1)頭蓋内に原因のあるもの
     
  68才 女性 脳浮腫を伴う大きな前頭部脳腫瘍
大きな脳腫瘍(髄膜腫)に、広汎な脳浮腫を伴い、数週間に進行性の頭痛を認めた。
      54才 男性  両側前頭洞炎
数日前より、前額部から眉毛部にかけて、急速に増強する痛みを認めた副鼻腔炎。
 脳ドック患者においては約4%程にみられる。
       
       
    75才 男性  左慢性硬膜下血腫(術前)
2ヶ月前に転倒、左側頭部を打撲。数日前より急速に増強する頭痛を認む。
       左慢性硬膜下血腫(術後)
術後、血腫は消失し、脳の圧排変形も回復している。
       
2)頭蓋内病変と頚椎症を合併するもの
  a)脳腫瘍との合併
  
 61才 男性  左小脳橋角部腫瘍(無症候性髄膜腫)
数ヶ月前より、朝起床時や夕方、仕事に疲れた時に頭痛、頚部痛、吐気等を認め、頭部MRIにて脳腫瘍を認めた。
 脳腫瘍はその後、頭痛は消失したが、本人の希望により6ヶ月後に摘出手術をうけ、経過は良好。
 左同 61才 男性 頚椎MRIにて頚椎症を認む。
頚部痛、肩こり、手指のしびれも強い為、頚椎MRIにてチェックすると、頚椎症を認めた。頚をいたわるよう日常生活指導により、頭痛も消失す。
       
 b)脳動脈瘤との合併
  
    72才 女性  右中大脳動脈瘤(未破裂)
数年来、時々、頭痛、後頚部痛を認めた。MRAにて右中大脳動脈瘤を認むるも、後日、手術にて未破裂動脈瘤であることを確認す。
          左同 72才 女性  
頚椎MRIにて頚椎症を認めた為、頚へのいたわりを指導し、以後、頭痛は消失した。今まで脳動脈瘤の小出血と考えられていた例にも、少なからず頚椎症由来の頭痛も存在することが示唆される。
           
 c)切迫脳卒中との合併
        58才 女性 右中大脳動脈狭窄
数ヶ月来、時々頭痛、頚部痛、右手指のしびれ・痛み、時に眩暈と左上肢脱力などを認めた。抗血小板製剤等により、左上肢脱力発作は消失す。
              左同  頚椎症
頚部症候も認めた為、頚椎MRI施行。頚椎症を認めた。
右手指のしびれと痛みは神経根症状と思われ、頚へのいたわりにより諸症状消失す。



 脳ドック2925例において、脳梗塞25%、脳腫瘍0.9%、脳動脈瘤4.3%、頚椎症・ヘルニア27%の頻度でみられることから、これらが合併する可能性は一定の確率で認められてくるものと思われる。かつて何らかの症状があったものの、休職や退職にともない、頚への負担軽減により無症候性になったものが少なくない。


症例 30代 / 青森県 / H 様
 私は○才女性、一年前からパートで一日おきに外回りの仕事をしています。
車での移動で、6時間程度運転をしています。
2週間ほど前から、頭頂部よりやや左側がズキッと痛んだり、ギュッとしめつけられるような痛みを感じています。
痛んでいる時間は2〜3秒のときもあれば10秒くらいのときもあります。
ひどく痛い訳でもなく、痛みがおさまってからまた痛みだすまでの間隔もまちまちです。
頭痛が始まってから3日後くらいに、左上まぶたのけいれんも始まりました。
一日に何回もピクピクしてはおさまるの繰り返しです。
ここ2・3日の間に左手の軽いしびれを感じるようにもなり、首・肩・肩甲骨のあたりの
(左右とも)凝りもひどいです。
まだ病院へは行っておりません。
 
もともと頭痛もち、2年前には座った状態から立ち上がったときに首を痛め病院ではむちうちと診断され、同じ年の夏には腰椎のヘルニアになり完治してはおらず様子をみている状態です。
 
HPにある、「頸と頭痛について」や「頸に捧げるアドバイス」を読ませていただきました。
私のような症状も当てはまるように思えたのですが、いかかでしょうか?
 
自分でいろいろ調べたりもしてみましたが、どれもしっくりくるものがなく先生のHPにたどり着きました。
 お忙しいことと存じますが、お返事よろしくお願い致します。


 
A:  H様 当クリニックへのホームページのアクセスありがとうございます。
 
Hさんが感じておられますように、現在の一連の症状は頚椎症由来のものと思われます。特に数十秒間のズキっとするような痛みや絞めつけられるような痛みは、頚椎症に伴う典型的な痛みのように思われます。腰痛症も見られることから頚と腰への負担がかなりあるようですが、その背景には一日数時間の運転業務など頚や腰への過度な負担が背景にあるように思われます。
またここ2週間ほど前から軽い風邪ぎみになっておられる様で、それが現在の頭痛の背景にもなってるように思われます。特に風邪ぎみの時には頚や腰の調子が悪い方は強く出やすいものです。
 
春になりますと気候も安定しだいぶ楽になってまいります。今しばらく出来るだけ頚や腰をいたわるようにされて、頚へのいたわりのページをもう一度熟読され、日常生活でのいろいろな工夫をされてみてはいかがでしょうか。それににより十分軽減されてくると思います。



お返事: お忙しい中お返事をくださいましてありがとうございます。
 やはり頸からくるものなのですね。

 ここ数日、腰椎のヘルニアによる坐骨神経痛が再発し、足の甲にしびれを感じていました。
 現在の業務に就いてからというもの、前にも増して肩こり、腰痛がひどくなっていたので頸・腰ともにかなりの負担がかかっていたのはわかっていたのですが今回相談させて頂いた症状は、自分を騙し騙し過ごしてきた結果のように思います。

ホームページにある頸のアドバイスをもう一度よく読み、実行してみます。先生に相談できたこと、親切にお返事をくださったこと、私にとって本当に幸運でした。

お忙しいでしょうが、これからも頭痛や脳に関する症状で悩む人達のためにがんばってください。たくさんの人を救ってください。

本当にありがとうございました。



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