日蓮宗妙厳山信隆寺(茅ヶ崎市) | トップへ |

ひとこと

寺報第45号より

合掌。春彼岸の候。愈々春らしくなって参りました。三寒四温、彼岸が過ぎれば益々春本番、身を纏う衣服も様変わりし、爽やかで暖かな風が頬をなでてゆきます。♪梅は咲いたか 桜はまだかいな♪ 季節感ありますよね~ 江戸端唄です。でも本当は花でなく花柳界の芸子を花に喩えた唄なんですね。 続きはこんな感じです・・・

「梅は咲いたか 桜はまだかいな 柳ャなよなよ風次第 

山吹や浮気で 色ばっかり しょんがいな」

梅は若い娘、桜は姉御、柳は移り気、山吹は実を結ばない浮気性を暗示して唄ったものだそうです。二番以降は一身上の都合により、私からは紹介できませんのでご了承下さい。因みに山吹は次のような使い方もあるのですよ・・・「七重八重 花は咲けども山吹の  みのひとつだに なきぞあやしき」

この歌の状況は・・・京都嵯峨の小倉山付近の家に住んでいた人が、ある雨の降った日に来客があって帰りがけに「蓑を借りたい」と言われた時の話しです。その人は貸すことが出来ないので山吹の枝を折って持たせたそうです。相手は事情が呑み込めずに帰って行きましたが何日か経った頃に、渡された山吹の真意が解らなかったと言ってきたそうです。そして、その返事に届けられたのがこの歌です。解説すると「山吹の花は七重八重に咲くのに、実が一つも結ばないのは不思議です。山吹ではありませんが、お貸しすべき蓑ひとつ無くて心苦しいことです。」となります。「みのひとつだに」は「実の一つだに」「蓑一つだに」の掛詞。八重山吹の花が実を結ばないことに、貸すべき蓑がないことを掛けていて「なきぞあやしき」は「無いことが申し訳ない」という意味だそうです! 分りづらい!!! それともお洒落??? イヤイヤこれが日本の文化言葉あそびかな。言霊、言葉遊び、外国語にはない面白さかも知れません。親父ギャグもまんざらバカに出来ませんよ。いつか傘を貸して下さいと言われたら保湿クリームを差し上げようかしら・・・
「カサカサしない・・・」「カサがない」「カサない」「貸さない」
が~ん お坊さんにあるまじき非人道的な意地悪になってしまいました。
貸しますので安心して下さい。乾燥肌の顔をしてお貸し致します・・・

カサカサしながら・・・傘と言えば3月になると雨模様が多くなります。暖かくなったとは言え、まだ肌寒いこの時期は雨が降ると外に出るのがおっくうになりますね。先日、たまには外に出てみようと駅前に買い物がてら出かけてみました。その前に・・・「おっくう」という言葉が気になりませんか?「おっくう」は「億劫」と書く仏教用語です。「非常に長い時間」を表しています。「劫」は時間の単位で「一劫」の長さは百年に一度天女が高い岩山に舞い降りてきて羽衣で頂上を撫でて、その摩擦によって岩山が消滅する時間・・・簡単に言うと「無限に近い時間」を表します。この「一劫」の一億倍が「億劫」で、考えらないほど長い時間を指しています。よって「億劫」は「考えられないほどの時間がかかってしまい容易でない」という意味から「時間がかかるので面倒に感じる」という意味になりました。一方・・・私はそれほどでもない「おっくう」をかかえて出かけたのです。買い物をすませて大好きな本屋さんに立ち寄り、どの本を読もうかなと色々あさって何冊か買ったのですが、老眼と闘いながら、現実を受け入れられずに一向に頁が進みませんので今日は以前読んだ「花いくさ」と「フェルマーの最終定理」という本を紹介しましょう。先ず、花いくさは茶道と華道と権力の話しです。利休や秀吉も登場しますので読みやすい本です。人の心、「道」で権力と刀剣に立ち向かう美しくも悲しい物語です。言葉の重みや美しさ、茶道・華道の奥深さを垣間見れ、日本人を感じる事が出来ます。その道を勉強しておけば良かったと思いつつ・・・感動致しました。フェルマーのほうは数学についての難しい本でしたが、数字の摩訶不思議さと、全ての物の成り立ちなどを数学的に考えさせられて、とても面白かったです。数字って凄い!言葉と同じくらい素晴らしい! 川の源流から河口までの実際の距離は、その二点を結ぶ直線距離の3.14倍に近いそうです。あらゆる川を計測すると大体の川は実際の距離 割る 直線距離の値が限りなく3.14に近づくのだそうです。不思議ですよね? 楽しいです!
3.14は円周率です。3月14日ではないので・・・大丈夫ですか? 話しについてきて下さい。数字も仏教に通ずるところありますよ。数の単位 一十百千万~恒河沙・阿僧祇・那由他・不可思議 これ数字の単位です。経典にたくさん出てきます。小さな方の単位も、分・厘・毛~須臾・弾指・刹那・清浄 お経を読む人は分りますよね。他にも仏教用語は多々あります。醍醐味・浄瑠璃・退屈・迷惑・虚仮・大丈夫・無頓着・世間・出世・娑婆等々。お釈迦様と私たちはやはり繋がっています。

と言うことで・・・4月8日にはお釈迦様の誕生日をお寺でお祝い致しましょう。花一輪、持ち寄ってお釈迦様に捧げたら、久遠の時を超えて森羅万象があなたと繋がります。南無妙法蓮華経 

また、落語も仏教と繋がりがあるのです。落語は江戸時代に始まった落とし噺ですが滑稽噺としては安楽庵策伝という浄土宗のお坊さんが元祖と言われています。基本的には大名の御伽衆として話し相手で居りましたが庶民への説教を楽しく分りやすく、落とし噺として始めたのが落語だそうです。これは現代の我々にも共通することで、難しい仏教用語をズラズラと並べるよりも、分りやすい言葉で面白可笑しく仏さまの教えを伝えるのに大いに役立ちます。私に落語をやれと言われても無理ですが、すごく参考にさせて頂いております。このタイムスにも仏さまの教えが密かに紹介されています。勉強の為「にぎわい座」に足を運ばせて頂き、野毛辺りで社会勉強もさせて頂こうと思います。

と言うことで・・・4月8日は落語を聴きにいらして下さい。食べ物・飲み物持ち寄って茶話会・酒和会 笑顔でみんなが繋がります。ところで、日蓮宗に縁のある落語に「甲府ぃ」というのがありますが、とても良い話しですので参考までにお聴き下さい。そして落語の教えの通り「願ほどき」して下さいね。もしくはお礼のお参りを致しましょう。祈願してそのままではなく日頃のお参り、御礼の気持ちが大切なのです。更にもう一つ「祈願」=「誓願」祈願をすると言うことは誓願をすると言うこと、自らそれに向けて努力することが大切です。 間もなくお彼岸、仏道修行の一週間!普段にも増して精進致しましょう。本堂の前でお題目を唱え、草の一本でも抜いてご奉公。お墓には綺麗なお花を供えて自分の命を与えて下さったご先祖様に感謝。お墓をお花畑に変えましょう!

お彼岸が過ぎれば桜の花が咲き誇り、辺りはピンク色に染まります。身延山の枝垂れ桜はとても綺麗です。ウコン桜もとっても綺麗に咲きます。「甲府い お参り・・・」身延山へもお参り下さい。当山にもソメイヨシノが一本だけあります。皆様はどんな桜が好きですか?桜の木には神々が宿るとされていますのでお酒や美味しい物をお供えして、歌や踊りを奉納しましょう。そして桜が見事に散った頃・・・4月8日の花祭り!お釈迦様にお花を捧げましょう! 春はお花三昧です(三昧も仏教用語)

私も今年から花粉症デビューしたようです(苦)私のお鼻も満開です・・・
おあとがよろしいようで・・・

行事案内

春彼岸 3月18日~24日
たった十代遡れば2046人のご先祖様・・・一人でも欠ければ今の私は此処に居ないのです。有ること難し・・・
花祭り法要 抹茶とお菓子落語の会 4月8日 月曜日
詳細はおしらせページをご覧ください

南無妙法蓮華経