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「花の心・風の姿」 (第9回原稿 8月10日(火)・産経新聞掲載) 


 八月に入っても暑い毎日です。今夏は戦後最も暑くなる可能性があるそうで、七月からの局地的豪雨や連日の酷暑と、記録尽くめの夏になりそうです。 先日、新聞で報じられましたが「慣用句の使用衰退。意味取り違えが7割に及
ぶ」とありました。正しく使っているのではなく間違いが7割以上というのは本当に驚きでした。お恥ずかしいのですが、正直申しますと私自身も間違った意味で認識していた慣用句がありまして、例えば「檄を飛ばす」は元気・勇気づける
事と思っておりました。しかし、正しくは「自分の主張を広く知らしめ同意を求める」ことです。また、慣用句自体を使わない(話さない)という人も増えているとありました。物事や心情を巧みに、また的確に表現している慣用句を間違っ
た意味で認識していることや全く使用されないのは、本当に残念に思います。しかしながら、日本語自体は日々変化しているのではないでしょうか?皆さんもこの変化を色々と感じたことが御有りかと思いますが、私が最も気になっていますのは「全然…」。私は「全然」の後には否定文が続くのが当たり前と思っておりました。「全然駄目です」と。しかし最近では肯定文が続く時にも使われております。「全然大丈夫です」と。私は未だに違和感を覚え、肯定文に使うのは間違った使い方と信じて疑いませんでした。しかし、お聞きするところによると明治時代前後には否定ではなく、肯定文への使い方が当たり前だったそうです。今は否定肯定両用ですが、もしかすると数十年後には否定文には使われていないかもしれませんし、全く違った意味になっているかも知れません。日本語はほんとうに奥の深い言語です。さて、皆さんは「狂言強盗」「狂言誘拐」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるかと思います。勿論狂言の曲名でもなければ、我々が演じている狂言とは関係の無い言葉ですが、小さい頃に初めてこの単語を見たときはびっくりしたのを覚えています。最近でこそ狂言に対しての認識が広がりつつありますがちょっと過激なこの単語。辞書にも掲載され間違いではないのでしょうが…。何か美しい単語に変化しないものでしょうか。         

 【善竹隆平】

* 産経新聞夕刊文化面コラム 平成16年6月8日(火)より毎週火曜日夕刊掲載 全15回(途中翌週延期有)
  善竹隆司さん、隆平さんのご好意により、掲載させていただけることになりました。
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