善
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「花の心・風の姿」　（第１１回原稿　８月２４日（火）・産経新聞掲載）　

　昨春より私ども兄弟にての主催公演である「善竹兄弟狂言会」を催しております。この催しは老若男女問わず多くのお客様に、より「狂言」に対して親しみをもっていただき、実際に能楽堂に足を運んでいただくべく昨年に発会しました。
また私どもにとりましても、ひとりの狂言方の「個」として、様々な試演の場として、活動をしていきたいと思っております。
　狂言は同じ流儀でも同一というものでなく、各家々で特色があります。同じ曲目でも解釈の違いもあり、私どもも他家の方と競演することによって、刺激や色々な発見がありますし、お客さまにとっても、家や役者の個性の違いをお楽しみいただけると思います。
　能楽の催しを制作するにあたっては制作会社やマネージャーがあるわけでもなく、全て主催者自身で制作します。会場の手配や出演者への依頼、チラシのデザイン決定から当日のお弁当のメニューまで、ありとあらゆる事を準備をする必要があります。勿論、普段の舞台もありますので、その合間に併行で作業をすすめます。兄弟で制作するからにはお互い役の公平性や曲の選曲等、意見がまとまらず困難な作業と思われるかも知れません。しかしこの点に関しては極めて短時間で決まっております。お互い役への思いなど考える事はありますが、互いの性格ゆえか、それこそふたつ返事で決っていきます。ただし、それ以外の仕事は悪戦苦闘していますが、作り上げていく過程は楽しいものです。もちろん仕事は兄弟で公平を心がけて分担するわけですが、お互い難事を押し付け合いながら制作しております。幸い、友人知人が手伝ってくれますので、とても心強く思っております。
　「狂言」？何それ、知らない。ではなく「狂言」の事をほんの一言でも言える方が増えていただくよう努力していく所存です。次回は来年の４月２４日（日）大阪梅田の大阪能楽会館に於いて催します。ご期待ください。
　【善竹隆司・隆平】
＊ 産経新聞夕刊文化面コラム　平成１６年６月８日（火）より毎週火曜日夕刊掲載　全１５回（途中翌週延期有）
　　善竹隆司さん、隆平さんのご好意により、掲載させていただけることになりました。
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