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あたまがいい


 あまり難しいとウンザリするので簡単な例を出してみましょう。

 小学校の算数です。

 

 ◆知識◆


 直線 が平行の時、この2本の直線に交わる直線がつくる角ア角イは同じ角度になります。

 これを『同位角』と言います。

 

 って、小学校の時に習いましたよね(名称は中学校で学習)?

 忘れちゃいました?

 懐かしいですよね。

 そして、その角と向かい合う角、角ア角ウ角イ角エ、これも同じになります。

 これを『対頂角』と言いました。

 

 

 

 …ってぇことは、早い話が角ア角イ角ウ角エは全て同じってことです。

 

 

 なら、角ウ角イの2つのペア、これにも名前がついていそうですね。

 そう。これが『錯角』です。

 

 


 

  思い出しました?

 

  さて、それでは、この性質を頭に入れて、次の図の(エックス) を求めてみましょう!

 

 ◆問題◆



 先へ進む前に、暫く悩んで下さい。

 

 如何ですか?

 もう忘れてしまいましたか?

 降参ですか?

 

 では、答えの解説と行きましょう。

 

 ◆解説◆


 この図をただ眺めていただけでは答えは出ません。

 下のように(エックス)の頂点を通って、直線 に全く平行な直線(n)を入れてみましょう。

 

 線を一本入れることですぐに分かると思います。如何でしょうか?

 錯角は等しいから、 角a【35°】は等しい。

 

   ∠a = 35°

 

 また、同様に錯角は等しいから、角b【38°】は等しい。

 

   ∠b = 38°

 

 つまり、∠a と ∠b を足せばいいから、

 

   35°+38°=73°

 

 そうです。答えは73度です。

 

 簡単ですね。


 

 この問題を悩んでいる人を見て、頭の悪い受験生なら『簡単じゃん!こんなことも知らないの?』と感じたかもしれません。

 『こんなものも出来ないの?馬鹿じゃん!』と思ったかもしれません。

 

 しかし、その前によく考えてみましょう。

 

 実は、この問題、本当は非常に難しい問題なのです。

 おそらくほとんどの人が解けないでしょう。

 特に、自分は頭がいいと勘違いしている受験生には、まず解けない問題でしょう。

 

 それは、どういうことでしょうか?

 

 『簡単だ!』と感じた方に問います。

 

 あなたは、なぜ『簡単だ』と思ったのですか?

 

 それは、自分の頭が良いからですか?

 よくよく自分を振りかえって下さい。なぜ簡単なのですか?

 

 そう、『教えてもらったから簡単』なのです。

 

 『こんな問題も分からないのか?』と感じたあなたも振り返って下さい。

 この問題と初めて出会った時、あなたは自分から答えを導き出しましたか

 そうではなく、『ここに線を引くと分かるよ』と、先生に教わったから簡単なんじゃないですか?

 教えてもらえばどんな馬鹿でも出来るようになります。

 それは頭が良いことの証明でも何でもありません。

 『教えられた』ことを覚えていたから簡単なのです。

 

『教えられた』から解けたのであって、

『頭がいい』から解けたのではありません。

 

  本当に頭の良い人は、人に教えられなくてもあれこれ思考をくり返し、直線を引くことを発見し、正しい答えを導き出すことができます。『◆知識◆』の部分を教えただけで問題が解けてしまうのです。

 やり方と答えを誰かに教えられなくても『与えられた条件から、自分で思考し、自分で判断し、正しい方法を見つけ、正解を導き出す』ことができるのです。こういう人間を『頭がいい』というのです。

 無理?

 そんなことはありません。

 あなたが無理なだけです。

 現実には『頭がいい』人が沢山います。

 やり方と答えを教えずとも自分で正解を導く小学生は沢山います。何人に1人という統計を出したことはありませんが、必ず『頭の良い子』はいます。私が授業する時、『これだけで解けたらジュースをおごるぞ!』と宣言し、今までに何本おごらされたことか!!

 やり方と答えを教えずとも解けてしまう能力を、『ひらめきがある』とか『カンが鋭い』なんて言い方もします。しかし、何もないところからひらめいたりはしません。普段から『思考』の訓練をして、初めて『ひらめき』も得られるのです。

 思考の訓練もせず、ただ教えられたことを覚えて来た頭では、教えられた範囲のことだけでしか考えられません。そこからは、新しい発想や創造など生まれることはないでしょう。

 一方、思考の訓練をした頭の良い人間なら、教えられたことだけに囚われず、あらゆる可能性を考え思考します。柔軟に、しかも自由に発想することができます。

 そこに決定的な違いが存在します。

  学習塾へ行けば問題の解き方を教えてくれます。それを真面目に聞いてくり返し努力すれば『お勉強』の成績は伸びるんです。けど、それは決して『頭が良くなる』ということではありません。よく勉強をすれば頭が良くなると勘違いをしている方がいますが、間違いです。ただ教わったことをくり返しできる能力がつくだけです。必ず『思考』という訓練が伴わなければ、頭は良くならないでしょう。

 

 つまり、

『勉強が出来る』=『頭がいい』とは限らない

                                            のです。

 

 …強いて言うなら、『説明が理解できるおりこうさん』という程度です(…って、教える側は、これが大変なんですが)。

 

 

 これは一流大学の入試問題だろうが同じです。

 当然、私がいきなり東大の数学の問題を見せられたって、解けるわけがありません。なぜなら、それにむけた『お勉強』をしていませんから。けど、ただただ教えられたことをひたすら覚え、お勉強を積み上げて行けば解けるのです。

 別に最近流行っている『ドラゴンなんとか』の不良たちだけではありません。

 

 頭をよくしたければ、それとは別に『考える』という訓練をしなければならないのです。

 そして、その訓練は何も学校のお勉強に限ったことではないのです。いや、学校にしろ学習塾にしろ詰めこむので精一杯ですから、『考える訓練』かというと、はなはだ疑問です。

 その証拠に、学校のお勉強が出来る奴ほど、ロクな思考が出来ない『馬鹿』ですから。

 

 

  さて、今の話はあくまでも算数での話です。

 ですから、やり方を教わるまで正解を導き出せなかったからと言って、『頭が悪い』とは断定できません。生理的に算数が嫌いな人もいれば、たまたま調子が合わない場合だってあるでしょう。

 私がここで言いたいのは、あくまでも『やり方を教わらなくても、与えられた条件から思考して結果を導き出せる』人間が『頭がいい』ということです。その例として算数を出しました。

 そう。

 この能力を使うのは、算数だけではありません。あらゆるジャンルに通じています。その中の自分に合ったジャンルにおいて『自分の頭で考え、判断し、正しい答え』を導ければ良いのです。

 実は、これが『小論文』で問われる能力なのです。

 そして、今後の人生にも必要な能力なのです。

 算数の問題には『正解』が用意されていますが、『小論文』の問題には『正解』が用意されていません。また、君たちの今後の人生には正しい答えが存在しません。いったい、誰が教えられるというのでしょうか?

 

 小論文で言うなら、与えられたテーマに関する自分が学んだ知識・情報(前述の例で言うなら『同位角』『対頂角』『錯角』にあたるもの)を元に、正しい答え、つまり、自分の意見を『思考』するのです。

 テーマが『国際化社会』なら、『同位角』『対頂角』『錯角』の変わりに『異文化に関する知識』が取って代わるのです。

 これが小論文です。

 

 人生で言うなら?…誰も教えてくれませんよ。

 大人や先輩たちは、当然、君たちより長く生きています。だから、ある程度の知識と経験があり、アドバイスをすることができます。しかし、そのアドバイスが正しい保証などありません。人生に訪れる問題は、算数のように正しい解答が用意されてはいないからです。

 最終的には自分で考え、判断しなければなりません。

 アドバイスをくれた人の言うとおりにした結果、大失敗して、そのアドバイスをくれた人に抗議したところで、決して責任なんぞ取ってくれません。『おまえが悪い』と言われるだけです。

 最後に頼れるのは、決断を下すあなた自身なのです。

 

 自分の頭で考え、判断する能力…。

 この能力こそが、あなたの人生を輝かせるのです。


  
  

2012年

 

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