資料-「太陽・月と暦」早解り
(Quick guide to 'Sun, Moon, and CALENDAR')

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 ■太陽・地球・月の運行(Revolution of the sun, earth and moon)

 以下で用語説明は広辞苑と「学研新世紀ビジュアル百科辞典」に基づいて居ます。

   ●太陽(たいよう、sun)は、
    [1].太陽系の中心を成す天体で、主系列に属する恒星の一。巨大な高温のガス球で、明るく輝いて見える表面を光球と言い、光球の外側には彩層コロナが取り巻いて居る。質量は約2×10**30kg(地球の33万倍)で、太陽系の質量の約99.9%を占め、中心部に於ける原子核反応から得られたエネルギーに因り発光する。地球からの距離は1億4959万7870km(=1天文単位半径は約70万km(地球の109倍)、平均密度は1.41[g/㎤]。自転周期は赤道付近で約25日。実視等級は-26.74等。光球の表面温度は約6000K、中心温度は約1600万K。スペクトル型G2。太陽は光を始め、X線・紫外線・赤外線・ニュートリノなど膨大なエネルギーを放射して居るが、このエネルギー源は中心部で起こって居る水素をヘリウムに変える核融合反応に因る。太陽表面は絶えず活発な変動を繰り返し、黒点・粒状斑・フレア・紅炎(プロミネンス)など様々な現象が見られる。太陽の現在に至る年齢と将来とは共に約50億年とされる。日輪。火輪。
    [2].希望を与えるもの。物事の中心と成る偉大なもの。

   ●地球(ちきゅう、earth)は、太陽系の一惑星で、人類など多様な生命が存在する。1個の衛星(月)を持ち、公転軌道は太陽を1焦点とする楕円軌道。形はやや扁平な回転楕円体で、赤道半径は6378km(赤道の全周は略4万km)、極半径は6357km。太陽からの距離は平均1億4960万kmで、公転周期は365.2564日自転周期は23時間56分4秒質量は5.97×10**24kg、平均密度は5.52[g/㎤]。地球内部は地殻マントルの3部分から成り、核は更に外核(液体)と内核(固体)に分けられる。表面は多量の水と酸素・窒素を主成分とする大気に囲まれる。誕生は46億年前とされる。

   ●月(つき)は、
    [1].moon。地球の衛星。半径1738km。地球からの平均距離38万4400km。半径1738km(地球の約4分の1)。質量は7.36×10**22kg(地球の約81分の1)。平均密度3.34[g/㎤]。地球から見た視直径約31′。満月時の明るさ-12.6等。月表面での重力は地球表面の重力の約6分の1。大気は存在しない。自転しつつ約1ヵ月で地球を1周し、公転周期の約27.32日(恒星月)と自転周期が略等しいので常に一定の半面だけを地球に向けている。公転面は地球の公転面に対して約5°8′傾斜。太陽に対する位置の関係に依って新月・上弦・満月・下弦位相現象を生じ、地表から見て約29.53日の周期(朔望月)で満ち欠けを繰り返す。表面には明暗の模様が見え、暗い平らな部分を、明るく起伏の激しい部分をと呼ぶ。表面には大小様々なクレーターが在る。月には大気が無い為、表面での温度は最高120℃、最低-150℃にも達する。
 日本では古来「花鳥風月」「雪月花」などと、自然を代表するものの一つとされ、特に秋の月を賞美する。太陰。つく。つくよ。月輪。季語は。万葉集1「熟田津(にきたつ)に船乗りせむと―待てば」。古今和歌集秋「―見ればちぢに物こそ悲しけれ」。
    [2].satellite。地球以外の惑星の衛星
    [3].moonlight。月の光。万葉集7「春日山おして照らせるこの―は妹が庭にも清(さや)けかりけり」。
    [4].month。暦の上で1年を12に区分した一。それぞれ各種の名称を持って呼ぶ。太陽暦では1・3・5・7・8・10・12の各月を31日とし、他は30日、2月のみを平年28日、閏年29日とする。太陰暦では29日又は30日を一月(ひとつき)とする。
    [5].month。1ヶ月の称。源氏物語松風「―に二度ばかりの御契りなめり」。「―払い」。
    [6].menses。月経。古事記中「おすひの裾に―たちにけり」。
    [7].moon。紋所の名。月の形を描いたもの。
    [8].moon。香の名。
    [9].近世、大坂新町で、揚げ銭1匁の端女郎。がち(月)。

   ○恒星月(こうせいげつ、sidereal month)とは、月が公転運動に依って地球の周りを正確に360°回転するのに要する時間。月の公転周期1恒星月は27.321662日

 「太陽」に比べ「月」という語には多様な意味が含まれて居る事が判ります。

 ■暦(calendar)とは - 暦法(law of calendar)と紀元(era)

   ●暦(こよみ、calendar, almanac)とは、(「日読(かよみ)」の転)
    [1].太陽・月・恒星などの天体の運動の周期を組み合わせて作った年代・日付の体系
    [2].その大系に従って、一年中の月・日・曜日、祝祭日、季節、日出・日没、月の満ち欠け、日食・月食、主要な故事・行事などを日を追って記載した日付表。太陰暦太陰太陽暦太陽暦などが在る。カレンダー。「―の上では春だ」。

 補足すると、年代・日付を決する法則暦法です。もう一つは紀元を定める必要が有り、紀元設定は各暦に依って大きく異なるのが通例ですが、現在世界に最も普及してるのが西暦です。その紀元から年代を数える事が紀年です。暦を作成するには暦法と紀元設定が必要です。

   ●暦法(れきほう、law of calendar)とは、太陽・月の運行など天文に関する法則。又、その法則から暦を作る方法。暦に関する法則。

   ●紀元(きげん、era)とは、歴史上で年を数える際の基準、又は基準と成る最初の年。現在世界的にはキリスト誕生と考えられた年(歴史的には紀元前4年頃に誕生したとされる)を元年とする西暦紀元を使用。日本では1872年(明治5)、神武天皇即位の年を西暦紀元前660年と定めて皇紀元年と呼んだ。
   ○紀年(きねん)とは、紀元から起算した年数。
   ●西暦(せいれき、Christian era)は、西洋の暦。イエス・キリストが誕生したとされる年を紀元元年とする紀年法。現在、世界で最も広く行われて居る。西紀。この紀元前をB.C.(before Christ)、紀元後をA.D.(Anno Domini)と表記する。

 ■日本の暦(Calendar of Japan)

 (1)日本の旧暦は太陰太陽暦

 日本の旧暦は陰暦とも通称しますが正確には太陰太陽暦です。これは「月の満ち欠け」(=太陰暦)「太陽の日照時間の長さ」(=太陽暦)を組み合わせた中国伝来の暦です。その「日照時間の長さ」即ち太陽暦に基づくものが二十四節気(後述)で、立春・春分・立夏・立秋・秋分・立冬などは現行の太陽暦の月日に対する変動は僅少ですが、太陰暦に基づく旧暦各月の太陽暦に対する変動は大きく、又年に依って変動の仕方が異なるという欠点が有り、これが近代に旧暦を破棄し新暦を採用した理由です。

 (2)暦の用語 - 陰暦と陽暦の違い

 以下に暦の用語を、特に陰暦と陽暦の違いが解り易い様に纏めます。

   ●陰暦(いんれき、lunar calendar)は、月の公転周期に基づいて作った暦の総称。太陰暦旧暦
   ○旧暦(きゅうれき、old [lunar] calendar)は、
    [1].旧制の暦(こよみ)。古い暦法。←→新暦。
    [2].(我が国では明治維新前に使用したから言う)1872年迄使われた太陰太陽暦の一種の通称。
    [3].西洋ではグレゴリオ暦に対してユリウス暦を指す。

   ●太陰太陽暦(たいいんたいようれき、lunar and solar calendar)とは、太陰暦と太陽暦とを折衷し、太陰暦の太陰年と太陽年との”ずれ”を補正した暦。両者の調節の為、19年に7度の閏月を設けて平均させる。ユダヤ暦ギリシャ暦中国暦日本の旧暦などで使われる。
   ●太陰暦(たいいんれき、lunar calendar)とは、太陰月(平均29.53日)を基として作った暦。即ち1太陰月に基づいて、1ヵ月を29日或いは30日とし、1ヵ年を12ヵ月としたもの。この暦の12か月を1年とすると太陽暦より約11日短く成り、季節との”ずれ”を生じる。今日でもイスラム暦で使われる。広義には太陰太陽暦を含めて言う。陰暦。←→太陽暦。
    ・太陰月(たいいんげつ、lunar month)とは、朔望月に同じ。
    ・朔望月(さくぼうげつ、synodic month)とは、朔(新月)から次の朔(新月)、又は望(満月)から次の望(満月)迄に要する平均時間。太陽に対して月が地球の周りを1周する平均時間。1朔望月は29.530589日。恒星に対する月の公転周期である1恒星月(約27.32日)より長いのは地球が公転するため。太陰月
    ・太陰年(たいいんねん、lunar year)とは、太陰月を12回繰り返す時間354.367日太陽年より約11日短い

   ●陽暦(ようれき、solar calendar)は、太陽暦に同じ。←→陰暦。
   ●太陽暦(たいようれき、solar calendar)とは、地球が太陽の周囲を1公転する時間を1年とする暦。即ち1回帰年(太陽年)を時の単位とする暦。代表的なものはグレゴリウス暦で、365日を1年と定め、4年毎に閏日を置き、100年毎に閏日を省き、又、400年毎に閏日を省くことを止める。日本では明治5(1872)年12月から採用。陽暦。←→太陰暦。
    ・回帰年(かいきねん、tropical year)とは、太陽年に同じ。
    ・太陽年(たいようねん、solar year)とは、太陽が春分点を通過してから、再び春分点に帰る迄の時間365.24219日回帰年地球の公転周期(365.2564日)より僅かに短い

   ○新暦(しんれき、new [solar] calendar)は、
    [1].新しい暦。新暦法。←→旧暦。
    [2].(明治維新後、新たに採用したから言う)太陽暦の通称。旧暦の明治5年(1872)12月3日を、新暦の明治6年1月1日とした。陽暦
    [3].西洋ではユリウス暦に対してグレゴリウス暦を言う。

 (3)陰暦の太陽暦に依る補正

 上述の様に陰暦の12ヶ月(=太陰年)は太陽年よりも略11日短いという”ずれ”を生じます。これを補正し農耕・牧畜などに資する為に中国では立春を起点とする「二十四節気」を導入しました。立春は太陽の観測に基づいてますので二十四節気は太陽暦です。中国では各月は従来通り太陰暦で決め乍ら「二十四節気」の太陽暦を併用し、日本もこれに倣いました。これが上述の太陰太陽暦、即ち日本の旧暦です。
 日本では立春を起点とする独自の言葉が幾つか生まれ、農家などでは立春起点の日を農作業の基準としました。つまり、旧暦の時代でも農作業は太陽暦に従って居たのです。

   ●二十四節気(にじゅうしせっき)とは、太陽年を太陽の黄経に従って、1年を24気 -5日を1候とし、3候を1気(=15日)とする- に分けて、以下の様に用いる中国伝来の季節を表す語。

  春  立春、雨水、啓蟄(けいちつ)、春分、清明、穀雨  太陽暦の 2月4日頃
  夏  立夏、小満、芒種(ぼうしゅ)、夏至、小暑、大暑  太陽暦の 5月6日頃
  秋  立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降(そうこう) 太陽暦の 8月8日頃
  冬  立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒       太陽暦の11月8日頃

 又、奇数番目を節気、偶数番目を中気とした。二十四節。二十四気。節気。

   ●立春(りっしゅん、beginning of spring)は、(「春の始め」の意)二十四節気の起点太陽の黄経が315度の時。春の始め、太陽暦の2月4日頃。その前日が節分で、これを年越しとする風習も在る。季語は春。
   ○八十八夜(はちじゅうはちや、the eighty eighth day from the beginning of spring)は、立春から88日目。陽暦5月1~2日頃に当たり播種の適期とされる。茶処では茶摘みの最盛期と成る。季語は春。
   ○二百十日(にひゃくとおか、the 210th day from the beginning of spring)は、立春から数えて210日目。陽暦9月1日頃。台風襲来の時期に当たり、又中稲(なかて)の開花期でもあり、農家では厄日として警戒する。季語は秋。
   ○二百二十日(にひゃくはつか、the 220th day from the beginning of spring)は、立春から数えて220日目。陽暦9月11日頃に当たり、二百十日と同じ意味で厄日とされる。新潟県の弥彦神社では、この日風を鎮める風祭を行う。季語は秋。

 (4)「月の満ち欠け」の位相と様々な呼び名

 旧暦の各月は新月の日を第1日とする暦なので、月の位相と日付がきっちり対応して居ます。

   ●新月(しんげつ)は、
    [1].new moon, disappear moon。月と太陽の黄経が等しい時の称。即ち、太陽・月・地球が一線上に並び、月が暗黒な面を地球に向けている状態。陰暦で月の第1日(さく)。←→満月。望月。
    [2].new crescent。陰暦で、月の初めの夜に見える月。季語は秋。本朝文粋「かの―をみればかすかなるそのかたちあり」。
   ○朔日(さくじつ、first day of lunar month)は、毎月の第1日ついたち。朔月。
    ・「ついたち」は、月立(つきたち)の音便。隠(こも)って居た月が出始める意。
   ○月齢(げつれい、age of the moon)とは、新月の時を零として起算する日数月の満ち欠けの度合を示す。満月は15日。

   ●三日月・朏(みかづき、crescent moon)は、
    [1].陰暦で月の第3夜過ぎ(=新月から数えて3日目)頃に出る月(上弦の三日月)。細く、眉状或いは弓状の形(=三日月形をしている。日没直後の西の空に僅かの間だけ見える。季語は秋。万葉集6「振りさけて―見れば」。
      朏は、新月から陰暦三日頃迄の月を指す。
    [2].三日月形の略。この場合には下弦の三日月形の月にも言う。

   ●半月(はんげつ、half moon)は、半円形に見える月で、上弦の月下弦の月が在る。弓張月。弦月。季語は秋。

   ●上弦(じょうげん、first quarter)とは、新月から満月に至る間の半月。日没時に南中し月の右半分が輝く陰暦7日~8日頃に当る。真夜中に弦を上にして月の入と成る。初弦。上の弓張、上つ弓張。←→下弦。
   ○上弦の月(じょうげんのつき、half moon of first quarter)は、陰暦の7日~8日頃の半月。←→下弦の月。

   ●夕月(ゆうづき、evening moon)は、陰暦10日頃以前の夕方の月。
   ○夕月夜(ゆうづきよ、ゆうづくよ、moonlight evening)とは、(古くはユフヅクヨ)
    [1].月の出ている夕暮。
    [2].陰暦10日頃以前の夕方だけ月の有る夜。季語は秋。

   ●十三夜(じゅうさんや、the thirteenth night of lunar month)は、
    [1].陰暦の毎月13日の夜。
    [2].陰暦9月13日の夜。8月の十五夜の月に対して「後(のち)の月」と呼ぶ。又、十五夜の芋名月に対して豆名月・栗名月と言って月見の行事を行う。919年(延喜19)の醍醐天皇の月の宴に始まるとも、宇多法皇がこの夜の月を無双と賞したのに依るとも言うが、我が国固有のものらしい。「中秋の名月」に次いで美しい月と言われる。季語は秋。

   ●小望月(こもちづき、the fourteenth night of lunar month)は、望月の前夜、即ち陰暦14日の月。特に、陰暦8月14日の夜の月。季語は秋。

   ●満月(まんげつ、full moon)は、全面が輝いて見える円形の月。太陽と月との黄経の差が180度の位置に当たる時に起る。陰暦の第15日の月。特に陰暦8月15日の満月は「中秋の名月」として賞される。十五夜の月。(ぼう)。望月(ぼうげつ、もちづき)。季語は秋。←→新月。
   ●十五夜(じゅうごや、full-moon night)は、
    [1].陰暦の毎月15日満月の夜。三五(さんご)の夕。「―の月」。
    [2].陰暦8月15日の夜。秋(陰暦7・8・9月)の最中(もなか)に当るから「中秋の名月」と言い、又、月に芋を供えるので芋名月と言う。古来、観月の好時節とされ、月下に宴を張り、詩歌を詠じ、民間では月見団子・芋・枝豆・栗などを盛り、神酒を供え、芒(すすき)・秋草の花を盛って月を祭った。季語は秋。

   ●十六夜(いざよい、the sixteenth night of lunar month)は、(「いざよい」は、「躊躇う」という意味の「いざよう」の名詞形
    [1].陰暦16日の夜。季語は秋。
    [2].満月の次の晩の月。十六夜の月。
   ○十六夜の月(いざよいのつき、moon of the sixteenth night of lunar month)は、(満月の後に躊躇う様にして出て来ると言われるから)陰暦16日の夜の月既望。源氏物語末摘花「もろともに大内山は出でつれど入る方見せぬ―」。

   ●立待月(たちまちづき、moon of the seventeenth night of lunar month)は、陰暦17日の夜の月。特に陰暦8月17日の月。立待の月。季語は秋。
   ○十七夜(じゅうしちや、the seventeenth night of lunar month)は、陰暦17日の夜。特に8月17日の夜。又、その月。立待月。

   ●居待月(いまちづき、moon of the eighteenth night of lunar month)は、陰暦18日の月。「居待の月」とも。又、枕詞として「あかし(明し・明石)」に掛かる。季語は秋。

   ●寝待月(ねまちづき、moon of the nineteenth night of lunar month)は、(月の出る時刻が遅い為「寝て待つ」意)満月から数えて4日目に当たる、陰暦19日の夜の月。又、陰暦20日前後の月。臥待の月(ふしまちのつき)。季語は秋。蜻蛉日記上「ねまちの月の、山のはいづるほどに」。

   ●更待月(ふけまちづき、moon of the twentieth night of lunar month)は、陰暦20日夜の月。寝待の翌夜の月。季語は秋。

   ●下弦(かげん、last quarter)とは、満月から次の新月に至る間の半月。日の出時に南中し月の左半分が輝く陰暦22~23日頃に当る。月の入りに当ってその弦が下方に成る。下の弓張、下つ弓張。←→上弦。
   ○下弦の月(かげんのつき、half moon of last quarter)は、陰暦の22日~23日頃の半月。←→上弦の月。

   ●二十三夜(にじゅうさんや、the twenty third night of lunar month)は、陰暦23日の夜この夜、月待をすれば願い事が叶うという信仰が在った。二十三夜待。季語は秋 。浄、今宮の心中「―の代待(だいまち)や、門の通りはまだ四つ」。
   ○月待(つきまち)とは、陰暦で月の3・13・17・23・26日の夜、多人数集まり月の出を待って供え物をし、酒宴を催して月を祭ること。講の組織に成って居ることが多い。→日待。
   ・日待(ひまち)とは、
    [1].前夜から潔斎して寝ずに日の出を待って拝むこと。一般に1・5・9月の吉日を選んで行い、終夜酒宴を催す。影待。福富長者物語「お―より帰りて道々眠かりしも」。→月待。
    [2].農村などで田植や取入れの終った時などに、部落の者が集まって会食や余興をすること。御日待(おひまち)。

   ●有明(ありあけ)とは、
    [1].daybreak with wan moon。陰暦16日以後空に月が残って居る儘で夜が明けること。又、その頃の月。有明月夜(ありあけづくよ)。和訓栞「ありあけ、有明の義、十六夜以下は夜は已に明くるに月はなほ入らである故に云ふなり」。源氏物語帚木「月は―にて光をさまれるものから」。
    [2].daybreak。(後世、月に関係無く)夜明け方を言う。
   ○有明の月(ありあけのつき、wan morning moon)とは、陰暦16日以後夜明けに尚空に残る月。八雲御抄「―は十五日以後を云ふ由在匡房往生伝」。

   ●晦日、三十日(みそか、the thirtieth day, last day of the month)は、元は陰暦で月の第30番目の日。転じて、月の末日を言う。尽日(じんじつ)。つごもり(晦)
   ○晦(つごもり、last day of the month)は、(月隠(つきごもり)の約)
    [1].月の光が隠れて見えなく成ること。又、その頃。(陰暦の)月の終わり頃。下旬。蜻蛉日記上「春夏なやみくらして、八月―にとかうものしつ」。
    [2].月の最終日。みそか。(古くは「つごもりの日」ということが多い) 源氏物語松風「月ごとの十四、五日、―の日行はるべき普賢講・阿弥陀・釈迦(さか)の念仏」。

 (5)旧暦各月の歳時記と季節、そして新暦との対応

   <        旧    暦        >   < 新暦 >

   春  1月(睦月・正月) 初春             2月 晩冬
      1月15日=小正月
      (「雨水」直前の新月の日が旧暦元旦=中国の春節
   〃  2月(如月)    仲春             3月 初春
   〃  3月(弥生)    晩春→上巳の節句(雛祭)   4月 仲春

   夏  4月(卯月)    初夏             5月 晩春
   〃  5月(皐月)    仲夏→端午の節句、五月雨   6月 初夏
   〃  6月(水無月)   晩夏             7月 仲夏

   秋  7月(文月)    初秋→七夕の節句       8月 晩夏
   〃  8月(葉月・桂月) 仲秋→中秋の名月       9月 初秋
   〃  9月(長月・菊月) 晩秋→重陽の節句、十三夜  10月 仲秋

   冬 10月(神無月)   初冬            11月 晩秋
   〃 11月(霜月)    仲冬→新嘗祭        12月 初冬
   〃 12月(師走)    晩冬             1月 仲冬

  ◆「仲秋」と「中秋」

  厳密には「仲秋」は陰暦8月全体の称で、「中秋」は陰暦8月15日の称。従って「中秋の名月」は陰暦8月15日の満月を指します。

  ◆片月見

  名月とは陰暦八月の十五夜陰暦九月の十三夜の月を指しますが、昔は月見をするなら両名月に行なうのが良しとされ、片方しか行わないのを片月見(かたつきみ)と言いました。特に江戸吉原では8月に遊興したのに9月に来ない片月見の客は野暮とされ嫌われました。

  ◆旧暦七夕の月の形

  旧暦七夕は初秋の文月の第7日目ですから月の形は「上弦の月」か「上弦の月の1日前」の形で、凡そ半円形です(←上弦の月を参照)。上に弦、下に弓の形を昔の人はに見立てたのです。

 (6)新月・満月と食(蝕)の関係

 「月の満ち欠け」に基づいた旧暦では次の事が成り立ちます。

  毎月の第1日は必ず新月。朔日(ついたち)とは月が「朔」(=新月)の事。
    日食(日蝕)は必ず新月の日に起こる。

  毎月の第15日は必ず満月。十五夜。
    月食(月蝕)は必ず満月の日に起こる。

   ●食、蝕(しょく、eclipse)とは、〔天〕(「蝕む」という意味で「蝕」が本来。「食」は「蝕」の通用字)
    [1].在る天体が背後に在る他の天体を隠す現象日食月食の他に、星食(掩蔽)、惑星に依る衛星の食、連星に於ける主星と伴星の食など。
    [2].broadcasting satellite。放送衛星と太陽の間に月が入り、その影で太陽電池が作動しなく成り放送不能に成ること。その状態を食(蝕)に因る放送休止と言う。
   ○日食、日蝕(にっしょく、solar eclipse)は、月が太陽と地球との間に来て一直線に並び、太陽光線を遮る現象。太陽面が月面に因り全部覆われる時を皆既日食、太陽面が月の周りに環状に食み出す時を金環食、月面が太陽面の一部を覆う時を部分日食と言う。地球上で日食が起こる周期は約半年。にっそく。
   ○月食、月蝕(げっしょく、lunar eclipse)は、地球が太陽と月との間に来て一直線に並び、太陽の光を遮る為、月の光る面が一部(部分月食)又は全部(皆既月食)に亘って欠けること。欠けた部分は暗赤色に見える。山家集「―を題にて歌詠みけるに」。

 (7)月と潮汐(=潮の干満)の関係


   ●潮汐(ちょうせき、tide)は、(潮は「あさしお」、汐は「ゆうしお」を表す) 潮汐力(主に月と太陽の引力、それに地球の自公転の遠心力)に因って起る海面の周期的昇降、即ち、潮の干満を言う。海面の高さが最高に成る時を満潮(高潮(こうちょう))、最低に成る時を干潮(低潮(ていちょう))、満潮から干潮へ移る間を下げ潮引き潮)、その逆を上げ潮差し潮)、満潮と干潮との海面の高さの差を潮差と言い、潮汐に伴って起こる海水の流れを潮流と言う。潮差は地形や海深の影響を受けて場所に依って異なる。普通1日2回の干満が有り、満潮から次の満潮迄に要する時間周期は約半日(12時間25分)なので、満潮・干潮の時刻は1日に約50分ずつ遅れる。1日の潮差は月齢に依って略半月周期で変化し、朔望の頃に最大(大潮上下弦の頃に最小(小潮と成る。
   ○起潮力(きちょうりょく、tide-generating force, tide-raising force)とは、潮汐を起させる力月と太陽の引力と地球の遠心力との合成作用に因る。月や太陽の引力は、地球の中心では共通重心の回りの遠心力と釣り合って居るが、地球の表面では完全に釣り合って居ないことに起因する。太陽は質量が大きいが距離が遠い為、その起潮力は月の約半分潮汐力

   ●満潮(まんちょう、high tide, high water)は、潮の干満に於いて、海面が1日の内で最も高く成る状態。又、その時。多くの場所では1日に2回起こる。高潮(こうちょう)。湛え(たたえ)。満ち潮。←→干潮。
   ●干潮(かんちょう、low tide, low water)は、潮の干満に於いて、海面が1日の内で最も低く成る状態。又、その時。多くの場所では1日に2回起こる。低潮。底り(そこり)。←→満潮。
   ○潮流(ちょうりゅう)は、
    [1].tidal current。潮の満ち干に因って周期的に起こる海水の流れ。約6時間毎上げ潮下げ潮が交代する。
    [2].trend(比喩的に)時勢の動き。世間の成り行き。時流。「時代の―に乗る」。
   ○上げ潮(あげしお)は、
    [1].rising tide。1日の潮汐の内、干潮から満潮に向かう海水の動き1日に2回起こる。満ち潮。差し潮。漲潮(ちょうちょう)流。←→下げ潮。
    [2].rising mode。(転じて比喩的に)物事が上向きに進む動き。盛んに成って行く勢い。「―に乗る」。
   ○下げ潮(さげしお)は、
    [1].ebb tide。1日の潮汐の内、満潮から干潮に向かう海水の動き1日に2回起こる。引き潮。落ち潮。涸れ潮。←→上げ潮。
    [2].opportunity, chance。(転じて)引き下がる時機・頃合。引潮時。潮時

   ●大潮(おおしお、spring tide)は、月と太陽の起潮力が合わさって、潮差が最大となる潮汐。月と太陽が地球に対して一直線上に位置する場合、即ち満月新月の頃に生じる。朔望潮。堀河百首雑「―や淡路の瀬門の吹分けに」。←→小潮。
   ●小潮(こしお、neap tide)は、月と太陽の起潮力が打ち消し合って、潮差が最小となる潮汐。月と太陽とが地球に対して互いに直角の方向に位置する場合、即ち弦月の頃に生ずる。←→大潮。
   ○潮差(ちょうさ、tidal range)は、満潮時の潮位と干潮時の潮位との差。一般に満月や新月の頃に最大上弦や下弦の頃に最小に成る。
   ○潮位(ちょうい、tide level)は、潮の干満に因って変化する海面の高さ。

  ◆高潮(こうちょう)と高潮(たかしお)は全く違う

 ところで、漢字の「高潮」には「こうちょう」という読みと「たかしお」という読みの二通り在りますが、意味は全く異なりますので注意が必要です。「こうちょう」は満潮のことで上に記載済みですので、以下に「たかしお」について記して置きます。

   ●高潮(たかしお)とは、
    [1].storm surge。台風低気圧に因って、海水面が異常に高まり、海水が陸上に侵入すること。気象災害の一。暴風津波、風津波。
    [2].spring tide。大潮。日葡辞書「タカシヲガサス」。

 広辞苑から引いたこの記述を見ると、昔から日本人は高潮(たかしお)を単に「潮位が高いこと」と思い込み、潮位が高く成る色々な現象に無分別に使って来た様ですが、今後は高潮(たかしお)は「低気圧に因る潮位の異常上昇」だけに限定的に使うべきです。暴風津波や風津波の語も本来の津波とは全く異なるので使わない方が良いでしょう。

 ■外国の暦(Calendar of foreign country)

 (1)ローマ教皇庁の暦

 ヴァチカンのローマ教皇庁はキリスト教カトリシズムの力を以て、常に自らが定める暦を正統(orthodox)として執拗に普遍化させようと努めました。そこが他の暦と大きく異なる点です。

   ●ユリウス暦(―れき、Julian calendar)は、太陽暦の一。古来エジプトに伝わった暦法を、ローマのユリウス・カエサル前46年頃ギリシャの天文学者・数学者ソシゲネス(Sosigenes)に改正させた暦。365日6時を以て1年とし、4年毎に1日の閏(うるう)を置く。後に数度の改訂を経て、1582年グレゴリウス暦がこれに代って現行の太陽暦と成った。西洋の旧暦。ジュリアン暦。ケーザル暦。

   ●グレゴリウス暦(―れき、Gregorian calendar)は、グレゴリウス13世1582年にユリウス暦を改正して制定した太陽暦。ユリウス暦では400年間に100回の閏年を置くのに対し、これは97回の閏年を置き、太陽の位置と暦日とを調節した。現行の太陽暦はこれに基づく。西洋の新暦グレゴリオ暦

 (2)非ローマの暦

   ●ユダヤ暦(―れき、Jewish calendar)は、太陰暦の一。ユダヤで行われ、月は新月の日に、年は秋分の頃に始まり、平年12ヵ月、閏年13ヵ月、閏月を第6月の次に置く。天地創造の年と信じられて居るB.C.3761年10月7日に創世紀元を置く。

   ●イスラム暦(―れき、Islamic calendar, Muslim calendar)は、イスラム教諸国で行われる陰暦622年7月16日のムハンマドのメディナ聖遷(ヒジュラ)から起算 -イスラム紀元元年1月1日は西暦622年7月16日- し、1年(354日)を12ヵ月に分け、9月は断食月(ラマダン)12月は巡礼月として特に神聖視する。ヒジュラ暦回教暦。回暦。

   ●ロシア暦(―れき、Russian Calendar)は、ロシア帝国時代の暦法の通称。ユリウス暦が用いられて居たので、19世紀には12日、20世紀には13日を加えるとグレゴリウス暦と成る。1918年迄続いた。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):太陽系や恒星について▼
資料-天文用語集(Glossary of Astronomy)
参照ページ(Reference-Page):津波について▼
資料-地震の用語集(Glossary of Earthquake)


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