-- 2002.11.29 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2006.09.23 改訂
※注意:このページは写真が多く、読込みに時間が掛かります。 ★---暫くお待ち下さい(Wait a minute)---★ |
私は子供の頃、昆虫の観察や採集が好きで、庭で飼ったり展翅板で本格的な標本を作ったりすることに熱中して居た時期が有りました。昆虫採集をする人の多くは第1に蝶、第2に甲虫(カブトムシやクワガタの仲間)と決まっているのですが、私は断然トンボ(蜻蛉)、特にヤンマ(蜻蜒、大型のトンボ)が好きでした。だから昆虫好きの仲間内では常にマイナーで、そもそも昆虫採集に熱中して居る人間がマイナー(△1のp44)ですから、私の場合は全体から見れば【マイナーの2乗】、堪りませんワ。
兎に角トンボやヤンマが獲物を追い乍ら飛ぶ姿に憧れ、特にギンヤンマに成りたいとさえ思って居ましたから、大人に成った今でも(もう昆虫採集はしませんが)、ギンヤンマが雄飛して居る姿を見ると思わずカッコイイと思って仕舞います。
ですから中国雲南省などに旅行した時は何時も”密かに”トンボを狙っていたのですが。何故”密かに”ですって?、バカにされますからね、好い年してトンボ追い掛けていては...。ところが02年の秋、その雲南省で到頭トンボを撮影しました。そこでトンボの写真を載せます。名前が不明な種も在りますが、これで少しはバカにされないで済むでしょう。斯く言う私は「極楽トンボ」です!!
尚、トンボや昆虫についての分類上の詳細は
「資料-昆虫豆知識(Insect Trivia)」
を参照して下さい。
{このページは最初「雲南省西双版納のトンボ」という題でしたが、その後内容を拡張し04年8月30日に「中国のトンボ」に、更に09年2月7日に現在の「私の昆虫アルバム・外国編」に改題しました。これは[私の昆虫アルバム・日本編]と対を成す名称です。}
●2002年
中国の最南部の雲南省西双版納を訪れたのは02年で4回目に成り、暑い西双版納では今迄何度もトンボを見掛けたのですが、生憎トンボには翅が有り、中々カメラのモデルに成っては貰えませんでした。だからトンボを見掛ける度に残念な思いをして来ましたが、今回やっとトンボが止まっている所をカメラに収めることが出来ました!!
それは景洪市郊外の嘎洒(ガサ)鎮曼弄楓村のタイ族民家に2日間宿泊した時、晴れ上がって日本の夏の様に蒸し暑い日でした。02年10月22~23日のことです。
<02.10.22撮影>左の写真は、翅の色具合が日本のヒメキトンボに良く似ているトンボで、ほぼ実物大です。
ヒメキトンボはアジアに広く分布し、成熟した♂はこの様に胴(=腹部)が可なり赤く成ります。村の寺院近くの池の辺(ほとり)に居ました。
撮影する時は気が付かなかったのですが、このトンボの下の草の葉には右のカマキリが写って居ました。
下の3枚の写真も曼弄楓村のタイ族民家付近で撮影、何れも同じ種です。
<02.10.22撮影>左は石垣の石に垂直に尾を垂らして止まっていたもので、展翅した様に翅を広げているので、翅の形が良く判ります(ほぼ実物大)。
このトンボは良く村の民家の近くを飛んで居て、軒先の木や石ころや石垣に良く止まります。一度は手で捕まえました。ということはこのトンボが西双版納で最もポピュラーな種だろうと思えます。しかし日本では見掛けないトンボで名称不明です。西双版納は熱帯で蒸し暑いので、このトンボは一年中居る様な感じです。
<02.10.22撮影>左下は地面の石ころの上に乗って止まっていたものです(ほぼ実物大)。
<02.10.23撮影>右下は民家の煉瓦の塀に垂直に止まっていたもので(ほぼ実物大)、この写真が最も鮮明に撮れました。
大きさはトンボ科の種よりやや大きくヤンマより小さく、目玉(=複眼)が大きく腰の下がくびれ胴がほっそりと長くスリムな体形です。全体は淡黄色と黒の縞模様で、腰の部分が黄色地に黒で「十文字」が刻まれて居ます。大きさ・色・体形からハラボソトンボ(腹細蜻蛉)です。
●2004年
04年は雲南省で、トンボに関して実り多い年でした。11月1日にパーリャン小学校竣工式 -パーリャンは雲南省孟連ダイ族ラフ族ワ族自治県の南西部- に出席する為に10月29日~11月11日迄雲南省に出掛けました。その途次、私だけはトンボに余所見をし乍ら旅を続けました。
<04.10.31撮影>左は例のハラボソトンボ(腹細蜻蛉)です(ほぼ実物大)。雲南省の思茅市からパーリャン小学校の在る孟連県に向かう途中、道路の舗装工事の為バスが通行出来ずに待機を余儀無くされた時、バスから降りた私は辺りをウロウロして見付けたのでした。赤土の地面の上に止まった所を撮りました。やはり西双版納で最もポピュラーなトンボと言ったのは当たって居ました。
<04.10.31撮影>左は間違い無くショウジョウトンボの♂です(ほぼ実物大)。孟連県の道路脇の水溜まりの様な所に3~4匹群れて居ました。
このトンボはアジア熱帯から日本に掛けて広く分布し必ず水辺の近くに居ます。♂はこの様に鮮紅色に成り大変目立ち、♀は橙褐色です。翅の付け根も赤く日本に居る種と見た目には一緒です。私はこの時だけで無く雲南省の池の辺(ほとり)で何度も見掛けて居ます。
<04.11.01撮影>右は水溜まりの上を飛んで居るオオシオカラトンボに似たトンボの♂♀で、実物より一回り小です。前方に見える黄色い腹部をしたのが産卵して居る♀で、♂はこの♀の産卵に付き添って幇助飛行して居ます。♂の腹部は粉を吹いた様に青白色で胸部は黒く、翅の付け根も黒く成って居ます。♂の胸部が黒い点が日本のオオシオカラトンボの♂と少し違いますが、♀は日本の種とそっくりです。
パーリャン小学校での竣工式典が終わり、近くのダイ族の集落・東木(トンム)村に立ち寄った時に撮影しました。
<04.11.02撮影>左はどう見てもショウジョウトンボの仲間(或いは東南アジアに広く分布するベニトンボの仲間か)ですが、名前は不明です(ほぼ実物大)。腹部の色や体形は前日撮影したショウジョウトンボと近似しますが、頭胸部が黒く羽の付け根も黒い点が異なります。又、腹部の色も真っ赤では無くピンク色を濃くした様な紫赤色です。色の鮮やかさから多分♂です。
撮影場所は孟連県から景洪に向かう途中の勐海県で、昼食を摂ったレストランの池に於いてです。私は飯を食っていた時から、珍しいトンボが居るな、と気付き飯を早めに切り上げて池に飛び出しました。
何、飯は晩飯で取り戻せば良いのです!
<04.11.02撮影>左も上と同じ池で撮った名前不明のトンボです(ほぼ実物大)。地の色が赤味を帯びて全体に青白色の粉を吹いた様な感じです。
上の紅梅色のトンボと合わせてこの池には沢山居ました。池の上を飛び回るのでは無く、少し飛んで直ぐ止まる動作を繰り返します。見ていると池沼性が強く水辺を離れない様です。その点でショウジョウトンボと同じ習性を持つトンボです。
<04.11.04撮影>右は雲南省大理市古城の朝市で売っていた生きているヤゴ(=トンボ類の幼虫)です。大理には洱海という大きな湖が在り、ヤゴは大理の特産です。バケツ一杯に売っていたのを、大きさが判り易い様に自分の掌に載せて撮影したもので、ほぼ実物大(=約43mm)です。トンボかヤンマか、成虫の種は不明です。
このヤゴを何の為に売ってるかって?、勿論食う為です。まあ、川海老みたいな味ですよ!
●2004年
04年6月末~7月中旬迄、タクラマカン砂漠の周縁を巡り中国西域(=シルクロード)を旅しました。ここは新疆ウイグル自治区です。飛行場や畑を群飛して居た赤トンボ系のトンボ、カシュガルの川の上を飛んで居たギンヤンマの様なトンボ -分布域から見て可能性有り- を見掛けましたが、撮影出来たのは下の1種だけでした。止まって呉れないと撮影は難しいのです。
<04.07.08撮影>右の写真は嘗ての亀茲国(※1)が在ったクチャ(庫車)(※1-1)のキジル千仏洞で撮ったもので、ほぼ実物大です。図鑑で見るとタイワンシオカラトンボに似て居ます。
タイワンシオカラトンボは東南アジアや日本に広く分布するトンボです。
●2005年
05年8月下旬~9月上旬は中国東北部を巡りました。見渡す限りの草原は雄大でしたが、赤トンボが群飛する場面には遭遇しませんでした。黒龍江省でオニヤンマを小型にした様なヤンマが草原の中の道路を横切って行くのを見ましたが、撮影出来たのは下の1種だけでした。
<05.08.22撮影>左は中国の内蒙古自治区(※2)のハイラル市(※2-1)から紅花爾基という所に路線バスで遠足に行く途中の停留所の有刺鉄線に止まっていたアカネ属のトンボです(ほぼ実物大)。
日本のアキアカネより少し大きく、前翅と後翅の付け根及び前翅の結節部が橙黄色、腹部側面が黒褐色に成っていて、色の具合はエゾアカネの特徴と一致します。エゾアカネは広くユーラシアから旧満州・朝鮮・日本の北海道に分布するので、地域的にも一致します。但し大きさは図鑑に載って居るものより少し大きく、タイリクアカネに近いですね。タイリクアカネもユーラシアから日本の一部迄、広く分布して居ます。
●2004年
04年8月には台湾に行きました。夏の台湾は台風の通り道、蒸し暑く気候は沖縄県に近いのでは、と思います。
<04.08.16撮影>左の写真は台北市の陽明山方面の温泉街で撮影したイトトンボで、詳しい名前は不明。この時私は温泉に入った後、夕涼みをし乍らビールを飲んで居たのですが、トンボが飛んで来れば直ぐ反応しまっせ!
夕暮れ時だったのでデジカメのフラッシュが当たり、胴体が白く光って仕舞いましたが、縞模様など無い無地で胴体の色は薄黄緑色でした。翅は胴部の上に畳んで居るので見難く成って居ます。ほぼ実物大です。
イトトンボは一般に♂は胴が細く美しい色をして居ますが、左の写真の様に割合胴が太く地味な色でしたので、♀だろうと思われます。
「私の昆虫アルバム・外国編」の写真も少しずつ充実して来ました。新しいトンボを撮影したら追加して行きます、ボチボチと。
【脚注】
※1:亀茲国(きじこく)は、中国の史書に見える西域諸国の一。今の中国新疆ウイグル自治区庫車(クチャ)地方。後漢の班超が西域都護として駐在、唐代には安西都護府が置かれた。仏教文化が栄えた。
※1-1:庫車(クチャ、Kuqa, Kucha)は、中国新疆ウイグル自治区、天山山脈南麓のオアシス都市。古代の亀茲国(きじこく)の地で、付近にキジル石窟など仏教遺跡が多い。人口41万(2004)。→亀茲国(きじこく)。
※2:内モンゴル自治区(うち―じちく)/内蒙古自治区(うちもうこじちく)は、(Neimenggu Zizhiqu, Inner Mongolia
autonomy district in China)1947年内蒙古地域に成立したモンゴル族の中華人民共和国の自治区。省に相当する。面積約120万k㎡。人口2237万(1995)。大部分が草原・砂漠で、牧畜業が盛ん。黄河流域の河套(ホータオ)平原は古くから灌漑農業が発達。包頭(パオトウ)市は同国有数の鉄鋼基地。区都はフフホト(呼和浩特)。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※2-1:ハイラル(海拉爾、Hailar)は、中国の内モンゴル自治区北東部、大興安嶺西部草原地帯の中心都市。清の時代に建城。付近はモンゴル族の遊牧地。畜産工業が盛ん。人口22万3千(1995)。
(以上、出典は主に広辞苑です)
【参考文献】
△1:『虫の宇宙誌』(奥本大三郎著、集英社文庫)。
●関連リンク
@参照ページ(Reference-Page):西双版納の地図▼
地図-中国・西双版納(Map of Xishuangbanna, -China-)
@参照ページ(Reference-Page):パーリャンの在る孟連県の地図▼
地図-中国・孟連(Map of Menglian, -China-)
@参照ページ(Reference-Page):雲南省の大理古城の地図▼
地図-中国・雲南省北部(Map of Northern part of Yunnan, -China-)
@参照ページ(Reference-Page):タクラマカン砂漠の地図▼
地図-中国・タクラマカン砂漠(Map of Taklimakan Desert, -China-)
@参照ページ(Reference-Page):中国の内蒙古自治区の地図▼
地図-モンゴル国と中国の内蒙古
(Map of Mongolia and Neimenggu, -Mongolia, China-)
@参照ページ(Reference-Page):トンボや昆虫の分類上の詳細▼
資料-昆虫豆知識(Insect Trivia)
@補完ページ(Complementary):日本のトンボたち▼
私の昆虫アルバム・日本編-トンボ類
(My INSECTS album in Japan, Dragonflies)
@補完ページ(Complementary):日本の昆虫の目次▼
私の昆虫アルバム・日本編-目次(My INSECTS album in Japan, Menu)
私は極楽トンボ▼
私の健康論-不摂生は健康の母(My healthy life)
嘎洒(ガサ)鎮曼弄楓村のタイ族民家の体験宿泊記▼
2002年・雲南タイ族民家宿泊記(Homestay at Dai's-house, China, 2002)
イトトンボを撮った台北市の温泉街▼
2004年・台湾”味試し”旅(Let's banquet and sing in Taiwan, 2004)