本年(2009年)の5月から、復職支援プログラムを開設しました。当クリニックに通院中の方はもとより、他の医療機関に通院しておられる方も、ご参加いただけます。
耐えがたい身体の苦痛は何とかしのげても、心の苦痛は、更に一層耐えがたいといわれます。
休職にいたる過程には、押し潰されそうな心に耐える日々があったことと思います。心を圧迫するストレスは、職場にのみあるとはかぎりません。その人を取り巻く心の内と外とに、錯綜し、複合するストレスや葛藤があり、それらは意識されていることもあれば、無自覚なものもあるだろうと思います。
いずれにしても、心を休ませなければならない状況に立ち至れば、まずは、何よりも静養が必要です。一定の期間の静養と服薬等で、順調に回復していけば、事は簡単です。
しかし、心の回復が遅々として進まないことや、一旦は回復したように見えても、再び、心が重苦しくなることも珍しくはありません。復職支援プログラムは、そうした方々のために役立つことを目標とした集団療法の試みです。
これまで、当クリニックでは、医者と患者、あるいはカウンセラーとクライアントの、1対1の関係の個人療法を試みてきましたが、限界があるのは否めません。その限界を越える試みとして考えられるのが、集団療法です。2008年の8月からその試みをして参りましたが、集団の力には無視し難いものがあると実感しております。
そうした経験を通じて、復職支援にも寄与したいと考えるようになりました。当クリニックが持っている力を、復職支援プログラムに結集させて、休職中の方々のために、可能なかぎりの寄与をしたいと願っています。
当クリニックでは、入口の段階で、精神保健福祉士の面接を受けていただき、復職支援の内容、ご参加いただくことになるまでの手続き等について、ご説明いたします。その結果、復職支援プログラムへの参加を希望される方について、医師の診察を受けていただくことになります。その際、他の医療機関に通院しておられる方は、主治医の許可と紹介状が必要になります。
紹介状(診療情報提供書)の書式は、当クリニックで用意してあります。所定の用紙は、「ダウンロード」をクリックすると、引き出せます。
対象者は、原則的に、「うつ病圏」の方です。
また、他人に攻撃的になったり、不快感を与えたり、迷惑行為をしたりといった集団行動を乱す言動を慎む節度を持っておられること、常識的な協調性を身につけておられること、更に、週に最低3日は出席できる体力と気力を持っておられることなどが要件になります。
以上の要件を重視することから、「統合失調症」、「躁うつ病」、「発達障害(疑いも含む)」、「パーソナリティ障害」の患者さん、あるいは、依存症の問題をお持ちの方(アルコール、薬物、ギャンブル、借金等に関わっている方)については、我々の対応力に懸念がありますので、ご遠慮願っております。
また、在籍中の会社なり団体なりの責任者の許可もいただいておいてください。