日蓮宗妙厳山信隆寺(茅ヶ崎市) | トップへ |
合掌。皆様 節分は如何お過ごしでしたか? ある意味、本来の大晦日暦の上では立春が一年の始まりです。全国各地で様々な行事が行われました。お寺でも昨年の御礼のお経をあげ、本年の安全祈願を致しました。
節分には豆まきが付きものですが、仏教の考え方、殊に法華経的にみますと・・・仏様の慈悲により「鬼」ですら教化され、教えに導かれるわけですから、「鬼は外」は無しになります。経文にも「雖有魔及魔民 皆護仏法」=「たとえ魔及び魔民あろうとも皆仏法を護らん」とあります。
今年は「福はうち~」「魔及魔民 皆護仏法(まぎゅうまみんかいごぶっぽう)」と言って豆をまきました! 鬼は外!の平賀源内さん、個人的には好きな人物ですが仏様にはかなうまい。
そして恵方巻き・・・お正月の七日に七草粥は必ず頂きますが、恵方巻きは食べたり食べなかったりです。そもそも恵方巻きとは何なのでしょう? 恵方に向かって食べると言いますが、厳密に言えば今年の恵方と言うのは立春以降の歳徳神のまわる方位ですから二月三日の節分はまだ恵方ではないのでは・・・
しかも歳徳神に向かって自分が食べる、というのはどうも変な感じがします。その方位に供物を供えるならまだ分りますが・・・方位では今年の北は大凶方ですから恵方だからと言って勘違いして北方へ吉をとりに行っては逆効果になります。歳徳神ですから自家の中の恵方ではないのかなぁ・・・と思うのです。
まあ、そんなことはどうでも良いですね(笑)楽しく美味しく太巻きが食べられれば・・・夏にあぶらののらない鰻をいかに売り込むかを考えた源内さんの現代版と言ったら関西の人に怒られますかな???
さて、またお彼岸の時期ですね。出ました「暑さ寒さも彼岸まで」この冬は寒かったのか? 暖かだったのか? どちらだったでしょう?
母親が昔、言っていました。「お彼岸が好き。特に春のお彼岸が好き。だって、お墓がお花畑みたいになるから・・・」と。冬の殺風景でさみしそうなお墓が春のお彼岸にはたくさんのお花で彩られます。やはり良いですよ、綺麗なお花が供えてある風景というのは。温かな気持ちになります。そこには目に見えない優しい気持ちがこもっているから。
今年のお彼岸は綺麗なお花を買って、お弁当持ちでおいで下さい。ご先祖様と一緒に花を愛でて・・・そして太巻きでも食べてみませんか?
仏様の慈悲は絶大です。言い換えればそれは愛・・・親が子を見守る愛です。私たちは不安定要素膨大な宇宙に浮いた地球に暮らしています。天下を取ったような気持ちになっている私たち人間ですが大自然が猛威をふるえば、ひとたまりもありません。毎日を無事に生きているのが奇跡的なのかも知れません。でも・・・ひょっとしてそれは大きな愛に見守られているからかも? そのように考えたことはありませんか?仏様の慈悲。神仏の加護。ご先祖様の守りに・・・
例えば公園でベンチに座って読書する母親とその近くで無邪気に遊ぶ小さな子供がいるとしましょう。子供は楽しく遊んでいますが周囲は危険でいっぱいです。砂場には割れたガラスビン。躓いて転んだ先にある大きな石。柵のない池などあったらハラハラします。いつなんどきその危険にさらされるか分りません。しかし母親はちゃんと見ているのです。子供がケガをしないようにそっとガラスを取り除き、石をどけ、池に落ちないように導いてあげる。その子供は知らず知らずのうちに母親の大きな愛に守られて難をのがれていたのです。
私たちも普段から気がつかないうちに守られていた・・・そんなふうに思いませんか? 先進国の人々は幸せと感じる「幸福度」が低いそうです。そして幸せは与えられるものだと考える人は中々幸せを感じることが出来ない・・・何かに気がつけば自然と幸せはやってくるはずなのに・・・
法華経の中にこのようなたとえ話があります。
三車火宅の喩え(譬喩品)
ある時、長者の家が火事になります。中にいた子供たちは遊びに夢中で火事に気づかず、長者が説得しても外に出ようとしません。そこで長者は子供たちの欲しがっていた「羊の車と鹿の車と牛の車が門の外にあるぞ」といって、子供たちを外に導き、火から救いだしました。そしてその後に、更に立派な大白牛車を与えて正しい方向へ導きました。
この物語の長者は仏で、火宅は苦しみの多いこの世、子供たちは私たち衆生、羊車・鹿車・牛車の三車とは真実の教えを知る前の方便の教えで、先ずはその方便の教えで導き、人々の機根(仏の教えを理解する素養や能力)を調整し、その後に大白牛車である真実の教えを与えることを表しているという話ですが、子供たちは慈悲によって知らずうちに救われていたのです。子供を持つ親ならばこの慈悲=愛が分りますね。感謝の心を持ちましょう。そうすれば自分のことしか考えない狭い心から脱却し周囲のことを見ることが出来る豊かな心が育まれ、自ずと幸せを感じやすくなるはずです。幸せとは行動と心のありようで自ら得るものです。
お彼岸はご先祖様に感謝し、自分の行動は戒め、いつもと違う七日間を過ごして下さい。
今までは年に1回(10月)写経を行っていましたが、希望があればいつでも写経が出来る体制を整えようと思っています。気軽に・・・と言っては語弊があるかも知れませんが、お経を身近に感じて欲しいと思っています。そのうちお知らせ致します。
(今でも、前もって言って下されば写経をすることが出来ます・・・)
南無妙法蓮華経