§.不況下に蔓延る鼠商人
[「ミソ2つ」に「穴1つ」の鼠商法]
(The Rat Merchants)

−− 2002.12.04 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2005.10.22 改訂

 ■はじめに − 鼠が蔓延(はびこ)って困った話
 所謂鼠講式(※1)のマルチ商法(※1−1)或いはネットワーク商法(※1−2)については皆さんも或る程度ご存知だと思いますが、このページではそれについての私の考えを述べましょう。尚、鼠講は江戸時代に民間で盛んに成った通常の講(※2)とは全く別物、”似て非なる物”です。元々私は”この手”の商法には全く無関心且つ無関係(=他人が何を遣ろうと我関せず)という態度を貫いて来ましたし、今でも貫いて居ます。従って皆さんが今マルチ商法に関わろうと無かろうと我関せずです。
 ところが、私が顔を出す先々の会合や催し −特に不特定多数の参会者が集まる場− に、暫く前(=多分1992〜3年頃)から”この手”の商法の人々が大挙押し掛けて来て閉口させられる事が多く成りました。しかも不特定多数の中で”この手”の人々は互いに顔を見知り、彼等が場の雰囲気を一歩リードする有様です。そして、”その他大勢”の中の一人である私に話し掛けて来て、健康の話に持って行き健康食品(※3)や健康飲料(←定義としては健康食品に含まれる)やその他種々の商品の話を始めるのがお決まりのパターンです。
 そこで”この手”の商法と加入者を、私独自の詳細な見解を開示して一度「裁断」して置く必要が有ると感じ、この論考を独立のページとしました。そして誠に勝手乍ら、後で「解剖」し明らかにしますが、以下の記述では”この手”の商法を鼠商法、加入者を募る組織を鼠組織、加入者(或いは会員)を鼠商人(又は単に)、扱われる商品を鼠商品と呼び記述を進めます。
  {この論考は元々「私の健康論−不摂生は健康の母」の中で簡単に触れただけでしたが、詳細に論じる為03年3月28日に分離独立させ、詳論を大幅に加筆しました。その為に「私の健康論−不摂生は健康の母」の精神を受け継ぎ、「言葉遊び」に満ちた内容に成って居ます。}

 ■バブル後の不況と鼠の関係
 1991年後半のバブル崩壊(※4)に因ってリストラが進行し多数の失業者が巷に吐き出され、それらの人々が再就職出来ない状況が現出しました。実際93年頃からプー太郎と言うかホームレスの人口も急増して公園や橋の下を占拠して今日に至って居ます。そんな状況の中で新しい職にも就けず、しかしホームレスに成らない為に、失業者の中の可なりの人達が鼠商法に飛び付き、一見”職を得た”かの如くです。
 定職の無い彼等(或いは彼女等)は各種の鼠商法の組織に加入し、冒頭で述べた様に新規加入候補者を求めて不特定多数の参会者が集まる場に出入りし、繁華街の駅の喫茶店などを根城にして加入を勧誘しますので、一見喫茶店は大流行り。しかしコーヒー1杯で3時間も4時間も粘るので売り上げは落ちて居るとか、いやはや。
 因みに喫茶店業界も従来の個人経営の店はめっきり減り、替わってセルフサービスして紙コップで飲む落ち着きの無い低料金チェーン店がやはり93年頃から大幅に進出しました。”豊かなニッポン”は何処へ行ったんでしょうか?、ニッポンは本当に”豊か”だったのでしょうか?
 今、不況の日本を大量のが徘徊して居ます!

 ■鼠商法の日本上陸と拡散
 鼠商法を日本で最初に流行らせた鼠組織は何と言ってもアム○○イ −日本では日本アム○○イ− でしょう、確か1980年頃でした。この会社自体は世界に現地法人を置き日本でも一時は店頭市場に株式上場したりして、殆ど正社員を置かず[それ故に]儲けて居ます。洗剤や鍋などを生産して加入者に売らせて居るので実業と言えないことは無いですが、”限り無く虚業に近い”とも言えますね。しかし、日本で流行り始めた頃はサラリーマンや主婦が”副業”で遣って居ましたよ。ところがバブル後から現在迄の加入者は不況で定職が無いので”正業”、最後の砦なんです。そこが大きな相違点です。
 鼠商法の組織は加入者同士がピラミッド構造 −鼠講の英語は "pyramid scheme"(※1)で、直訳すると「ピラミッド構成計画」でしょうか− を成すのが大きな特徴で、自分の下に「子」を増やし、更にその「子」を優秀な会員に”教育”して「孫」「曾孫」...をどんどん増やし、という具合に元手が無くても”顔の広さ”と”押しの強さ”が有れば収入を増やして行ける構図です、机上の理論では。それでバブル前の財テク・ブーム(※5)に乗って組織は成長して行きました。この頃は日本も好景気だったので誰しも”鼠算”(※1−3)を夢見たのです。
 しかしバブルが弾けると鼠商法も頭打ちに成り、加入者から見れば自分の下にそれ以上配下が増えなく成って、目聡い加入者は脱退して新組織を作ったり或いは別の新興組織に移るのです。そうすれば自分がピラミッドの頂点に近い席を占めることが出来る、とまあ考える訳です。その結果新興の鼠組織が幾つも出来、又そんな状況を外から窺っていたニュー○○ンが参入したりして、93〜4年頃には幾つもの鼠商法組織が分立 −或いは乱立です。これらの後発分立組は”マルチ擬い商法”でトラブルを起こし摘発された組織も多い様です(△1のp108〜109)。− し、こうして鼠商法が日本全国に拡散して行きました。しかし皆考える事が同じですね、皆と同じ事を遣ってる様じゃ儲かりまへんで!

 ■鼠商品の変遷 − 生活便利商品から「健康の商品化」へ
 以上の様な経緯ですので鼠商品の最初はアム○○イが手掛けた洗剤ですが、その後もっと高額で利益率が高いものに転換して行きました。洗剤を売って居ても夢は掴めないという訳です。初めは「水」でしたね。凡そ有りと有らゆる方式の浄水器が出回り(→御蔭で水道水を飲むと癌に成るという話が飛び交いました)、次には[順番ははっきり覚えて居ませんが]化粧品、女性が痩せて見せる為のコルセット、更には寝ている間に健康に成るという魔法擬いの健康ベッドで、商品は段々大型化・高額化して行き健康ベッドなどは1品が30万円位もしました。人は誰でも「健康」と言われれば逆らえないのですが、そこが盲点です。
 [ちょっと一言]方向指示(次) この様な商品の多様化には組織の分立が拍車を掛けましたが、その新規商品がこの様に生活便利商品から「健康の商品化」へという方向性をはっきりと示している点は、「日本人の健康観の歪み」(=日本の病理)が90年代前半から日本人の心を蝕み進行していたことの証左で、これは鼠商法とは別の問題です。

 しかしバブルが弾け、その後の不景気が長期化し高額商品が売れなく成った93年頃から新たな鼠商品として登場したのが、1品が1〜3万円位で手頃な価格の健康食品でした。中には「これを飲めば××が治る」式の医薬品擬いの誇大な宣伝文句も良く見掛けました、所謂「医薬部外品」(※3−1)というヤツですね。医薬品では無く薬効も不確かなのに一般の人は安直に医薬品と思い込んで仕舞う、という薬事法(※3−2)の盲点を突いた代物で如何わしい説が罷り通って居ますが、これは擬似科学(※6)です。擬似科学は表面的には科学的と思えて仕舞う点が盲点ですが私に言わせれば、そんな宣伝文句に引っ掛かる連中の方が間抜け(→後述)です。
 これらの健康食品や健康関連商品は「健康の商品化」という時代の趨勢の総仕上げとして”出るべくして出て来た商品”で、「健康」という単語に踊らされた世の歪(いびつ)な健康ブームに受け入れられて以後鼠商品の中で重要な位置を占めて居ます。

 ■健康食品を媒介する鼠組織と新興宗教との奇妙な類似
 健康食品や健康飲料の売り込みで特徴的なのはセミナーと称して有料で大勢の人を集め、色々な尤もらしい新説(=擬似科学)を掲げ思い切り聴衆の不安を煽る手法です。上述の様に「健康」という言葉は人の盲点です。
 そのセミナーに於いて聴衆に最も効くのが商品の効能では無く、話の端々に鏤められた元NASAの人が開発だとか、スペースシャトルで使われたとかの言辞です(△1のp54)。そもそも”この手”のセミナーに参加する”この手”の人々は既にテレビに汚染されて居て「NASA」「スペースシャトル」などの語が念仏の様に耳に響き、その語だけでスゴイと思って仕舞うのです。不安を煽り救いの念仏を”ちら見”させる手法は新興宗教が信者獲得に使う常套手段洗脳勧誘(※7)と言えますが、一方勧誘される人が判断能力乏しく勝手に洗脳されて行く(=自ら嵌まる)とも言えます。
 [ちょっと一言]方向指示(次) 私の観察では、不安を救うのは話の内容では無く、話し手や説を唱えた人の肩書きです。実際の権威の有無よりもマスコミ(←特にテレビ)受けして居るかどうかが、”この手”の商法に群がる”この手”の人々にとっては重要です。ですから学会で権威有る一流大学教授よりも、”テレビで御馴染み”というキャッチフレーズの三流大学教授 −実際にテレビに出たかどうかは問題では無い− の方が効果大ですし、日本の東大よりもアメリカの三流大学の方が効き目が有り、馬鹿でもチョンでも知っているNASAなどは御利益絶大という訳です。要は”それっぽさ”が決め手です。

 ところで鼠商品としての健康食品の実態はと言うと、どれも「粉物」「ジュース物」なので、中身が果たして能書き通りかどうか定かで無い代物です。こんな物食って「健康」に成る様なお目出度い人間なら食ったって「健康」に成りまっせ!
                (>v<)
 まあプラシーボ効果(※8)というのが有るそうですから、他人が何を食おうと飲もうと私の知った事では無いですが、健康食品は何も鼠組織だけでは無く新興宗教系の宗教法人も盛んに自宗派の信者に買わせて暴利を貪っている商品(←原価は安い!)だ、ということを一言付言して置きます。教祖様から買えと言われたら”迷える子羊”たる信者は従うしか無いですね!
 以上の様にバブル崩壊後の健康への対し方は歪です、歪(ゆが)んで居ます。全て他人任せ、商品任せ、自助努力無き”他力本願”に過ぎません。思考力が正常な方なら、こういう考え方こそ”不健康”だということがお解り戴けるでしょう。事実、健康を吹聴する鼠信者や新興宗教の信者達は押し並べて”末生(うらな)りの瓜の様な青白い顔”をして元気溌剌した人は居ません。簡単に洗脳されること自体、既に「心の病気」なのです。健康は先ず心身の鍛錬から、健康を売る奴も買う奴も病気です。因みに私の健康論については元々「この論考の触り」が入っていた
  私の健康論−不摂生は健康の母(My healthy life)
をご覧下さい。”青白い顔”をしている方々はぶっ飛びまっせ!

 ■鼠商人の生態
 私の知り合いの中にも、バブル以前からずっと優秀な鼠兵士の人(=但しイラン人)、バブル崩壊以後失業して鼠さんに成った人、定年退職後に鼠稼業に目覚めた人など様々で、鼠商品の説明で私に電話して来た人は1人や2人では有りませんでした。私はそんな説明など全く興味は無かったので、見ず知らずの人や何処かで名刺交換した程度の人は全部断りましたが、以前からの知り合いの場合だけ指定された喫茶店などに行って話しを聞いて遣りました。「けんもほろろ」というのも可哀相ですし、私にしてみればその人が今、そしてこの先どう生きて行こうと考えているか、そちらに興味が有ったからです。そしてちょっと変に感じました、彼等に。皆一様に鼠組織を信じ切って将来のことなど全然心配して居る様子など無く、寧ろその鼠組織の上位者の成功談などを実に明るくアッケラカンと話して居たことにです。この”一様”な所に私は引っ掛かるものを感じた訳ですね、つまりワンパターン(※9)。皆嵌まって洗脳されて居ると直感しました。
 しかし、今こうして私が鼠商法の論考を書けて居るのは彼等に話を聞いた御蔭です。特に長年鼠商人をしている知人から、後発の鼠組織の加入者は殆どアム○○イ経験者で、しかもその内の過半数が一度は押し入れを洗剤や鍋で一杯にした経験が有る、という話を聞いて腹が痛く成る迄大笑いしました。彼は人の好い性格で今でも偶に電話して来ますが鼠と縁が切れないみたいですね。
 そんな最中に例のオウム真理教の地下鉄サリン事件 −その少し前には阪神淡路大震災が起こり1995年は大変な年でした− が起き、洗脳(※7)とかマインド・コントロール(※7−1)という言葉が流行しましたが、その時別の鼠商人君がオウム信者のことを「洗脳されて居る」と宣ったので私は可笑しく思いましたが、直ぐ悲しい気持ちにさせられました。だってこの人は自分自身の状態に気付いて無いのですから。その後彼は結局借金を抱え離婚して今何処に居るか分りません。
 前述の如く鼠商人達は加入前に洗脳勧誘されて居ますが、加入後に更に洗脳されて行き完璧な鼠信者に成ります。鼠信者も新興宗教の信者も正に「信じる者は救われる」で、短期的には信じて仕舞えば悩まずに済み楽に成りますが、長期的には何も問題は解決されて無いですから結局、最後のツケは自分が背負い込む破目に成るのです。
 そこで私は皆さんが変な商法に嵌まらない様 −嵌まっても私に関係無ければ構わないのですが− に、この際「鼠商法と鼠商人」を”滅多斬り”に切り刻み解剖して見せましょう。

 ■「鼠商法と鼠商人」の解剖
 先ず鼠組織の加入者(=商品の買い手であり売り手)は就職試験も無しに、一見訪問販売員や保険の外交員の様な仕事をして居る”錯覚”(=擬似定職偽仕事に浸れる点が第1のミソです。それ故にバブル崩壊後に吐き出された多数の被リストラ人間が各種の鼠組織に加入しましたが、加入者達の本質は”潜在的失業者”です。
 加入者に成る為には、初期マニュアルと初期キットを買い商品の購入契約を結べば良く、”小金”(←加入者は”大金”を持って無いを払えば誰でも加入出来るのが第2のミソです。
 そして買った商品を次の加入者に売り且つ自分の「子」として契約を結ばせ組織に登録すれば「第1子」誕生です。同様に「第2子」「第3子」...と増やして行けば、以降はそのn人の「子」以下が売り上げた全利益 −自分の「第i子」も同様に「孫」を増やすであろうと誰しも思い込むのが落とし穴− に対し一定のマージンを受け取れる、という仕組み(=システム)です。
 ここからはミソでは無く加入者の「腕」が必要ですが、自分の子をn人まで増やし、更に自分の「第i子」の下に「孫」「曾孫」...と階層kを深くし、自分以下のピラミッド階層を数多く形成して仕舞えば自分の下の末端加入者はn**kに成ります。例えば自分が10人の子を作り、子もそれぞれ10人の孫を作り、孫もそれぞれ10人の曾孫を作れば、曾孫の数は10**3=1000人です。以後、自分から孫迄が遊んで仕舞っても曾孫が全員1万円の商品を月に1個ずつ売れば毎月1千万の売り上げに成ります。マージン率を5%としても自分には毎月50万円が振り込まれる勘定で、この様に”王様”の様に儲かるという触れ込み −これが無限連鎖(※1)の誘い水で目先のニンジンに相当− を盲信し、ニンジン(=実は幻影)を多数の鼠達(=加入者)が競う光景が展開されます。正に「鼠講」とは言い得て妙ですが、鼠商人は殆ど”信者”の状態です。
 以上の様な解剖所見に基づいて私は
    マルチ商法(=ネットワーク商法)を → 鼠商法
    マルチ組織を            → 鼠組織
    加入者、会員(=マルチ商人)を   → 鼠商人(=鼠信者
    商品(=マルチ商品)を       → 鼠商品
と定義し且つ命名するのです、アッハッハッハ!!

 更に解剖結果を纏めると、鼠商法は「ミソ2つ」に「穴1つ」の仕組みで成り立ち後は「腕」次第、と成ります。

 ■優秀な鼠商人とは
 ところで私の周囲の鼠商人達を見渡しすと、鼠商法に於いては日本人よりも外人、特に欧米系やインド・イラン系など「彫りの深い顔」系の方が格段に優秀な鼠兵士に成るという”可なり一般的”な法則を発見しました。前述の様に鼠商人の「腕」は”顔の広さ”と”押しの強さ”が全てですが、
  [1].日本人は”人の好さ”が出て仕舞い、強く押せない。
  [2].日本人は外人に弱く、外人に押されると”Yes”と言って仕舞う。
  [3].日本人は契約書に不慣れで、勧誘する側が契約内容を充分説明出来ない。

という傾向が有ります。
 日本人でも社交的で顔の広い人も居れば外人でも内向的な人も居ますが、肝心なのは最後の”押しの強さ”です。商品/システム/契約内容を説明した後、自分の「子」に成ることに”Yes”と言わせ契約書にサインさせる迄、粘り強く時には強引に説得し押し切れるかどうか、が分かれ目です。この点では中近東のオアシスで何千年にも亘って物品を右から左へと横流しするだけで金額を吹っ掛ける商売を生業(なりわい)にして来た二枚舌のイラン人などは根っから鼠商法に向いている様に思えます。私の知り合いのイラン人の勧誘を見ていると、それは正にオルグ(※10)で優秀な兵士の姿です。私は「彫りの深い顔」系の人々は奥目で眼窩から覗く様な感じに相手を見るので「恥」の意識が薄く、それ故に強引に押し切れるのでは?、即ち
  「彫りの深い顔」系=奥目 → 覗き見 → 厚顔無恥 → 押しが強い
という「良からぬ勘繰り」をして居ますよ、ブウォッホッホッホ!
 一方押しの弱い日本人は、「相手を説得し切れないのは商品やシステムに対する信頼が薄いからだ」と「親」会員に”教育”(=洗脳)され一生懸命信じようとし「嵌まり」に陥って”信者”に成って行きます。中には「ウチは××を製造販売してるからメーカーだ」とか仰る鼠氏も居て、私は「メーカーはメーカーでもトラブルメーカーだろう!」って言い返して遣りましたね。ちゃんと雇用契約を結んで就職してる訳でも無い組織を”ウチ”呼ばわりはお笑いです。この様に一度洗脳に嵌まった人間は例え部屋中が鼠商品で溢れても抜け出すことは出来ません、オウム真理教の信者と同じなのです。獣道(※11)の一種の鼠道に嵌まらない為には Amway の "Going Rat Way" では無く
  ゴーイング・マイ・ウェイ(Going My Way)
ですよ!

 ■或る危惧
 各鼠組織は前述の様なピラミッド構造を成す加入者(=会員)個々の情報を登録して蓄えている訳で、その会員数はアム○○イなどでは膨大な量の筈です。近頃良く個人情報の漏洩が問題に成って居ますが、この会員情報のストックを名簿を必要としている業者に売ったら高く売れるのではないか!、と又もや「良からぬ勘繰り」をして仕舞う私ですが、どうかその様な事が無き様に願って居ます。

 ■結び − 自由社会では洗脳されるのも自由
 鼠を厳しく滅多斬りにするのは私が猫族(=猫の仲間)の所為かも知れませんね、このページの一番下にも猫が居るでしょ、ニャーオ!
                (=^・・^=)
 そこで「裁断」した代償として私は、”潜在的失業者”という不幸な立場に在る鼠さん達や何かの悩みを抱えた子羊さん達に健康食品ならぬ「心の病気」を治す薬が有ればプレゼントしたいのですが、残念乍ら「馬鹿に付ける薬は無い」と”大声”で叫ばざるを得ません。自由社会では洗脳されるのも自由、それは自己責任なのです。もしかすると鼠組織のトップや新興宗教の教祖様は「馬鹿と鋏は使い様」と考えて居るかも知れませんね。えっ、皆さんには私の”大声”が聞こえないですと?、然もありなん!、ブワッハッハッハッハ!!
 最後に断って置きますが、この論考で話の引き合いにアム○○イの名を出しましたが、私個人はアム○○イに対し軽蔑はして居ますが別に恨みは持って居ませんので、冒頭で述べた様な迷惑を私が被らない限りは無関係な存在です。そういう意味で公平を期する為に鼠商法のヨイショ本(△2)も紹介して置きます。世間がどう在れ我関せず、全て自己責任という考え方が私の基本です。
 それでは、これにてケツ礼、いや失礼!!
                ウンコボーイです、こんな格好で失礼します。

 >>>■その後 − 鼠商法に嵌まるニート
 03年3月28日にこの論考を完成させてから2年半位経ちましたが、近頃(=05年10月現在)ニート(NEET)(※12)とかいう”訳の解らない若者”のことがラジオなどで話題に上ります。世紀が代わった頃から目的や働く意欲の無い若者が急増し近頃は蔓延して居ることは実感として解って居ましたが、世間に疎い私は彼等のことをニートと呼ぶことをつい最近迄知りませんでした。それが近頃ニートという”訳の解らない言葉”を良く耳にする様に成り、ニートって何や?、てなもんでしたね。
 しかし、【脚注】に在る様にアルバイトもせずフリーターでも無い”訳の解らない若者”が何をして居るか、若者だけで無く30代後半迄に及んで居る事 −30代以上は多分オタクでしょう− も、私は前から知って居ました。彼等の多くはズバリ、鼠商法に嵌まって居るのです、それで追加記事にした訳です。目的や働く意欲が無い彼等も一応は”大人(おとな)”、世間並みにカネ(金)が欲しいのです。けれども意欲とか覇気の無い連中ですから優秀な鼠商人として稼ぐ奴は皆無、”嵌まりっ放し”ですね。まあ「何を遣っても駄目な連中」という形容が最も当たって居るでしょう。
 ところが最近「ニートの悩みを聴いて上げよう」とか「ニートの心を癒そう」とか「ニートの就職を支援しよう」とか、”甘やかし”の言説が流布して居ます。何処迄も「自己責任」ということが解って無い偽善国民ですな、ニッポン人は。私は「馬鹿も休み休み言え」という気持ちです!!
    {この記事は05年10月22日に追加}

−−− 完 −−−

【脚注】
※1:鼠講(ねずみこう、pyramid scheme)とは、会員を鼠算式に拡大させることを条件として、加入者に対して加入金額以上の金銭その他の経済上の利益を与える一種の金融組織。投機性が強いので法律で禁止。連鎖配当組織。無限連鎖講
※1−1:マルチ商法(―しょうほう、multilevel marketing plan, 略称:MLM)とは、商品販売方法の一。物品販売業者とその商品を再販売する者(加入者或いは会員)とが次々に他の者を再販売組織に加盟させて、組織内での地位昇進から得られる利益を餌に商品の購入や取引料の支払いの負担を約束させる形でする商品の販売取引。鼠講式販売法とも呼ばれ、投機性が強く弊害が大きいので法律で厳しく規制。連鎖販売取引。マルチ商法側は、無店舗直接販売という意味でダイレクト・セーリング(Direct saling, 略称:DS)と自称。
※1−2:ネットワーク商法(―しょうほう、network marketing plan)とは、マルチ商法に同じ。加入者間の関係がピラミッド型ネットワークを構成することから、こう呼ばれる。但し、インターネットが普及した以降はインターネット上での商取引にも用いられ混同される恐れも有るので、「マルチ商法」の語を使う方が良い。
※1−3:鼠算(ねずみざん、geometric progression)とは、[1].和算で、「正月に雌雄2匹の鼠が12匹の子を生み、2月には親子何れも12匹の子を生み、毎月斯くして12月に至れば、鼠の数は、2×7**12 の算式に拠り、276億8257万4402匹の大数に成る」という様な問題。鼠の子算用。
 [2].物が複利的に急速に増加する場合の譬え。

※2:講(こう)とは、[1].神仏を祀り、又は参詣する同行者で組織する団体。二十三夜講・伊勢講・稲荷講・大師講・富士講の類。
 [2].一種の金融組合又は相互扶助組織。頼母子講(たのもしこう)・無尽講の類。

※3:健康食品(けんこうしょくひん、healthy food)は、一般に健康増進に良いとして販売される食品群全般を指す。健康茶などの自然食品、ローヤルゼリーなどの健康増強型食品栄養ドリンク剤健康志向型食品、特定の栄養素を含む栄養補助食品などが在る。原料は様々で約2千種にも上る。中には、薬効が有ると誇大宣伝する場合も有る為、我が国では日本健康食品協会が規格基準を設定し1986年から認定マークを付けて居る。90年からは医薬品並みに摂取の量・方法を表示。<出典:「現代用語の基礎知識(1999年版)」、「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※3−1:医薬部外品(いやくぶがいひん、quasidrug)は、薬事法に拠り医薬品と区別されて居て、或る程度の薬効は有るが人体に対する作用が緩和なもの、及びそれに準じ厚生大臣の指定するもの。但し器具・器械類は含まれない。製造には承認・許可が必要であるが、販売には医薬品の様な規制が無く、一般小売店/スーパー/コンビニ店でも販売出来る。歯磨き/蚊取り線香/日焼け止めクリーム/脱毛剤/養毛剤などの類。<出典:「現代用語の基礎知識(1999年版)」、「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
 補足すると、一般に医薬品との区別が明確に認識されて無い為と、医薬品より規制が緩い為に、中には薬効や因果関係が曖昧な商品も在る。
※3−2:薬事法(やくじほう、Drugs, Cosmetics and Medical Instruments Act)とは、薬事審議会、薬局並びに医薬品及び医療用具等の基準・検定・取扱いなどについて規定し、国民の保健衛生の向上を期した法律。現行法は1960年制定

※4:バブル景気(―けいき)とは、1986〜91年上半期の、円高に支えられた「カネ余り」が株・債券、土地の資産価格の高騰を生み出した、投機的な実態経済と懸け離れた相場が引っ張った景気。当時は「超大型景気」と呼ばれたが、実態を伴なわない景気は90年の「バブル経済」という流行語を生み出し、遂に91年下半期に”泡”の様に弾け「バブル崩壊」を引き起こし、以後は「バブル景気」と呼ばれた。結局「伊弉諾景気」を超えることは出来ず、逆に「不良債権」という”負の遺産”を残した。

※5:財テク(ざい―)とは、「ハイテクノロジー(high technology)」を捩(もじ)って造語された財務テクノロジーの略。企業や個人が証券や不動産に投資するなどして、資金の効率的な運用を図ること。1986年に流行し、財テク・ブームを引き起こした。

※6:擬似科学(ぎじかがく、pseudo-science)とは、表面的には科学的と思える実はそうでは無い学説のこと。厳密に検証すれば、普遍性・客観性・論理性・実証性などに於いて反証出来るが、民間療法などの様に広く一般に信じられ流布した事例や、今日的見地からすれば擬似科学に入る占星術錬金術が天文学や化学が確立以前は科学とされて居た事例も在り、その概念範囲は時代的に変化する。それに対し故意に正当な科学であるかの如くに擬装した悪質なものも在り、近年では新興宗教悪徳商法に利用される場合が多い。擬装科学。似非科学。

※7:洗脳(せんのう、brainwashing)とは、
 [1].新しい思想を集中的繰り返し教え込んで、それ迄の思想を改めさせること。語源は、第二次世界大戦後の一時期、中国側の捕虜に対する思想改造教育を連合軍側で呼んだとされる "brainwashing" の直訳。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
 [2].広義には、或る思想や情報を集中的繰り返し発信、又は注入することで思想感化させること。
※7−1:マインド・コントロール(mind control)とは、[1].狭義には、催眠法で個人や集団を被暗示性の高い状態に導き、暗示で特異な記憶や思考を生じさせること。
 [2].広義には、強制に依らず個人の思想や行動・感情などを或る特定の方向へ誘導すること、又はその技術。精神統制とも言われ、宗教界などで使われる。
<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※8:プラシーボ(placebo)とは、色・形状などを本物そっくりに作った偽薬。デンプン・乳糖などの薬理学的に不活性な物質を用いる。これを有効な薬と偽って投薬してみると患者の条件に依っては可なりの治療効果が有る。この心理効果をプラシーボ効果と言う。心理的な治療効果や新薬の薬効試験などで二重盲検の手段として用いる。プラセボ。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※8−1:二重盲検(にじゅうもうけん)とは、薬効検定法の一。検定しようとする薬物と対照用の偽薬とを医師・患者共に知られない様に投薬し、客観的な判定を期する。

※9:ワンパターン(one pattern)とは、(和製語)言動などが常に一つの型に嵌まって変化が無いこと。

※10:オルグとは、(日本語でオルガナイザー(organizer)の略)大衆の間に派遣されて、組合や政党を組織したり加入を促したりする人。又、その活動。組織者。下部組織の梃入れ要員。

※11:獣道(けものみち、animal trail)は、獣が通ることに因って自然に出来た山中の小道。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>

※12:ニート(NEET, Not in Education, Employment or Training の略語)とは、
 [1].元々は1999年イギリス内閣府調査報告書の中で「教育を受けず労働も職業訓練もして居ない若年層」を指す語として使われたのが最初で、日本では若年無業者の意味で2004年頃から使われた。フリーターが一応アルバイトで就労して居るのに対し、ニートは学習及び就業意欲の無い者と解釈される場合が多い。
 [2].転じて、遣る気の無い無気力人間を広く指す。<出典:「フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)」>

    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】
△1:『アムウェイ商法を告発する』(山岡俊介著、あっぷる出版社)。

△2:『新ダイレクト・セリング成功の秘密』(オフィス・リベロ著、山下出版)。オフィス・リベロはビジネス分野の出版などを行うグループ。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):阪神淡路大震災について▼
資料−地震の用語集(Glossary of Earthquake)
補完ページ(Complementary):歪な健康ブームについて▼
私の健康論−不摂生は健康の母(My healthy life)
言葉遊び事始▼
「言葉遊び」と遊び心(The 'play of word' and playing mind)
テレビに汚染される人々と鼠商人の類似性▼
東京が雪で大変?、じゃ札幌はどないするねん!
(Snow in Tokyo and Sapporo)

「彫りの深い顔」系が鼠商法に強い理由の参考に▼
民族占い(Comparative Ethnologic approach)
私は猫族▼
ノラ猫狂詩曲(What's new PUSSYCATS ?, Japan)
私の自己責任論▼
日本人の自己責任意識を問う
(Self-responsibility consideration of Japanese)

バブル崩壊後の不況やニートの出現▼
戦後日本の世相史(Shallow history of Japan after World War II)
甘やかし社会は日本の病理▼
いじめ問題について(About the BULLYING)
鼠の雑学▼
2008年・年頭所感−鼠の話あれこれ
(Several Rat's topics, 2008 beginning)


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