居ましたが、明治5(1872)年に百済神社(←理由不明?)と改称し、明治42(1909)年に旧西今里村の八剣神社を合祀し八王子神社と改めました。それで現在の主祭神は八王子大神で他に宇賀御魂神・素戔嗚命・大己貴命・奇稲田姫命を祀って居ます。現在の社殿は昭和40(1965)年に氏子の奉賛に依り造営されたと在ります。
 八王子(※50)という概念は仏教・神道が合い乱れて -神仏混淆- 中々難しいですが、この説明では※50の[3]を採って居ます。その上この神社は百済神社という名称を経て居ますので、その説明が要りますね、▼下の[ちょっと一言]▼をご覧下さい。
 [ちょっと一言]方向指示(次) 直ぐ近くを平野川が流れて居ますが平野川は嘗ては百済川と呼ばれて居ました。更に少し南の東住吉区今林に「東部市場前」が在りますが、ここは「百済貨物駅」と今でも地図に載って居ます。この辺りは嘗て摂津国の百済郡が在った所で半島からの渡来人の言わば「特別行政区画」です。関東にも武蔵国に高麗郡(→現在の埼玉県日高市)・新羅郡(→現在の埼玉県新座市)が在りました(△12のp32~33)。上の記念碑の説明では明治の廃仏毀釈で紆余曲折が有った事を窺わせますが、一時的にせよ百済神社に成ったのは、そういう諸々の理由からでしょう。

 ところで、2008年の春場所(大阪府立体育会館)の宿舎は、時津風部屋の傷害致死事件を受けて宿舎が何処に成るか危ぶまれて居た様ですが、時津風部屋は従来通り1978年から使用している大阪市東成区の八王子神社に決定しました。この時に神社側は「時津風部屋とは30年の付き合い。現親方らは暴行事件に関係ない訳だし断る理由もない。何かの形で力士たちを勇気付けたい。」と全面支援を約束した、と当時のスポ新に出て居ました。
 その強い絆を表しているのが右の写真の八王子神社の玉垣(※x)です。
    (財)日本相撲協会
    理事 時津風勝男
と彫られて居ます。時津風勝男とは大関豊山 -私も現役時代の豊山を知ってます、彼は東京農大出身の”学士さん”でした- で、1968年に引退後に時津風を襲名し70年に理事に選出され98年に理事長に就任して居ます。右の玉垣は78年頃に寄付が在ったのでしょう。
 この時津風理事長(豊山)と事件を起こした時津風親方とは直接的関係は有りませんが、2007年~08年に掛けての時津風部屋の傷害致死事件については
  不甲斐無い日本人力士たち(Gutless Japanese Sumo wrestlers)
をご覧下さい。兎に角、2007年~11年に掛けて角界は八百長とか色々と問題が噴出しました。それで2011年に春場所(=大阪場所)を中止にして協会の刷新を図ろうとしてた矢先に東日本大震災(3月11日)が起き、もう相撲の問題など何処かへ吹っ飛んで仕舞いました。それで角界は刷新されたのか?、さぁどうでしょうか??...(-_*)。これについては▼下▼をご覧下さい。
  エルニーニョの打っ棄り的相撲論議(ElNino's throw away Sumo discussion)

 摂社の八立龍王大明神に話を戻すと、場所は八王子神社の本殿の背後に在ります。八立龍王と言っては居ますが実は蛇神です。右の写真をご覧下さい、紛れも無く1対の蛇神です。龍の名で呼んでいるのは尊称です。右側の蛇が口を大きく開いて「阿」を、左側の蛇が口を閉じて「吽」を、1対で「阿吽」(※51)を表して居ます。因みに、1対で「阿吽」というのは狛犬なども同じです。
 [ちょっと一言]方向指示(次) ウチナーンチュ(沖縄の人)に成ったので一言言わせて貰えば、外を歩いて気が付く事はシーサー(※52)という魔除けの1対の獅子が門や玄関や出入口に矢鱈と置いて在りますが、これも必ず右側が「阿」で左側が「吽」に成って居ます。

 この写真は去年撮ったものですが、今年(2013年)の正月3日に行ってみたら蛇の大好物の鶏卵が山盛りに供えて在りました。そして神社の奥さんの話では、今年は巳年という事でラジオでこの「巳さん」を採り上げたらしく参拝者も例年よりも多かった、と言ってました。でも次に私が行った1月10日頃にはすっかり落ち着きを取り戻し例年通りに”閑散”として居ました...(>v<)。ここは相撲の件でも義理堅く巳さんも大事にされて居ます。
 この程度の規模の小さい祠の蛇神を関西では「巳(みい)さん」と呼ぶのです。今でも老人から巳さんと親し気に呼ばれて居るのは多分昔の家でアオダイショウ(青大将)(※10-3)などを家の守り神としていた記憶からです。少なくとも老人には未だそういう記憶がリアルなものとして有るのです。口縄坂をこよなく愛した織田作の小説『木の都』 -大阪の人は親しみ込めて織田作之助のことをおださく/オダサク/織田作と呼びます- にも巳さんが登場します(△14のp54)。因みに口縄とは蛇(※2-4)の事です。
 大阪は木のない都だといわれているが、しかし私の幼時の記憶は不思議に木と結びついている。
 それは、生国魂神社の境内の、巳さんが棲んでいるといわれて怖くて近寄れなかった樟の老木であったり、北向八幡の境内の蓮池に落(はま)った時に濡れた着物を干した銀杏の木であったり、中寺町のお寺の境内の蝉の色を隠した松の老木であったり、源聖寺坂口縄坂を緑の色で覆うていた木々であったり、--私はけっして木のない都で育ったわけではなかった。大阪はすくなくとも私にとっては木のない都ではなかったのである。


 皆さんも巳さんを祀ってる祠を気を付けて見て行くと時々見付けられますので、巳さんを探してみて下さい。小さい祠で「○○龍王(竜王)」と在るのは大抵「巳さん」(=蛇神)です。但し、ここの様に蛇の像が在るのは珍しいです。「蛇穴を出(い)づ」ですよ。この様に日本の蛇神信仰は民間宗教/土俗宗教として存在して居ますが、文明の波に押され都市部では廃れて忘れ去られようとしている事も事実です。
 ところで私は2013年2月18日以前は自由の身では無かったのですが、こうして巳さんの写真を撮るなど吾乍ら良く遣りますね、プロ意識が出てますな。八王子神社摂社の「巳さん」については
  日本、珍にして奇なる光景#2(The RARE and STRANGE scene 2, Japan)
でも採り上げて居ます。「白龍王大神」と彫った石柱の写真も載って居ます。
    {この記事は2013年5月12日に追加し、13年6月10日に更に加筆し最終更新}

 ■年頭のご挨拶 - 今年は巳さん
 冒頭に書いた様な訳で、今年はタイミングを逸してますので恒例の「年頭のご挨拶」は有りません。今年は関西で言う「巳さん」を宜・し・く!!

--- 完 ---

【脚注】

※2:蛇(へみ)は、ヘビの古称。仏足石歌「四つの―五つのものの集まれる穢き身をば」。〈和名抄19〉。
※2-1:巳(み、し)は、(「へみ(蛇)」の略と言う。正倉院文書の702年(大宝2)以降の戸籍簿に見えるのが最古例)
 [1].十二支の第6。み。「上巳(じょうし)」。
 (以後は「み」)[2].南から東へ30度の方角。
         [3].昔の時刻の名。今の午前10時頃。又、凡そ午前9時から11時の間の時刻。
※2-2:蛟/虬/虯/螭(みずち)は、(古くはミツチと清音。ミは水、ツは助詞、チは霊で、水の霊の意)想像上の動物。蛇に似て、4脚を持ち、毒気を吐いて人を害すると言う。虬竜(きゅうりょう)。仁徳紀「―ありて人を苦しびしむ」。
※2-3:蝮(はみ)は、マムシの古名。〈和名抄19〉。
※2-4:蛇(くちなわ)は、(朽縄に似ているから言う)ヘビの異名。季語は夏。枕草子244「二尺ばかりなる―」。
※2-5:長虫(ながむし)は、蛇の異称。
※2-6:蟒蛇(うわばみ)は、(ハミはヘミ・ヘビと同源)[1].大蛇(だいじゃ)。特に熱帯産のニシキヘビ・王蛇(ボアの類)などを指す。〈日葡〉。
 [2].大酒飲みの喩え。
※2-7:大蛇(おろち)は、(オは「峰」、ロは接尾語、チは霊威有るものの意)極めて大きな蛇。蟒蛇(うわばみ)。だいじゃ。古事記上「高志(こし)の八俣(やまた)の―」。
※2-8:槌の子(つちのこ)は、[1].前額と後頭部とが出た頭の形を言う。さいづちあたま。浄、曾我扇八景「―の鑓(やり)持奴が糸鬢も」。
 [2].小槌(こづち)に同じ。
 [3].蛇の一種と言う想像上の動物




※5:蛇(へび、snake, serpent)は、(ヘミの転)爬虫綱トカゲ目ヘビ亜目に属する動物の総称。爬虫類の中で最も特殊な体形を持つ。即ち体は円筒形で細長く、小鱗で瓦状に覆われ、肢と肢帯が無いが、原始的なメクラヘビやボア類には後肢の痕跡が有る。舌は細長く、先端は2分ペニスも2分(半陰茎)全て肉食性で、大きな獲物を飲み込めるように下顎が変形し、左右の下顎骨を別々に動かすことが出来る。大部分が陸生で、長さは30cm位から10mに及ぶものも在る。小動物や鳥、鳥の卵を食う。世界の熱帯・亜熱帯を中心に、メクラヘビ/ニシキヘビ(ボア/オオヘビ)/ヘビ(ナミヘビ)/クサリヘビ/コブラ/ミズヘビ/イトヘビ/ユウダなど13科約2千7百種が分布。多くは卵生。一般に有毒のものは頭部が三角形で、無毒のものは紡錘形
 不吉なもの、執念深いものとして嫌われるが、神やその使いとする所も多い。古名、くちなわながむしかがち。季語は夏。〈日葡〉。
<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※5-1:コブラ(cobra)は、コブラ科のヘビの総称。特に、攻撃の際、体の前部を直立させて頭巾(フード)を広げ威嚇する種類を指す。アジア・アフリカ・オーストラリアに分布。最大の毒蛇キングコブラや頭巾に眼鏡模様の在るインドコブラ(メガネヘビ(眼鏡蛇))など。
※5-2:キングコブラ(king cobra)は、コブラ科のヘビ。全長4m程世界最大の毒蛇。他のコブラ類と異なり頸を余り大きくは拡げず、興奮した場合も体の立ち上がった部分を前後に振る。東南アジアに分布

※6:擬態(ぎたい、mimicry)とは、[1].或るものの様に似せること。
 [2].〔生〕動物の形・色・斑紋が他の動植物、又は無生物に似ていること。隠蔽的擬態(camouflage)(模倣)即ち環境に似せ目立たなくするもの(シャクトリムシが枝に似るなど)と、標識的擬態(display)即ち目立たせる様にするもの(アブがハチに似るなど)の2種類に分けられる。ミミクリ。

※7:ボア(boa)は、ニシキヘビ科ボア亜科のヘビの総称。約60種。又、その一種。最大5.5mに達するが、普通は3m位。中南米産。獲物を呑む前に巻き殺す。原始的なヘビで、肛門部の両側に後肢の痕跡の爪状の鱗が在る。主に樹上生で、卵胎生。エメラルドボア/レインボーボア/アナコンダ(半水生)などが在る。王蛇(おうじゃ)。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※7-1:アナコンダ(anaconda)は、ニシキヘビ科ボア亜科のヘビ。世界最大のヘビで、全長約9mに達する。無毒。南アメリカ熱帯産。
※7-2:ニシキヘビ(錦蛇、python)は、ニシキヘビ科のヘビの総称。アミメニシキヘビ(アナコンダと共に世界最大)/インドニシキヘビなど、インド/東南アジア/オーストラリア/アフリカの熱帯地方に約20種。5m以上に成る大形の4種を含むが、他は余り大きく無い。肛門の左右に後肢の痕跡が在る。無毒で、種々の動物を巻き殺して呑む。多くは樹上生だが、地上生のものも在る。卵生パイソン。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※8:三線(さんしん)は、沖縄・奄美の弦楽器の一。形は三味線とほぼ同じで、やや小さい。胴に蛇皮(じゃび)を張ることから、本土では蛇皮線とも俗称する。撥(ばち)を用いず、大きな指形の義甲を人差指に嵌めて弾く。さむしる。

※9:ワシントン条約(―じょうやく、Washington Convention(通称名))は、「絶滅の恐れの有る野生動植物の種の国際取引に関する条約」の通称。1973年にワシントンで採択され、付属書で規制対象の種を詳細に指定。野生生物保護条約とも言い。日本は1980年に批准し、1987年に関連の法律を制定した。Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora が正式名。略称CITES。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※10:ユウダ(游蛇、)は、ヘビ科ユウダ亜科に属するヘビ類の総称。多くは無毒蛇だが、顎の奥に溝牙を持つもの、頸腺と呼ばれる特別な毒腺を持つものも在る。普通、水辺を好む。ヒバカリ/ヤマカガシアオダイショウ/ガラスヒバアなど。
※10-1:ヒバカリ(日計/熇尾蛇/竹根蛇、)は、ユウダ亜科のヘビの一種。全長約50cm。背面は暗褐色、腹面は白色で側方に黒点が在る。有毒とされ、名も咬まれればその日ばかりで死ぬ意と言うが、実際は無毒。本州以南、朝鮮半島・中国に分布。
※10-2:ヤマカガシ(赤楝蛇/山楝蛇、)は、ユウダ亜科のヘビの一種。全長約70~120cm、水辺に普通で、カエルなどを捕食する。背面はオリーブ色、黒斑が多く、体側には紅色の斑点が在る。上顎の奥と頸部に毒腺が在る。奥歯は長く、毒牙の機能を持ち、深く咬まれると、腫れることや血が止まらないことも在り、時に致命的。本州以南、朝鮮南部・中国・台湾に分布。季語は夏。
※10-3:アオダイショウ(青大将)は、ユウダ亜科のヘビの一種。全長1~2m。背面は暗褐緑色、4条の縦線が在る。無毒で、餌はネズミ・小鳥など。木登りが巧みで、鳥の雛や卵を呑むことが多い。山口県岩国市の天然記念物シロヘビは本種の白化したもの。サトメグリ。黄頷蛇。

※11:「盲、蛇に怖じず」は、物事を知らない為に、却って物怖じをせず、向こう見ずな事をする。盲蛇。近来俳諧風躰抄上「この道の重きを知らぬ者、目くら蛇に恐れずといへるごとく、口に任せて言ひ散す事」。
※11-1:メクラヘビ(盲蛇、blind snake)は、メクラヘビ科のヘビの総称。ミミズ形の小さなヘビで、熱帯・亜熱帯に広く分布する。その一種のメクラヘビは、全長約17cm。頭と尾の区別がはっきりしない。全身円い鱗で被われ、暗褐色で、紫紅色に光る。目は退化し非常に小さく鱗板で被われている。地中に棲んで、シロアリなどを食う。琉球諸島/小笠原/アジア/アフリカ南部/ハワイ/メキシコに分布。

※12:マムシ(蝮、mamushi, pit viper)は、(「真虫」の意)クサリヘビ科マムシ亜科のヘビの一種。体長約60cm。有毒。頭は三角形、又はスプーン形、頸は細く、全身暗灰色か赤褐色(赤蝮と俗称)で黒褐色の銭形斑が多い。目と鼻に在る孔器で、餌とする小動物の体温を感知する。卵胎生。日本各地に分布し、古来強壮剤として用いる。尚、クサリヘビ科マムシ属は、10数種が東南アジア/ヨーロッパ/北アメリカ/中央アメリカに分布。古名、くちばみ(口蝮)・たじひ(蝮)・はみ(蝮)。季語は夏。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※12-1:蝮酒(まむしざけ)は、マムシを浸した焼酎。強壮剤として使用。
※12-2:ハブ(波布・飯匙倩、habu pit viper)は、クサリヘビ科マムシ亜科の毒ヘビ。沖縄諸島・奄美諸島に分布。全長2mに達し、頭は略三角形、飯を盛る匙の様でマムシに似るが、頭部背面の鱗は小さい。樹上、又は草陰に潜み、人畜を咬む。攻撃性が強く、猛毒を持つ。卵生で、親は抱卵して敵から守る。奄美・沖縄諸島には、太く短い近縁種のヒメハブも分布。強壮剤。季語は夏。椿説弓張月残編「蝮蝎(まむし)の殊に大きなるものを―と唱ふ」。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※12-3:ガラガラヘビ(rattlesnake)は、クサリヘビ科マムシ亜科の毒ヘビ。約30種が北米から南米に掛けて乾燥地帯に分布。咬まれると致命的なものも多い。体長50~240cm。尾端に表皮から変じた数個から十数個の角質の環状物(これが発音源)が在り、危険が近づくと尾を急激に振って、「じゃあ」或いは「じい」という独得の音を発する。響尾蛇。

※13:ウミヘビ(海蛇)は、
 [1].sea snake。海産の蛇類(爬虫綱トカゲ目コブラ科ウミヘビ亜科)の総称。マダラウミヘビ/セグロウミヘビエラブウミヘビなど約50種。腹板が無く、殆ど上陸しない。多くは全長0.6~2m。尾は鰭状で、泳ぐ時に櫂(かい)の役目をする。暖海性で、日本でも黒潮流域に見られる。鋭い歯を持ち、猛毒のものが在る。
 [2].serpent eel。ウミヘビ科の硬骨魚の総称。ウナギ型で極めて細長く、多くは尾鰭が無い。ヘビに似た形で鋭い歯を持つ。南日本の沿岸に分布。ダイナンウミヘビ。稀に食用。
<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※13-1:エラブウミヘビ(永良部海蛇、broad-banded blue sea snake)は、(産地の鹿児島県沖永良部島に因む)海産のヘビ。尾は扁平、体長約120cm。背面は暗緑色で、暗褐色の環状斑紋が在る。猛毒。性質温和で牙も短い為に被害は少ないが、咬まれると致命的。日本には琉球諸島に多く分布。乾したものを食用エラブウナギ

※14:泡盛(あわもり)は、沖縄特産の焼酎。多くタイ産インディカ米の砕米を原料とし、黒麹菌で麹にし、これに水と酵母とを加え発酵させ蒸留する。長年熟成したものを沖縄では古酒(クース)と言い芳醇。アルコール30~40%を含む。古くは南蛮酒

※15:エキス(越幾斯)とは、(extract[蘭]の略。抽出物・浸出物の意)[1].薬物、又は肉・骨・植物などの有効成分を水・アルコールなどに溶かし出して濃縮したもの。
 [2].物事の精髄・本質。エッセンス。

※16:公設市場(こうせついちば/―しじょう、public market)は、生活必需品を公正な価格で需要者に供給する為に公設(地方公共団体が設置・運営する)された市場。







※20:「蛇穴に入る」とは、蛇が冬眠の為に穴に入る。俗に、蛇は春の彼岸に穴を出て秋の彼岸に穴に入ると言う。秋の彼岸を過ぎても穴に入らないことを「穴惑い」と言う。季語は秋。
※20-1:「蛇穴を出(い)づ」とは、地中で冬眠していた蛇が、春暖になって地上に出て来ること。←→蛇穴に入る。季語は春。

※21:委蛇(いい/いだ)は、(元来はイイ)
 [1].曲がりくねって行く様。
 [2].ゆったりと落ち着いている様。
 [3].恐る恐る進む様。

※22:蛇蝎/蛇蠍(だかつ/じゃかつ)は、蛇と蝎(さそり)。人が恐れ嫌うものの譬え。「―の如く嫌う」。
 







※31:巳籠り/巳妊(みごもり)とは、毎月1日・2日・3日の内に巳の日が在ること。この日に懐妊すると火に祟(たた)ると言う。

※32:巳正月(みしょうがつ)とは、四国で、12月の初の辰・巳の日。新仏の為に正月祭を行う。巳の日正月。

※33:巳成る金(みなるかね)とは、[1].暦注で、「巳・成(なる)・金」と重なる日。実の成る金の意に取り成し、その日に金銀・米銭を紙に包んで置けば富むと言う。
 [2].弁財天を祀る社から1月初巳(はつみ)の日に出す御守札。

※34:巳の日の節会(みのひのせちえ)とは、大嘗祭で巳の日に行う主基(すき)の節会。饗宴を張り、国司から多米都物(ためつもの)・鮮味・挿頭(かざし)・和琴などを献じた。
※34-1:巳の日の祓(みのひのはらえ)とは、3月上の巳の日に行う祓人形(ひとがた)を撫でてそれに災厄を託し、河海に流し捨てる風習が在った。流し雛はこの遺風と言う。

※35:巳糊(みのり)とは、巳の日に洗い張りなどの糊仕事をすること。身に糊を磨る(やっと食べて行くだけの生活をする意)と言って忌む。

※36:巳待(みまち)とは、己巳(つちのとのみ)の日に行う弁財天の祭













※45:蛇神(へびがみ)とは、[1].蛇を神と崇めたもの。
 [2].蛇神憑きの略。
※45-1:蛇神憑き(へびがみつき)とは、蛇の霊に取り憑かれたという精神錯乱。又、その人。蛇神。




※50:八王子(はちおうじ)とは、
 [1].神などの八柱の子神や眷属神。又、それを祀る神社。
 [2].仏典で、2万の日月灯明仏の最後の一人が出家前に儲けた八人の王子。
 [3].天照大神と素戔嗚尊の誓約(うけい)の時に出現したという五男三女神。
 [4].祇園牛頭天王(素戔嗚尊と同体)の八人の王子。
 [5].比叡山山王七社の第4。




※x:玉垣(たまがき)は、(古くは清音。タマは美称)皇居・神社の周囲に設ける垣。いがき。みずがき。古事記下「御諸(みもろ)につくや―」。



※51:阿吽/阿呍(あうん)とは、(梵語ahum、「阿」は口を開いて発する音声で字音の初め、「吽」は口を閉じる時の音声で字音の終り。万物の初めと終りを象徴)
 [1].alpha and omega。最初と最後。密教では、「阿」を万物の根源「吽」を一切が帰着する智徳とする。
 [2].寺院山門の仁王狛犬などの相。一は口を開き、他は口を閉じる
 [3].inhalation and exhalation。呼気と吸気

※52:シーサーは、(獅子さんの意)魔除けの一種。沖縄で、瓦屋根に取り付ける素朴な焼物の唐獅子像。


    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】



△3:『現代こよみ[読み解き]事典』(岡田芳朗・阿久根末忠編著、柏書房)。






△10:『十二支考(上)』(南方熊楠著、岩波文庫)。




△12:『大阪における朝鮮文化(歴史地理学的・説話考古学的アプローチ)』(段熙麟著、大阪文庫)。




△14:『夫婦善哉』(織田作之助著、新潮文庫)。

●関連リンク

参照ページ(Reference-Page):十二支獣について▼
資料-十干十二支(Chinese zodiacal signs and 60 years cycle)

参照ページ(Reference-Page):八百長相撲が何故無くならないか▼
資料-日本の相撲の歴史と仕来たり(History and custom of Sumo in Japan)


補完ページ(Complementary):中国では蛇は”普通”の食材▼
中国のヘビーなお食事-”食狗蛇蠍的!”(Chinese heavy meal)
補完ページ(Complementary):民族変わればゲテモノ変わる▼
民族変わればゲテモノ変わる(About the bizarre food)

脳出血後からウチナーンチュに成る迄▼
2013年・那覇空港を遊ぶ(Play the Naha Airport, Okinawa, 2013)




三線について▼
人形浄瑠璃「文楽」の成り立ち(The BUNRAKU is Japanese puppet show)

「盲、蛇に怖じず」の諺▼
2004年・年末のスマトラ島沖地震
(Sumatran earthquake of the end of year, 2004)


私の戦中的記憶▼
東海地方の「ゆでピー」好み(Boiled peanuts in Tokai region)


八王子という概念について▼
浪速のケッタイ(Strange spots in Naniwa, Osaka)

関東にも高麗郡や新羅郡が在った▼
中国の新少数民族か?、ラ族(裸族)
(Is a new minority of China ?, 'Luo zu')


2007年~08年に掛けての時津風部屋の不祥事▼
不甲斐無い日本人力士たち(Gutless Japanese Sumo wrestlers)
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織田作之助を織田作(オダサク)と呼ぶ事について▼
天王寺七坂漫ろ歩き(The 7 Slopes of Tennoji, Osaka)


大阪市東成区中本の八王子神社摂社の「巳さん」▼
日本、珍にして奇なる光景#2(The RARE and STRANGE scene 2, Japan)


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