HALF AND HALF JOURNAL

 

 


破 片

無 意味 な

                                                         

無意味な破片

                                        

 

                

           

 

Fragments

HHJ

                         inutiles

 

  

 

 

★トミー・ドーシー楽団の名演〈明るい表通りで〉を流してA

☆ ☆ ☆     Updated 2005.12.21

アロマ―米さんが、まあ、今日は早く来てくれたわ。

半分半分放送局長―雪が降ってきたよ。ミラー・イメージに関する重大なミーティングとは、何なのかな?

編集長―今、HHJの勇敢な特派員ダレナニ君が自転車で戻るってくるところだから、もう少し待とう。

ナモネ氏―HHJの我らが特派員はハンバーガーを食べたくてバスには乗らない主義なんだ。

放送局長―HHJにはペーソスがあるね。パナソニックのVカメラが今日の主役なのか?

アロマ―ミラーに映ってるあたしを、こうしてリモコンで撮影できるの。ね?フランス語の〈mirer ミレ〉には見るの意味があって、ミラーとよく似てる。

戦前の柱時計

放送局長―あっ、そうだな。

特派員―お待たせ。100円で往年の名画を鑑賞することにしましょう。

放送局長―《海外特派員》じゃないか!?

特派員―ええ、編集長があるシーンを想い出したんです。全然重要でないシーンを。ここから見ましょうか?オランダ。平和会議場の入口の階段。

アロマ―雨が降って、いろんな傘がいっぱい見える。

放送局長―カメラマンが外交官を狙撃する。ハバーストックが犯人を追う。

編集長―自動車が彼を拾って追跡する、このシーンだね。

ナモネ氏―ジョージ・サンダース(George Sanders)とラレイン・デイ(Laraine Day)

放送局長―怪しげな男だが、ロンドン・ポスト紙のライターだったな。

 

□スコット・フォリオットは名前についてアメリカ人の特派員(Joel McCrea)に説明する。

fが二つで、フォリオットだ。

fが二つ?

―二つとも小文字だ。先祖が王様に首を切られて、以来Fffになった

―フフ?

―フだけだ。

運転席の計器板に〈Scott ffoliott〉の銘がある。

☆ 

編集長―〈仮面について〉の分析を適用すれば、大文字のFと小文字のffV字型の構図なんだ。製錬がうまく行って、太陽の子どもである銅がこの世界に出現したことを表わす象徴的な記号、富と幸運と輝かしい未来を約束する記号だ。

ナモネ氏―祖先は鉱山の経営者だったということだろうな。情けない表情で由来を話すが、本当は光栄なネーミングだと言っていい。

編集長―問題は小文字のffのフォルムを見ると、何か、連想を誘うということですよ。古い型の拳銃、ワラビやゼンマイ。ワラビは、イギリス語ではロイヤル・ファーン(royal fern)と言って、何やら高貴なイメージがある。

放送局長―起源はともかく、ミラー・イメージだっていうことは誰も否定できないな。

特派員―ウェンジャー(Walter Wanger)とヒッチコック(Alfred Hitchcock)がミラー・イメージのある名前を登場人物に付けたのは、どういうことですか、ね?ぼくは最初にそのシーンを見たとき、フランスのガリマール出版社のポケット版コレクション・フォリオ(COLLECTION FOLIO)を想い出したけれど、それがストーリーとどんな関係にあるのか、分からなかった。でも、ただのおしゃべりにしては長いな、と…フォリオの意味はフランス語でも同じ、二つに折った一枚の紙のことです。といっても、映画の中には出てきません。

編集長―つまり、逆V字型の構図で、ミラー・イメージというわけだよ。そして、この小文字のfは、手書きにすれば分かるが、渦巻きのイメージなんだ。もう少し想像すれば、五線譜の最初に付ける符号に似ている。渦巻きは、銅製錬の作業で起きる眩暈のメタフォールだ。S字型に変化して有毒な煙を表現する場合もあるが、鉱山全体の象徴としてラビリントス(迷宮)の指示記号にもなると考えていいかもしれない。ロイヤル・ファーンはそのすべてを表現するイメージだから、尊い植物だと古代の人は信じたにちがいないな。イメージは、この場合映像と言っていいが、それと類似するフォルムに働きかける力がある、と呪術的な知性は考えるんだ。

アロマ―嫌な気分。

放送局長―なるほど。ミラー・イメージの例がその映画にあるということは、今までの対話から考えれば、制作者たちが暗殺のシーンを東京駅での浜口首相狙撃事件のアレンジで作ったんだから、日本の凶暴なファシズムを告げるニュースに奇妙なミラー・イメージを検出していた可能性があるよ。

編集長―ぼくが若い頃不思議に思ったのは〈某重大事件〉と名づけられた出来事が二つあるということだ。

特派員―それ、ぼくもちょっと気になったことです。映画が作られた1941年当時連合国の情報関係者が漫然と極東のニュースを読んで紙屑にしたとは思えませんね。

放送局長―そのとおりだ。しかし、君、このミラー・イメージに何かメッセージがあるとすれば、誰が誰に向けて何のために送ったのか、分析してみなければならない

編集長―当然、陸軍と朝日新聞と玄洋社に疑惑の目を向けなければならないな。宮中某重大事件では、革命後の中国でも暗躍していたテロリストらの親玉頭山満が帝国の首都東京の真ん中皇居で汚い役を演じる1。次の天皇ヒロヒトを操ろうという計画、少なくとも共謀的な意志がその頃すでにあったことは事実なんだ。

特派員―やはりメッセージの対象は第一に天皇と皇族でしょうね。イギリスの情報部MI62009年の創立100年を記念して活動の記録を公開するそうなので、もしかしたら今日のテーマと関連のある文書が見つかるかもしれませんよ2

アロマ―どんな理由か、1909年から1949年までの記録。

放送局長―日本の外務省もまねてもらいたいね。

       ☆ ☆

□ 東京駅暗殺事件~15

A  Tommy Dorsey and his orchestra ; On the sunny side of the street

1        大系日本の歴史14 二つの大戦 ; 江口圭一(愛知大学教授) 

小学館  1989年発行

2        時事通信 128

 

V字型の例と分析

▼ 仮面について~27

▼ 仮面について~29

渦巻きなどのイメージの考察

▼ 仮面について : 耳のゼンマイ巻き

 

 

 

 

 

 


★敗戦後60年、レス・ブラウン(Les Brown)楽団による

We’ll be together again〉を何度も何度も聞きながらA

☆ ☆ ☆       Updated 2005.12.4

特派員―1116日、アメリカ合衆国のブッシュ(G.Bush)大統領が京都を訪問して、今年の4JR福知山線で起きた戦慄の悲劇で目の前が真っ暗闇になったまま何とか生活している関西の人々に希望の光明を与えました。京都を選んだのは大統領ですが、なかなか心憎い配慮だと思いませんか1

ナモネ氏―関西の人々の恐怖心を鎮める効果があったと思う。私が心配なのは、その恐怖心が攻撃的にならないか、ということだ。

編集長―戦争の最中に日本文化のエッセンスに触れたいというのは、余裕を感じさせるね。ブッシュ大統領はアメリカン・スピリットの見本のような人だが、〈好戦主義者〉という批判は全然当たっていない。自由は戦わなければ手に入らないのだ、という単純明快な真理を世界中に教え広めている。

ナモネ氏―日本人が忘れていたことだな。

階段の手摺り

アロマ―お茶を淹れましたので、飲んでくださいませ。軟禁中のスー・チー(Aung San Suu Kyi)さんが早く解放されて京都に来れたら、幸せですわ。

編集長―おお、キョ―ト・ムードがぐっと高まったな。ブッシュ大統領は北朝鮮とビルマの人権抑圧を非難したが、これは本当なら日本の指導者が言わなければいけないことだ。

特派員―日本人は自分の自由と権利については結構考える、というか、それが大事なんだということを行動で表現する。しかし、それが他人や国際社会で必然的に引き起こす犠牲や可能的な事態に関しては、想像力がないどころか、まるで無感覚ですね。

編集長―敗戦後の多くの日本人にとっては、確実なのは金と数字だけだったと思うね。だから、せっかく憲法に書き記されたアメリカ風のデモクラシーも単に数が多い少ないの問題に落とされてしまった。

アロマ―国連のあのケースにしても、そうですわ。

特派員―うむ、おかしなことだね。最近の日経のアンケートもやはり結果を操作して、NHK不要論が多いと宣伝してたよ。

ナモネ氏―まあ、ともあれ、日本とアメリカのトップが日米関係は21世紀の座標軸であることを確認した、これは賢明だと思う。国民は安心する。しかし、日本とロシアの関係がそれで狂わされてしまうとしたら、昔に逆戻りだ。愚かな平和だ。国際社会にとっても。

特派員―しかし、1120日プーチン(V.Poutine)大統領が予定どおり東京訪問を果たしたけれど、明るい未来の破片もない。大館に住む人間から見れば、日本海の北の方は有刺鉄線を張りめぐらされたまんまですね。

アロマ―フランスの報道を信用すれば、ブッシュ大統領はプーチン大統領に霊魂的なレベルで親愛感を覚えたそうよ2。アメリカがロシアと仲良くしてるのに、日本は執拗に白人差別をやって敵対的だ。アジアは一つ、と宣伝しても無駄よ。

ナモネ氏―細かい法律論で北方領土占領の不当さを訴えたホームページを見たが、まず人間として戦前戦後どう振る舞ったか、考えるべきじゃないか?

編集長―東京裁判の重要な意義は、そこにあると言っても言いすぎではありませんよ。

特派員―1120日は、ちょうどニュルンベルグでナチス・ドイツの戦争犯罪を裁く裁判が始まった日ですね。60年前に。これは国際刑事裁判所の創設にインスピレーションを与えた裁判だ、とフランスのジャーナリストが意味ありげに書いている3

編集長―それについてはあとでじっくり考えないといけないな

半分半分放送局長―修正モジュールのインストール終了。ビットキャスト・ブラウザが無事スタートできたぞ。

☆ ☆ ☆       

 

A 歌 ; Doris Day

1 京都新聞  2005.11.16

2  La leçon de démocratie de Bush à Poutine

Bratislava : de notre envoyée spéciale Laure Mandeville
[24 février 2005]  Le Figaro

3        NUREMBERG (AFP)  

20 Novembre 2005 11h36  FRANCE INFO
Nazisme: il y a 60 ans, s'ouvrait le procès de Nuremberg

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.11.20

ナモネ氏―この間の使い捨てライターのジョークは愉快だったよ。ライターとライター。ジャーナリストは、世論に火をつけるのが仕事だ。NHK大津支局の新米記者を放火狂に仕立てるシナリオは、東京駅暗殺事件にヒントをえたんだろうな。

特派員―悪い愛読者がいるもんです。しかし、見習い修行中の記者を使い捨てにするマス・メディアも相当な神経ですよ。

ナモネ氏―ボーイスカウト育ちで災害の取材が夢だったというが、法学部出身かどうか、分かるか?

特派員―警察の記者クラブに詰める仕事だから、当然そうでしょう。でなければ、競争に勝てない。

編集長―話は逸れるが、《逃走迷路》のフィルムが回りはじめると、前の方に寂しそうに歩いてくる男の暗い姿がずっと映るね?その背景は、奇妙なことに、縦長の白い紙をいっぱい格子状に雑然と張り付けてある。

1997年         栄町での放火疑惑火事

 

特派員―航空機製作工場の放火テロの疑いをかけられた工員が真犯人を追う、パール・ハーバーの悲劇のあとに作られた鬼気迫る映画ですね。

ナモネ氏―あの白いペーパーは何なのか、と首を傾げない観客はいないと思うが、日本文化を象徴する障子をアレンジしたんじゃないかな?

特派員―パール・ハーバーに関する対話から必然的にリンクされるイメージです。

編集長―そう、3人の意見が一致したところで、今度は《海外特派員》の冒頭に出る新聞社のビルディングを想い出してもらいたいが…

特派員―屋上に大きな地球の模型があって、モーニング・グローブという新聞社名が…つまり、朝日新聞社を暗示してる、と思うけど。

ナモネ氏―映画を見終わったあとで、気づくことだが。制作者のウェンジャー(Walter Wanger)とヒッチコック(Alfred Hichcock)は皮肉たっぷりに作ったな、と思うよ。最初に海外で勇敢に活躍する特派員にこの映画を捧げる、という序文をつけて、それから、モーニング・グローブ社の中にカメラを入れる、すると、主人公はデスクに腰かけて新聞紙みたいな大きさの白いペーパーを鋏で切って何やら細工してる。

編集長―ニューヨーク支局にいた森恭三が見ていれば、これは嫌味だ、と認識したにちがいありませんね。情報戦が始まってるんだから、なおさら。この映画は1976年まで日本で公開されなかったが、それは戦後の民主主義が幻影でしかないということを明らかにしてる。

ナモネ氏―デモクラシー劇場だよ。

特派員―海外の重要な情報がフィルターにかけられていたと思うと、恐ろしくなりますね。

ナモネ氏―戦後は、何と言っても、映画よりテレビだよ。三種の神器の鏡が電気仕掛けになって登場したNHKの最初の放送で、あの緒方竹虎が祝辞を述べた。

特派員―今日のインター・ネットに、10日ぶりにNHKの放火狂の記事が出ていたので、読んでみると、朝日新聞の匿名記者が、逮捕から2週間過ぎた、と妙に時間の長さを気にしてる。今までの情報と違うのは、JR福知山線の電車事故にリンクが付いたことですね。

 

4月25日、兵庫県尼崎市で、JR宝塚線(福知山線)で脱線事故が発生。周囲に「現場取材に行った」などと、大きな現場を体験したいという、入局時の夢がかなったかのようなうそをついている。「『血と油のにおいがひどく、あんな光景は二度と見たくない』と興奮した様子で話していた」(知人の消防団員)〔1〕

 

ナモネ氏―だいたいこの事件は、NHKの支局がおかしい。警察を担当する笠松記者の取材が一度もニュースに〈反映〉していない。本人と消防団員の話を否定する根拠を書かないで、事故現場の取材を〈うそ〉と決めつける。

編集長―個人的に事故現場に行って調査した、と考えることもできる。

特派員―ベテランの記者も警察を担当していたという記事は見てませんね2

ナモネ氏―最初の火事でマークされたとすれば、大津支局は用心するだろうな。

特派員―笠松記者はTVを見て電車事故を知ったとすれば?

編集長―当然、謀略的な連関に気づくだろう。しかし、どの報道記事を読んでも、古めかしい小説だ。主人公の性格と行動のモダンさは全然それに合わない。

ナモネ氏―何が何でも、日本文学てなけりゃいけない。この青年がHHJと似てるのは、消防関係者と仲がいいことだが、警察批判でも一緒にやってるのか、な?

特派員―別に、そんな話はしないけれど、消防署と警察の間に何かある

編集長―消防署も捜査権を持てばいいんじゃないか?放火なのか、そうでないのか、消防署の意見は反映されない。

特派員―HHJ1997年大館市に最初の住民監査請求をやったときの放火騒ぎが、いい例ですよ。

☆ ☆ ☆       

       東京駅暗殺事件~14

 

1 asahi.com  200511191242

2  200511 7 () 15:25 産経新聞より

〈コンビを組む先輩記者から厳しく詰問される〉

 

▼ 放火テロリスムの標的はNHK記者

▼ 絶望的なダメージの回避

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.11.17

アロマ―前田義徳の血筋についてHPでサーチしてみたけれど、情報がないのよ。市立図書館で調べたら、1906年旭川市に生まれてる。それしか分からない。前田侯爵との関係なんて、どこにも載ってない。

特派員―そうなんだ。ぼくも〈WHO’S WHO〉で読んだけど、ね、ロシアとの戦争が終わった翌年に北海道の鉄道線路の最北端の町で人生を始めたとは、想像もしなかった。冬は、ダイヤモンド・ダストが漂って、辛い風土だ。前田侯爵が他の貴族のように北海道に牧場や農園を所有していたのじゃないか、と思ったけど、どうもそういう事実は少なくとも旭川地方にはない。

放送局長―えっぐ調査してくれた。どこにもないと分かっただけで、たいした収穫だよ。そこには何かある、と考えなければならないのだ。

アロマ―ええ、あたしも直感的にそう思ったわ。前田公爵が建てた洋館の敷地内に住んでいたんだから、何の関係もないってことはありえないでしょう。

ファンとコード

特派員―局長が言ったことは、別に哲学的じゃありませんね。ぼくがおもしろいと思ったのは、この人が会長のときNHK放送センターを建設したということです。放送局を内幸町から代々木公園に移した。それで駒場公園も同時に作られる。目黒区役所のHPはこんな歴史を打ち明けていますよ。

 

しかし、栄華も永くは続かなかった。昭和16年に第二次世界大戦が勃発すると、翌年には、ボルネオ方面軍司令官として従軍中の利為侯が、不慮の死を遂げてしまったのだ。夫人をはじめ一家は他へ移り、戦局がますます厳しくなる中で、昭和19年、中島飛行機が邸内の一部を買収して、本社を移転してきた。

 そして、終戦―。前田邸は、昭和209月、連合軍に接収され、第五空軍司令官ホワイトヘッドの官邸となり、続いて264月からは、極東総司令官リッジウェイ(Matthew Ridgway)の官邸として使用された。

 戦後の混乱の中で、前田家は、莫大な財産税の支払いのため、邸宅を手放し、敷地・洋館は富士産業の手を経て、昭和31年に国の所有となり、翌年、ようやく接収が解除となったのである。

 洋館・和館とも長い間閉鎖され、美しかった庭も荒れ放題となっていたところ、昭和38年、代々木公園事業計画区域内にNHK放送センターを建設する代替措置として、政府は、旧前田邸に公園を建設することを決定した。そのため、国有地については、東京都に無償貸与され、都はさらに民有地を買い足して、昭和42(1967)7月、旧前田邸は、東京都立駒場公園として生まれ変わった。その後、昭和50年に公園の管理が目黒区へ移管されて現在に至る。

 

放送局長―代替措置って、どういうことだ?

特派員―つまり、ぼくの解釈では、代々木公園建設事業の青写真の中に急にNHK放送センターの建物が割り込んだので、公園の面積が縮小した。東京都は国家権力には頭が上がらないけれど、代わりに駒場公園を作るという条件なので、承諾した。

放送局長―ううむ。前田会長が〈天皇〉と呼ばれたのは、そんなプロセスがあったから、だろうな。いろんな面で利益があったな。

特派員―衛星放送のプロジェクトにも手をつけた。

放送局長―あの未来的な放送センターにはイタリアの戦前の現代建築が反映してるよ、な。

編集長―そう言えば、そうだ。放送番組の内容もひどくなったよ。

☆ ☆ ☆       

       東京駅暗殺事件~13

 

前の対話に案内しましょうか?

▼ イニシャルを見れば、完全なミラー・イメージがある

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.11.9

半分半分放送局長―100円ライターが39個、NHKの記者の自宅にあるのを見つけた1…警察は何を考えてるのか?おれなんか、数えきれないほど使い捨てライターを仕事場に散らかしてる。それを放火の証拠にされたんじゃ、タバコ好きの市民はみんな放火狂に仕立て上げられてしまう。

特派員―ごもっともな意見です。

放送局長―君は他人事のような態度だが、脳細胞は全然正確に動いてないね。警察の発表には火を見るよりも明らかな嘘がある。39個のライターが全部100円の値段か?

特派員―日本の警察は必ず犯人を挙げることに情熱を注いでいます。番順さんのように、革靴の底が破れても家々の間を隈なく捜査して回る。必要な裏付けをちゃんと取る。39個のライターの値段を一個づつ調べ上げたと考えるべきですね。でも、ダイソーやキャンドゥといった100円ショップでは…

JR大館駅前の自転車置場

放送局長―そう。おれのこのライターは3個で100円なんだよ、なあ。おれの、なんていう私有物意識はほとんどないけど、まあ、自分のライターだ。タバコは270円の定価で買ってる。これは間違いようがない。しかし、タバコの有害さをこう馬鹿でかくパッケージの表と裏に書かれると、文句を言いたくなるよ、な。編集長が懸命に追いかけてる凶悪犯オゾンの危険さについて環境省は知らんふりだ。警告を発する様子もない。オゾンが空気を汚染しなければ、タバコの煙はそれほど有害な変化を起こさないはずだ。

特派員―これは高級な知性の考え方ですね。タバコだけ責め立てるのは冤罪ですよ。

放送局長―試験で育った低級な頭脳がやるのは、一部分を拡大することだ。全体を考えさせない。

特派員―国際連盟が創設されてから大日本帝国がめざしたこと。いや、冗談です。その点、マス・メディアという組織は分析と総合が同時にできる強みがあるはずだが。歴史の中に位置付けたり国際社会の出来事を視野に入れたり。

放送局長―この放火狂事件で言うと、426JR宝塚線で起きた電車脱線事故だな。毎日のタフなライターが狙われた。大津市の連続放火テロリが幕を開けたのは423日だ。テロリとスムの間には亀裂がある。

                

特派員―23日の火事では笠松記者は住民と一緒に消火活動をした。それから515日までウイークエンドなどにその地域で不審火が発生する、〈JR大津駅東側の半径約250メートルの範囲の住宅地で計11件〉です〔2〕HHJはこんな暗黒が渦巻いているのを知らなかった。

放送局長―彼は、NHKが身分保証になると思い込んでいたようだが、職業を知らない住民が多い。何だか様子がおかしい、とまもなく感づいただろう。警察はもちろんあれこれ嗅ぎまわる。515日近くの火災を携帯電話で撮影したのが自分の部屋からだった、というのは妙に悲しい屈折した心理だ〔3〕。

特派員―それはアリバイに役立てる目的だったのではないかな?住宅が全焼した事実を重視すれば、放送記者は避難した方がいいと予測できた。ボーイスカウトの経験からしても、ね〔4〕。完全に犠牲者ですよ。

放送局長―そう、単純な話だ。自分の住んでる建物の周辺に火を付けて回る放火狂なんてのは、テレビ朝日の野暮なドラマぐらいだよ、君。この事件で大事なのは、おれの直観では、住民や消防団員などの証言を信頼しないことだ。宝塚線のテロリスムで恐怖のウィルスに感染してしまった病人であると用心しなければいけない。

特派員―テロリ・ウィルスは、事前に記号論的な予告があれば、呪術的な力で精神的な混乱が引き起こす。大津支局の先輩たちはすでに免疫があるはずだから、新人にそういう特殊な状況について指導する責任がある。

放送局長―大津支局の先輩たち?あれらはいったい何者か、と疑ってかからないのが失敗の始まりだよ。NHKの眩しい歴史を忘れちゃいけない。警察と同様役者以上に演技が達者な怪人揃いだ。

特派員―確かに目が眩むほどです。ぼくは調子よくあの手この手を編み出して動き回りましたが。それにしても、心配なのは115日の逮捕が何を意味するか、ですね。岸和田市で起きた6月の放火の容疑で。

放送局長―朝日の竹虎を見習えば、事件現場にいたって痛い目には会わなかったはずだよ。今頃は、英雄だよ。皇族と仲のいいライターになって、軍人を鼻であしらってるさ。戦前はオイル・ライターだよ。舶来の超高級品。

特派員―パリ郊外から全土に広がった暴動で、シラク(J.Chirac)大統領は〈精神を鎮めるよう呼びかけた。なぜなら、対話の不在と尊敬心がないことの高まりは危険な状況を招くから。〔5〕〉どこかの国の総理大臣とはえらい違いですね。

放送局長―自動車4000台販売促進のための暴動だよ。

☆ ☆ ☆       

1 共同通信 200511 8 () 00:05

2   日刊スポーツ 200511 6 () 09:44

3 NHK オンライン 11/07 04:29

4   産経新聞 15:49 2005/11/07

5  Chirac veut «rétablir l'ordre public»

Philippe Goulliaud  Le Figaro [07 novembre 2005]

Le président avait alors lancé un appel pour que «les esprits s'apaisent», car «l'absence de dialogue et l'escalade de l'irrespect mèneraient à une situation dangereuse».

 

 

▼ 放火テロリスムの標的はNHK記者

 

二人の見事な会話にリンクさせたい

▼ HHJのバイオ・テロ騒ぎ日記

▼ 作るべきでなかった番組のテロリズム

▼ 川を愛する

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.10.17

ナモネ氏―柳田国男と聞けば、何を想い浮かべる?

特派員―外交官寺崎英成の活動を描いた《マリコ》の著者、柳田邦男ですか?NHKにいたジャーナリストですよ。

編集長―発音が同じだから、間違えたことがある。ぼくは日本における民俗学の創始者が官界を去って権力に批判的な道を歩んだことを第一に想い出しますよ。

ナモネ氏―それを、ねえ。私が話したいのは、まさに柳田が貴族院書記官長を辞めた経緯、1919年、大正8年の異変だ。 

アロマ―官僚と民俗学なんて、まるで正反対のイメージだわ。シルクハットをかぶったえらい紳士が山道でお地蔵さんに挨拶する生活を選んだのは、どうしてなんでしょうか?

コーヒー・ミル

ナモネ氏―いや、柳田は政府の仕事を離れてから、民俗学に興味を持ったのではない。この人は、東京帝国大学で政治学を学んで農商務省や法制局、宮内省に勤めたエリートで、民衆の風俗や歴史に対する関心は農業問題に取り組んだことが契機だったと思う〔1〕。大学に入る以前から詩人として森鴎外などと交流があった。平凡な知性じゃない。岩手県遠野に伝わる民間伝承の語りをまとめた《遠野物語》は1912年の発表だよ。石川啄木が死んだ…    

編集長―大正時代が幕を開けたとき、ですか?民衆の精神と生活の深層構造を表現しようとしたのは、やはり時代の流れですね。といっても、柳田の思想は忘れたが、当時流行の無政府主義や社会主義、共産主義なんかと比較すれば、作品に政治色はなかったはずだ。

ナモネ氏―ところが、大正デモクラシーを支えたのは労働者と一般民衆の政治社会的な自覚だ。

特派員―ロシアとの戦争で大きな犠牲を払って勝ったのに、その報酬はあまりにも乏しいという不満が渦巻いた。ゼンマイ仕掛けですよ。

ナモネ氏―そう、血を流したのは民衆だから、民衆の価値と権利を認めてもらわなくては不公平だということだよ。

編集長―きわめて論理的な動きですね。政治家と資本家がそれにどう対応するかで国の運命が決まる、と言ってもいいと思う。最終的には普通選挙の実現という問題になるが。まあ、背景の説明はこの辺で十分ということにして、大正8年に貴族院書記官長柳田国男に何が起きたか、早く聞きたいですね

ナモネ氏―1919年というのは第1次世界大戦が終わったあとだ。柳田は理由を明らかにしないが、もうその頃〈役所にはいられないと思っていた〉と回想している。京都大学大学院文学研究科の永井の論文によれば、1918年から柳田の転任工作がひそかに進められていた〔2〕幕府の旧臣で東大法学部教授岡野敬二郎を使って企んでいた悪党は、何と貴族院議長の徳川家達(いえさと)、最後の将軍慶喜の後継者となっていた人物だ。驚くじゃないか?

編集長―その後継者はいつから貴族院議長をやってたんですか、ね?

ナモネ氏―1903(明治36)から1933(昭和8)年まで。これも衝撃的だ。舞台裏が回転したのは、1919年の夏で、石渡敏一司法次官が柳田国男の養父直平の友人倉富勇三郎に相談に来て打ち明けるには、貴族院議長徳川家達が柳田に不満なのは、議長に無断でたびたび講演に出かけ、本来の仕事をなおざりにしているという点にある。しかし、すぐに罷免する考えはない。柳田国男は徳川が陰謀の事実を認めて謝罪するまで辞任しないと決めていたが、原敬首相の日記によれば、10月〈徳川一族〉がその問題で〈泣きついた〉ので、柳田の説得を試みた。万事片付いたのは、その年の暮れだ。

編集長―夢にも思わなかった真相です。柳田国男の地位と民俗学をも含めた幅広い交遊関係を軽く見ないかぎり、普通はそんな無茶な迫害は中途で止めるでしょう。どこにどんな悪影響が及ぶか計算に入れないで目的を遂げようとする馬鹿は何者なのか、と考えてしまうね。

アロマ―その貴族院議長はロボットよ。

ナモネ氏―いや、30年間議長席で睨みをきかせていたんだから、やはり相当な悪人だと思うな。徳川の御威光は敗戦後も衰えたことがないのだ。

特派員―NHKについて書いた本を読んだら、会長が握ってる編集権というオール・マイティと〈葵の紋所〉がNHKを力で押さえつける論理だとあるんですよ3。葵と言えば、徳川だけど、それに関しては何の説明もない、謎の仄めかしです。

編集長―そうそう、徳川という言葉は全然出ないが、葵印は出る。

アロマ―TVの画面に一瞬映るスペクターね。

特派員―意外なことに、柳田国男は辞職してから朝日新聞の論説委員になった。〈捨てる神あれば、拾う神あり〉です。

編集長―真実は、一人二役でなかったとは言いきれないよ。

ナモネ氏―なるほど、真実は捕らえがたい。まあ、ともかくその続きもおもしろいんだ。柳田国男はそれから2年後、国際連盟常設委任統治委員会の委員に就任する。国際連盟事務次長の新渡戸稲造が、この人も岩手県出身だが、右翼テロの恐怖に抵抗する勇気を少しは持っていて、柳田を推薦したのだ。書記官長のときは南満州鉄道に厄介払いする工作があったというから、今度は出来たばかりの無用の国際連盟に追い払って表面を取り繕う腹だったかもしれんな。

特派員―1921年は、バーデンバーデンで永田鉄山や東条英機ら青年将校グループが怪しい計画を話し合い、原敬首相が東京駅で暗殺され、皇太子裕仁が摂政になった重要な年です。

編集長――国際連盟というのは、アメリカのウィルソン(Woodrow Wilson)大統領が提唱した。第1次世界大戦の科学による残酷な戦争が西洋人に反省を強いて、その結果、人類の平和を考える組織が必要とされた。中国大陸特に満州の広い大地をユーラシアの裏側でこっそり狙う日本の帝国主義には、これはかなり迷惑な世界機関だったバーデンバーデンの密約と呼ばれたあの会合は、第1次世界大戦の反省に逆行する構図なんだ。

ナモネ氏―総論には賛成でも、例えば委任統治という考え方はヨーロッパ人の頭からは生まれなかった。戦勝国が領土を取って何が悪いのか?日本人はなおさら不満で、ドイツ領だった南洋諸島は実質的に併合、山東半島は中国人の猛反対とアメリカの同情を無視して強引に植民地にしてしまった。柳田国男は、最初の任務から帰ったあと〈国際連盟の発達〉という題で、こんな評論を新聞にではなく機関紙に書いた4。〈彼等土民に対する文明国の態度が今日になって初めて確立されたということは驚くべき事実である。〉〈けれども最早公然と自分の利益のめに領土を併合することは公言出来なくなり、表面だけでも土民の安寧幸福を目的に統治しなければならなくなったのである。〉

編集長―世界の決定的な変化と新しい思想を日本人が理解しなかったのは、致命的ですね。つまり、デモクラシーは一般に受け入れられていたが、国家という枠組みがなければ、人間は人間として存在しえないという封建的な観念が消えなかった。

ナモネ氏―不幸なことに、近代化を支えた観念でもある。柳田国男の民俗学はそれに必然的なフィクションを見抜いていたと思う。そのフィクションの危険な面をどうするか、というのは20世紀の悩ましい問題だ。

アロマ―自由に生きて、自由にしゃべること。ちっとも難しくない。

編集長―今日はこれで終わりにしよう。

☆ ☆ ☆

□ 東京駅暗殺事件~12

 

1         ウィキペディアHP, etc.

        柳田国男 1875~1962  兵庫県生まれ

2         京都大学大学院文学研究科 永井和HP  立命館文学 2003年掲載 

   柳田直平は1894年から1906年まで大審院(:現在の最高裁判所)判事を務めていた。

3 NHK : 松田浩  元日経新聞放送担当記者、放送評論家、メディア総合研究所研究員

4 日本の近代 4 「国際化」の中の帝国日本 1905~1924  : 有馬学  

中央公論新社  1999年発行

 

■ 東京駅暗殺事件シリーズ

 

 

 

 

 

 

 


         Updated 2005.10.1

特派員―NHKの受信料支払い拒否が増える一方ですね。

編集長―どういう状態なのか?

特派員―20日の会見で橋本元一会長が発表したところによれば、9月末の推計で約130万件。見通しでは今年度上半期の受信料収入は予算想定額から約237億円の減収で、このままのペースで行けば平成17年度は500億円が泡と消えてしまう〔1〕。不支払いの理由は職員がみずから出演してる連続ドラマのひどさです。

編集長―その馬鹿な連続ドラマは、前の会長辞任で終了する予定だったんじゃないか?

特派員―野暮なシナリオですね、はい。ぼくにはこのドラマのテーマが全然分からない。

ドレープ

ナモネ氏―理解できないから、口座振替えを中止するという手段に訴える視聴者が急激に増加したのだと思うが。会長、理事、経営委員、その他の関係者が総出演しても紛糾するばかりだよ。

編集長―ぼくは今度の衆院選で外交の拙劣さが問題にならないはずはないと思ってた。国連の安保理改革で自爆したこと、首相の靖国神社参拝をめぐる中国との軋轢、北方領土問題でロシアとの平和条約の可能性をぶち壊したこと、そこに分裂症的なニヒリズムを見ないのはもう普通ではない。NHKは、何が本当の問題か、考えるべきだ。これは国民が出した問題なのだ。NHKはよそ見をしないで答案用紙に書き込む義務がある!!!

特派員―そうすれば、簡易裁判所に訴えなくても自然に受信料が集まる。

半分半分放送局長―どこかで誰かと一杯飲める。編集長の怒りはNHKの放送センターに通じると思いたい。しかし、あの辺でいくら騒いで批判しても、NHK設立80年、右翼テロリストでなけりゃ何も解決しない。紙切れ一枚動かないよ。

                 

特派員―どうも空しい気分が漂っているけど、希望はあります。放送法を改正して、経営委員を視聴者が選ぶようにすることですよ。総理大臣が任命と罷免の権限を持っているかぎり、嘘のデモクラシー放送局でしかない

放送局長―それは、君、ひょっとして憲法違反なんじゃないか?

特派員―放送法は最初に目的を明記して、第12項で、放送の〈不偏不党〉と〈真実および自律〉を保障することによって、放送による〈表現の自由〉を確保すること、そう言ってる。

編集長―民主憲法を守ると言いながら、経営委員の選定では矛盾を犯してる。マス・メディアが積極的に告発しなければいけないことだ。

放送局長―そういう番組をいろんな形で制作していい、と言いたいけれど、NHKは全職員の1割に当たる1200人の職員を削減する計画を打ち出したから、記者やディレクターは首に縄をかけられた気がするだろう。正義感の強い人間が生き残れるかどうか分からないな2

ナモネ氏―20日に会長が発表したNHKの〈新生プラン〉は、視聴者第一主義を唱えた3。経営委員会(石原邦夫委員長 東京海上日動火災保険社長)が承認したことだが、老人施設の視聴者のために、と言ってるように聞こえたよ。日本を代表する知的集団が語ることじゃない。この愚劣さはやはり、放送センターの奥に内閣総理大臣と国会議員の神棚が置かれてるためだ。番組への政治的干渉を防ぐには、まずこれを叩く必要があるんだ。

放送局長―無口な野党も、放送に対する政治権力は保持したいと内心思ってるわけで、ね。

        

 

1 産経新聞、サンケイスポーツ 2005 921 ()

2,3 読売新聞 2005 916 ()

朝日新聞2005 921 ()

 

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.9.18

半分半分放送局長―そう言えば、ヨーロッパではマルチェロ・マストロヤンニというような同音反復の名前は縁起がいいと言われてる。イニシャルを見れば、完全なミラー・イメージがあるM.M(Marcello Mastroianni),C.C(Claudia Cardinale), A.A(ANOUK AIMÉE),F.F(Federico Fellini)。名作《8 1/2》の主演者と監督だ1。冒頭の夢のシーンが印象的だよ。悩める監督のM.Mが渋滞で動けない車から空に舞い上がり凧になって足を引っ張られる。医者の勧めで古代ローマ風の温泉保養地に行き、そこから映画制作のプロセスが映画になるんだ。反復するイニシャルの主演者を集めたのは、フェリーニがその由来を知っていたということだ。

ナモネ氏―あの映画はシナリオが決まらなくて即興的に作ったものだよ。だから、〈この混乱が私なのだ〉と監督は悟りすましてテーマの説明みたいなことを言う。

特派員―〈1414〉の問題は解決したと考えていいんでしょうか?

ツイン・ライト

編集長―バーデンバーデンが水源だよ。道路が混んでたのか?

放送局長―ちょっとね。録音テープを巻き戻して、最初から聞かせてくれないか、君?

特派員―はい、はい。

ナモネ氏―鏡のイメージだ。話し声が聞こえる鏡だ。

編集長―渦巻きのようにも見える。

特派員―ゼンマイ仕掛けですよ。

放送局長―迷宮の中から流れる音と映像。いや、映像はまだないな。新しい映画のアイディアが湧いてきそうな感じだ。

編集長―そうだ。君、ラジオ放送がいつどこで開始されたか、調べてくれないか?

☆       

放送局長―なるほど、分かった。ライン河の上流バーデンバーデンで、ねえ。

特派員―世界で最初のラジオ放送は19201月アメリカで実現していますね〔2〕。アナコスチア飛行場から軍楽隊の音楽が電波に乗った。11月には初の放送局ピッツバーグのKDKA局が、大統領選挙の開票結果を流した。22年にはニューヨークのWEAF局が初のコマーシャル放送。同じ頃イギリスの国営放送局BBCが放送開始。ドイツ放送は翌年追いついてる。日本も急がなけりゃあ、と青年将校らは話し合ったんでしょうか、ね?

編集長―そう、どんな悪用が可能か、と…

ナモネ氏―満州帝国で東条英機が関東軍参謀長になった年、1937年、昭和12年、満州映画会社が設立されてるが…

放送局長―しかし、あまり想像を広げるのはどうかな…〈14〉という数字は何なのか?

編集長―忘れてた。

放送局長―1114日朝、中国帰りの殺し屋は事務室のカレンダーに〈十四日十四日〉と意味ありげな暗号が記されているのを読んで、東京駅に行く。その数字がどんな意味か、説明はないが、犯行グループは東京駅での原敬首相暗殺を模倣しようとしたとあるとおり事件が起きた11.4という日付も部分的にコピーしてる。

編集長―原敬(たかし)首相暗殺は、1921年、つまり大正10年の114日に起きた。バーデンバーデンのミーティングの一週間後だ。政友会総裁の原首相は東条英機と同じ岩手県(南部藩)出身で、政治思想は陸軍と正反対の大正デモクラシー、というのは西園寺公望が総裁のとき政友会が先頭に立って護憲運動を始めたからだ。舞台裏とバーデンバーデンの関係が気になるね。〈14〉という数字にどんなメッセージが隠されてるか、と言うと、ぼくは鉱山関係者だけが理解できるものだと思っていた。

特派員―違うんですか?

編集長―そう。1878年、明治11514 日、内務卿大久保利通が暗殺された。西南戦争が終わって1年も経っていないときだ。大久保は明治政府のトップで、首相のような地位にあった。それは、まあ、常識だが、アメリカ人が書いた《明治天皇》を読むと、14日は、参議と呼ばれた大臣たちとともに会議を行なう日だった〔3〕。会議の開催日は毎月4日、14日、24日、9日、19日、29日と決まっていたということだ。1930年の浜口雄幸首相暗殺は、現代と違って、明治維新の主役の一人大久保利通暗殺の悲劇を連想させたと思う。

放送局長―西園寺公望(さいおんじきんもち)などは交わりがあった同時代の人間だ〔4〕4日、14日、次の暗殺は24日か、と予想できる。大久保の無残な死体がフラッシュ・バックしたかもしれない。それから4か月後にあの事件が起きた。徳川義親侯爵が資金20万円を提供した陸軍青年将校グループ〈桜会〉のクーデター未遂、3月事件。     

ナモネ氏―謎めいているのは、刺客が薩摩や佐賀の士族じゃなくて加賀藩(石川県)の士族だったということだ。征韓論を支持する島田一良ら三光寺派のテロ集団による復讐だ。明治維新のときは様子を眺めて新政府におとなしくしたがった日和見主義者が、ある日突然背後から襲いかかったのだ。屠殺みたいな殺し方だ。

編集長―暗殺の主謀者に長連豪(ちょうつらひで)というのがいて、陸軍クーデター未遂計画を企んだ10月事件グループには長勇少佐がいる。二人の長の関係は、ざっと調べてみたが、情報がないんだ。

特派員―徳川の20万円がどこに行ったか、追跡すると、おもしろいですよ。昭和5年築地川に完成した長さ約83m、幅15m Y字型の三吉橋の建設費用が約19万円〔5〕

編集長―それは特派員に任せるよ。今日暗闇から探り出したのは、ファシズムへの転回期にミラー・イメージを応用した宣伝工作があったということだ。大正9年の〈宮中某重大事件〉を想い出させる〈満州某重大事件〉、114日と1114日東京駅で実行された首相暗殺事件、連続クーデーター未遂計画〈三月事件〉と〈十月事件〉、政府の要人暗殺に成功したクーデター劇場〈5.15〉と〈2.26〉。これらには当然メッセージが込められていたはずだ。

特派員―昭和天皇の独白録は満州の某重大事件の回想から始まる。二葉会の河本大作大佐による列車爆破テロです。1938年、昭和3年。最初のミラー・イメージ。この理由は考えてみる必要がありますよ。

放送局長―ふうむ。加賀藩の殿様前田侯爵の屋敷は駒場公園として残ってるが、東洋一と言われた贅沢な洋館が、ね6。あの近くに住んでたのがHHJ編集長だ。

編集長―夏は涼しくて、天国だったね。

放送局長―〈天皇〉と陰口を叩かれたNHK会長前田義徳が洒落た建物に住んでいた。東京外語大イタリア科とローマ大学政治科で学び、昭和11(1936)朝日新聞入社、ローマ支局に勤務した。ムッソリーニ(Benito Mussolini)と顔なじみだったということだ。独裁者が作ったチネチッタ(映画都市)に出入りしたということだ。何てことだ。第2次世界大戦を無事生き延びて外報部長になり、昭和25(1950) 61日特殊法人NHKが設立されると、NHKに移った7625日朝鮮戦争が始まり、119人の職員がレッドパージで首を切られる8

編集長―そう、いいことを言ってくれた。アパートと〈別室〉の公園の中間に、終戦処理内閣を組織した皇族東久邇稔彦(ひがしくになるひこ)の住居があった。ごく普通の建築で大通りの角にあるから、表札を初めて見たときは自分の頭が変なんじゃないかと思った。

☆ ☆ ☆      

□ 東京駅暗殺事件~11  後編     前編

 

1 制作1963 イタリア

2 小学館 世界大百科事典 

3  ドナルド・キーン(Donald Keene )    

4   1849~1940 侯爵・公爵、元老、首相、政友会総裁、枢密院議長。 

1881 中江兆民らと東洋自由新聞を創刊。1903年立憲政友会の総裁。

5 昭和2万日の記録

6 目黒区役所HP---1929(昭和4)年完成。16代前田利為侯爵邸。

7 20世紀WHO’S WHO 現代日本人物事典; 旺文社

NHK会長 1964~1973   

1976年自民党の政治資金団体国民政治協会の会長に就任。

8 NHK; 松田浩 岩波新書

 

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.9.6

ナモネ氏―私は、ノーマン(H. Norman)の自殺説は信じない。死んだ44日という日付が、これは仕組まれた事件だと言ってる。

特派員―他殺じゃないか、と疑った人はたくさんいたはすですよ。ノーマンはレッド・パージで共産主義者のレッテルを貼られていた。

ナモネ氏―そのうえ、アメリカ議会で経済学者の都留重人が偽証したことにショックを受けて、薬を服用するほど神経衰弱に陥っていた1。思いがけない事態に機敏に反応できない。

編集長―4という数字は〈死〉と同じ発音だから死を意味する、ということに囚われると、謎はもつれる一方ですね。ここはやはり同じ発音あるいは同じ言葉の繰り返しという枠組みで考えないといけない。

ナモネ氏―つまり、1414〉の問題に帰るということだな。

編集長―あれもダーク・オーシャン・ソサイエティ(玄洋社)が背後にいる。

ピエロのライター

ナモネ氏―今日はそろそろ謎解きをしてもいい頃だと思って来たんだが、どうかねえ?たとえば、84日岩手の兄川撮影旅行、それから21日八森町の真瀬川に行った、というストーリーが聞ければ、おもしろい。

編集長―リヴァー・ドキュメンタリー撮影進行状況表には謎がある、なんてことは想像してもらいたくありませんね。遊びの要素を入れてダブル・イメージ的に選んだにすぎない、秋田の阿仁川の次は岩手の兄川を、と。同じ発音の川は非常に少ないけれど、米代川にその例がある。行ってみると、比山橋の読みづらい書体の漢字を見てるうちに、比山という山が橋の東にあるので、本当は火の山だろうと思い当たった。能代市の檜山も、そうでしょう。何よりも意外なのは、県境の湯瀬温泉の南西に八森という山があるということで、八森海岸行きがそれで決まった。八森町を流れる真瀬川の撮影。花輪には同じ発音の間瀬川があるが、こういう例は米代川では上流と下流に分かれている。

ナモネ氏―うむ、そうだ。冷水川と白神山地の冷水岳。田代平と田代岳。扇田と扇田。黒沢と黒沢。八森という地名は愛知県に一か所あるが、他は東北地方だけだな。

特派員―八森町で何か発見しましたか?

編集長―阿仁合で見かけた鉱滓ブロックと地元で作られたレンガ。湯瀬渓谷より水がきれいな真瀬渓谷。大日本鉱業の製錬所があったところには時間がなくて行かなかった。こういうダブル・イメージ的な名前の付け方は鉱山と係わりがあることを示しているが、地名や川の場合は呪術的な目的で付けたか、あるいは、何か現実的な記号として役立ったのか、と言えば、ぼくの想像では幸運を祈る単なるおまじないですね。

ナモネ氏―鉱山関係者が代々ひそかに伝えてきた。南部藩出身の陸軍軍人の子である東条英機がドイツのバーデンバーデン(BadenBaden)に行ったとき、町の名前から米代川流域の鉱山地帯を想い出さなかったかな?この小さな町バーデンバーデンは放射性食塩泉の温泉リゾートで、ローマ帝国時代から知られていたそうだ。

編集長―東条がバーデンバーデンを選んだのかもしれない。

特派員―1921年、大正10年、10274人の陸軍少佐、小畑敏四郎、岡村寧児、永田鉄山、東条英機が、バーデンバーデンに集まり大正デモクラシーをひっくり返すような革命的な計画を話し合った。なぜバーデンバーデンを選んだか、その理由が見えてきたと言っていいですね。

ナモネ氏―そうだ。バーデンバーデンの密約と呼ばれるこの話し合いで決まったことは、長州派閥の解消と軍政改革、国家総動員体制の確立だよ。昭和の軍国主義はそこから始まった。彼らは二葉会を結成して同志を集めたが、青年将校の面々には迫力がある。河本大作(張作霖爆殺事件の主謀者)、土肥原賢二(天津特務機関長、奉天市長、A級戦犯で死刑)、板垣征四郎(満州事変の主謀者の一人、関東軍参謀長、A級戦犯で死刑)、などなど。しかし、永田は後に統制派の中心的リーダーとなり、皇道派の小畑と対立する。実務型の東条英機は永田鉄山に心酔していた2

編集長―彼らと財閥とのコネクション、徳川派とのコネクション、右翼団体とのコネクション、それが分かると、昭和の歴史が立体的に再現できる。

特派員―二葉会というネーミングが意味ありげですね。バーデンバーデンという地名は、左右相称の二枚の葉っぱですよ。

ナモネ氏―むしろ鏡のイメージを持った地名だ。比山の〈比〉も、それだよ。

☆ ☆ ☆

            □ 東京駅暗殺事件~10  前編   後編

1        生方卓HP

2        国防研究会図書室HP, クリック20世紀HP、その他

 

ノーマンにかかわる周辺情報

▼ マスク・キングダム~2

米代川流域の明治維新と東京でのラジオ放送開始

▼ 大正時代の東京で

 

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆       Updated 2005.8.30

特派員―ハイデガーで想い出したことがあります。90年代末司法改革案がまとまったとき、ある大学の法学部教授の科白、というか、批判を朝日新聞が載せた。最近の学生はハイデガー(M.Heidegger)を知らない、と。

編集長―うむ、確かそうだったな。

特派員―それを読んだときのショックは、社会党の村山富市首相が〈人に優しい政治〉をモットーにした当時、朝日新聞がその〈優しい〉という言葉は英語に訳せないと皮肉を言ったのを読んだときと似てる。

編集長―ときおり奇妙なことを書く人間がいるな、と思わせる新聞社だよ。

特派員―同感です、編集長。疑問なのは、法学部でハイデガー哲学を習うかどうか、あるいは法学とハイデガー哲学の関係です。

ボルト

編集長―ハイデガー哲学には、ぼくが読んだかぎりでは法律にかかわるページはない。といっても、ヘーゲルの分析の中で現代法学の基礎と言われてる彼の法学に触れているかもしれない。法学部でハイデガー哲学を教える大学があるか、これは一般教養としてはありうるが、専門的にはどうかな…しかし、教授のその批判は、哲学は考え方について考えるのが中心だから、それに関心を持たない法学部の学生は将来法律の仕事につけば国民の迷惑になる、そういう思いを込めた苦い一言だと受け取るべきだろうな。

アロマ―編集長は、早稲田でそんな難しい話をしてたんですか?

編集長―ああ、暇があれば、そんなテーマの話をしてたよ。法律を学ぶ人間がどうあるべきかは重大な問題だった。結論は、決まっていた。法律映画学部かと思うほど2枚目が揃っていたから、恰好悪いことはやらない。

特派員―それからの苦労が想像できますよ。ハイデガーの哲学に触れたのは、いつですか?

編集長―大学に入った69年あたりではないかな…ぼくは一般教養で哲学史を選択した。教授は大江精四郎という人の良さそうな老人で、永久平和のために世界政府構想に共感していた。なかなかおもしろい話をする人だったよ。何年か経って本屋でハイデガーの著作を見ると、その教授の名前が付いたものがあった。ぼくがハイデガーの戦後の小品《ヒューマニズムについて》を読んだのは、哲学史の講義の間接的な影響がなかったとは言えない。これは人間存在を明在と規定してヒューマニズムを考えようとした難解な作品だった。しかし、実存主義と弁証法的唯物論の対立を超えることができるのはハイデガーの実存哲学だろう、と教えてくれた本だ1

特派員―〈日常生活嫌悪症か?〉の中で、ハイデガーの記号問題を取り上げた本が街になかったと騒いでいましたが、三木清が岩波新書の《哲学入門》で粗雑ながら一応書いていますよ2

編集長―騒いで、ね。まあ、いい。あの頃それが街に出ていれば、日本の知識階層に対する不信と軽蔑は減少していたと思うよ。

アロマ―哲学は、日常生活を嫌ったらだめよ。社会が現実離れして、人間らしい人間がいなくなる。

特派員―そう言えば、ヨーロッパとアメリカには豊かな日常生活があった。ハイデガーの記号論は、第1次世界大戦後の機械による大量生産社会を分析したと考えてもいいんじゃないですか?

編集長―そうだな、絵描きがボルトを描いたように哲学者は身の回りで起きている世界の新しい変化の奥底を見つめ直した。しかし、環境サインは記号論の知識なしで発明されたはずだ。経済人は自分の会社の製品が公共空間や家庭の中に入るのを目的に活動するんだから、そこに配置された製品のイメージを描くのは必要な作業だ。家庭の中にあるものとメーカーの間に線を引いてみると、おもしろいよ。

特派員―ぼくはその間にせいぜいメーカーとスーパー・マーケットの固有名詞しか記入できない。製品のプランから完成と販売までのすべての通過点を記入できるのは、やはり経済のスペシャリストでしょうね。

アロマ―メイド・イン・エジプトのストロベリー・ジャムって、お線香の匂いなんですの。

編集長―えっ?

特派員―TVのプログラムも大量生産されて、家庭に送り込まれますよ。

編集長―それまではラジオと映画が重要なメディア、伝達手段だった。テロ組織玄洋社の解体をGHQに進言したノーマン(H. Norman)がカイロで自殺した事件を覚えてるだろう3?

特派員―カナダのエジプト大使。195744日ビルから身を投げる。前日彼は日本映画《修善寺物語》を見て、その映画から〈メッセージを受け取ったような気がする〉と妻に話していた4

アロマ―メイド・イン・ジャパンのテロって、刺身の味ですの。

☆ ☆ ☆

□ 東京駅暗殺事件~9

1        後者に関しては梅本克巳の《唯物史観と現代》(岩波新書)を読んだ。

2        岩波新書 1940年発行

3 歴史学者 忘れられた思想家安藤昌益を海外に紹介したことで知られる。

4 明治大学助教授 生方卓 HP

 

対話の背景

▼ 日常生活嫌悪症か?

 

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆     Updated 2005.8.20

ナモネ氏―鹿角市の市議が、鹿角は岩手県に入るべきだと議会で提案した。秋田県の政治に愛想が尽きて、な。徳川時代には南部藩の領地だったが、鉱山経営が第一で、とても住民に優しい政治じゃあなかった。あの市議は今の岩手県を評価して、そんな突拍子もないことを言ったと思うか?

特派員―あれは確か90年代の末、秋田県が公費悪用問題で全国的な観光宣伝をやった頃の話ですね。残念ながら観光客は増えなかったけど。岩手県はそんな不正が表面に出なかったので、ただ現状を比較して考えたんでしょうよ。

編集長―熊沢川と夜明島川のドキュメンタリー撮影したあと、花輪の中心街に行ってみたら、日曜日の昼下がりなのに、人影がない。リハビリの老人があのモダンなアーケード街を孤独に歩いてる光景は象徴的でしたね。

ナモネ氏―コンクリートと鉄のおかげで、人間が脆弱になったのだ。私が言いたいのは、そこだよ。秋田県から離脱しても、状況はほとんど変わるまい。

長牛(なごし)城跡の集会所

編集長―しかし、八幡平の向こうの方が金回りがいいというのは、旅行者もすぐに認める事実ですよ。

特派員―秋田県とは道路が全然違う。それに、何とか鉄道のレトロ電車。贅沢に金をかけた帝国主義様式のデコレーション、あれを見ると、内陸鉄道のファンが衝撃を受けますよ。

編集長―特殊ペンキで上辺をごまかしたような哀れな電車だから、なあ。国家権力の管理統制思想が隅々まで勝手な色を塗りたくってる。

ナモネ氏―あの市議がそれに気づいてくれるといいが。岩手県の集団が鹿角市民を優しく迎え入れて才能を高く買っても、裏面はどうだ?

編集長―その集団は、彼氏をさんざん苦しめて追い出したドラマの制作者でしょうね

特派員―《謀略の方法序説》NHK連続テレビ小説その第1回。大河ドラマでも悪くない!!!

ナモネ氏―いろんな顔が浮かんでは消える。戦前戦後の日本の真っ暗な裏通りだよ。

特派員―でも、女をものにする罠にそっくりですね。悪党を使って女に嫌がらせをさせ、正義の味方が恰好よく助ける。

編集長―世界中のさまざまな地域で。いやはや、花輪ばやしの日におかしな話をしてしまった。しかし、大館に岩手県の何かが進出してきても、侵略のイメージしかないね。

       ☆ ☆

 

明治維新からのおかしな明暗と現在

▼ 八幡平の東と西の争い 2006.4.29

イメージの侵略について斜めから社会を見る

HPヴィデオ製作の裏面 2004.6.28

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆        Updated 2005.8.1

特派員―発端は、長井暁チーフプロデューサーによる政治介入告発ですね。

ナモネ氏―起爆装置のスイッチを入れたっていうことだよ。

特派員―北朝鮮も核兵器の起爆装置を開発したとつい最近宣言した。北京での6か国協議がやっと再開されたとき。すると、ロシアのインターファックス通信が、〈十分に機能する核兵器〉そのものがないという外交筋の情報を流して、世界を唖然とさせた1。やはり、そうか、ナモネ氏も長井と朝日新聞の意図を疑ってるんですね?

ピエロのライター

ナモネ氏―長井が内部告発したのはどんなことか?114日付の日刊スポーツ(朝日系)と読売によれば、自民党の安倍と中川が放送前日にNHKの担当者に放送中止を指示したということだ。それで、あちこちカットした。しかし、NHKが東京高裁で陳述した事実経過を読むと、制作を請け負ったNEPDJNHKの構想を無視して、まるで違う番組を作っていた。長井は、そのことに注意を向けさせなければいけなかった。そうすれば、何が委託会社で起きたか、と国民は事故現場に目を向けて考える。朝日は、それを派手に取り上げて国民の頭に焼き付けるべきだった。

特派員―それは、裁判で争ってる問題ですね。番組改変を訴えたのは変態的な形式の法廷ドラマをやった女性団体で、去年の3月東京地裁で判決があった。ドキュメンタリー・ジャパン(DJ)だけに賠償責任を認めた。

ナモネ氏―永田と長井が11月の提案会議でそれをやろうと言ったとき、〈裁くことの難しさという観点から〉と方向付けしたのはまったく理性的だと思うな。少なくとも被告と弁護人を削除するという方法論に対する議論は番組の中に入れる必要があった。

特派員―その二人がどんな理由どんな動機でそういう番組をあのとき制作しようとしたのか、ぼくはちょっと想像できませんね。

ナモネ氏―提案会議の前にすでに政治的な介入があったとすれば、永田と長井が告白すればいいことだ。的な、というのは、まあ、要するに国際テロリズムの影だが。

特派員―それも朝日新聞に書いてもらいましょう。自民党の安倍と中川が岸信介や緒方竹虎のような恐るべき権力者だというイメージを持ってた人は、いないでしょうから、ねえ。

ナモネ氏―しかし、編集過程をノンフィクション・ドラマにするというのは教育的な効果もあるな。

       

半分半分放送局長―何かコメントがないか?ないわけがないよ、君。今度の事件も突然変異じゃなくて、長い間の進化発展の仕方から必然的に発生したものだ。少しでも想像力があれば、予想できた不正だ。しかし、それを放任していたのが朝日新聞などのトップ・プレスだ。HHJが心がけてるように、システム(制度)全体をチェックして、どうすれば本当の改善ができるかという角度から現象に迫らなければいけないんだが、最近は戦前の感覚に戻ってNHKに親分気取りの態度だ。正義の味方を演じてるつもりかもしれないが、200110月号でリヴァー・ユートピア妨害工作が北朝鮮の工作の可能性もあると言ったあと、テレビ朝日と朝日新聞は久米宏キャスターの〈ニュース・ステーション〉を悪用してどんなサインを繰り返しHHJに送ってきたか?そう、陰険な罠。得意の謀略。

特派員―失敗した謀略というのは、存在を明らかに描き出すのが困難ですね。アメリカとフランスで放送停止処分を食らったアル・マナール放送のように公然とテロ活動を扇動したのじゃない。

放送局長TVによるテロリスムと名づけて、裁けばいいんだよ。目撃者は無数にいる。そして、一連の不可解な記号に対する答を求めている。テレビ朝日がこの些細な歴史の謎に答えようとしなければ、放送停止処分だ。ついでに言うと、NHKの国際的な事業活動、これは止めたほうがいいと思う。視聴料の無駄遣いだ。まして賠償金に使われるのは、とんでもないことだ。今必要なのは、国民のさまざまなニーズに公平に答えることなんだ。

特派員―そうすれば、ヨーロッパの人たちが安心しますよ。日本の放送は敗戦後に戻って、やり直さなければいけませんよ。

☆ ☆ ☆       

 

1  2005/07/29 ロイター(REUTERS) 

 

NHKの弁明

▼ 作るべきでなかった番組のテロリズム

▼ NHK独裁体制に海外から皮肉

結論はやはりこうなりますね

▼ 世界の迷惑

 

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆     Updated 2005.7.25

アロマ―V字型の階段と水色のカーテン。うっとりするわ。

特派員―写真を見ないと、どうも落ち着かないな。

編集長―それが、問題でね。我が家のアルバムにはないんだ。誰かが写真を持ってるんじゃないか、と思って、〈水色のカーテンの翳り〉を書いたあとに探そうとしたけれど、なぜかいつも忘れてしまう。

アロマ―じゃあ、きみまち阪の葬儀に行って、おばさんにそのことを言い出せなかったの?

特派員―ふうん、困ったことだ。編集長らしくないなあ。

編集長―そのときになると、なぜか忘れてしまうんだ。ずっとそんな調子だよ。

半分半分放送局長―それじゃ、話にならんね。しかし、残念なことだ、そういうロマンチックな階段を壊してしまうなんて。

地下室の花

編集長―父が設計したんだが、愛着がなかったわけではないと思う。複雑な芸術家の心理だったんじゃないのかな?事実を言えば、71年に食堂をやめたあとに函館の信販会社が建物を借り、そのとき別の場所、ショー・ウィンドーの後ろに普通の階段を作った。V字型の階段は窓だけ残して壊し、その跡を子ども部屋に改造した。

アロマ―函館って、文明開化の港町ハコダテ?100万ドルの夜景のハコダテ?

編集長―ぼくは、あの階段には何かあるな、と思うようになったね。デザインをどこから取り入れたのだろうか、と想像した。映画マニアだったから、映画で見た階段がヒントになったか?

放送局長―ありそうなことだ。

編集長―しかし、他の想像に引き込まれた。空襲で広尾の家が焼けたので、戦後、父の姉が住んでいたという広尾のアパートの階段がモチーフじゃないか、と。

アロマ―問題の広尾のおばさん、ね?

編集長―そう、父には姉が二人いて、母親は同じだ。上の姉は写真が残ってる。多摩川の土手に腰を下ろしているベレー帽をかぶった美人で、画家だと聞いたことがあるが、無名だ。この人は、昔からぼくの妹二人の憧れの存在だ。しかし、ぼくが広尾のおばさんと呼んでる妹の方は、写真が残っていない。そのことに気づいたのは父が死ぬ少し前で、愕然とした。

特派員―母親の写真は?

編集長それもない。この二人は敗戦後大館に来て、しばらく暮らした。食堂のある場所に立っていた教会の空家で、と思うが。

放送局長―何というサスペンス!ラジオ・ドラマにぴったりだ。

アロマ―そこで〈原宿伝説〉が出る。東京に住んでまもない大学生が神宮球場に行こうとして、原宿駅から歩いて、なぜか赤坂の、それもTBS(東京放送局)のビルに吸い寄せられる。

編集長―吸い寄せられるって言うと、何だかぼくは夢遊状態だったように思われるから、嫌だね。ぼくは歩くのが好きなんだ。あれくらいの距離は軽い散歩った。迷ったと思いながらも、初めて見る街並みを楽しみながら赤坂まで行ったのさ。正確に言うと、赤坂見附の手前の一ツ木通りとかいう繁華街に。その狭い通りに入ると、放送局の建物が見えた。

放送局長―やはり絵描きだよ、な。それで、裏口っていうのは駐車場の出入口のことか?

編集長そう。ビルの横にスロープが伸びていて、上の方に駐車場の暗い口が開いてる。スロープを少し歩いて、それから引き返した。決心というのは、神宮球場に行かなければならなかったからだ。別に奇妙な感じはなかったね。

放送局長―そのときは?

編集長―まあ、そうだな。ぼくは子どもの頃祖父母が夜中に赤坂と放送局の話をするのを聞いたことがあるかもしれない。年老いた二人の話で眠れないことが何度も何度もあった。事実は覚えてないが、ぼくは女の話を理解していた。それらを全部想い出せれば、戦前からの長く悲しいストーリーになるはずだ

放送局長―忘却か

編集長―知覚の問題だと思うね。

特派員―編集長は、新橋の東京放送局にまつわる想い出話を聞いて、どこかに記憶していたにちがいありませんよ。これは、今のNHKは、戦前新橋にあった。

編集長―うむ、そのエピソードのあと、アポロ11号の月着陸を見るために白黒テレビを買ったが、深夜映画で一つだけ覚えてるのがある。片岡知恵蔵主演の《七つの顔を持つ男》…このサスペンスには、そっくりな洋館が二つ登場するんだ。

放送局長―…?

アロマ―ふうう…

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□ V字型の階段の記憶 1

▼ 大正時代の東京で

▼ 敗戦後の広尾ストーリー --- 謀略のパール・ハーバー

▼ V字型の階段の記憶 2

 

 

 

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆     Updated 2005.7.4

特派員―神戸新聞が特集を組んで事故に関するささまざまな情報を発信しているけれど、テロという仮説は誰の口からも出てきません。遠慮する場合じゃない、と文句を付けたくなりましたよ。

編集長―そうだな。脱線事故の原因について専門家たちが考察したのを読むと、なるほど、と思う物理学的な推理が少なくない。しかし、テロという仮説をあらかじめ排除して、どうにかこうにか自分の頭で合理的に説明できる線を引いているんじゃないだろうか? ジャーナリストにも言えることだが。

半分半分放送局長―日本の新聞は事実を一生懸命集める。あの執念には恐怖を感じるときがあるが、集めた事実をどうするのか、と言うと、連載の枠に詰め込んだままで読者をうんざりさせる。問題を解決しようという意思は、まあ、ないな。

特派員―神戸新聞は地震で疲れてしまったんじゃないのかなあ?

クリスタル・アンブレラ

放送局長―生き残りは強いはずだ。これはテロや、と叫ばなあかん。〈インシデント〉でうわべを取り繕っちゃいけませんよ。

特派員―日本政府や国道交通省がその用語を貼り付けたので、インターネットで意味を確認してみたら、偶発的な出来事、事変1。上海事変の事変です。フランスのジャーナリストなら、いつものようにドラマとかテアトルという言葉にするでしょうね。

編集長―そう呼ぶと、誰が、という意識が動き出して背景にライトを向ける。これは日本のマス・メディアが一番嫌う考え方だ。

放送局長―シナリオを書いた犯罪組織という意味での誰が、となれば、そう簡単に分からない。登場人物としては、JR西日本の役員どもだ。例えば、こういうことだよ。神戸新聞から引用すると、〈事故で大学生の弟を亡くした兄(23)は、JR西が取り組んできた新型の列車自動停止装置(ATSP)の設置について「(事故前に)過密ダイヤの路線から導入していたと説明を受けたが、なぜ宝塚線(JR福地山線の愛称)が過密ではなかったのか、納得できるデータは一つも示されなかった」と憤る。〉

編集長―それさえちゃんとやっていれば、脱線事故は起きなかったということだから、あの悲惨なファイナル・シーンの映像もできなかったはずだ。HPに展示しているパステル画〈メトロとアパート〉を連想させることも、当然ない。

放送局長―それを想い出すと、あのファイナル・シーンは不思議な現象に似てくる。日本の報道機関が必ず年齢をぶち込むのも、そうだが。

                 

特派員―しかし、シミュレーションで計算可能なプロジェクトですね。だから、編集長は古い〈言葉の樹〉から〈優しいモデル解析?〉を引っ張り出してWWW(ワールド・ワイド・ウェッブ)に入れた。

編集長―朝のラッシュ・アワーの電車というのは計算しやすいと思うね。事故調査委員会でも他の専門家でも複合原因について科学的に明確な結論を出すことを期待してる。そうすれば、複合原因を計画的に作ることで同じ結果が現われるわけだから、テロの仮設を否定するのはナンセンスだと馬鹿でも分かる。

特派員―日本にそんな悪人がいるってことが自民党や公明党の人たちには信じられないんでしょうね?

放送局長―日本人は善人の鏡なんだ、君。

特派員―編集長に聞きたいことがあるんですが、このモデル解析で評価モデルを作成してシステムを実験的に操作すれば、正確な未来予測が可能ですね。アポロ計画が安全のために開発した方法ですが、河川の水質汚濁や洪水予測にも応用されています。これを1+9=10のような足し算に置き換えて考えると、駄目ですか?10という未来結果をえるためには、どんな過去条件が必要か、と?

放送局長―今度の事故は、1+3+4+2=10かもしれない…

編集長―君が分かりやすければ、それでもいいよ。

放送局長―大学時代には、毎日同じ電車の同じ車両に乗るなんて愚かなことはしなかったよ。毎日新聞の記者や同志社大学の学生たちは、警戒心がなさすぎた。

編集長―憲法改正反対の学生たちだろうな、死んだのは…そんな想像したよ。

               ☆ ☆ ☆

 

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脱線事故の真実

テロ疑惑のJR電車事故

 

自然環境の問題から考える

▼ 優しいモデル解析?

▼ モデル解析法

2次世界大戦の事実を参考に

▼ ファイナル・シーンを作るための秘密工作 2003.12.27

 

 

 

 

 

 

 

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