日蓮宗妙厳山信隆寺(茅ヶ崎市) | トップへ |

ひとこと

寺報第62号より

合掌。初秋の候。九月に入ったらすぐに涼しい風が吹きました。まだまだ暑い日もありそうですが明らかに秋の空気が漂います。自然はやっぱり凄いです。茅ヶ崎も住宅が増えて、人口が増えて、緑が少なくなりましたが所々に小さな自然を垣間見たときにはほっこりします。先日、祈祷堂前の石榴の木にユリの花が咲いていてビックリしました。そんなバカな! と思いますでしょ?

実は石榴の木の下からユリが芽を出したのですが、木が邪魔で太陽が見えない・・・ユリは伸びて伸びて太陽を目指しました。そしてやっとの思いで太陽が見えた時には石榴の木の上に顔を出し、なんと3メートル70センチにまで伸びていたのです。健気というか偉いというか、感心しました。努力と根性の塊ですね。一見清楚に見えて実は目立ちたがり屋なのかも知れません。そして・・・ユリは植えてもいないのに何で勝手に出てくるのでしょうか? 球根だから種は飛ばないと思うのですが、あちこちに出てきます。境内でもそうですが他の場所でもよく目にします。色々な所で咲いています。無理矢理ですが、あちこちで目にすると言えば看板です。看板は色々な種類の看板があり、宣伝の為ですからどれも目立つように作られます。そんな看板も時に不思議に思うものがあります。最近不思議に感じたのは歯医者さんの看板で、インプラント歯科医の看板は皆、先生の顔出し・・・だということです。普通の歯医者さんは大概、文字と絵くらいですが、インプラントの歯医者さんはとても良い笑顔で映られています。あの笑顔で安心して治療を任せられると皆さんが思うのでしょうね。看板効果は抜群なのでしょうか。私などは出来るだけ顔を隠したい人なのでとても無理ですが宣伝効果としては羨ましくも思います。いつの日か私もお寺の宣伝の為に看板を作成し、笑顔で駅前に登場したいものです。

「あなたの心に仏さま 日蓮宗 信隆寺」

冗談はさておき、笑顔は大切です。「お笑い」というジャンルの職業があるように人には笑いが必要です。「笑う門に福来たる」という言葉は私も大好きです。死と向き合うことが多い仕事ですが「笑い」というものをとても大切に思っています。勿論笑えない時もありますが、それでも無理に笑ってみたりします。笑いは幸せの薬ですから、辛くとも服用すれば段々効き目が出てきます。生きていくには辛いことが沢山あります。あなたの薬は何ですか? 常備薬はありますか? 私の薬は三つあります。

  1. お酒・・・酒は百薬の長 (適量を楽しく・・・です)
  2. 笑い・・・笑う門に福来たる (免疫力もあがります)
  3. お題目・・お釈迦様は「法華経」を説いたときに「このよき良薬を今ここに留めおく」と言いました。日蓮聖人はその良薬とは法華経の題目「南無妙法蓮華経」だと教えてくれました。世が乱れれば乱れるほどに力を発揮する最高の薬です。

お題目をお酒と笑いに並べては叱られそうですがお許し下さい。用法用量を守って毎日服用しています。(誤解されそうだから言い訳しときます。世間がコロナ禍になってから外出して飲んではいませんよ・・・家内で飲んでます。家内に叱られますので・・・)
お酒も笑いもお題目も、この世の良薬。お題目はあの世でも大いなる良薬です。お題目を常備薬として持ち歩けるように普段から貯金しておきましょう。南無妙法蓮華経。

さて、日蓮聖人のご生涯ですが、前回は龍口法難までお話しました。後に聖人は龍の口で自分は一度死んだのだと言わんとする言葉を残されています。 

「今度法華経の行者として流罪・死罪に及ぶ。流罪は伊東、死罪はたつのくち。相州のたつのくちこそ日蓮が命を捨てたる処なれ。仏土におとるべしや。~中略~ 若し然らば日蓮が難にあう所ごとに仏土なるべきか。娑婆世界の中には日本国、日本国の中には相模国、相模国の中には片瀬、片瀬の中には竜口に、日蓮が命をとどめをく事は、法華経の御故なれば寂光度ともいうべきか。~中略~ 又かまくらどのの仰せとて、内々佐渡の国へつかはすべき由承り候。三光天子の中に月天子は光物とあらわれ、竜口の頸をたすけ、明星天子は四・五日已前に下りて日蓮に見参し給ふ。・・・『四条金吾殿御消息』

この明星天子の逸話の場所が厚木 星降り「妙純寺」です。

聖人は龍の口の法難後、佐渡の地頭であった本間重連の館(依知=厚木)にてしばらく預かりの身となりました。そして此処でも「法華経の行者を何故に助けないのか?」と天に向かって言い放ったのです。

「九月十三日の夜なれば月 大にはれてありしに夜中に大庭に立出でて月に向ひ奉て、自我偈少少よみ奉り、諸宗の勝劣、法華経の文あらあら申て、抑今の月天は法華経の御座に列りまします名月天子ぞかし。~中略~仏前の誓は日蓮なくば虚くてこそをはすべけれ。今かゝる事出来せば、いそぎ悦をなして法華経の行者にもかはり、仏敕をもはたして、誓言のしるしをばとげさせ給べし。~中略~いかに月天いかに月天、とせめしかば、其しるしにや、天より明星の如なる大星下て前の梅の木の枝にかかりてありしかば、ものゝふども皆 縁よりとびをり、或は大庭にひれふし、或は家のうしろへにげぬ。やがて即 天かきくもりて大風吹来て、江の島のなるとて空のひびく事、大なるつづみを打がごとし。」『種種御振舞御書』

天は顕現して聖人を守護したのです。そして佐渡へ旅立たれる翌十月九日まで聖人はこの地に滞在しました。次回は佐渡流罪。


ご報告

七月二十七日 施餓鬼法要
お参りご苦労様でした。大勢、来られました。皆さんのご先祖様を思う気持ちが伝わります。
八月お盆棚経
今年のお盆は雨模様でした。大変でしたが涼しくて助かりました。日にちの変更があり、ご迷惑をおかけしましたことお詫び致します。年に一度ですがお経を仏壇であげさせて頂くことがとても有り難く感じます。

お知らせ

コロナ禍の中で各行事をどうしたものか思案中ですが方向性としては以下の様にします。

九月二十日~二十六日 秋季彼岸
十九日に法要 お塔婆の読み上げを致します。
十月一日 日蓮聖人第七四〇遠忌報恩お会式 別途案内
信隆寺のお会式は地域のお祭りの如くに慣れ親しんで頂いて、何とか実施をと思っていましたがこの状況下では開催が出来ません。残念ですが今年も法要のみのお会式とさせて頂きます。
部経読誦会 写経会 十月十四日~十五日予定
住職・副住職のみでお経 写経については可能です。問い合わせ下さい。

※一昨年来 子供食堂 学業支援活動なるものを計画しましたがこれもコロナ禍によりやむなく延期保留状態です。いつか皆さまのお力をお借りするときが来るかも知れません。

南無妙法蓮華経