<国内写真集>
私の昆虫アルバム・南西諸島編
(My INSECTS album in South-West Islands)

-- 2013.06.10 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2014.04.14 改訂

 ■はじめに - 南方産の昆虫のみを対象

カブトムシのマスコット。 2013年3月18日(月)に沖縄にやって来た私は翌2013年3月19日(火)に転入の手続きを経て晴れて沖縄の人に成りました。これを沖縄方言でウチナーンチュと言いますので、宜しく!!
 実は私はトンボ(蜻蛉)が好きで、その他はチョウ(蝶)セミ(蝉)ですね。それで1998年頃からデジカメを買い”昆虫撮集”を始めました。昆虫撮集という聞き慣れない言葉は私の造語で、要するに昆虫には一切手を触れず昆虫の写真を撮ってインターネット上のHP(ホームページ)でデータを公開する方式です。虫を殺す昆虫採集 -昆虫を取って殺して展翅して標本を作る事- はもう遣らないのです。大阪は2011年迄撮り続け、もう大阪の昆虫は撮り尽くした位撮りました(←実際には撮り尽くして無いですが)。
 2013年から沖縄(那覇市)に来てこちらで撮って居ます。そこで当ページでは本州には居なくて南西諸島(※1)に居る種のみを掲載して行きます。例えばアオスジアゲハは本州にも居て沖縄にも居るので資格が有りません(即ち×)。一方オオゴマダラは本州には居らず沖縄に居るので資格が有ります(即ち○)。その様な分け方で資格有り(即ち○)の昆虫のみを当ページに掲載して行くことにします。つまり南方産の種のみが対象です。

 ここで昆虫学を少し”お勉強”して置きましょう。南西諸島の地図と昆虫の分類学と特徴は▼下から参照▼して下さい。
  地図-日本・南西諸島と沖縄(Map of South-West Islands and Okinawa -Japan-)
  資料-昆虫豆知識(Insect Trivia)

 一般に昆虫(insect)とは、節足動物門の昆虫綱に属する無脊椎動物の総称で、体は頭・胸・腹の3部に分れ、頭部に各1対の触角と複眼口器、胸部に2対の翅 -中には1対のみや退化して無い種も在る- と3対の脚を有します。しかし何と言っても特徴的なのは、幼虫や(※2)から成虫に成る時の劇的な”変身” -専門用語では変態と言い、蛹を作るのが完全変態、そうで無いものを不完全変態と言う- です。気味の悪い青虫がモンシロチョウやアゲハに成り、水中で蜷(にな)を食べる獰猛な幼虫がホタルに成り、蟻地獄が儚い譬えに用いられるウスバカゲロウに成ります。更には擬態や保護色で身を隠したりと、凡そ人間の想像力を遥かに超えていて、その奇抜さと多様さは正に「造化の神の芸術」と言い得るもので驚嘆させられます。そして殆どが地上では1年以内、それも夏を中心とする特定の季節の間だけ生きるので、必然的に”季節”を感じさせて呉れます。

 このページはアルバム・ページなので昆虫をトンボ/チョウ/セミに分けて、各分類では時系列に掲載して行きます。撮影データの<××.××.××:△△△△科|○○○○>は××.××.××が撮影日、△△△△が中分類(科)、○○○○が撮影場所です。昆虫の写真は断りが無い場合は実物大です。それから記号ですが♂は雄(オス)♀は雌(メス)を表します。
 因みに左上のマスコット画像は沖縄のシンボル的存在のオオゴマダラ(→後出)です。

    ●項目目次(Item-menu)
      トンボ(蜻蛉)
      チョウ(蝶)
      セミ(蝉)

 それでは南方産の種の「昆虫撮集」をお楽しみ下さい。

 ■トンボ(蜻蛉)

 蜻蛉の仲間は昆虫綱トンボ目(旧:蜻蛉目に分類されます。蛹を経ない不完全変態です。食性は完璧な肉食性です。

  ◆ベニトンボ(紅蜻蛉)

 <2013.04.13:トンボ科|末吉公園(那覇市)>で撮影。右の拡大写真の様に翅の付け根が赤茶色に成っているのと、腹が真ん中で少し膨らんでいるのが特徴です。成熟した♂では赤紫色に染まり大変美しく成ります。左の写真は2.5m位からの望遠です。
 台湾以南の亜熱帯・熱帯に広く分布する種で、古い本には「我が国では薩摩半島の池田湖と鰻池だけに居る」と書かれて居ます(△1のp199)が、今は南西諸島から九州南部に分布が北上しました。我が国ではここ20年位の間に、一般的に分布は可なり北上する傾向が在ります(△1-1のp452)、一部では私が奄美特産のアカボシゴマダラを横浜で撮影してる様に”人為的”な影響も有る様ですが。
 私がこのトンボを最初に見たのは中国雲南省です。雲南省のトンボは▼下を参照▼して下さい。
  私の昆虫アルバム・外国編(My INSECTS album in foreign country)

  ◆リュウキュウベニイトトンボ(琉球紅糸蜻蛉)

 <2013.04.27:イトトンボ科|末吉公園(那覇市)>で撮影。胴は橙色で胸部がやや黄緑色を帯び、頭部は可なり黄緑色です。抽水植物(※3)の多い池沼に居ると書いて在ります(△1のp41)が、正にその様な場所に居りました。これも1.5m位の望遠撮影ですが、中々じっと止まらず、動きは早く無いですが止まっても直ぐ場所を移動する、という具合で少し呆けて居ます。御負けに植物の中の方なので暗いのです。糸蜻蛉は撮影が中々難しいです。この写真からはであることが解ります。♀はこれ程橙色が鮮やかでは無く全体的に黄緑色を呈して居ます。
 南西諸島では成虫は3月~10月頃見られるという事ですが、私はこの後も10回位行ってますが見たのはこの日の1回のみです。又、来年以降にチャレンジです。
 分布は台湾/中国南部/タイ/マレーシア/スマトラ/ジャワと広域に分布して居ます。

  ◆ヒメトンボ(姫蜻蛉)

 <2013.06.06:トンボ科|旭ヶ丘公園(那覇市)>旭ヶ丘公園というのは「波の上ビーチ」が在る公園です。私は「波の上公園」だとばかり思って居ましたが。まぁ、要するに「波の上ビーチ」の直ぐ傍に人工池が在って、そこを目指してトンボが集まって来る訳です。左下は実物大です。
 昆虫の名前で「ヒメ(姫)」が付いたら「小さくて愛らしい」という意味です。その名の通り体長が32mm位の小さなトンボです。本来は抽水植物の多い池沼や田圃などに来ます。

 右上も<2013.06.17:トンボ科|旭ヶ丘公園(那覇市)>の撮影で、これは2倍に拡大しました。は成熟すると青白色の粉を吹きますが、右の写真で判るでしょう。これはコフキトンボ(粉吹蜻蛉)などと同じです。♂はこうして縄張を張り♀が来るのを待って居るのです。
 セイシェル島/インド/東南アジア/台湾/南西諸島に広く分布します。
 因みに小さいトンボとしては本土のハッチョウトンボ(八丁蜻蛉)が有名で体長20mm位ですからヒメトンボの更に2/3です。私はハッチョウトンボを撮りに愛知県豊橋市に何度か出掛けましたが、段々棲息範囲が狭められて居ます。

  ◆ハラボソトンボ(腹細蜻蛉)

 <2013.06.06:トンボ科|旭ヶ丘公園(那覇市)>このトンボを初めて見たのは2002年の中国雲南省西双版納でタイ族の民家に泊まった時で、今でもはっきりと思い出します。西双版納は私の第2の故郷です。西双版納の懐かしいハラボソトンボは▼下から▼ご覧下さい。
  2002年・雲南タイ族民家宿泊記(Homestay at Dai's-house, China, 2002)

 さて左下が人工池の周りを囲んでる石垣に止まった交尾中の♂♀です。胴を伸ばしているのが♂、相手の胴を掴んで胴を曲げているのが♀です。♂が体色が緑色がかって居て♀が黄色がかって居るのが判ります。
 名前の通り腹が細くてスリムで私は大変気に入って居ます。中国南部/東南アジア/台湾/南西諸島/九州などに分布して居ます。西双版納では池の周りのみ為らず人家の直ぐ傍に、丸で日本のシオカラトンボ(塩辛蜻蛉)の様に止まって居ます。
 西双版納では1年中居て那覇市では4月中頃~9月中頃迄居ます。




 右は参考迄に<2010.09.20:トンボ科|別府温泉(別府市)>のハラボソトンボです。別府温泉の熱気で温度が高いのですが、そういう所に南方のトンボは居ますが、体色は黒下する傾向に在ります(△1のp153)。

  ◆ベッコウチョウトンボ(鼈甲蝶蜻蛉)/オキナワチョウトンボ(沖縄蝶蜻蛉)

 <2013.06.22:トンボ科|赤嶺緑地(那覇市)>空港(←自転車で10分)に近い赤嶺緑地は、安次嶺(あしみね)の御嶽(※4)と赤嶺の御嶽が隣同士に存在して居りその両方を囲って居ます。赤嶺緑地は非常に良い昆虫スポットです。その好例がベッコウチョウトンボ(鼈甲蝶蜻蛉)(又はオキナワチョウトンボ(沖縄蝶蜻蛉))が居る事です。左の写真の様に鼈甲(べっこう)(※5)に似た黒褐色と黄褐色の紋様が翅に在りますが、この斑紋には可なり個体変異が在る様です(△1のp202)。5m位の高い枝で翅を休めて居た所を望遠で撮りました。
 分布は台湾/東南アジア/南西諸島で、東南アジアには翅の透明部分の広いスキバチョウトンボ(透き羽蝶蜻蛉)が居ますが、DNAの明瞭な区別は無いそうです(△1-1のp364~366)。

  ◆ヒメハネビロトンボ(姫翅広蜻蛉)


 <2013.10.03:トンボ科|赤嶺緑地(那覇市)>この日、ヒメハネビロトンボ(姫翅広蜻蛉)が近縁種のウスバキトンボ(薄羽黄蜻蛉)に混じって飛んで居ました。後翅の付け根の褐色斑が在り、その褐色斑の周りに黄色部が出来ないことでハネビロトンボ(翅広蜻蛉)と区別出来ます。
 分布は台湾/中国南部/東南アジア/オセアニアなどで国内では南西諸島です。

 赤嶺緑地は非常に良い昆虫スポットと言った意味が解って貰えたと思います(→後出)。

 → 項目目次に戻る(Back to Item-menu)

 ■チョウ(蝶)

 蝶や蛾の仲間は昆虫綱チョウ目(旧:鱗翅目に分類され、完全変態の典型的昆虫、つまり(※2)に成った後に成虫に成ります。チョウ目の昆虫は旧は鱗翅目とされて居た様に、翅膜が鱗粉で覆われて居るのが極めて顕著な特徴です。大人しい草食性です。

  ◆イシガケチョウ(石崖蝶)/イシガキチョウ(石垣蝶)

 <2013.04.27:タテハチョウ科|末吉公園(那覇市)>左が末吉公園のイシガケチョウです。独特の石崖模様を持つ蝶で、この蝶が石崖の上に止まったら保護色に成り中々見付からないのに、と思いますが余り保護色の事は意識して無い様でこうして緑の葉の上に止まるので直ぐに判ります。時々水を吸う為に地面の上に止まります。私が子供の頃は南西諸島にしか居ないので最初から諦めて居ましたが、この蝶も分布を徐々に北上させて居り、今では中部地方より南で局地的に発見されて居ます。外国では台湾/東南アジアなどです。


 <2009.06.02:タテハチョウ科|四条畷室池の山(大阪市)>ところが数年前から大阪の四条畷室池の山で可なり大量に発生する様に成りました。右の写真は四条畷で撮影しました。6月初め~6月中頃に掛けて発生し1日に30匹位見付けられました。でもこの事実を知る人は極々少数です!

 翅を展翅した様に広げるのが好きな様ですね。沖縄(左上の写真)の方が褐色部分が強い様ですが、これだけでは未だ判りません。

  ◆シロオビアゲハ(白帯揚羽)

 <2013.04.27:アゲハチョウ科|末吉公園(那覇市)>シロオビアゲハはこの季節に成ると街中でも花 -特にミカン科が好き- に集まる姿が見られる小型のアゲハです。シロオビ(白帯)の由来は後翅に白帯紋様が有る為です。
 先ず下の2枚は何れもです。実はシロオビアゲハの♀には2つの型が在り、左下がタイプⅠ(後翅に赤い斑紋が無い=♂と同型)右下がタイプⅡ赤い斑紋が有る)です(△2のp20~23)。その理由はタイプⅡは体にを持つベニモンアゲハ -ウマノスズクサの毒- に擬態していると言われて居ます(△2のp12)。


 右は求愛行動をするペアで、前が赤い斑紋が殆ど無いタイプⅠの♀、後ろが♂です(1/2に縮小)。シロオビアゲハは良く花に止まりますが、じっと静止せずに絶えず翅を動かして居て撮影には中々難儀します。
 私は一つだけ気になる事が有ります。それは胴体にマダラチョウ科と同様な斑(まだら)が有る事です(←上の2枚の写真)。

 分布は東南アジア/台湾/沖縄本島などです。

  ◆カバマダラ(樺斑)

 <2013.05.27:マダラチョウ科|瀬長島(豊見城市)>この日瀬長島に行ったらカバマダラが10匹位集まる木が在りました(左の写真)。胴体の斑(まだら)が見えますが、これがマダラチョウ科の特徴です。

 カバマダラの成虫は食草に含まれる毒成分 -アルカロイド(※6)の一種- が鳥などの天敵に食べられ難いとされ、毒を持たないメスアカムラサキ(タテハチョウ科)の♀が翅の紋様が本種にそっくりなのは擬態して居るとされて居ます(△2のp50、84)。

 <2013.10.30:マダラチョウ科|末吉公園(那覇市)>カバマダラは初夏に出てその後8~9月は姿を消しますが、又秋に成ると出て来ます。それが右上の写真です。
 分布はオーストラリア/東南アジア/中国南部/台湾/南西諸島です。私は中国雲南省の大理で写真を撮って居ます。

  ◆リュウキュウアサギマダラ(琉球浅黄斑)

 <2013.10.30:マダラチョウ科|末吉公園(那覇市)>アサギマダラ(←「渡り」をするので有名)より小さく水色を帯びて居ます。この日は20匹位が群れて居ました。やはり胴体の斑(まだら)が在ります(右下の写真)。

 冬季は越冬します(△2のp58)。分布は東南アジア/中国南部/台湾/南西諸島などです。これも中国雲南省で撮影して居ます。

  ◆ナミエシロチョウ(波江白蝶)

 <2013.10.30:シロチョウ科|末吉公園(那覇市)>左が、右がです。右の写真の様に♂は裏翅が黄色を呈するので区別は容易です。
 分布はインド/オーストラリア/東南アジア/中国南部/台湾/南西諸島などです。これも前は沖縄列島以南でしたが最新情報では吐噶喇以南ということで、やはり北上して居ます。

 尚、名前のナミエは明治時代の動物学者の波江元吉氏(1854~1918年)に因むものです。他にもナミエヤマガラ/ナミエゲラ/ナミエオオアカゲラ/ナミエヒナコウモリなどが在ります。

  ◆クロセセリ(黒挵)

 <2013.10.30:セセリチョウ科|末吉公園(那覇市)>左が実物大で、右は2倍に拡大したものです。セセリチョウは山地に棲みます。

 分布は東南アジア/中国南部/台湾/南西諸島/九州/山口県などですが、もっと北上して居るかも知れません。

  ◆タテハモドキ(立羽擬)

 <2013.10.30:タテハチョウ科|末吉公園(那覇市)>この度派手と言うか、毒々しいと言うか、この紋様はインパクトが有り如何にも南方系という感じで、北方系のクジャクチョウ(孔雀蝶)と競っている様です。これは秋型です。春型と秋型が有り、秋型は翅の裏面が枯葉紋様(右の写真、左右の写真は同一個体)に成り、これから越冬します(△2-1のp90、82)。

 分布は東南アジア/台湾/南西諸島/九州南部です。これも分布域が徐々に北上して居ます。
 2013年10月30日の末吉公園は好天で収穫一杯の日でした。

  ◆オオゴマダラ(大胡麻斑)

 <2013.06.22:マダラチョウ科|赤嶺緑地(那覇市)>左の写真は2/3程に縮小して在ります。やっと止まったのですが葉っぱが繁って居る奥まった所で、これ以上進めません。そこで距離3m位から望遠で撮影しました。尤も、私が昆虫を撮る時は何時も望遠モード接写モードです、これは「言葉の綾」でそう言った迄、アッハッハ!
 敵も然る者、やはり人を警戒して居るのです。そして斑蝶の特徴である胴体の斑(まだら)が少しだけ見えて居ますね。
 しかし赤嶺緑地は面白い(→未だ未だ後出)。

 <2013.11.22:マダラチョウ科|漫湖公園(那覇市)>下が実物大で、開張15cmは半端では有りません。沖縄のシンボル的存在です。11月と言っても沖縄は晴れると暖かいのです。街中で蝶を見ないのは12月~2月中旬で、3月に成るとシロチョウ科の蝶などが見られます。啓蟄 -新暦3月6日頃- には虫が土中から這い出て来る頃とされて居ますが沖縄では啓蟄で虫が飛び廻り始めるのです。
 漫湖公園には「ちょうちょガーデン」と言うのが在って、おっさんが温室でオオゴマダラやリュウキュウアサギマダラを、つまり人気種を育てて入場無料でお客を待ってますが何時もガラガラです。
 ところで漫湖を何と読むか?、東京では絶対に在り得ない、こういう「読み」は。答えは「まんこ」です。しかし沖縄では「まんこ」は全くイヤラシく無いのです。では何がイヤラシイのか?、こういう話題に興味有る方はこちらをどうぞ。

 フワッフワッと緩やかに舞う様な羽搏きはとても優雅です。胴体の斑(まだら)も少し見えて居ます。ところで、右上の個体は外で見付けましたが場所は「ちょうちょガーデン」の近くだったので、ガーデンからの”脱走者”であると疑って居ます。先程の赤嶺では人をあれだけ警戒してたのに、これは至近距離から接写モードで撮影出来たからです。
 食草は海岸近くの岩場のホウライカガミ(蓬莱鑑)ですが、これはアルカロイド(※6)を含みその毒性の為に幼虫は保護されているとされて居ます。又、蛹は金色で(△2のp55)、何やら神秘的です。この蝶は沖縄でも昔から親しまれ勝連半島一帯では方言で「アンマーウーヤー」と呼ばれ、中年女性の髪の香り(=椿油)に惹かれて後を追う男性の話が付随して居ます(△2のp52)。ところが実際のオオゴマダラは♂が性フェロモンを出し♀がそれを追い回す事が知られて居ます。
 分布はやはり東南アジア/台湾/南西諸島で典型的な南方系の蝶です。

  ◆アオタテハモドキ(青立羽擬)

 <2013.11.23:タテハチョウ科|漫湖公園(那覇市)>晩秋の頃に出る様で、好んで”地べた”に止まります。土を食って居る訳では無く食草はキツネノヒマゴ/イワダレソウなどです。左右の写真はで、♂は後翅の青色が鮮やかですが、この青色の具合が可なり個体差が有ります。♀は青色部分が茶色ですが成熟すると青白く変色します。
 分布は東南アジア/ニューギニア/台湾/南西諸島などです。30年位前は沖縄本島には居なかったのですが、これも分布域が北上して居ます。

 → 項目目次に戻る(Back to Item-menu)

 ■セミ(蝉)

 蝉の仲間は昆虫綱カメムシ目(旧:半翅目セミ科に分類されます。蛹を経ない不完全変態です。木や草に注射器状の口器を刺し養分を吸います、ですから草食性です。鳴くのはです。

 [ちょっと一言]方向指示(次) 蝉はあの臭いカメムシ(亀虫)の仲間、即ちカメムシ目ですが、更にはヨコバイ(横這い)(※7)とも近縁で樹木に止まってる蝉を観察してると時々横に這って移動します。大多数の種は幼虫として地中で数年過ごした後、地上に出て羽化し成虫(=所謂セミ)としては1~3週間位で、その一生を全うします。殆どは夏に羽化しますが春に羽化するハルゼミ(春蝉)も居ます。又、北米には17年も地中で過ごすジュウシチネンゼミ(十七年蝉)や13年過ごすジュウサンネンゼミ(十三年蝉)が居ます。
 尚、鳴くのはが♀を呼ぶ為で、♀は唖(おし)です。止まっている時は樹液を吸いますので飛び立ち際に小便を良く掛けられます。


  ◆クロイワニイニイ(黒岩ニイニイ)

 <2013.06.15:セミ科|赤嶺緑地(那覇市)>沖縄の動植物学者で国頭農学校校長を務めた黒岩恒氏(1858~1930年、高知県出身)の名を冠したセミです。他にクロイワゼミ/クロイワツクツクなどが在りますが、この人は尖閣諸島の命名者です!!
 左が実物大で、右が2倍に拡大です。本土にも居るニイニイゼミの仲間ですが本土の種とは全く違います。先ず小さいのです、体長約30mm位です。私が子供の頃はセミを半翅目と言いましたが、今はカメムシ目と言います。しかし昔の言い方には意味が在ったのです。このセミの写真を見れば半翅目という言い方が一目瞭然です。
 リュウキュウマツやカンヒザクラなどに棲息します。この赤嶺緑地でも或る松の木1本のみに居ました。[ちょっと一言]に在る様に横に這い角度を変えて居ました。残念乍ら鳴き声は聞けませんでした、写真のは♀なのかも。
 クロイワニイニイは私は那覇ではここだけで見付けた種で、図鑑などに拠れば沖縄では普通に良く見掛けられると書いて在りますが、近年では急速に数を減らしているのでは?、と思います。
 分布は沖縄本島/奄美大島/徳之島です(△3のp20)。

  ◆リュウキュウアブラゼミ(琉球油蝉)

 <2013.06.22:セミ科|赤嶺緑地(那覇市)>本土のアバラゼミより一回り大型です。体色も本土の種より赤褐色です。しかし両者を明確に分けて居るのは鳴き声で、本土のアブラゼミは日本で最も数が多く「ジリジリジリ」と -油が煮え立った様な鳴き声だからアブラゼミ(油蝉)と言う- 煩い鳴き声がずっと連続するのに対し、リュウキュウアブラゼミは「ジリジリジジッ」と一端鳴き止み、又「ジリジリジジッ」と繰り返します。つまり鳴き声が断続するのです。
 分布は沖縄本島/奄美大島/徳之島です(△3のp38)。


 赤嶺緑地は珍しい昆虫が居る所で私にとって非常に大切な場所です。那覇市で昆虫に好い場所は、赤嶺緑地末吉公園旭ヶ丘公園(波の上ビーチが在る所)です。漫湖公園はアオタテハモドキだけですね。
 → 項目目次に戻る(Back to Item-menu)

 ■結び - 2013年度は南方産が17種

 沖縄の公園は整備し過ぎ、というのが私の印象です。つまり公園に花は咲くけど蝶は少ないですね。
 さて、沖縄に来て1年目の南方産の種の成果として、2013年トンボが6種チョウが9種セミが2種合計で17種でした。沖縄が初めてで右も左も判らない所から南方産が17種ですから、まぁ良く遣った方ではと自己満足して居ます。と言うよりも私が沖縄に来てからは自己満足しか無いのです。しかし自己満足というのは口で言う程楽では無く、不満が残ったり満足度が足りなかったりで中々充分な”自己満”が出来ないものです。このページでも然り、目で見て居るのに止まって呉れない為に撮り逃がしているツマベニチョウ(←裏翅だけのは撮影済み)やリュウキュウギンヤンマなどが在りますが、これらは翌年以降の宿題です。それにしても台湾が南方産の種の宝庫という事が分布から見て改めて良く解りました。
 そして沖縄に来ることが在ったらカラスヤンマを撮りたいと子供の頃からの憧れでした。これは我が国固有種ヤンバル(国頭村など北部)辺りに居る様(△2のp104~105)なので、これも宿題です。
 という事で2013年12月18日に本稿の取り合えず2013年版が完成したのですが、その後当ページを出版する事に成りました。4月14日には本のタイトルが『めんそーれ沖縄!』に決まりました。当ページは2014年以降も更新して行きますので、出版するのは取り合えず2013年で切断した成果という事に成ります。だから数年後に最終版を又出版するかも知れませんし、その前に私が御陀仏に成っているかも知れません。神のみぞ知るです!

 尚、当ページはインターネットで公開してますので本来はA4縦に印字するのが本来です。しかし出版する本はA5縦 -本がA4版だったら本と言うより”団扇”です- で、その関係は

    本/画面 = 1/ルート2 = 0.707 ≒ 70%

です。当ページで実物大と成っている所はインターネットの画面上(=A4縦に印字)でそう成る訳で、本では70%の大きさである事を予め断って置きます。
    {この章は当ページを2014年3月14日出版する事としましたので更新しました。2014年4月14日には本のタイトルも決まりました。}

-- 完 --

【脚注】
※1:南西諸島(なんせいしょとう)は、九州南端から台湾北東端の間に弧状に続く諸島の総称。太平洋と東シナ海とを画する。大隅諸島・吐噶喇(とから)列島・奄美諸島から成る北半部の薩南諸島と、沖縄諸島・先島諸島から成る南半部の琉球諸島とに大別。

※2:蛹(さなぎ、pupa)は、[1].完全変態を行う昆虫類の幼虫が、成虫に移る途中で食物の摂取を止め、脱皮して静止して居るもの。この時期に、幼虫の組織は成虫に必要な組織に変わって行く。繭の中に入っているもの(ガ(蛾)ハチなど)と裸のもの(チョウコウチュウ(甲虫)など)とが在る。
 [2].特に蚕蛹(さんよう)のこと。

※3:抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ)は、浅水に生活し、根は水底に存在し、茎・葉を高く水上に伸ばす植物。ハス・ガマ・マコモ・アシ・イの類。挺水植物

※4:御嶽・御岳(うたき、おたき)とは、沖縄の村々に在る聖地で、多くはクバ・ガジュマルの木などが神聖視され、最も神聖な場所とされ、祭の多くはここで催される。女性が祭を司り、王国時代は男子禁制だった。

※5:鼈甲(べっこう)は、[1].亀類の甲。特にスッポンの甲。古くは薬用
 [2].tortoiseshell。玳瑁(たいまい)の甲笄(こうがい)眼鏡の縁などに細工。黄褐色に黒褐色の斑紋が在り、半透明。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※6:アルカロイド(alkaloid)は、主に高等植物体中に存在する、窒素を含む複雑な塩基性有機化合物の総称。ニコチン/モルヒネ/コカイン/キニーネ/カフェイン/エフェドリン/クラーレなど多数のものが知られている。植物体中では多く酸と結合して塩を形成。少量で、毒作用や感覚異常など特殊な薬理作用を呈し、毒性を持つ。類塩基。植物塩基

※7:ヨコバイ(横這い、leafhopper)は、(和名は横に歩くものが多いから)カメムシ目ヨコバイ上科の昆虫の総称。体長3~13mm。近付くと横に這って、葉裏に隠れる。ウンカ(浮塵子)に似るが触角が糸状で基部が太くない点や後ろ足に蹴爪が無い点などが異なる。成虫は普通夏から秋に発生。オオヨコバイ/ツマグロヨコバイ/イナズマヨコバイなど。植物の汁液を吸収し、又ウイルスを媒介するなど、農作害虫も多い。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

    (以上出典は主に広辞苑)

【参考文献】
△1:『原色日本昆虫生態図鑑-II.トンボ編』(石田昇三著、保育社)。
△1-1:『ネイチャーガイド 日本のトンボ(第2版)』(尾園暁・川島逸郎・二橋亮著、文一総合出版)。

△2:『生態写真で見る 沖縄の蝶』(具志堅猛編著、琉宮城蝶々園)。
△2-1:『Field Selection 9 日本の蝶』(青山潤三著、北陸館)。

△3:『生態写真と鳴き声で知る 沖縄のセミ』(林正美監修、佐々木健志・山城照久・村山望著、新星出版)。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):南西諸島と沖縄の地図▼
地図-日本・南西諸島と沖縄
(Map of South-West Islands and Okinawa -Japan-)

参照ページ(Reference-Page):昆虫の分類学と特徴▼
資料-昆虫豆知識(Insect Trivia)
参照ページ(Reference-Page):啓蟄(けいちつ)など暦に関して▼
資料-「太陽・月と暦」早解り(Quick guide to 'Sun, Moon, and CALENDAR')
補完ページ(Complementary):人為的分布の拡散に例
(奄美特産のアカボシゴマダラを横浜で撮影)▼
日本、珍にして奇なる光景(The RARE and STRANGE scene, Japan)
補完ページ(Complementary):中国・台湾の昆虫▼
私の昆虫アルバム・外国編(My INSECTS album in foreign country)
補完ページ(Complementary):中国雲南省西双版納のハラボソトンボ▼
2002年・雲南タイ族民家宿泊記(Homestay at Dai's-house, China, 2002)
補完ページ(Complementary):昆虫スポット(赤嶺緑地や瀬長島)▼
2013年・那覇空港を遊ぶ(Play the Naha Airport, Okinawa, 2013)
補完ページ(Complementary):沖縄関連のページ(当ページも)を出版▼
2013年・大阪から那覇へ(From Osaka to Naha, Okinawa, 2013)
”昆虫撮集”について▼
2008年・雲南の元陽/緑春etc
(Yuanyang, Luchun etc. of Yunnan, China, 2008)

何故私がトンボに拘泥るか▼
”生きている”淀川の入江(Live CREEK in Yodo-river, Osaka)
沖縄では「まんこ」という読みは全然イヤラシく無い▼
「文化スケベ学」とは何ぞや?(What is the Cultural Sukebelogy ?)
台湾は南方産の昆虫の宝庫▼
2004年・台湾”味試し”旅(Let's banquet and sing in Taiwan, 2004)


総合目次に戻ります。Go to Main-menu 上位画面に戻ります。Back to Category-menu