日蓮宗妙厳山信隆寺(茅ヶ崎市) | トップへ |

ひとこと

寺報第21号より

合掌。桜の花はあっという間に散ってしまいますね。それが美しさを倍増させているのかも知れません。日本人が好きな「わびさび」が見え隠れします。「空が青く晴れていて、それが何故か悲しい・・・」なども日本人の感覚でしょう。日本語はとても難しい・・・そしてさらに難しい言葉の裏に、言葉には出さない思いや感情までも隠されているのです・・・

良いか悪いかは区別できませんが不思議な力が備わっていることは確かでしょう。だいぶ前ですが「舟を編む」という本を読みました。なんとなくさらっとした普通の本でしたが、言葉の面白さを感じることが出来ました。辞書を作成する物語です。今まで自分がそれを作成するなんて考えたこともありませんでしたが、もしやるとなればどのような語釈をつけるだろう・・・などと考えてみると面白いですね。ありきたりの言葉をいざ簡潔に説明しようとすると、これが案外難しいのだそうです。

例えば「左」をどのように説明するか。広辞苑(第六版)によると「南を向いた時、東にあたる方」とさりげなく書いてありますが、とても個性的な説明で知られる三省堂・新明解国語辞典(第七版)には次のように記述されています。「左」は「アナログ時計の文字盤に向かった時に、七時から十一時までの表示のある側」、「『明』という漢字の『日』が書かれている側」、「人の背骨の中心線と鼻の先端とを含む平面で空間を2つの部分に分けた時に、大部分の人の場合、心臓の拍動を感じる場所がある方」とあります。面白くないですか? 辞書をひきたくなったでしょう? 自分ならこう表現するとか考えたら眠れなくなりますね!(笑)

何十年もお茶の間のお昼を賑わせた「笑っていいとも」のコーナーでやはり辞書作成を模した愉快な企画がありました。ある言葉をタモリさんやゲストが辞書っぽく説明するというものでした。ある時、『結婚』という言葉の語釈を木下優樹菜さんがこう表現しました。「お米の固さの好みを受け入れること」・・・ タモリさんは「愛で始まり、やがて憎悪に変わり、感謝で終わるもの」と表現しました。なるほどなるほど・・・感心してしまいました。またある時は『涙』の説明を「溢れる感情の結晶」という表現をしました。

これも木下優樹菜さんで、彼女は今にも泣きそうなのをこらえながら「涙は悲しいだけじゃなくて、うれしい時も楽しい時も溢れるものだから、それをどうにかまとめたくて『溢れる感情』としました。涙はロマンティックなものだから、キレイに表現したくて『結晶』としました」と語っていました。私は別に木下優樹菜さんのファンではありませんが、こんな辞書が出来たら是非手にしてみたいと思ってしまいました。言葉には人の思いや感情が宿っているのですね。

お釈迦様が私たちを救おうと考え、伝えた言葉にも大きな慈悲が含まれているはずです。もう少し解りやすく難しくない言葉で多くの人に経典を伝えられたらな・・・と思いました。

言葉には言霊があります。音として発した言葉には魂が宿るのです。皆様、仏様や神様、ご先祖様に語るときは、言葉を音にして伝えましょう。

「南無妙法蓮華経」と唱えてみたら、神仏、先祖、守護神までもがきっとあなたの声を聴きに来ることでしょう。

さて、結婚の話が出ましたが、四月に本堂で仏前結婚式が行われました。最近では披露宴だけで式を挙げない方や、人前なる式しか挙げない方がいるみたいですが、ご先祖様や神仏の前では嘘はつけません。目に見えないものを大切にするのも良いものですよ・・・ 日本人は生まれて神様、結婚はキリスト様、死ぬとき仏様などと笑いの種にされていましたが、今ではそれさえも無くなりつつあるそうです。

こんなこと・・・

二月 厄年に除厄の祈願をします。大概、二月の節分近辺ですが、普通はご祈祷受けてお札とお守りもらって帰ります。しかし今まで何人かは朝の六時に来て自ら水行をしていった人もいます。今年も二人ほど水行を行いました。かなり冷たい水をガッツリと頭からかぶり、身を清めます。 ご祈祷は人任せではいけません。自ら行動をおこしてこそ通ずるものがあるのです。以前、女性も四人ほどかぶりましたが気合が入ってました@@@

三月十一日に震災三周年忌供養祭に行ってきました。海でお経と三味線とで供養し、お流し致しました。

代表の川口さんは言いました。「丸三年経った今も悲しみは何も変わらない。毎日涙を流す日々がある。しかし、我々は前に進まなくてはならない。ここに三年という区切りで新たな心をもって前に踏み出そうと思います。」・・・と 遠く離れた被災地外の人にとってはそろそろ過去の出来事に変わりつつある東日本大震災ですが、被災された方たちにとっては、過去の事として置き去ることはできないのです。

皆様から頂きました、貴重な支援金(十五万円)は今回、震災孤児の為に使わせて頂きました。当初、私は赤浜の人に直接お渡しし、この地域の震災孤児の為に使って下さいと言ったのですが、自分たちだけもらえないから、大槌の役場へ届けて平等に使わせて頂きますと言われました。流石、世界をうならせた日本人の魂。みんなを労わる美しい心です。東北の人の行動が世界をあっと言わせたのが解ります。日本の全体が見習うべき心ですね。

四月 昨年桜の木が復興造成の為に切られるから、これで花見も最後だねと言いながら帰ったのに、まだ桜がありました。復興計画が遅れているのだそうです。よって今年も花見がしたいというので協力することになりました。四月下旬、桜の開花に合わせて計画を立て、いざ赤浜へ・・・

今年は遠野名物ジンギスカンです。子供の為には花火大会。大人にはたくさんのお酒を振る舞って悲しみを吹き飛ばしてもらいます。

震災当時の炊き出しの様子とは比べ物にならない盛り上がりがありますが、お酒が入り、夜もふけてくると、語る言葉には涙が混じります。傾聴している私たちも涙なしでは居られません。綺麗に咲き誇った桜を眺め、お酒を飲み、笑い、歌い、子供たちも大いにはしゃぎ、花火で喜び、駆け回っていても、その誰もが大事な人を亡くしているのです・・・三年経った今でも隣の家の声がよ~く聞こえる隙間風の仮設。まだまだです・・・

行事案内板

*六月一日 先代 邦海上人第七回忌法要 もう七回忌です。早いですね。

おねがい

*古いお塔婆は業者に預け、お焚きあげの出来るところまで運んで頂きます。腐りかけのお塔婆は業者が運んでくれません。二年以上経つと腐りはじめ、虫がわきますのでその前にお持ち下さい。お札も概ね一年で替えるものです。お塔婆も何年も放っておかないで下さい。
南無妙法蓮華経