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「花の心・風の姿」 (第1回原稿 6月8日(火)・産経新聞掲載) 


 今回から大蔵流狂言を勤めております、私ども善竹隆司、隆平兄弟にてこの欄を書かせていただく事になりました。決して兄弟仲は良い方だとは思いませんが、何かと意見の対立ある状況にて舞台を勤めておりますし、また互いに考え方が鏡を写しているようで、気味の悪い時もあり、苦笑する事もしばしばです。今回もどのような内容になるか甚だ心配ではありますが、少し普段思っていることを書かせて頂きます。乱文にお付きあい頂けましたら幸いです。
 弟、隆平は今年27歳、私、隆司は四つ離れて先月31歳となりました。性格について少々ふれますと、兄から見ますと弟は「生真面目」。弟から見ると兄は良くも悪くも「エエカゲン」だそうで、二律背反した性格といえます。
 弟について言いますと、例えば舞台の際には装束を鞄につめますが、つめる順番についてはかなり「こだわり」をもっているようです。 師匠である父が言ったことを忠実に実践しようと心がけてはいるようですが、他人が入れた後であっ
ても気に入らなければ、一人で怒りながらやり直しています。もう少し融通が利けばと常々思いますが・・・。ただ舞台も性格を表すようで質実な芸といえ、狂言「千鳥」の太郎冠者のような、知恵者の役などを好んでいるようです。
 逆に私について弟が言うには、『兄は日頃のスケジュール管理等をはじめ物事に頓着していないように思います。
「来週の催しは何の役をするのや?」や「この日の催しは何の会」とよく聞いてきます』との事。私に言わせると普段から不明な事を聞いているだけですが、彼は少々閉口しているようです。まぁ細かいところに執着しないというか合理的な性格だと思いますが、弟には理解できないようですね。
 互いに偏った性格だとは思いますが、マイナスのマイナスはプラスといいますので、互いに補完しているのではと楽観的に考えております。ちなみにお互いAB型です。

 【善竹隆司・隆平】

* 産経新聞夕刊文化面コラム 平成16年6月8日(火)より毎週火曜日夕刊掲載 全15回(途中翌週延期有)
  善竹隆司さん、隆平さんのご好意により、掲載させていただけることになりました。
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