MODE ACTUEL MODE ACTUELLE

 

 

 

 

 

 

 

 


HHJ

 

 

 

 

Updated 2004.12.19

 

衛星放送アル・マナールとNHK ;

ダブル・ドラマの舞台は回る     D

 

NHKは、経営委員会の要請にしたがって19日夜放送局の反省と向上のための検証番組〈NHKに言いたい〉を流す。外部の声を聞いて、国民との対話を通しながら、舞台裏から怪しい影がささない民主的な放送局になれば、結構な企画である。出席する海老沢勝二会長は辞任表明のうわさがあるが、関根昭義放送総局長は否定した1

  NHKは平成15年度に関する会計検査院の初の不当指摘を受けた。視聴者の不信を払うため先に制定した行動憲章は巧言令色のような響きがあって、今後不正が明るみに出ないとすれば、それは民主主義が窒息させられたことを意味すると国民は考えるべきである。HHJは、会長が元プロデューサーの不正を検察庁に告発しなかったことを残念に思う。理由は被疑者の取調べが逮捕後においても警視庁主導で行なわれるので、公正な捜査が期待できないからだ2

 NHKという日本の放送の頂点に位置する機関に対して、ヨーロッパ・アメリカのメディアは例によって関心を示さない。どこにも存在しないかのような態度である。しかし、アメリカは17日レバノンのイスラムシーア派過激組織ヘズボラの衛星放送局〈アル・マナール〉をテロ組織のリストに載せて、アメリカでのインターネット放送"Mosaïc, World news from the Middle East"を停止させる意向を明らかにした。国務省の報道官ブッチャー(Richard Boucher)によれば、〈この放送局はテロリズムの活動を扇動している。〉したがって、〈このアル・マナール放送局のメンバーであるとか、どんな方法であろうと支援したり財政面で援助したりして、それと関係を持つあらゆる個人に対しても、アメリカは当然の結論を下すだろう。〉3

 この衛星放送局は、ユダヤ人排斥プログラムのために13日フランスの最高行政裁判所から48時間以内に放送を停止するよう命令を受けている4

                               D

 

1        毎日,朝日、夕刊フジ、NHK Web   

2  特捜検察 ; 魚住昭 著 岩波新書

3  Les Etats-Unis s'en prennent à leur tour à Al Manar
  NOUVELOBS.COM | 18.12.04 | 13:06

4  La chaîne Al-Manar interdite de diffusion

Publié le 13/12 à 21:32  France 2  TV

 

無意味な破片から

▼ NHKと会計検査院の馴れ合い

 

 

 

 

 


 

Updated 2004.12.16

 

 いやいや罪を犯させる警察の正体

 

北海道警の裏金作りの実態について、特別監査を実施してきた北海道庁監査委員(徳永光孝代表監査委員)は12月3日、監査結果報告書を提出した。1998−2003年度執行分の不適正額は約5億円。すべて私的流用で、上層部が事実上部下に命令していやいや罪を犯させていた。北海道警の内部調査では不適正額が約1億円少なく、〈組織の立場を離れた個人的な利得の事実はなかった〉ことにされている。監査委員はさらに確認監査を行ない、領収書や第三者の証言などの確実な証拠を求める。

警察庁は不正を弁護するが、国民が最も知りたいのは裏金の行方である。しかし、捜査経費への流用分約2億円は使途が明らかでない。接待や慰労会に消えた金は、そのあとの暗流に光を当てるべきである。旅費の一部が上層部に戻る仕組みだったように、裏金は警察にキックバックされたかもしれない。そして、謀略資金に化けたのではないか、という疑惑が戦前の悪夢に重なって芽生える。北海道は本当の解決のために検察庁に告訴するべきである。

              ☆

参考; 毎日新聞、北海道新聞 Web  2004124

 

 

 

 

 

Updated 2004.12.6

 

放送局で詐欺事件か?

放送局の詐欺事件か?

 

警視庁捜査2課は12月4日、元NHKチーフプロデューサー磯野克巳と東京都練馬区のイベント企画会社〈フリースパイス〉社長上原久幸を約270万円の詐欺容疑で逮捕した。毎日新聞によれば、両容疑者は〈共謀して上原容疑者が放送作家として働いたように装ってNHKから文芸委嘱料名目で現金の詐取を計画〉した事実を認めたという。

NHKが8月公表した内部調査報告では、磯野容疑者は1997年2月から2001年11月にかけて複数の歌番組制作費計約4888万円をイベント企画会社社長の口座に振り込ませていた。このうち少なくとも937万円が磯野容疑者の口座にキックバックされた1

 

 HHJ特派員は、明治神宮の近くにあるNHK放送センターに直接行って取材できないことを残念に思う。巨大メディアの腐敗をえぐる情報を日本全国と世界にばらまいた三大新聞の勇気と誠実さに心から感謝して、戦前の残酷なファシズムとの隠微な関係は脇に置こう。HHJの感想と意見は、だいたいこんなところである。

 

A  詐取を可能にしたのは、プロデューサーの不正行為に協力した者がいたからだろう。番組担当ディレクターの長期不在は意図的だった疑いがある。放送作家登録の適否を調査しなかったのは、番組担当部長らの怠慢か実績証明を必要としない制度の欠陥である。

 

磯野容疑者は、放送作家としての実績がなかった上原容疑者を登録するため、部下から推薦があったように書類を偽造し、それを磯野容疑者が承認したように装って番組担当部長らの了解を取り付けていた。---毎日新聞 

 

B  消えたか金がどこへ行ったか、NHKは報道機関としてみずから解明する責任がある。磯部容疑者の言う飲食代への消費については、例えばバーなら、その後の流出先を追跡する必要がある。明細書のない請求に従って素直に金を払うのが日本社会の非常に悪い慣習で、これが国際テロリズムの資金稼ぎに利用されていないとはかぎらない。

 

C  不正に取った分を返済するというが、受信料で支えられた所得で払うとすれば、国民が償うに等しい。行政機関の公費悪用や警察の裏金作りにも同様のことが言える。弁済したからいいじゃないか、では予防効果がない。

 

D  芸術的才能と高級な知性に依存しない番組は、それなりの人間が集まって制作される。そこに放送局が腐敗する絶対的な必然性がある。したがって、早急な改善策としてNHKの番組を良識派が見て批評する気になるようなレヴェルにまで内容を向上させることが求められる。これは根本的な解決につながるが、国民の共感と支持が欠かせない。

 

E  受信料支払い拒否が11万件に急増したことにNHKの欺瞞に対する国民の激しい怒りを認めて、海老沢勝二会長は辞任要求を聞き入れるべきである。

 

F  日放労(NHK労組)は、会長が辞任しない場合スト決行の意思を表明するべきである。

               

 

1 毎日,読売,朝日,TBS,NHK Web   2004.12.4/5

**いつも開くgooサイトにはこの事件に関する朝日新聞の記事がない。配信記事はありません、という皮肉な注意書きがasahi.comに。NHK不正の記事はashi.comサイトに載っていた。

 

 

 

 

 

 


Updated 2004.11.24

 

ロシアが新型核兵器の開発計画

 

中国の原子力潜水艦が日本国民の呼吸を苦しめた直後、1118日のワシントン・ポストはセンセーショナルな空襲で目を回らせた1。〈ロシアが他のどこにも存在しそうにないミサイル開発へ〉〈プーチン(V . Poutin)大統領は17日軍の首脳との会合で、ロシアが他の核保有国には開発できそうにない種類の核ミサイルの開発を計画している、と語った。詳細は明らかにしなかった。

ル・モンドによれば、〈その新しいシステムは他の核保有国には今後数年は存在しないだろう。〈我々は最もモダンなミサイルの研究と実験に取りかかろうとしている。〉〈国際テロリスムは、今最も重要な脅威の一つだが、そのプログラムの進行を妨害することはできない。〉2

この新兵器はアメリカのミサイル防衛システムを破れる巡航能力のある弾道ミサイルのことだろう、とワシントン・ポストのピーター・フィン記者はロシア軍の情報から推測している

 HHJは、これについて何か書き添えることがあるだろうか?しかし、法律を尊重すれば、主文よりも引用が多いのは好ましくないので、歴史のページを切り取って貼り付けたい。

2次世界大戦でアメリカは亡命ユダヤ人科学者たちの提案を受け入れて数年で原子爆弾の開発に成功した。戦争は常に人間の知性と技術を飛躍的に発展させたと言えるが、国際テロリスム壊滅戦争でも毎日同じように必死の努力が行なわれているにちがいない。今度はどんな悪夢を見るのか、と誰もが考えてみる時間を持たなくてはいけない。しかし、今日の政治と日々の生活に追われている者には果物ナイフの方が恐怖である。テロの映像やヒロシマの模型でなければ震えあがらないというのは、原始的な知性だろう。

 

 プーチン大統領は、ベスランの悲劇以来デモクラシーを逆回転させようとしているように見える。〈批判の多い選挙改革案は地方統治者の直接選挙を廃止して地方議会選挙の方法を変える〉ものだが3、これは国際テロリスムと戦いロシアが分裂するのを防ぐために必要だ、とTVで弁明した4。〈われわれはあらゆる観点で国を居心地のよいものにしなければならない。〉〈国民は犯罪者よりも警察を恐れているので、信用が置けない警察の腐敗と戦う。〉共感する日本人が多いと思う。

 シベリアの東にぶら下がっている島国では警察による裏金作りの腐敗が北海道など方々で明るみに出た。終端のないチェーンのような事件だ。しかし、日本政府とマス・メディアはそれが国際テロ組織との戦いの一局面であるとは仮定的にさえも口にしない。長い間利益の観念がなかった国とますます利益を漁ろうとする国との争いは、これからどう変化するだろうか?

 

1  Putin: Russia to Deploy Missiles 'Unlikely to Exist' Elsewhere

By Peter Finn

Washington Post Foreign Service  Thursday, November 18, 2004;

2  M. Poutine promet à son armée de nouvelles armes nucléaires

LE MONDE | 18.11.04 | 14h43

3  朝日新聞のインターネット版によれば、大統領による任命候補を地方議会が承認する。

4    BBC NEWS  Last Updated: Thursday, 18 November, 2004, 16:50 GMT

 

 

 

 

 

 

 


 

Updated 2004.11.18

 

沖縄に中国の黒い影

~類似のイメージ群にご用心           H

                                                                     

 

 

 

 

 

 

1020日 長木川の水質汚染の2回分析調査のとき、ふと思いついてゴム製の可動堰を前面に入れて白鳥広場に浮かぶ白鳥たちを撮影した。理由は、かつて批判したようにその建設の構造とデザインは市民に新しい環境に適応することを強制的に要求するからである。

114日 確かこの日付だと思うが、白鳥の写真をHPの〈RIVERS IN ODATE〉に上げた。シベリアから初の飛来と説明文を打つと、ゴム製の黒い円筒形が原子力潜水艦に見えた。海面に浮上した映像である。

1110日 前の日に予定した撮影行が雨で流れて、この日の朝JR奥羽本線の電車で大鰐町に行った。駅を出ると、杖を持った老人が話しかけた。脳梗塞で倒れたオールド・スキー選手だった。それから、役場で大鰐の管内図を300円で買って町の中で合流する平川と虹貝川を撮影すると、突然白黒の波の映像に変わった。数分後にあらためて録画ボタンを押してみると、正常になっていたが、数秒撮影すると、同じような白黒の波に戻った。早瀬野ダムではシャッターを開いてすぐに壊れた。水の干上がった湖底を眺めると、裸の木立と二つの橋のあるすべて黒灰色の光景が1945年夏のヒロシマを連想させた。台風が降らせた雨はどこに消えたのか、と思った。

夕暮れの大鰐の町でも大館の通りでも別に変わったことはなかった。

1111日 家で北鹿新聞を開いて、9日の午後小坂鉄道の濃硫酸運搬貨車が小雪沢で脱線した事故を知った。幸い濃硫酸はタンクから洩れなかった。黒い円筒形のタンクにゴム製の可動堰がオーヴァー・ラップした。

 インターネットでワシントン・ポストを見ると、東シナ海の異常事態を告げていた。1532分アップのTBSのニュースによれば、中国の原子力潜水艦と思われる潜水艦が日本の領海侵犯して沖縄の石垣島と多良間島の間を通過した。防衛庁はさぼっていなかった。9日午前1時石垣島の南西200キロでこの攻撃型原子力潜水艦を探知していたという。

 

 小泉純一郎首相の北方領土視察後、ロシアは日本との険悪な関係を隠さなくなった。一方韓国とは外交的な発展を見せびらかして、プーチン(V. Poutine)大統領とノ・ムヒョン(Ro Mu-Hyeon  )大統領が仲よくモスクワで921日朝鮮半島全体の平和を建設する共同宣言を発表した。半島の非核化の原則を確認、〈北朝鮮を含めるかたちで輸送やエネルギー分野のプロジェクトを推進〉、〈両国はまた、既に日本企業がガス・油田開発に参加しているサハリンをはじめ、極東、東シベリアでの共同油田開発など総額40億ドル(約4400億円)を超える経済協力覚書・協定も締結した。〉目的は、表向きの民主主義しかない植民地的な韓国に対する日本の悪影響を断ち切ることだろう。サハリンでの協力は1983年に起きた大韓航空007便ソ連領空侵犯撃墜事件の償いあるいは和解の意味がある。日本の無力な国民は、自民党と公明党の外交の拙劣さを悲しむ。しかし、今度は中国との間に火花である。北京では9月アメリカびいきのユー・ジンタオ(Hu Jintao)主席がジャン・ジェミン(Jiang Zemin)引退を受けて軍の実権を握っている〔1〕。〈その緊急性はどこにあるのか?

 

1116日 中国外務省は領海侵犯した潜水艦が中国の原子力潜水艦であることを認めた〔2〕。しかし、〈通常の訓練の過程で技術的な原因から誤って石垣水道に入った〉という説明を素直に信ずることはできない。国連総会で小泉首相が希望した日本の常任理事国入りに冷水を浴びせたのは中国であり、外務省の孔泉(ゴン・チュアン)報道局長によれば、日本は〈責任ある大国として歴史問題について認識を深める必要がある〉〔3〕。歴史問題とは、第2次世界大戦前からの侵略戦争全体である。日本政府はそこでは比較的良心的に〈中国が悪かった〉とは決して言わないが、日本が何か悪いことをしたという認識も持たない。だから、政治家の靖国神社参拝は正当化され、詭弁の歯車で彼らの他の言動も間違いがないということにされてしまう。

 同じ16日にその事件に関するアメリカのファイス(Douglas Feith) 政策担当国防次官の意見がインターネットに出た〔4〕。15日東京で記者会見して、〈我々は当然、日本が領土・領域を防衛する権利を支持する〉と心強いことを言ってくれた。しかし、領海侵犯についての判断は控えて、日米安保条約改正の可能性を明らかにした。〈日米安保条約は一定の柔軟性を持ったよい条約だが、世界はこの10年で非常に劇的に変化した。日米共通の考え方を定義するため、より形式的な手続きを取るべきだとの決定があるかもしれない。現在、考慮している。〉タイミングがいいのか悪いのか?霞ヶ関では、そのニュースを読んだときの自分がいる情景から時間が消えたように感じる人たちが少なくないはずだ。

                               H

1  Le Figaro  Pékin : de notre correspondant Jean-Jacques Mével
A Pékin, l'ère Hu Jintao commence [20 septembre 2004]

2  asahi.com

3  毎日新聞 Web  921

4 読売新聞 Web

 

 

 

 


 

 

 

Updated 2004.10.16

きのこ雲情報のその後

 

北朝鮮の怪しい雲のニュースに関して、HHJは推理や空想に耽る趣味がないので、ほとんど付け加えることがない。ただ、飛行物体についてはステルス爆撃機ではなく三角形の恐ろしく速いジェット機だったと訂正する。熱心にインターネット情報を集めたわけではないが、その後の流れを書きとめると、こうなるだろう。

 

韓国で報道された北朝鮮のきのこ雲について、北朝鮮のパク・ナム・スン(Paek Nam Sun)外相は、訪問中のイギリスのビル・ラメル(Bill Rammell)外相に、爆発は水力発電所建設工事の一部で慎重に計算された山の破壊である、と語った。ニューヨーク・タイムズはBBCから引用して、そう述べている。

一方、アメリカ政府のパウエル(C. Powell)国務長官は、こう語った。〈どんな種類の核イベントでもない。〉〈潜在的な核実験サイトでは活動が続いている。我々はこれをモニタリングしているところだ。〉

ブッシュ(G.Bush)大統領のアドバイザーであるライス(Condoleezza Rice)女史は、〈森林火災だったかもしれない〉と冷ややかなウィットの滲む解説をした1

 

16日木曜日、北朝鮮はイギリス、チェコ、ドイツ、ロシア、モンゴル、ポーランド、スウェーデンの外交団をサムスー州の水力発電所の工事現場に親切なことに飛行機で案内した。しかし、怪しい雲はそこから約100km離れた地点で発生した、と韓国のリー(Lee Bong-jo)統一省副大臣は言っている2

 

この疑惑について、東アジアの平和に責任がある日本の反応はどうか?

細田博之官房長官は13日午前の記者会見で、〈爆発が核実験であるとの可能性については「核実験であるなら地震波で察知できるが、地震観測所において、一切観測されていない」と否定的な見解を示した。〉〈政府は衛星写真の分析など慎重に事実関係の把握に努める構えだ。〉3

 とはいえ、防衛庁のHPを見ると、石破茂長官は14日の記者会見で、爆発の原因について政府で何か特定できるものがあるかという質問に無愛想に一言だけ答えて逃げた。〈現状で特定したものはありません。〉24日の記者会見では、弾道ミサイル基地周辺で活発な動きがあることについてどのような把握をしているか、という質問に対して、〈いずれにせよ、政府としては情報の把握に努力していますが、事実関係、詳細につきましては、申し上げるべきことだとは考えておりません。〉

 アミダクジのように何かを避けることしか意識にない話しぶりである。国民の人権を省みない秘密主義が続けば、情報の開示が正しく適切なときに行なわれない。周辺諸国の中で偵察衛星による分析の情報が欠けているのは、日本とロシアだけである。

               

1  Kerry Says Bush Has Ignored North Korean Threat
Published: September 13, 2004   NYTimes   By DAVID E. SANGER

2  BBC NEWS  Last Updated: Thursday, 16 September, 2004, 06:32 GMT 07:32 UK

Envoys visit N Korea mystery site

3  産経新聞  91316

 

 

 

 

 

 

 

Updated 2004.9.22

 

言葉と出来事のアクシデント・ミステリー

 

D+H+

 

黒海に面したソチの町で8月末ロシア・ドイツ・フランスのトップ・リーダーがどんなことを話し合ったか、HHJは依然としてその内容を伝える記事に出会わない。日本のジャーナリズムは、インターネットで見るかぎり、ソチ会談の事実さえ隠している。しかし、特派員がそれに珍しく好奇心を示した理由は、簡単にまとめると、こうだった。

     824日にロシアの旅客機2機がカミカゼのダブル・アタックで墜落した。自爆した犯人はチェチェン女で、ツポレフ154はモスクワからソチへのフライトだった1

     91日北オセチー自治共和国のベスランで小学校の体育館占拠人質事件が起きた。犠牲になった死者は335人、そのうち子どもは156人だった1

     フランスのル・モンドの社説が、国際テロに対するフランス政府の対応を〈スキゾフレニー(精神分裂症)〉と侮蔑的に呼んだ2

ソチへのフライトが狙われたのは、会談を妨害するためだろう。それだけ重要な話し合いが行なわれる、と想像させた事件だ。小学校の惨劇は、HHJが恐れたとおりだった。体育館に小学生と親たちと教師を集めたのは、殺戮の準備に他ならない。過激な分離運動の指導者バサイエフ(Chamil Bassaïev)は、ロシアの突撃が爆発を引き起こしたが、作戦は〈アラーのおかげで〉うまく行ったと声明を出した3

 

精神分裂症呼ばわりについては、裏通りに入ってみる必要がある。ル・モンドの匿名のムッシュがシラク大統領のように日本語の知識があれば、黒海(mer noir)は〈国会〉に、ソチ(SOTCHI)は〈措置〉に横ずれする場合があるだろう。日本語の知識がなければ、黒海は〈黒い母〉〈ブラック・メイル〉、ソチは〈愚かさ〉というところか…いずれにしても、〈松かさがマッカーサーで〉と連想(観念連合)的に単語を並べて支離滅裂な話をする精神分裂症の例に似ている。患者は駄洒落を楽しんでいるのではない。正常な人間のように意味のあるメッセージを伝えようとしているのだが、複雑な環境世界との関係の網に絡まって失敗するのである。政治家が故意に精神分裂症的な話法を使えば、受け手の国民はそれを疑似体験させられて苛々したノイローゼ気分に陥る。だから、小泉首相が〈カイトウ宣言〉のポスターを全国に張り出させて〈カイトウ〉と同音の漢字をいっぱい並べたとき、HHJは有罪宣告的に批判した。言葉の偶発的な意味の衝突と世界中のさまざまなアクシデント・ミステリーの間に何の関係もない、と人は無邪気に傍観していいだろうか?哲学と法律の国でもあるフランスの政治家たちはそんな話法を普通なら自分に許すはずはない。しかし、社説を書いた匿名のムッシュは国際テロ戦争の渦の中でそれに意識あるいはシナプス間を撹乱させられたのではないか、HHJのライターのように?

 

 ル・モンド(世界)は、20日社員90人を首切りにする整理計画と会社の移転を発表した4。総支配人ノラ(Fabrice Nora, directeur général du Monde)はこう語る。〈社員の削減ということではなくて、自発的な出発なんです。〉

                ☆ D+H+

 

1  La mondialisation de l'hyperterrorisme
 Par Jean-Marie Montali
 
[11 septembre 2004]  Le Figaro

 

2  L'éditorial du "Monde"

Chirac contre Chirac

LE MONDE | 04.09.04 | 14h15

 

3  Chamil Bassaïev revendique la prise d'otages de Beslan

(Avec AFP.) Le Figaro
[17 septembre 2004]

 

4  Le Monde supprime 35 postes de journalistes

[lundi 20 septembre 2004 - 20h50 heure de Paris]  Le Figaro

 

 

 

 

 

 

 


 

Updated 2004.9.13

 

北朝鮮の空にきのこ雲     H

 

今日12日のニュースを追って、2003年のアメリカでの同時多発カミカゼ・テロを追悼する記事を予期していると、日本海の向こう北朝鮮で大規模な爆発ときのこ雲の発生を告げる簡単な記事が目に入った。現場は中国との国境に近い軍事施設が集中する地域で、中国とアメリカが捕らえた衛星画像の分析では、恐怖の的だった核実験による爆発ではないということである。事実は、軍事工場か武器庫の爆発事故、ミサイルの爆発、あるいは反政府行動という推測も出ている。クーデターや国際テロの可能性もある。日付は、11日かと思ったが、何と3日前の9日、北朝鮮の建国56周年記念の日だった1。極東情勢は、薄暗がりの中で漠然とあるクライマックスを迎えようとしているのではないか?

 

そう言えば、と想い浮かんだのは…

10日だったか、長木川の西の空に漂う雲を見て、いつもと違うな、と感じた。ブラシではいたような白い布のような雲で、半月状のめくれ上がりが整然と並んでいた。

827日午後2時すぎ大湯ストーンサークルのある高台の裾の発電所を撮影したあと、ステルス(戦闘機か偵察機)に似た黒い三角形の飛行機が三沢基地の方向に飛んでいくのを目撃した。不思議なことに白い蒸気雲の航跡がない!!!撮影は間に合わなかった。

★北オセチーの小学校人質事件の悲惨な幕切れのあと、ロシアの陸軍参謀長ユリ・バルイエフスキ将軍(Iouri  Balouïevski)がインターファックス通信にこう語った。〈テロリストの基地への予防的な攻撃について言うと、世界中のあらゆる地方でテロリストの基地を片付けるために、我々はあらゆる計画を実行する。〉

 «Pour ce qui est des frappes préventives sur des bases de terroristes, nous entreprendrons tout pour liquider les bases terroristes dans toute région du monde», a déclaré le général Balouïevski, cité par l'agence Interfax.

 

Terrorisme : Moscou prêt à frapper «partout dans le monde»  Avec AFP.
[08 septembre 2004]  Le Figaro

 

★フィガロのインターネット版に載った〈ハイパーテロリスムの世界化〉という記事は、世界各地のテロについて報告して、終わりにこんな情報を付け加えていた。〈合衆国ではとうとう、ペンタゴンがウォールストリート街のような実業地区への放射線爆弾の攻撃の結果を考察したようである。犠牲者は別にしても、これは金融上の本当のパニックを起こすが、この代価は最小限に見つもっても300億から400億ドルに上るだろう。〉

Aux Etats-Unis enfin, le Pentagone aurait étudié les conséquences d’une attaque à la bombe radiologique dans un quartier des affaires comme Wall Street. En dehors des victimes, cela créerait une véritable panique financière dont le coût s’élèverait au minimum entre 30 et 40 milliards de dollars.
 Aujourd’hui donc, et depuis le 11 septembre 2001, le monde entier vit sous la menace .

 

La mondialisation de l'hyperterrorisme
Par Jean-Marie Montali
[11 septembre 2004]

 

 H

 

1 KYODO  19:35 2004/09/12  etc .

ロイター  19:33 2004/09/12 

Washington Post

Suspicious Blast Seen in N. Korea

By Anthony Faiola and Glenn Kessler
Sunday, September 12, 2004; Page A27

Kessler reported from Washington. Special Correspondent Joohee Cho contributed to this report.

 

 

 

 

 

 


 

Updated 2004.9.7

 

北オセチーでの悲劇のタイミング

 

830日と31日黒海に面したソチの町で、ロシアとドイツとフランスのトップが会った1。シラク(Jacque Chirac)大統領はジャーナリスト二人の人質事件で参加が遅れた2。この再会は非公式で、明瞭な議題がない。しかし、記者会見は行なうという。66日のノルマンディー上陸作戦60周年記念式典に招かれた返礼だろうか?そのさりげなさが少し気になった。

 出発の前、シラク大統領はこう語った。〈フランスはプーチン(Vladimir Poutine)大統領の改革の努力を、そして、強いロシアをデモクラシーの陣営に固定しようとする意志を支持する。〉〈明日の世界の極の一つをそれ自身で形作る使命を持っている。〉

 シュレーダー(Gerhard Schroeder)首相は、戦略的なパートナーシップの必要性を強調した。〈ヨーロッパでの多くの事柄は、ロシアとの関係に依存する。〉

 

黒海での再会の続きは、9月1日北オセチー自治共和国で起きた人質事件で消されてしまった。どんな話し合いが行なわれたか、残念ながら分からない。ベスランという町の小学校の新学期の始まりが悲劇に選ばれたのは、それと無関係でないとすれば、なおさら。事実、6日のフィガロによれば、アラブ人とイングーシ人と30人以上のチェチェン人が武装集団を構成していた3

 

ル・モンドの4日付け社説〈シラクに反対するシラク〉を読むと、フランス政府のロシアびいきに不快を隠さない4。いくつかの国が特殊部隊の突撃を非難して、ヨーロッパ委員会はロシア政府に説明を求めたが、フランスはそうしなかった。イラクでの平和的な交渉と比較して、〈フランス外交は精神分裂症を患っているのか?〉〈ジャック・シラクは、イラクでのアメリカの冒険主義を告発することをためらわなかった。同じ厳しさでコーカサスにおけるロシアの暴虐ぶりに有罪宣告を下して名誉を取り戻すべきだろう。〉

 状況の違いを忘れている。そして、これは固定観念に操られた結果である。無事に逃げた小学生の話では、体育館の屋根の爆発はテロリストが脅しのために乱射した銃弾が偶然爆発物に当たったせいであって、そのために人質と武装集団とロシアの特殊部隊がパニックに陥った3

 

しかし、〈プーチンが主権のある地帯とみなして干渉するという事実は、それが証明する人間の生命の陰険な軽蔑をどんなに謝罪しても、まして正当化しようとしても、できないことである。〉〈フランス共和国大統領は、20036月ロシアを民主主義諸国の第一列に位置付けた。今年の春には、ブダペストからヨーロッパ諸国に向けて、ロシアにもっと敬意を表明するように呼びかけた。〉これは、第2次世界大戦を考えると、〈信用の保証がないドゥブル・ディスクール(二重話法) 〉ではない。ロシアは第一列にいる。日本は民主主義諸国の何列目にいるか、と言えば、スペイン内戦のときフランコ(Franco-Bahamonde)将軍が5列目に並ぶ後方撹乱部隊を自慢して言った、その第5列である。同盟国を裏切る史上稀な面従腹背の国。ル・モンドは、それを想い出したのではないか?

 

北オセチーでのジェノサイドについては、こういう疑惑を持つべきだ。

■武装集団の目的は、最初から人質の虐殺ではなかったか?

■それは世界にショックと絶望を与えるための計画ではないか?

人間の権利の確立と自主独立を本当に願うチェチェン人は、迷惑するにちがいない。世界の人々の共感を集めなければ未来はないが、それをアルカイダの支援でぶち壊す狂った仮面の踊りだから。

 

1        France info

SOTCHI (AFP)
30 Août 2004 22h19 lundi
Poutine accueille Schroeder à Sotchi où Chirac doit les rejoindre

 

2 Le Figaro Avec AFP
[29 août 2004]

Journalistes otages en Irak : mobilisation au plus haut niveau

誘拐されたジャーナリスト :

 Georges Malbrunot, envoyé spécial du Figaro et de Ouest-France

 et correspondant de RTL et Christian Chesnot, journaliste pour

 Radio France et RFI. 

 

3  Le Figaro

Questions sur un dénouement tragique

Beslan : de notre envoyé spécial A. C.
[06 septembre 2004]

4

L'éditorial du "Monde"

Chirac contre Chirac

LE MONDE | 04.09.04 | 14h15

 

民主主義諸国の第5列についての対話に参加する

▼ ロシアのはるか後方で起きた出来事がその第5列とリンクする

 

 

 

 

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