公共交通をよくする富山の会・総会の記録
                               2002年11月23日
                                富山県教育文化会館
 
司会 酒井久雄世話人
みなさん、今日は絶好の日和で、久しぶりの白銀の立山連峰が見えるというときに、行楽に行けば良い日和ですが、私たちの「北陸線・ローカル線の存続と公共交通をよくする富山の会」の総会においでくださいましてありがとうございます。
ちょうど一年前に「よくする会」を発足させました。そして6月に「公共交通と市民生活を考えるシンポジウム」を開きました。この中で宮島さんが報告されていますが、富山大学前のバス停が、医薬大に行くお客さんがいろんなところからバスで、市内電車でこられて乗り換えられるターミナルの役割を果たしているところです。このバス停で待っていますと歩道が狭くて、バス停で座っていても自転車が通るときや、子供たちがわーわー言って非常に危ないのでなんとかして欲しい、もう少し広げて欲しいという要望、提言をされました。これを地鉄の労働組合の方や、労働組合を通じて会社の方にも話を持っていってもらいました。その2ヵ月後にバス停付近の歩道拡幅が工事されました。今は大学前の停留所はきちっとバス停で待っているお客さんと通行する人たちがお互いに気使うことがなくなっています。ささやかながらシンポジウムの声が届いたのではないかと喜んでいるわけです。そういうことで今日は1年間の活動の経過と方向について皆さんに提案をし、充分意見を交換し立派な方向を作り上げたいと思っています。
それでは、最初に代表世話人の奥村先生から挨拶をしていただきます。
 
開会の挨拶 奥村義雄代表世話人(富山大学教授)
 今日は部屋の中にいるのがもったいないような好天気になりました。「公共交通をよくする富山の会」の2回目にあたります総会にご出席いただきましてありがとうございます。
 今、司会者の挨拶にもありましたが、昨年の11月にこの会の発足のための集会、総会を開きました。この会としては、北陸線やローカル線など公共交通をよくするための運動を進めていくということを目的にして、交通機関の現状について調査、研究をするとか、あるいは必要な政策的な提言を行なうなど、この会の事業として行なっていくことを決めました。そして、今年の6月にはお手元に記録集があると思いますが、「公共交通と市民生活を考えるシンポジウム」を開いて、実際に公共交通機関を利用している一般市民の方々から見て現状はどうなのか、どこに問題があるのかということを、高齢者の方とか障害をもっていらっしゃる方にいろいろ報告をしていただいて、論議を重ねてきました。
ご承知のように、この会が発足する前、昨年の6月にもシンポジウムを開いて、その時はちょうど北陸新幹線の上越・富山間の新規の着工が始まって、そして並行在来線の経営がJRの経営から分離されて第三セクターになるという問題が出てきたそのときですが、それで、並行在来線、第三セクターなどについて討議をするということを行なってきました。 このように、昨年から今年と、私たちが公共交通機関の問題を考えるように、考えざるをえなくなってきました直接のきっかけは、北陸新幹線の新規の着工が行なわれるようになった、そして、並行在来線の第三セクター化が決まったことにあります。同時に、鉄道事業法というのが一昨年にすでに改正、施行されているわけですが、それに続いて道路運送法が今年の2月から改正、施行されています。このように、公共交通事業の規正緩和が急速に進められてきた、そのために経営の採算性が最優先されて、いろんなしわ寄せが一般の市民に、公共交通機関の利用者にくるわけで、たとえば赤字路線が廃線になるとか、列車本数が削減されるとか、ということが進んできています。このように公共交通機関が後退していく一方で、自家用車・マイカーの依存度が高まってきています。モータリーゼションが進んだり、市街地の空洞化が進みますと、ますますマイカーに依存せざるをえない、その分公共交通機関の利用が減っていく、という悪循環を繰り返しているのではないかと思います。結局は、地域社会で生活している私たちにとっていろいろな形で不便になってきているのではないかと思います。
コミュニティバスが運行されたり、あるいはノーマイカーデーが行なわれたりして、市民の足を守ろうとする取り組みが一部には見られるわけですが、まだまだ充分とはいえません。
富山県全域にわたって、そして富山県だけではなくて、近県間の往来も含めて、公共交通機関のあり方をもう一度検討しなおしてみる、現状をきちんと把握して、そして問題点を明らかにしていくということが必要になってきていると思います。
とにかく日常の生活を営んでいく上で、公共交通機関の利便性、安全性が確保されないことには地域社会自体が活気あるものとは考えられません。なんとしても公共交通機関の利便性、安全性を高めて、地域の観光や産業、文化、教育を発展させていかなければならないのではないかと思います。
今日はお手元の資料にもありますように、この会の第2回の総会として、この一年間の取り組みを総括して、これからの取り組みの課題を明らかにしていく、そして、当面の取り組みとして、北陸線を生活により便利なものにしていくための提言としてまとめたい、そして関係の自治体とか交通事業者、交通関係の労働者、あるいは一般市民に、幅広い人に訴え呼びかけて、公共交通機関の現状を少しでも暮らしに役立つ、生活に便利なものにしていく取り組みを行なっていきたいと思います。
今日は資料をかなり詳しいものを事務局にまとめてもらいました。みなさんのお手元に届いているかと思いますが、それもごらんになっていただいて、提言をはじめ率直なご議論をしていただいて、きちんとしたものにまとめて、これからの取り組みをはじめていきたいと思います。今日はよろしくお願いします。
簡単ですが開会にあたってのご挨拶に代えたいと思います。
 
 
 
司会 酒井世話人
それでは、引き続きましてこの会の一年間の経過と活動の取り組みについて稲葉敏さんからご報告をお願いします。事務局担当の世話人でございます。
 
稲葉敏世話人
どうもご苦労様です。
昨年の11月17日に総会を開いてこの会を結成しました。その後の一年間の経過と今後の取り組みについて、そして財政についても若干報告し皆さん方のご承認を得たいと思います。
経過については、先ほど奥村先生から詳しく述べられましたので、簡単に報告をしますが、昨年の11月17日に県民会館で結成集会を開催し「会」を結成し、世話人会を選出していただきました。その後5回の世話人会を開催して、6月29日に「公共交通と市民生活を考えるシンポジウム」を開いてきたところです。シンポジウムの内容などについて検討したのが5回の世話人会、そして事務局会議をその間開きながら、シンポジウムに向けてパネラーの方々の要請やら、自治体訪問、各種団体への訪問、また資料にもありますがアンケート調査も行なってきました。教育委員会や学校訪問などを通して高校生のアンケート調査、さらには街頭で一般の人に聞きとりアンケートをする取り組みも行なってきました。これがシンポジウムにむけてです。
その後、3回の世話人会を開催し今日の総会に提案する「提言」を議論してきたところです。この間、事務局会議を5回開催しています。以上が大まかな経過です。
今後の取り組みですが、一つは、このて「提言」について議論を広めていく、そして内容の深いもにしていきたい、そのために、自治体や交通事業者、交通労働者、さらには県民にこの「提言」を持ち込んで議論を深める、懇談なども行なっていきたいと思っています。特に自治体にとっては、非常に重要な課題に、そして避けて通れない課題になっているのではないかと思っています。それは地域の住民の足を守るために、コミニティバスや町営でのバス運行、そしてそれが大きな財政負担になっている。そういう点では私たちのこの「提言」を持ち込んで議論すれば、お互いに一致できる状況が大いにあるのではないかと考えています。こんな取り組みを行なって大きな県民世論を作り出していきたいと思います。
二つ目は、この「提言」を発表なり、議論だけに終わらせるのでなく、一つ一つ問題を解決していく、県民の立場に立った前進、発展をはかるための取り組みを行なっていきたいと考えています。具体的な取り組みについては皆さんとともに議論を行ないながら具体化をしていきたいと思っています。
三つ目は、来年の6月頃にこの「提言」に沿ってシンポジウムを開催していくことを、世話人会や事務局で議論をしています。開催にむけて皆さん方のご協力をよろしくお願いします。
四つ目は、この会にいろいろの形で協力をいただいている方は約150名ですが、会員は現在約100名です。ぜひ、会員を広めていきたいし、広めていただきたいと思います。
以上です。
 
司会 酒井世話人
本来ならば、経過報告・活動報告などについて皆さん方の質問やご意見をお受けして議論を進めなければならないのですが、このあと「孫 ひ孫の時代にも暮らしに便利な北陸本線のために」の提言を提案していただきまして、そのことを含めたもので皆さん方の質問やご意見をいただくということで進めていきたいと思いますのでご協力をいただきたいと思います。
ご報告を3人の方に予定しています。はじめに渡辺眞一さんから「提言」の説明を受けまして、その後、武山先生、岡本先生にご報告をお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
 
渡辺眞一世話人(富山交通問題研究会・交通権学会会員)
ご苦労様です。渡辺です
私の方は、「提言」全体について説明をするということで話をすすめます。「提言」は「孫 ひ孫の時代にも暮らしに便利な北陸本線のために」という表題をつけました。「提言」は三つの柱からできています。第一は「身の回りの公共交通を再生し、あらゆる人々に安全で快適な移動の自由を提供する『交通権』の確立と環境にやさしい公共交通を求めます」、第二は「富山県および関係機関に対して、北陸新幹線開業後の県内交通を総合的に計画する委員会の設置を提案します」、第三は「公共性と企業性の調和が取れた北陸本線のために、県民的な討論と検討、合意が求められている課題を提案します」となっています。
先ほども述べられましたが、この「提言」は6月29日のシンポジウムのあと作業にかかりまして、3回の世話人会と5回の事務局担当者会議を重ねてきました。
この「提言」を私なりにまとめてみますと、三つの視点から考えられたものです。
一つは私たちの「会」の目的にそってです。この「会」は北陸本線の存続というのがメインになっています。北陸新幹線については賛成の方、反対の方、立場いろいろありますが、北陸本線を存続させるという点では、大きく一致を勝ち取っているのではないか、その視点からです。二つ目は、先ほど奥村先生から報告がございましたが、今年の2月、需給規制緩和、バスの規制緩和が行われました。各地でバス路線の廃止問題がずいぶん起きています。その中で、身の回り公共交通の不便さというのが大きく私たちの生活にのしかかってきています。こうした事態のもとで、北陸本線だけを取り出してみるのではなく、バス問題、電車の問題を含めて公共交通の全体を見渡して北陸本線を検討してみたらどうだろうという視点です。三つ目は、北陸新幹線の建設という問題は、北陸本線の将来に大変な大きな影響を与えるということがはっきりしています。そこで、今の時点でどんな課題が私たちの前にあるのか、何をクリアしていかなければならないか、その点をはっきりさせていかなければならないのではないか。それで以上3点で、この「提言」を組み立てて見たわけです。
そこで内容に入っていきますが、「提言」の第1です。今言いましたように、身の回りの公共交通というのはずいぶん不便になってきています。資料の1ページ目を見ていただきたいのですが、表紙の裏に「提言1」の関連資料を載せましたが、その資料<1―1>です。
昨年の7月に富山県が「県政世論調査」というのを行なっています。この「世論調査」の中でもずいぶんはっきりした答えが出ていまして、現在の公共交通に対して不満という人が、満足という人の3倍になっている。それから資料<1−2>を見ていただきたいのですが、これは6月のシンポジウムに向けて私たちの「会」が行なった「アンケート調査」ですが、この真ん中の三つを見てください。「公共交通をもっと充実する努力をすべきである」、それから「高齢者や免許を持たない人にとってますます暮らしにくくなる」、それから「自動車が増えることは大気汚染、騒音などの環境問題から好ましいことではない」、こういう声、この三つをたしますと55.5%になります。「自動車を走らせることで便利になった」というのが10.6%です。「便利」というのは10人に1人しかいないということなんですね。
こういう実態がありますから、自治体でコミニティバスを走らせざるを得なくなってきている、こういうようになるのだと思います。また、「交通事故問題」を含めますと、なんと7割ぐらいの人が、「不便になった」とか、現状を「危惧」をするという状況になっています。この現状というものを私たちはしっかり知っておく必要があるのではないかと思います。
それから、この「提言」をまとめるにあたりまして、環境問題というのが大きな議論になりました。資料<1―4>ですが、「京都議定書」の中身を簡単にピックアップしてあります。説明するまでもないと思いますが、99年の12月に186ヶ国が参加して京都で環境問題についての協定が結ばれたわけですが、数値を決めてどれだけ温暖化効果ガスを減らすかということが話し合われました。しかし、現在は数値抜きになってきています。今年の7月から8月にかけてアフリカで開かれた「環境開発サミット」、そこでもこのことが大きな問題になりまして、ドイツが発言したんですが、ドイツは90年比で19.1%の温暖化ガス削減を達成したんだということを表明して、世界の数値目標をきちんと決めて守るようにしなさいということを報告しています。
温暖化問題は、地球環境に大きな影響を与えます。「朝日新聞」に出ていた記事を載せてありますが、資料<1―7>です。南太平洋の島国「ツバル」というところですが、珊瑚礁からなる9つの島の国だそうです。人口1万1千人、標高1.5メートルといことですが、この「朝日新聞」の記事を見ていましたら、宅地の横がもう海水で水浸しになっている写真が載っていました。ICPPが2100年までに海面が88センチも上がるという報告をしていまして、そこでスバルの国は、国民の移住を開始するんですね。ニュージランドとオーストラリアに移住する、そういうことが起きています。もう一つ注目したのが、スバルが温暖化に関係する大企業を告発する準備を始めている。大企業と言うのは、石油、自動車、武器、タバコ会社など、これらの会社を訴えるということです。
温暖化問題というのは、私たちの生活に非常に大きな影響を与えるのだということが、私が最近読みましたNHKブックスで「京都議定書」を解説したものがあったのですが、それを読んでいますと、2100年頃に熱帯で流行している「熱帯マラリヤ」、これが温暖化で西日本地域も、「熱帯マラリヤ」の流行地域に入るのだということを書いておりましたが、そんなことにもなっていくわけです。
環境問題というのは、そういう影響を与えます。国としてもそんなことを直視せざるを得なくなりまして、資料<1―8>のところですが、去年の7月に出ました「新総合物流施策大綱」というのがありまして、そこで鉄道ですとか海運輸送、この利用率を43%から50%に引き上げるんだと、そういうモーダルシフトを出してきています。
そんなことを踏まえまして、「提言1」の方では、身の回りの交通問題と環境問題を重視して「提言1」の最初の方をつくってあります。
最近、富山市の家計調査を調べていまして、そこで一つ発見をしたのですが、90年からの不況で収入もグーンと減ってきている、消費の方も後退をしてきています。そういう中で、支出で増えている項目が一つありました。それは自動車に関係する支出です。家計の中で自動車に関わる費用というのは、義務的経費となっている。そういう状況が生まれています。そこにみられますように富山県のマイカーの保有状況というのは、資料の<1―9>に書きましたが、1987年に初めて一世帯当たり一台になりました。それがどんどん延びていきまして2000年には1.68台で全国トップになっています。その次ぎの資料<1―10>ですが、マイカーだけの通勤、通学利用者が72%、全国第2位だという統計が出ています。それだけ広がってきているわけです。
なぜこんなにマイカーが増えてきたのか、6月のシンポジウムの時に、いろいろな角度からの分析もありましたが、違った視点でみてみたいと思います。資料16ページをみていただきたいのですが、そこに「北陸新幹線建設と並行在来線の関連年表」があります。年度を追って拾ってみました。1981年7月6日ところですが、運政審が答申「80年代の交通のあり方」を出しています。その答申に中に「過疎地域」という言葉が前にありますが、自家用車を中心にした交通体系を目指すというふうになっています。そこで自動車の台数をみてみますと、この辺当たりからどんどん増えてきています。ですから交通政策というものはいかなるものであったのか、ここをたどっていけばよいのではないかと私は思っています。
「提言1」ではその後に、北陸本線の現状について書いてあります。北陸本線は県内一日当たり上下合わせてですが,普通、特急合わせて225本、一日平均乗車人員は52,423人、普通電車の方は113本、推定の輸送密度は9,800人という数字が県のデータ―で出ています。
資料の<1―11>です。これは平成11年度の統計ですが、北陸本線と枝線全体についての統計が出ていましたので載せておきました。この表からも解りますように、北陸本線というのは富山県の輸送の大動脈であるということがはっきりしています。それから、もう一つの側面は、JR貨物の方です。資料<1―12>に全国5つの線で年間の輸送量と一日の貨物列車の本数を、これは平成10年度の資料ですが、この資料の出所は書いてありませんが、これは貨物会社の資料です。北陸本線の貨物輸送量は330万トンで、一日45本走っています。東北本線のところを見ていただきたいのですが、420万トンで48本、東北本線は北海道と東京を結ぶ大動脈といわれていますが、北陸本線も北海道、東北と関西を結ぶ大動脈ということはこの数字をみてもはっきりしてくると思います。
以上から「提言1」は、鉄道というのは生活を支える、産業を支える基本問題なんです。 そして、「提言1」の最後に切迫している交通問題を解決していく上で、二つのキーワードを出しました。一つは交通における公共性の問題です。「あらゆる人々に区別なく安全で快適な移動の自由を提供する」と書きました。「交通権」ということを考えてみたわけです。二つ目は、「環境にやさしい」という問題です。
「提言2」に入っていきます。富山県の公共交通の現状と将来を考えてみた場合に、具体的に何を考えるのか、私たちはどんなビジョンを持って取り組むかが、ここにあたります。
北陸新幹線の建設は、政治的な建設といってもいいと思いますが、今、どんどん建設が進んでいます。4月1日に発表されました新幹線の建設進捗状況、これは糸魚川・富山間で用地は62%確保され、路盤で48%工事が進んでいるという報告が出されています。それから日がたっていますから路盤の建設は50%を越えているのではないかと思いますが、最近、入善町に行ってきましたら、もうあちこちに新幹線の橋梁工事が行われているのが見えましたが、その北陸新幹線が県内に与える影響は何なんだろうか、三つの点からみてみました。
一つは、北陸本線はJRから経営を分離するということがはっきりしている、それは北陸本線の将来にとって大きな影響を与えます。二つ目は、新幹線の駅が新たにできるわけです。その新幹線新駅ができると町は大きく変わるのではないか、交通体系も大きく変わるのではないかということです。私が実際にみたのでは、「しなの鉄道」の小諸駅です。小諸が好きで何度か行っているのですが、昔「白山」が走っていたときは、小諸の駅はずいぶん賑わいがあったと思います。3年前に「しなの鉄道」の調査に行ったのですが、そのとき群馬県の松井田町で「新幹線が通ってまちはどう変わったか」と聞きますと、松井田町とは横川ですが、「横川よりも小諸に行って御覧なさい、小諸はずいぶん困っていますよ」というんですね、実際に小諸に行きましたら、行ったときはそんなに感じなかったのですが、昨年小諸に行ったとき駅前は閑散としたものでした。小諸の人たちは、新幹線駅を当てにしていたけれども佐久に新幹線駅が移ってしまった、それによってこの町は随分寂しくなってしまった。小諸には島崎藤村の懐古園があるわけですが、そこに行くにも小諸駅を利用しないで行くという人が最近ふえてきていると言っていました。この話を事務局でしていましたら、新幹線の新黒部駅が出来たら魚津はどうなるのかという話も出ていました。いずれにしても公共交通網も大きく変わることが予想されます。
それから、新幹線が来たけれども日常の公共交通網は、もっと衰退をしていくのではないか、不連続性がもっと大きくなるのではないか、交通渋滞ですとか、障害者など移動制約者にとってはかなり不便な町になっていくのではないか、そんなことも危惧されるわけです。いまの時期だからこそ、私たちは鉄道とバス全体を考えて、県内全体を見渡して鉄道を軸にした交通体系を考える必要があるのではないか、というところに至った訳です。 そこで「提言2」は、一つの提案をしています。「委員会」をつくることです。全県的な交通を総合的に計画する「委員会」ということです。名前は特についていませんが、つけるとすれば「県民交通委員会」というぐらいの名前が適当なのでしょうか、名前については皆さんいろんな知恵を出していただきと思います。
「委員会」の目的は、一つはいま言いました県内交通を総合的に検討すること。では「委員会」はどんな構成でやるかということですが、交通事業者、交通労働者、専門家、それから市民参加、市民参加というのは公募も含んだらどうだろうかと考えています。この「委員会」の役割は調査もしますし、交通問題についていろんな検討も行なう。それから重要な柱として、第三セクターになるであろう北陸本線について検討する。この「提言2」の@のところに「第三セクター鉄道の経営にあたって最悪の事態をも予測した調査や検討も行い」とありますが、公共政策の検討にあたっての一つの手法として、一番悪くなったときの状況を予測した中で次ぎの対策を立てていくという手法にそったものです。
そこで資料3ページの<2−2>を見ていただきたいのですが、この「提言」を仕上げた後でしたが、日本のどこかにこうした「委員会」についてやっている地域はあるだろうと調べてみました。鎌倉市です。鎌倉市に「鎌倉地域交通計画研究会」というのがありました。これは平成7年の7月に出来たものですが、資料に書きましたように、市民が主体的の交通政策の計画づくりから始めていく。この研究会は、市民公募も含めて40名で構成する。行政はどういう役割を果たしているのかといえば、事務局という立場です。もう一つは、資料のしたの○印ですが、市民と行政の共同指針というのが四つあります。一つは自動車利用の抑制というのがあります。それから公共交通への転換、三つ目は歩行・住環境の向上をはかる、四つ目は情報を発信する、提供する。この四つが共同の指針となっていました。この鎌倉の研究会の発想はどこからきているのか。それは資料<2―4>の「交通需要管理」というのがありますが、その考え方にもとづいて行なっているんですね。いろいろ調べてみますとTODというのがでてきまして、これはアメリカを中心にして出ているんですが、「公共交通志向型開発」というふうに日本語に訳されていますが、右側にどういう内容で行なっているのかという図もありましたのでそこへ載せておきました。
考え方としては、鎌倉の交通計画研究会と私たちが提案をした「委員会」とよく似てくるのではないかと思います。それと「提言1」のところで、交通政策の流れは暮らしと環境を重視して、公共交通の維持ということを世界中の国々が重視しているということも書きました。このことは「委員会」の中でも充分議論をしてほしい点だと思います。
それから、資料<2−5>ですが、96年の3月にOECDが「持続可能な交通の9つの基本原則」というものを発表しています。その中の三つだけ取り出して書きました。一つは「公共性」、二つ目は「教育と市民参加」というふうになっているんですね。これは、「すべての人に、持続可能な交通に関する意思決定の全過程にかかわり、かつ参加する権利が与えられる」となっています。私たちが日常使う交通というのは、市民がどういう交通になっているのか、どこをどう走らせるのか、どんなダイヤを組むのか、すべてに市民が関わる権利があるんだということをOECDの国際会議がいっているんですね。このまま当てはめるかどうかは別にして、こういう考え方も世界の一つの流れになっているんだということを、私たちはつかんでおきたいと思います。
この「委員会」ですが、「提言2」で「委員会は、以下の諸問題を検討することを求めます」と書きまして、(1)北陸新幹線開業後の県内公共交通網のビジョンについて、(2)公共交通を軸とするまちづくりのビジョンについて、(3)交通権確立のためのビジョンについて、というふうに検討していく方向について大まかに書きました。
「交通権」については資料の6ページ、これは昨年の6月にありましたシンポジウムで、東北本線を守る会の山火さんが出された資料を出しておきました。それから7ページ、8ページですが、これは交通権学会の「トランポート21」というニュースがありますが、その中に出ていたものをそのままコピーいたしました。これは民主党が交通基本権制定ワーキングチームを作りまして、そこで出されているものです。
私たちの「提言」の中では、こういう世界の、日本の将来を展望した流れがあることを踏まえまして、「交通権」確立のビジョンというのを、もう一つ踏み込んでもいいのではないか。つまり、「条例」という形で、または国に「交通基本権」という形で求めていくこともありうるんではないか。もし「交通権」の考え方で「条例」ができれば、北陸新幹線が通って北陸本線が三セクになっても、しっかりとした住民の立場に立った歯止めをかけることが出来るのではないかと思います。
つぎに「提言3」に入ります。富山県は北陸本線は残す、第三セクターで残すといっています。これは昨年、私たちがこの「会」を発足させるときに、富山県に対して公開質問状を出しましたが、その中でも県は答えています。
しかし、北陸本線の利用者、県民の立場からみれば、今後の方向は三つの難問といいますか、三つのクリアすべき課題、それと一つの欠陥があるのではないかと思います。
三つのクリアすべき課題とは、一つは、JR経営から北陸本線が分離した場合に、第三セクター鉄道の経営は赤字を免れないということです。自治体の支援がなければほとんど赤字だということです。自治体の財政負担だけが増えていくという報告もあります。二つ目はこの財政問題と絡みますが、県境で鉄道が分断される可能性もあるということです。
それから三つ目は、今の北陸本線の施設、設備の問題ですが、北陸本線が完全電化になったのが1965年の9月ですね、それから、北陸本線が全線複線化になったのが69年の10月だと思いますが、それから約40年たっています。これは事務局会議の議論ですが、そのことを話ししていましたら、「第三セクターにボロを買わせる気か」とぼそっと言った方がいましたけれども、老朽化しているということは確かなようです。そういう問題があります。
それから、一つの欠陥と言うのは,北陸本線をJRから分離した場合の第三セクター鉄道ということで、県民の合意が本当に図られているのか、という問題があります。
そこで、今の時点でわれわれが何を議論していったらいいのか、ということで「提言3」は四つのことを書きました。その説明に入る前に資料11ページを見ていただきたいのですが、この11ページは「しなの鉄道」、それから12月1日から運行されます「いわて銀河鉄道」「青森の青い森鉄道」この3社についていろんな角度から、報道されているものと、さらには私が実際に調査に行ったとき手に入れた資料をもとにして作った表です。12ページの「運賃」というところを見ていただきたいのですが、「しなの鉄道」の場合には開業するときにJR運賃の水準を守っていくということにしました。しかし、赤字が膨れ上がっていく、その欄の一番下の「その他特記事項」という欄ですが、2000年度は4億1400万円の赤字、4年間の累積赤字は21億円になるというのが出ています。真ん中の「いわて銀河鉄道」ですが、JRと比べて運賃は、普通運賃で現行の1.58倍になる、通学定期は1.99倍、2倍になるというんですね。いきなり学生にいまの2倍の通学定期を背負わせたんでは大変なことだということで、激変緩和措置を2005年までとるということで1.35倍に抑制するということになっています。青森県の「青い森鉄道」は普通運賃は1.37倍です。「その他特記事項」の欄を見ていただきたいのですが、岩手県の方は当初14年目で黒字になるだろうと想定していたんですが、運賃のことも考えると黒字になるのが19年目だというふうに試算せざるを得なくなっています。右側の青森県の方は開業5年目でおよそ1億1千万円の赤字になると見ています。
それから、15ページを見ていただきたいのですが、これは九州新幹線です。この10月に第三セクター鉄道を発足させました。区間は川内〜八代間、川内と書いて「せんだい」というそうですが、この運賃のところを見ますと、現行JR運賃の2倍にしても赤字になると試算しています。私たちはこういう現実をみなければならない。
そこでどう考えていくかということをいろいろ議論してきました。資料の4ページ<3―3>をみていただきたい。「運輸と経済」9月号に「しなの鉄道の経営改革と新幹線並行在来線問題」というので、作新学院大学の石井春夫教授が論文を載せています。この論文から抜粋しておきましたが、「欧米では、地域交通の維持・存続に対して、国の責任、事業者の責任が明らかにされている場合が多く、わが国においても『セーフテイ―ネット』を構築する上で、国の関与は避けて通れない」「第一に、国は総合交通体系における地方交通、とりわけ地方鉄道のあり方に関して総合ビジョンを示さなければならない」「第二は、並行在来線の下部インフラについて、3分の2程度を必要最小限とする公的負担制度を確立し、国がその2分の1を負担する」国の補助を大きく求めたわけです。この石井さんは、資料<3―4>に書いてある「しなの鉄道経営対策委員会」の責任者になっておられます。この「しなの鉄道経営対策委員会」が昨年の4月国に対しての「提言」を発表しています。それは三つあります。石井さんの論文とほぼ同じですが、@は総合交通体系における地方鉄道交通のあり方に関してのビジョンを示すこと、A平行在来線の下部インフラについて、3分の2程度を必要最小限度とする公的負担制度を確立し、国がその2分の1を負担するとともに、地方負担分について地方交付税参入等所要の財政措置を講ずること、B省エネ型車両への更新、ホーム嵩上げ、車両更新などへの補助制度の創設、拡大することなどを、国に求めています。
昨日「北日本新聞」をみましたらこういう記事が載っていました。21日に自民党の新幹線促進特別委員会というのがあったのですが、その中で森前首相が「並行在来線は地方在来線を転換させる大問題だ。JRから切り離す判断をした責任は与党にある」こういっています。そして野沢委員長が「整備新幹線と並行在来線が共存、共栄が出来るルールが必要だ」という短い記事がありました。
私たちは考え方としては、北陸新幹線は国が責任を持って進めるものだというところをはっきりさせようではないか、第三セクター会社の経営が成り立つよう、やはり国に財政的支援を求めていくべきではないか、線路・電路・施設などや車両の更新、大規模災害対策などをカッコ書きで示しておきましたが、議論はしていきたいと思います。
資料の最後のページを見て欲しいのですが、第三セクター鉄道に対する国の補助はどうなっているのか調べてみました。6本ありました。これは香川正俊さん、熊本学院大学の先生が書かれた本からとったものですが、6本のうち(4)(5)(6)が並行在来線にも適用されるだろうというふうに考えられます。(4)のところに近代化とありますが、近代化設備補助制度というのは、その制度を最大限に活用して出来た鉄道は北越北線なんですね。その中で香川さんがいうのですね。(4)のBで改定鉄道事業法、鉄道事業法が変わりまして、いま可部線で大きな問題になっていますが、バスと一緒で撤退するにしても参入するにしても、鉄道会社側の自由だということになっているわけです。そうなりますと将来もこの制度が維持されるかどうか、不安だというんですね。それから災害補償制度というのがまったくないのかといえば、あるのですね。それが(5)です。香川さんも言っておられますが、補助率は不十分だ、それから地方自治体にも負担させることにもなっていますし、それから災害復旧中の営業損失は補填しないとなっている、こういう問題もあるのではないかということです。九州では台風の通過というのが多いところで、災害対策に国の補助を求める声も大きくなっています。その他に、新幹線建設は地方財政に大きな負担だという問題もありますが、それも資料の中に出しておきましたので読んでいただければと思います。
時間がなくなりました。急ぎます。
「提言3」の(2)ですが、県境で分断されるのではないか、という心配はず〜とついて回っているのですね。資料5ページの<3―8>をみていただきたいのですが、今年5月の県議会での土木部長の発言が新聞に出ていました。「県境を越えた経営に関しては、『各県で輸送量に差があり、各県ごとに営業収支を考えることが基本』といっています。つまり、県ごとに分断される可能性もあるということです。実際に東北本線は岩手、青森の両県に分断されました。線路はつながっていますが県境分離の別会社です。それから九州はどうかですが、先ほどの九州の資料を見ていただきたいのですが、ページ15です。九州は熊本県と鹿児島県をつなぐことになりました。ところがよく調べていきますと、車両のところですが、電気ではなくデイーゼル車両を走らせる、では貨物はどうなるのか、と言いますと、電化設備は残して貨物が通るときだけ電気を通すということを考えています。これは一体どうなるのか心配がでてきました。
いずれにしても、「県境分離」ということが、北陸本線でどうなるのかが大きな問題になってきている。青森県では、第三セクターの負担をいかに軽くするかということで、いろいろ考えられてきました。資料12ページの下の方の経営形態の欄で、公設民営(上下分離方式)をとることになりました。線路、電路、駅舎などの鉄道施設は県が担う、というふうにしたんですね。
「提言3」の(2)では、「北陸本線は、県境で分離する第三セクター鉄道とはせず、経営が成り立つ見通しがたつまで、JRでの経営を続けることを求めます」ということになりました。(3)、(4)は一体のものです。自動車がこれだけ増えてくる中で鉄道に対する認識もだんだん薄れてくる状況がある中で、「乗って活気を、載せて発展」は、表現としてどうかは別にしまして、こういう運動は必要だろうと、私たちは考えました。
第三セクター鉄道は極端な形で人員削減が行なわれてきますし、安全問題についてもさまざまな不安があります。そこで資料5ページの<3―5>をみていただきたいのですが、これは国労富山県支部が調べた資料です。JR職員の数ですね、1986年、つまり「分割・民営化」のときですね、国鉄最後の年ですが、それから2000年の人員です。本線545人が今160人になった、もっと減るかもしれません。そんなことを考えますと、どうしても、県民の中での残す合意というものをやって、みんなで守っていくということが必要になってきている。万葉線の経験に大いに学びながら、住民要求に沿った形で第三セクター鉄道が運営されていく方向を、追及していきたいと思います。
そこで「提言3」の(4)ですが、「北陸新幹線が開業すれば、接続する北陸本線やJR支線は、集客の役割を果たすことになります。列車本数を増やすことや駅などの利便性の向上を求めます」ということでまとめて見ました。
最後に、この「提言」を、これからどうするかは、先ほど稲葉さんが提起されましたので、その方向で皆さんの論議を受けて、今後の活動をすすめていきたいと思います。以上で私の報告とします。
 
司会 酒井世話人
どうもありがとうございました。少し長い報告で、皆さんお疲れになられたのではないかと思いますが、引き続き、武山先生の方からご報告をおねがいいたします。
 
 
武山良三代表世話人(国立高岡短期大学教授)
 みなさん、こんにちは。世話人をやっています、武山です。
今、「提言」があったんですが、私のほうから二つほどお話をさせていただきます。
 まずはじめに、「提言1」で出てくる「交通権」についてですが、「交通権」はどこから出てきたのか調べてみますと,1982年にフランスで関連の法律が制定されたということで、それを受けた形で日本の方でも交通権学会が設立されまして、今日の資料に乗っているように研究会というような会をつくったという流れができました。
なぜフランスで、そういう法律が出来たのかという背景を調べてみたところ、フランスでも1800年の後半から路面電車が全国各地で作られまして、ピーク時には70都市で作られたのです。ところがモータリィゼーション等々でどんどん廃止になっていってなんと3都市までになったと、日本では19都市20路線ですが、はるかに少なくなってしまったわけです。その時の車への依存度について数値が出ていますが、それが75%に達していたということなんですね。富山の方ではトリップ調査で72.2%の方が車を第一手段にしているという調査結果がでていますが、どうも70%を超えてくると、そろそろ問題がでてきて、75%というのはもう立ち行かんぞと、という数値ではないのかなと、でヨーロッパでは、たとえばフランスでありドイツであったりといったところが、交通の形態を見直している。いくところまでいって問題が深刻化したというのがきっかけになったのだろうと思います。
その後、新しい路面電車的を都市交通の主力にしようという方針が出来て、実際に新しい技術を投入した、そして乗りやすく快適な低床式の路面電車が出てきたわけです。85年あたりからなんと、初めどんどん新しいタイプが作られまして、2002年の段階で12都市ぐらい復活している。3都市から12都市まで復活しまして、今計画中の7都市を入れますとなんと30都市で新しい形の路面電車整備が計画されている。
それにともなって町はどうなっているかといいますと、その象徴とされているのがストラスブールという都市ですが、これはいろんなところで資料が紹介されているので、ご存知の方もおられると思いますが、非常に綺麗なデザインの車両を導入して、中心市街地が閑古鳥が鳴いていたのが、路面電車によって賑わいが戻って町そのものが活性化していると、世界中からあの町に住んでみたいな、行ってみたいなということでお客さんがこられる、そういう状況です。
私は、ヨーロッパの方が何でもいいと言うつもりはないですが、われわれが今、洋服をきて生活をしている、さらには、たとえば日本では法律が明治維新のあとでドイツを手本に導入したりしてきた。われわれの生活と言うのは、西欧から来た部分におっているところが非常に大きいと思うです。その中で西欧では、すでに車による公害の問題、あるいは中心市街地の衰退、など全て経験されて、一足先を行っているのではないかということです。そういうところの事例、成功しているところが事実としてあるわけですから、われわれもこういったポイントを充分に学び取ってこれからの生活といいますか、誰でも自由に出かけられるという社会を作っていったらいいのではないかと思います。
この法律と言うのはアメリカの方で、AGA法といって、人権保護の立場から、どんな人でも自由に出かけられる環境を作りましょうということで、法律が制定されましてもう10年近く経ち、あっという間に変わりました。たまにアメリカに旅行に行くんですが、私はもともとパソコンなど重い荷物を持って歩くものですから、キャスターつきのバックを使う時、駅のバリアフリー化についてよく実感します。東京駅に着いて、新幹線に乗り換えのとき、重い荷物を持ち上げなければならない、地下鉄に乗り換えるときもそうです。このように日本ではまだまだ進んでいないわけですが、最近アメリカではそんな不自由はせず、キャスターつきバックを引いたまま移動できます。
「交通権」ということになりますと、すぐに障害者だとか、高齢者という話が出るのですが、全然そんなことはなくて、一般の市民も交通権を持っているのだというふうにいえると思います。
 たとえば私、今日ここに来るときにちょうど良い電車がなくて、特急に乗ってきました。高岡から1,050円ですね。320円でいけるところを何で1,050円も出さなければいかんのかと。1時間に1本あるかないかという各駅停車、これで新幹線が来たってどうなるのでしょう。新幹線が開業すると、もし今日のような状態、ここに参加をしたいな、車を乗ってくるのを止めようと、朝から歩いて、新高岡駅なるものまで行って、新幹線に乗ってこなければならないと、もう気力は残ってないでしょうね、とうすると、総会も出席者が何人か減ってくる。どんどんつまらない集まりになっていくことになるのではないかと思います。
話が変わりますが、私の専攻はデザインでして、人の考えないような、いろんな利便性の高いものを作っていく、ということをいろいろやっているわけですが、人と言うのは前例のないものは考えることが出来ない、というのが私の持論なんですよ。たとえばみなさんに宇宙人を想像してみてください。SF映画を作るつもりで、なんか突拍子もない宇宙人を考えて見てください、すると皆さん、どんな宇宙人を考えられますか。どうでしょうかね。
 われわれの世代は、たいてい火星人が出てきまして、蛸みたいなやつが出て来てふにゃふにゃと動く。どうも宇宙人なんだから、頭脳が発達していそうなんだから、頭がでかいのではないだろうかなどと思うわけですね。昨今の子供たちは、からだが割りと小さくて、頭が大きくて目だけが異常に発達した、そういうのを描きますね。これは明らかに映画やテレビCMの影響です。ETでは指の長い宇宙人が登場しますが、実際、最近パソコンでマウスなんかを使いまして、マウスで人差し指ばっかり使っているんですね。これがどんどん発達していけば、これがどうも100年後、10万年後になると、指先だけの人間が出てくるということがありえるかもしれません。
いずれにしても、自然のもの、あるいはわれわれ、たとえば体に根付いたこと、そういったところから発想が生まれるし、世の中の技術というのも結構それに近いな、と私は思っているのです。何がいいたいかと言うと、都市交通の問題なんかもそういう問題にたとえると非常に解りやすい、これはよく言われることですけども、町を人にたとえたらどうなるのという事です。たとえば、心臓は人が行き交い賑わう駅前を想像するわけですね、そこから道が続いて人が行き交う、それが血管ではないかと、で、人間の血管と言うのは心臓から大動脈という2センチぐらいある太いのが出て来まして、それから毛細血管にいく赤血球というのは、だいたい7ミクロンから7.5ミクロンと書かれているのですが、これが毛細血管を走っているわけです、一番端の方に行くと2ミクロンの細い血管があるらしいのです。驚いたことに血管と言うのは9万6千キロ、人体の中の全部の血管を合わせると地球を2周半ぐらいするらしいのですが、それぐらいの量の血管がわれわれの体の中にあるわけですが、そのうちの90%が毛細血管だそうです。要するに手足がちゃんと動くということは、毛細血管というものすごい細い血管の中に、ちゃんと血液が通っている、ということではじめて手足が動くのですね。これというのは全く町と一緒ではないかなあと。町の隅々に人が運ばれてはじめてそこが賑わうのであって、酸素がいかないところはそこはただの草地だけのところになるのではないかと思います。これは一番解りやすい事実だと思います。人間のメカニズムというのは必ず真理をついていると思いますので、人間のメカニズムに近づけることが、都市がうまく機能させるための一つの知恵ではないかと思います。で、車がどんどん出していく排気ガス、これはコルステロールではないか、みなさんもご存知のように、さらさらの血液がどろどろの血になって9万6千キロの血液の中を流れている、これが続くと健康障害になっていくと。なんか体調が悪くても車に乗ってしまうという状況になる訳です。病名は忘れましたが、血管が4センチぐらいになる、それって道路を拡張するのと一緒で、交通量が多くてどんどん道を拡張するわけです。そしてどうなるか、破裂するのですね。死ぬんです。こういったことでいかにネットワークが必要かと、新幹線が来る、これは当然大動脈な訳で、新幹線は必要なものだと僕は思うわけですが、それを支えるための毛細血管、コミュニティバスや路線バスがちゃんと動いてこそ、大動脈も生きてくることは明らかですね。とりあえず、交通網というものを再編することがこれからの交通問題を考えるうえでは大きな課題になるのではないかと思います。 第三セクターという話で行きますと、万葉線が一足先に第三セクター化されまして半年が経ちました。新聞紙上でも発表がありましたが、乗客、運賃収入ともに微増ということでありまして、5%程度ですか増えていると。デビュー効果でどーんと増えて、後はちょろちょろとなってしまうより、5%ぐらいの増というのは僕は堅実な健闘しているのではないかと思っています。問題は来年度といいますか、低床式車両がその次ぎの年に入るということですが、それまでの1年間をどこまでしのげるかということが非常に大きな問題になってくるということです。万葉線も地域のみなさんがそっぽを向きまして、廃線にしてしまえというところまで行ったわけですが、そこで、わが高岡短大の同輩は、懇話会で万葉線は、JR支線を含めた公共交通の試金石でなんだと、あんたたちこんなもん万葉線を壊していいのかね、JR支線どうするの、ということを言われて、はっとしてみなさん考えていただいた、そして何とか存続につながった、そのことはいまだに変わっていないわけです。
万葉線が1年そこそこで赤字になった、乗客が離れたということにならば、そら見たことか、そんなもん5年、10年先の話はないよということになろうかと思うわけです。ということはやはりいろんな運動をしていると思うんですがそういう人たちがちゃんとネットワークを作ってお互いに支援しあう、例えば新湊の子供たちが万葉線に乗って遠足をする、逆に高岡の小学生が新湊に行って交流をする、そういうふうに公共交通を使うとか、そういうことをどんどん進めていかないと、笛吹けど太鼓踊らずになるんではないかとおもいます。
最近は「するっと関西」、そして東京の「パスネット」のような共通券が出てきています、関西の方ではついに在阪各社とJRが手緒結んでIC型のカードを作ろうとしています。こういったことを、富山県内でも実施したい。ま、ゴールデンウィークの時には「ゴールデンウィークパス」といって、JRから地鉄から万葉線など乗りたい放題、ご家族で乗ってくださいということをぜひやりたい、それが公共交通を活性化することになろうかと思いますので、そのためにはやはり関連の方々が集まった組織というものを出来ない限り、無理ではないかなあーと、それぞれがそれぞれの分担をしながら、横断的に連絡を取り合うようなシステム作りをしていきたいなと思います。どうもありがとうございました。
 
司会 酒井世話人
どうもありがとうございました。先生の話は何回か聞いたことがあるのですが、血液の中の交通問題まで研究されている話は、今回はじめて聞かせていただきました。
引き続いて、岡本先生の方からお願いいたします。
 
岡本勝規世話人(富山商船高専講師)
始めまして、富山商船高専の岡本と申します。会の世話人をさせていただいています。よろしくお願いします。
私がお話させていただきますのは、貨物の話です。先ほどの「提言」の中に、新幹線が開通することによって在来線が損なわれることになれば、人、それから貨物などが道路に流れていってしまう、ということが「提言」の1に盛り込まれています。そうなりますと、混雑だとか大気汚染など、ややこしい問題が起こってそれに対応して新たな投資が必要になり、余計な赤字が予想されます。特に、恐ろしいのが、北陸本線というのは関西と東北、北海道方面を結ぶ大動脈で、貨物輸送にとって大動脈になっているという点です。その機能が損なわれることになる訳です。特に、糸魚川・魚津間が大変心配です。
信越本線のように、線路をぶった切ってしまう、それでほんまにいいんかという気がしますが、そのようなことになってしまえば大変なことになります。信越本線のことは、あまり詳しくは知りませんが、北陸本線では大変な貨物の取り扱い量があります。北陸本線の金沢支社管内にたくさんの貨物駅が存在して、パルプの貨物、コンテナ貨物、いっぱい扱っています。したがって、この地域発の貨物がたくさんあるわけですね。どこか他からやってきてほかに行く貨物というのは、たとえば北陸本線を通うらなくてもほかのところを迂回していくことも可能ですが、しかしながら北陸地域から出て行く貨物は北陸本線を使わなきゃならないわけです。それが出来なくなると大変なことになるわけですね。
みなさんのお手元にお配りした資料は、非常に大ざっぱな計算をやって見たものですが、どういう計算かといいますと、平成12年度に、JR金沢管内で取り扱った貨物が、ごっそりトラックに移ってしまったらどうなるか、北陸の外へ持ち出すには鉄道が使えないから、仕方なくトラックで、という事態になったらどうなるか、ということを計算してみました。
資料の下のほうに※でいっぱい条件が書いてあって、この条件の中には適切でない部分があるわけですが、たとえばトラック換算とか、全部25トントラックに載せて最大積載量は一応16トンぐらい、15.75トンなんですが、これに全部載せることにしましょう、という乱暴な換算をやっています。実際は必ずしも25トンに載せるわけではないのです。現実には過積載というのが恒常化しています。25トントラックで最大積載量が16トンぐらい、25トントラックに25トンを積んで平然と走っているという時代でございますので、必ずしもこの数字が正しいとは限らないわけですけれども、一応これにそって計算をしてみたわけです。
それから、移動距離にも乱暴なところがありまして、本来ならば、たとえば南福井から出てどこへ持っていくのか、考えなければいけないわけですが、どこに持っていくのか正しく把握することが出来ませんでしたので、北陸本線内、たとえば米原へ、直江津へという距離で計算をしています。実際にはもっと移動距離が長くなるはずです。こうした乱暴な条件の中で計算をしてみたということを前提の上で、それと、トラック1台走って1キロあたりどれくらい費用がかかるのかというのも下にある事例をもとに行ないました。いろんな計算の仕方があって、この計算方法が正しいという計算方法ではないのですが、これを代表例として使ってみました。
 これを見ていただきますと、主だったものとして6つほどあります。
たとえば大気汚染対策、これはトラックが走ることによって、大気汚染物質というのが発生する、発生する。それをなんか抑制しなければいけないという対策です。また、トラックが走り回ると二酸化炭素が発生しますので、それを抑制していかなければいけない。鉄道から発生する二酸化炭素と比べてトラックから大変多くでますから、温暖化を助長することは大な訳です。
それから騒音対策。これは鉄道でも騒音がでますが、大きなトラックは大変大きな騒音を出します、それから振動もありますね。私は商船高専の宿舎に住んでいますが、その前に立派な道があり、将来的には新湊大橋につながって東西に走る立派な道路になるようですが、よく前を木材を満載したトラックが走っていきます。そうすると私の住んでいる家が揺れるのですよ。単なる地震ですと近辺に住んでいるキジがばたばたと騒ぐので地震と解るのですが、揺れてもキジが反応しない場合は、トラックの揺れだと言う感じです。
4番目には交通事故対策というのがあります。たとえば科学技術が発展して、CO2を出さない車、あるいは汚染物質を全く出さない車、化石燃料を燃やさない車、そういった車が誕生するかも知れません。しかしそういった車が誕生しても絶対に解決しないのが交通事故で、要するに、車と人がぶつかると人が死ぬ。この問題が深刻なことです。
よく車の場合は、環境汚染だとか気候変動だとかよくいわれますけれども、交通事故対策をもう少し考えてみてもいいのではないかと思います。交通事故が発生すれば死亡する場合がありますから、そういったことを考えてみますと、路面電車があることによって、自動車による交通事故が減っているとも言えます。その計算方法もあるくらいですから、交通事故というものについてもう少し深刻に考えてもいいと思います。
自動車利用者負担についても、自動車が走ることによって、道路であるとか、交通信号であるとか、さまざまなインフラな整備が要求されるわけです。自動車を利用されている方々がそれらのインフラ整備のために支払っているお金というのは、全てではないのですね、車両の重量税とか、ガソリン税とか負担はしていただいておりますが、それだけで賄えない。賄えない部分を社会が別途負担しているわけです。その部分がトラックが増えることによってより増えるだろうと。
公害対策です。特にトラックなどは、コストダウンをはかって高速道路を走らずに一般道をどんどん走るということがありますので、高速道路があるからいいではないかという話にはなかなかならないと思います。
この様な項目で下のような社会的費用の計算を無理やりやってみました。それによると大気汚染対策では、8億円5千万円相当の社会的に費用がかかるだろう、それから気候変動、騒音対策、交通事故対策、それから自動車維持費の負担部分などでは約1億円づつかかって来るだろう。
最後に交通事故対策に2億円ぐらい余計に費用がかかるだろう。合計15億円程度社会的費用がかかるだろうと無理やり予想してみました。
要するに、新幹線が建設されて、それと引き替えに在来線を切ってしまった場合、在来線を切ることは効率が悪いからだ。というふうに説明されてきました。要するに、儲からないから、効率が悪いから、したがって切るのだ。しかしこのように計算をして見ますと、どこが効率が悪いのか、余計に悪くなるのではないか、ということが言えるわけです。残した方がよっぽど効率がいいのではないかといえるわけです。
ただ、残念ながらこのような考え方は理解していただけない、特に事業を行なっている人たちにとっては理解してもらえない。というのも、事業者が必ずしも負担するわけでない。社会的な費用では外部経済の性格を持つもので、外側の人間に負担させるわけで、利用者に負担をさせるわけでなく、事業者に負担させるわけでなく、われわれの税金などから負担していくわけですから、結局うやむやのうちに騙されてしまうことになってしまう訳です。もし、効率だとか、あるいは採算性だとかというのであればもう、このあたりまで踏み込んで問題を整理していってはどうかと考えるわけです。
最近では、新潟の方に臨海臨海鉄道という貨物用の鉄道があったのですが、9月31日に廃止になってしまいました。理由は港の拡張によって新しく水路を作る、そのために線路を切ってしまわなければならない、そのために採算性が悪くなるから止めてしまえ、という感じで話になったそうですが、そこは年間で20万トンぐらいの貨物が輸送されていたそうですが、廃止になることによってその部分がトラックに移るわけですね。環境面などから社会的費用がかかるわけですが、その分は考えずに効率が悪いという一言で切り捨てる。余計に効率が悪くなっているわけですね。社会全体を考えてみた場合に。
で、効率というものは一体どう考えるべきなのか。こういった費用の面だけで終わってしまっていいのだろうかと、ということをもっと視野を広げて効率というものを考えてみれば理性的判断が出来るではないかというように考えるのです。一つの参考として、こういった数字なんかも説得力のある武器として使って「提言」をより進めていきたいと考えています。
 
 
 
司会 酒井世話人
どうもありがとうございました。それでは、最初に会の方の経過報告や渡辺さん、武山先生、岡本先生からの「提言」があったわけですが、これら全体について皆さん方のご意見や質問などがありましたらお受けしたいと思います。
 
<会場発言>
少し遅れてきましたので、はじめの方で説明があったかもしれませんが、「よくする会」としてインターネットでホームページを開いていますが、その感想ですが、一面はまことに明るい、空の風景画がバックに入り、何か雲の上の「会」と言う気がして、もっと地についたバックに、蒸気機関車が走っている絵だとかというのがいいのではないかと言う気がしたわけです。私は正直言いましてほとんどJRに乗ったことがない、ほとんど自家用車で飛んで歩いていますが、高山線を見ていますと、だんだん列車本数が減りましたね。それから八尾の関係なんかを見ていますと、県下で初めてですか、コミニティバスを走らせていますが、先ほど毛細血管まで血が届いていると言う話の中で、確かに地方自治体でバスを走らせているわけ。地域の公共交通を、山の上まで走らせているこのことに私自身もう少し関心を持っていかなければならないなと思っています。
 
司会 酒井世話人
ありがとうございました。他にございませんか。
 
<会場発言>
今日、糸魚川から出てきたんですが、「大糸線にSLを走らせる会」の者です。
私は、関東に40年住んでいて、本当に40年ぶりに5年前に糸魚川にもどってきたのですが、糸魚川が非常にさびれていると言うことで、何か元気になるために何かしたいと思って、それで、糸魚川の町を活性化するために、何をしたらいいと。一生懸命、歴代の市長さんは箱物を作ってきたけれども、何かミュージアム一つ作っても、それで観光客がどれだけ来るか、糸魚川を見れば観光客が少ないと言うことで、じゃ、この大糸沿線は温泉と山とスキー場と観光地を結んでいて、すばらしい景観の路線だということで、このローカル線にSLを持ってきたら、この糸魚川に人が集まるのではないかということ、会をかってに作って周りの人を巻き込んで、作って5年です。
いまほど、ほとんど車を利用することが多くて、鉄道を利用しなくなっていると言うお話がありましたけれども、やはり糸魚川近郊の人たちも、ほとんど日常生活の中では、東京へ行く以外は、鉄道を利用しない、車でほとんど、新潟も、富山も金沢も車で行く生活になっているわけです。
ですから、新幹線が10年後に走ると言う中で、北陸線は第三セクターに、大糸線は廃線と言う方向が、2ヶ月前ですか、新潟県知事が来て、「北陸線は第三セクターで考えるけれども、大糸線は第三セクターも考えないよ」と言うことを言って帰っていったんですけれども、大糸線が廃線になるという方向が知事によってはっきり示されても、糸魚川周辺の人は何ら反応しない、しょうがないかなあ−と言う中でみなさん受け止めているわけなんですね。
私は糸魚川に戻ってから、運転免許がないもので、自分はよく金沢とか富山とか新潟に行くのに、新潟へは高速バス、そして富山や金沢へは鉄道に乗ることが多いのですが、木曾とか白馬、松本とか好きなものですから、よく大糸線に乗るんですね。非常に乗り換えが不便ですね。つい先日、友達を送って大町まで行ったら、帰る列車がないんですね。15分前に発車した後だったですね。時刻表を見たら1時間半後にあるんで、喫茶店に入って待った後、その列車に乗ったんですが、大町で1時間半待ってやっと乗ったと思ったら、南小谷まで1時間半ぐらい乗ってついたのですが、南小谷終点で、糸魚川まで行く接続列車がないんですね。次ぎの列車を見たら2時間待つんですね。ビックリしました。
大町までスムーズに行くときはそんなにかからないのに、乗る時間の方が待つ時間より長いのはなんだろうと思ったんですが、もう大町から4時間ぐらいたっていたんで、友達に電話をして車で迎えに来てもらったんですよね。車だと糸魚川から40分ですから、糸魚川から40分かかってきた友達に乗せて貰ったら、2時間待つ列車より早く糸魚川に着くという奇妙な現象ですが、鉄道と言うのは誰でもが乗れて、安全で低料金でと言うのが昔の国鉄、今は他の何よりも安全で安心で低価格でと言うことが、全て崩れているんではないかと思っています。
私が木曾が好きですが、「青春切符」愛用者ですが、いま鉄道を一番愛しているのが青春切符を利用する人だと思いますが、青春切符は若い人のものだと思っている人が多いのですが、いま利用している人は圧倒的に年金者なんですね。私も年金生活者ですが、とにかく青春切符愛用だと言うんですね、列車で隣り合わせになったり向かい合わせになった人はみんな年金生活者なんですよ、話を聞いて見ますと名古屋とか奈良とか関西、関東を問わず年金生活者ですね。JRは悪くなったのですが、青春切符を残しているのが唯一いい点と思っているのですが、その人たちもやっぱり青春切符は普通列車しか乗れないわけですから、ぶつぶつに切れている普通列車しか乗れないわけですから、不便さを感じているのですけれども、それはしょうがないから、上手に接続が3時間あろうが、4時間あろうが上手に途中下車なんかして楽しんでいるから、そういう人にとってはかまわないのです。学生さんなど通学であるとか、通勤であるとか、本当に生活路線として鉄道を利用する人たちにとっては、もはやJRはだめ、ましてや、先ほど報告があったように第三セクターになったらもっともっと本数が減って、もっと不便になるだろう。おそらく、いま試算している赤字よりももっと乗らなくなってもっと赤字が大きくなるのではないか、そして、環境問題がありましたけれども、世界の環境問題とは関係なく、限りなく自動車利用者が増えてくる、この不況の中で賃金がカットされるリストラが進んでいる中で、自動車会社だけが大儲けをしている現実を見ても、結局国の方向と言うのがそういう方向に流れていると言うのが仕方がないかなあと言うふうに思います。
 
司会 酒井世話人
どうもありがとうございました。
 
<会場発言>
6月のシンポジュムで広田君のお話をさせていただきましてありがとうございます。私どもは、広田君以外にもJRを使って通所している障害者にいろいろ協力をしていただきたいと思っているんですが、なぜかと言えば、たとえば、私どもは旅行視察をよくするのですけれども、JRを利用しまして越後湯沢の温泉に入りに行ったりだとか、京都市に旅行に行ったりだとかするのですが、また、前はサテイーにショッピングに行きたいというので、ローカル線を使って行ったりだとかと言うことはございますが、何が私らにとって一番問題かといいますと、段差が有るだとか、無いとか、階段が有るとか無いとかという施設の問題でなくて、私たちが車イスの人たちを上げたり下げたりするとき、必ず日本の中では嫌疑する、そういう顔をされると、すごくつらい思いをします。広田君もそういうのを乗り越えて、何年もかけて周りの協力を得てきたわけです。
ローカル線などを利用したときは、その車両のみなさんにどうもご迷惑をおかけしましたと声をかけて降りたりするのですが、何でこういうことを言わなければならないのかと、いつも思います。で、武山先生もよく海外にいらっしゃって、ごらんになることが時々あると思うんですが、電車であるとか、バスであるとか、盲導犬を連れた人が車両に入ってきたときとか、車椅子の方が乗り降りされたりとか、私も何度か海外でそういう場面を見るのですが、周りの人がすごく自然なんですね。私だけがじっと見ていて後から恥ずかしくなることが有るんですけれども、この日本の中で、車椅子の人が乗ってきたときに、そうした顔をする人が少なくなるように、私達障害者の人たちが率先してバスとか電車に乗ることで、一人一人の方々の意識を変えていただけたらいいなあーと言うので、利用しています。どんなに綺麗な電車が走ろうが、どんなに綺麗な列車が出来ようが、一般の人々の意識が変わらなければ解決につながらないと私たちは思っています。
 
司会 酒井世話人
ほかにありませんか。
 
<会場発言>
私は富山市内の高校の教師ですが、ローカル線の問題で高岡方面の高校生の集会が新聞の記事で大きく取り上げられているのですが、富山地区はどうなのかいうことと、何年か前から県内の高校生の通学のマナーが悪いと言うことで、高P連だとか指導課などが指導を行なっているのですが、この会として高校生にアンケートをとられたそうですが、どこでどのようにされたのかお聞きしたい。私たちは今後そうした活動について何らかの協力が出来るのではないかと思います。
 
司会 酒井世話人
何人かの方から、意見やご質問がありましたが、発言者の方でご質問に対するお答えと言いますか、ご意見がありましたらどなたからでも発言をお願いします。
 
渡辺眞一世話人
 ホームページは更新しましたのでよろしくお願いします。蒸気機関車の写真と思ったのですが、適当なものがありませんでしたので。
 6月のシンポジウムの時に、ある高校の2年生2クラスの生徒にアンケートの協力をいただきました。これは世話人会の中でずいぶん議論がありまして、いちばん列車を利用するのは誰なのか、バスを利用するのは誰か、それは高校生だと言うことで、さらに全県から人が集まるのはどこだろうと言うことで、その高校を選んだわけです。これは直接校長を訪ねましてお願いをしました。その校長はJRを利用している方で協力をもらえたのではないかと思います。それから、アンケート結果については、富山県の教育長にもお会いしまして、結果についてお渡しをしました。教育長は前の企画部長で、新幹線・在来線問題の担当者であったわけですね。その関係で国労の稲葉さんといろんな事でお話をしていた経緯がありまして、教育委員会にも協力をして頂くことになったわけです。
 いずれにしても、いちばん公共交通を利用する学生、生徒の方をこの会に組織できればいいなと考えています。
 
武山良三代表世話人(国立高岡短期大学助教授)
 高校生の団体と言うので城端・氷見線の対策協議会が、実際に使っているのが7割が高校生と言う話も出ておりまして、意見を聞こうということで始まったわけですが、万葉線も含めて高岡の場合は行政に非常に情熱を燃やす、モチベーションの高い方がいらっしゃいまして、その方と市民が一緒にやっていると言う構図であると思うんです。
私は出身が関西ですが、関西では市民グループで結構がんばっているところがあるんですが、やはり限界があるんですね。行政の中にそういう担当者がいて、具体的な取り組みの動きを取ってくれることが、かなり大きなウエートになると思います。逆に一歩富山に来ると、行政オンリーみたいな形で、お上の言うとおりみたいなところが多いわけですが、そこで市民がちょと頑張って行政の方とうまくネットワークを作ると、確実に運動と言うのが前に進めることが出来るのではないかと思います。そういう中で教育との関連と言うのがすごく大事なことですし、教育で子供を取り込めるということは親であるお母さん方を取り込めると、公共交通に関心がなくても教育に対して非常に関心が高いと言う構図がありますから、そこだと思うんですね。なかなか電車、バスに乗ってくださいと言ったって自分の問題ではない、ところが各ご家庭で子供の教育の問題と言うふうになると、これが一番関心事になるわけですね。こういうことを含めて運動を進めていかないと、難しいのではないかと思います。
逆に言うと、うまく高校を含めた教育機関と連携してやっていけるといいのではないか。先日対談がありましたが、万葉線の社長は万葉線も変わってきているんだと、高岡短大が入学試験があるから、高岡短大と米島口間1.6キロあるんですが、そこをシャトルバスを走らせ、路面電車に乗ってもらうのだと、言っていましたが、実際に昨日、一昨日と試験がありまして、帰りは200名ぐらいの受験生が乗りまして非常に好評だったんですが、やっぱり学校というのが、人が実際に動くところですから、そういったところで取り組みを続けていくことによって、これが一つのサンプルになるだろう、このサンプルを民間の事業所で展開をしたらどうだろうかと言う発想が必ずでてくるだろうと思いますので、今後もこういう典型を作っていければいいなと思います。
 
岡本勝則世話人(富山商船高専講師)
 高校のアンケートの話が出ましたので、補足を申し上げます。
私は、武山先生が、公共交通は高齢者だけの問題ではなくて、もっと全体的な問題だとおしゃっていらっしゃいましたが、高校生にとってもかなり逼迫した問題だと、アンケートを集計して思ったのです。資料を見ていただきたいのですが、シンポジウムの記録集の方に、高校生のアンケート12ページを見ていただきますと、高校生が普段使っている交通手段と、雨とか雪が降ったときに使っている交通手段が書いてあるわけですが、これを見ていただきますと、一番驚いたのが自家用車送迎という項目があるのですが、晴れているときは5%ですが、5%あると言うことにちょっと驚いたのですが、雨の日になると21%と4倍に膨れ上がるわけです。本来車が運転できない層の方は、すでに成り立たない、それは、車を運転できる人はいいのですが、運転出来ない層が、雨が降るとまともに移動できない。そういう現象がすでにありますので、公共交通の問題と言うのは何も高齢者だけの問題ではない、先ほど武山先生が教育の問題にもあるとおっしゃっておられましたが、これが如実に現れているのではないかと思います。
私、いま勤務している富山商船高専の前を走っている路線バスは、昼間、2時間に1本しか走ってきません。ですから、学校では朝、夕、スクールバスを運行しているわけです。そうでもしないと学生を確保も出来ない、そういう状態になっています。最近新湊市がコミニティバスを走らせていただくことになりましたので、地元の学生が結構利用するようになりました。ようやく打開の目が向いてきたところですが、結構知らない学生もたくさんいますので、せっかく走っているのだから一回ぐらい乗ってスクールバスより速くつくことが出来る、100円でいいのだということをもう少し啓蒙していかなければいけないのかと思っております。
糸魚川からお越しの方から質問がありますが、糸魚川の方から結構富山の方にこられるのですか。(買い物とか、遊びにとかですね、時間にして一時間ですから、特に青海、市振、糸魚川から朝日町入善、魚津まではたくさんの人がでてきています)基本的には車で起こしになられるのでしょうけれでも、(圧倒的に車ですね,買い物したものを車ですと、鉄道と違って便利ですから)ありがとうございます。
 
司会 酒井世話人
いろんな角度からご意見があって、先ほどの報告がさらに膨らんだものになったのではないかと思います。話を次のほうに進めさせていただきます。
 この会の役員である世話人会について、その提案を稲葉さんの方からよろしくお願いします。
 
稲葉世話人
どうもご苦労様です。世話人会の名簿を発表して、提案をしたいと思います。
世話人会は、昨年の結成総会で、選出された方で、奥田先生、奥村先生、武山先生、の3名が代表世話人、そして、大泉さん、北村さん、草さんが昨年と一緒です、今回新たに、6月のシンポジウムでパネラーになっていただき、先ほど発言をされました柳原さんに世話人に加わっていただくことにしたいと思います。さらに、大西さん、岡本さん、酒井さん、渡辺さん、稲葉とこの5名が事務局担当の世話人に、以上12名で世話人会を構成していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 
司会  酒井世話人
世話人の紹介です(略)
別紙 世話人会名簿資料参照
 
今日は好天で家の中にいるのがもったいないという日でしたが、わざわざ総会にお越しいただきましてありがとうございました。最後に閉会のまとめの挨拶を代表世話人の奥村先生からお願いいたします。
 
奥村義雄代表世話人(富山大学教授)
 どうも長い時間ご苦労様でした。これまでの取り組みと当面の取り組みであるこの「提言」を承認していただきました。早速世話人会を持ちましてこれを具体化するように取り組んでいきたいと思います。しかし、「提言」の案については事前に届いていたかと思いますけれども、公共交通をめぐる広範な問題が取り上げられていますし、具体的には県内の交通を総合的に、体系的に研究する委員会を設置しようと言うことではあるのですが、その具体的な内容も多岐にわたっています。さらに、現在の公共交通をめぐる問題も多岐にわたっているわけです。ですから、今日用意いたしました関連の資料も、みなさん方が全部は目をとうしていらっしゃらないのではないかと思います。ですから、一応「提言」の案が承認されましたけれども、もう一度、「提言」の部分、関連の資料等に目をとうしていただいて、ご意見なりご質問があれば、事務局の方にぜひ連絡をいただきたいと思います。基本的には、この「提言」に基づいて取り組みをはじめていくことになると思いますけれども、部分的な修正はこれからでも可能かと思いますので、具体的に修正内容や追加した方がいいと言うことがありましたら、その点について、できるだけ多くの会員の方々のご意見を集約する形で、「提言」をまとめたいと考えていますので、その期日については決めていませんけれども、できるだけ早い機会に事務局の方に連絡をいただきたいと思います。
 今日は、なにぶんにも充分に討論の時間をとることが出来ませんでした。これから具体的な取り組みを行なう中で、会員の方も増やし、またこういう会合への参加者も増やしていきたいと思います。
 今日はどうもご苦労様でした。