MODE ACTUEL MODE ACTUELLE

 

 

 

 

 

 

 

 


HHJ

 

 

 

 

 

 

 

Updated 2005.12.25

 

放火狂ライター :

国家機関の異常な妄想につきあえば、馬鹿を見る

 

NHK9日連続放火事件の容疑者笠松裕史記者を懲戒免職処分にする決定を下した1。読売新聞によれば、〈NHKでは、笠松容疑者に事情を聞こうとしたが、接見が禁止され、文書によるやり取りもできなかったため、処分を決められずにいた。しかし、警察の発表などから、笠松容疑者の犯行は疑いないと判断。9日に責任審査委員会を開き、処分を決定した。2〉これに対しても批判と疑問は当然ある。

1 専門的な知識を持つ報道機関が事件の独自調査を行なわないで、警察発表を信じて結論を出した。

2 公務員は刑事事件で逮捕されても、有罪判決が出る前に懲戒免職の処分は受けないが、特殊法人NHKはどんな法規に基づいたのか?

3  接見の禁止は、こういう事件では被疑者の不安な精神を極端に衰弱させる。

 

13日、大津地裁は大津地検が請求した笠松容疑者の鑑定留置を認めた。平尾雅世次席検事は、〈通院歴などから、最終処分を決定する前に、犯行当時の責任能力の有無を解明する必要があると判断した〉という3。それで、精神科医による検査を拘置所で3か月間受ける。泥酔していた放送記者が被害額の少ない火災を連続的に起こした珍しい能力を調べるというわけだろう。ともあれ、22日警察の捜査は終了した。容疑者は大津市内での11件の火災について自供しているというが、自分に不利な内容を認めたからといって、有罪の証拠にはならない。

 

鑑定留置とは何か?2001911日行なわれた法務省・厚生労働省合同検討会の議事録が参考になると思う。この日付は、アメリカで旅客機の連続カミカゼ・テロが起きた日である。議題は〈重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方などについて〉、答弁は東京地方検察庁検事石田一宏。

〈事案の内容からして特に慎重な判断を要する場合,すなわち,責任能力の有無の判断が非常に難しいというようなことがわかった場合,簡易鑑定でも責任能力の有無についてなかなかよくわからないといった点があった場合などは,本鑑定を実施します。本鑑定を実施するという点については慎重に判断した上で実施をしております。〉〈精神鑑定を嘱託する際にどんな資料を提供しているのかということですが,これはそれまでの捜査で収集した,先ほど言いましたような捜査で収集した証拠を一件記録というふうに言っておりますが,これをそのまま鑑定医の方に渡すというやり方で資料を提供しております。もちろん必要に応じて記録にあらわれない事情等は検察官が医師に対して直接説明するというようなこともしております。〉〈責任能力をどのようにして判断しているのか。終局処分を決する際にどのようにして判断しているのかという点についてですが,まず心神喪失,心神耗弱については,御承知のとおり刑法にはこの言葉しか出てきませんけれども,大審院以来の判例がございまして,その定義に従って検察官も判断しております。〉

 帝国の最高裁判所である大審院がどんな判例を残したか、想像すると、慄然とする。個人の概念、具体的には〈私とは何か?〉という問題に対する考え方が民主主義的でなければ、戦後の社会に適用するには無理があるだろう。

  精神科医の複雑な頭脳について言えば、この種の事件で特に重要なのは〈偶然とは何か?〉という疑問に明確な定義を試みることである。

☆ H

 

1 京都新聞  129

2 読売新聞  129

3        読売新聞  1222

 

▼ 第6回法務省・厚生労働省合同検討会議事録

▼ 偶然と必然

▼ 言葉の樹 ~ 引用次第で

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.11.28

 

大津の放火狂事件とJR電車事故の

ポイントは、立命館

 

1125日、大津地検は大阪府岸和田市内での放火未遂容疑について〈一連の事件捜査を終えた後、起訴すべき事件を検討する〉と元NHK笠松裕史記者を処分保留にした。起訴するために必要な物的証拠がなかったせいだろう。10日延長した拘置期限が切れて釈放したが、滋賀県警と大阪府警の合同捜査本部は自由行動を防ぐために同日さっそく大津市の民家放火容疑で再逮捕した〔1〕。容疑者の精神状態を考えると、拘置は拷問に等しく、許されないことだ。

 

ジャーナリストに対する不信は、警察に対する不信よりも強い。とはいえ、市民が自由に書きこむ掲示板は、インターネットの報道機関情報の歪みをかなり補正している。特派員は大津の放火狂事件のシャドウに光を当てるためにヤフー・ジャパンの掲示板から重要な情報を適当に取り出してみた。

 

■ニックネーム  2005/11/13 23:14

このNHK始まって以来のとんでもない事件は、記者が起こした犯罪という異常さとともに気になる点がある。笠松の出身校である。立命館アジア太平洋大学という聞き慣れない大学の出身なのだ。

設立は2000年。京都の立命館大学とともに学校法人立命館のもうひとつの大学で、キャンパスは大分・別府にある。学生総数は4400人。学部はアジア太平洋マネジメント学部(経営学)とアジア太平洋学部(観光学)の2学部のみ。学生の6割は日本人で残りの4割はアジアなど70カ国の外国人だという。こんな新設校からNHK記者になることができるとは驚きである。

NHKに尋ねると「職員の出身大学については個人のプライバシーに関わることなので、お答えは差し控えさせていただきます」(広報局)との回答。

 

NHKその他のマス・メディアは必ず年齢をつけるが、これは個人のプライバシーでなくて社会の上下関係を確認するためである、と言っても苦情はないはずである。ところで、肝心なのは、笠松君は京都の立命館大学が新設した立命館アジア太平洋大学の出身者で、この大学には法学部がないということだ。失礼だが、笠松君がNHK入局後すぐに大都市の警察署を担当するのに十分な知識を持っていたとは信じられない。不適切な配属をした大津放送局長は、それによってどんな事態を引き起こすか、予測しえなかったか?

 

■ニックネーム 2005/11/ 7 20:16

夕刊フジの記事 2005/11/07       

「笠松記者が『警察が教えてくれない』と報告したら、先輩記者は『それを調べてくるのがお前の仕事だろ』と罵声(ばせい)を浴びせることも。()」(地元記者)

そんな光景に他社の同僚からは「やりすぎではないか」と心配の声もあがっていたという。

近所の人によると、笠松容疑者は祖父母と両親、妹の6人家族。

父親のすすめもあり、心療関係の病院での入退院を繰り返していた。

 

□事件当時は容疑者でないのだから、記者と呼ぶのが正しい。色眼鏡で見るのを予防するためにも、正しい記述法である。しかし、笠松裕史記者は当時すでに放火狂容疑者であるという認識を表わしたければ、報道機関はバックルームで共同謀議をめぐらしていたか、あるいは運命論者の集団か、どっちかである。4月馬鹿の日にはもう11月の逮捕がカレンダーに書き込まれていたのではないか?

 祖父母と両親と妹の生命や生活が脅かされていた。この放火狂事件ではJR福知山線の惨劇が脅迫の記号(環境サイン)として使われたと考えていい。タイミングが同時的であるばかりか、神戸新聞と神戸大ニュースによれば、関西の大学生の死者は21人で、立命館も3人の負傷者を出していた。

  笠松記者は警察の事情聴取で、その事実に関係付けた状況説明をしただろう。警察は〈意味不明〉か精神異常の兆候として片づけ、間接的に〈心療関係の病院〉を紹介した…一種のノイローゼ、外傷性ストレス症候群か?

これは戦前から続く恐怖の歴史に、いくらでも例があるので、論証する必要を感じないほどである。現代では、国民一人一人が天皇・皇族・左翼および作家・芸術家などの自由主義者と平等に犠牲に祭り上げられる。

D

 

1 読売新聞 20051125 ()

毎日新聞  11252058

 

注 : 刑訴法の勾留のことを報道機関では拘置と表現している。

 

▼ 無意味な破片  Updated 2005.11.20

▼ 昭和天皇の奇妙な弁明

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.11.25

 

みんなが苦しむ《Nothing new

 

NHK記者の放火疑惑事件に関して、インターネットでさまざまな国民の声を追いかけて、いくつか気を引いた意見を読んだ。現場に近い京都のHPにはブログという流行の日記形式の批評〈木走日記〉があって、そこに短い批判を送信した〔1〕。それを発展させながら、あらためて事件に迫る。

ぼくもHHJでの調査やリヴァー・ドキュメンタリーの撮影で笠松君と似たような状況に陥ったことがある。この連続放火疑惑事件の場合、国際テロリスムが救助者を狙うダブル・アタックの手法をアレンジしたのじゃないか、と疑わないではいられない。特徴的な要素を挙げよう。

 

1 容疑者の病名についての報道をいくら探しても、発見できない。警察が発表しなかったとしたら、マス・メディアが積極的に調査するべきことである。この怠慢は何を意味するのか、考えさせられる。

 

2 朝日など多くの権力メディアが、NHK記者の住居と火災現場の位置関係を故意に書き落として、常に現場にいるジャーナリストに対する先入観を一般国民に与え、濡れ衣を着せてしまった。

 

JR福知山線の電車事故のタイミングを考察しない。〈一部分を拡大して、全体を考えさせまいとする〉情報や記事ばかりである。

 

4 放火は重罪だという感情的な意見が目につく。確かに刑法に規定された犯罪だが、どんな火事でも重罪として裁かれるわけではない。しかし、きわめて険悪な状況では、自衛的にそんな認識を植え付けるだろう。今度の事件では、損害の少ないボヤが続いた。消防署は、1000円以下の被害の火災を報告する義務がない。つまり、〈何も変わったことはない〉という環境がウィルスのように住民を不安に追い込む。それが、この種のドラマの狡猾な枠組みだと思う。

 

5 電車事故に関するさまざまな情報の中で、吊り輪という印象的な映像記号が笠松君に何を想起させたか、考えてみなければ、〈犯罪〉の真相を描き出すのは難しい。スポーツマンの放送記者は、同名の元オリンピック代表体操選手笠松とハンバーガー・チェーンがその頃使用した袋のフォト・イラストの一つ体操の吊り輪との偶然的な類似に気づいて、意識が混乱したかもしれないのである。放送記者の行動が不審だからといって、放火犯人と決め付けてかかるのは、人間という弱い生き物の存在を尊重しないことにつながるだろう。警察と有名無名のジャーナリズムは容疑者の人格をたたくことに熱意を傾けるが、事件の再発防止を願うなら、現象の理解を最重要の目的にするべきである。

 

6 逮捕から2日後の117日、フリー・ジャーナリスト藤村幹雄による〈大津事件とニコライ2世〉という題のロシア通信がTBSHPに掲載された。明治末期に日本を訪れたロシア皇帝が巡査に切りつけられた事件である。プーチン(V.Poutine)大統領訪問に合わせた雑誌の日本特集の一部で、事件後の日本人に対する皇帝の優しさが強調されているという。映画《人間の条件》を想い出す2。シベリアの労働キャンプで陰惨な〈いじめ〉を兵隊に対して執拗に繰り返していたのは、降伏前と同じく日本軍の上官であり、対照的にロシア人はそういう捕虜虐待をしなかった。

 

1 木走日記ブログ  http://erict.blog5.fc2.com/blog-entry-159.html

2  1959,61年製作 松竹 監督 小林正樹

 

▼ 放火テロリスムの標的はNHK記者

▼ 無意味な破片  Updated 2005.11.20

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.11.7

 

放火テロリスムの標的NHK記者

 

最近は日本の険悪な情勢に焦点を当てている。だから、今朝もヤフー・ジャパンのサイトを最初に開いて、半分機械的にニュースの行列に視線を流した。すると、〈NHK記者を逮捕 大津の連続放火事件 ---毎日新聞〉

  TVの新作コメディの紹介なのか、と思ったが、読んでみると、現実そのものの事件だった。〈NHK大津放送局記者の笠松裕史容疑者(24)が5日、放火未遂容疑で滋賀県警、大阪府警に逮捕されたうえ、連続放火を認める供述を始めた。〉〈秋山局長によると、笠松容疑者は大津市内で連続8件の火災が起きた前日の5月14日、仕事が休みで、火事を伝えるニュースの放送にかかわっていないという。15日未明に、笠松容疑者から「火事が起きているので取材する」と大津放送局に電話連絡があったが、その後連絡が途絶えたという。15日は宿直勤務だったが、本人から「大津署で話を聴かれているので、勤務できない」と連絡があり、同日深夜に、当時の局長が本人から話を聴いた際、「自分はかかわっていない」と強く否定していたという。〔1〕〉〈今年4月23日に大津市で起きた火災では、笠松容疑者が第一発見者となり119番通報。現場でバケツリレーに入るなど消火活動を手伝ったこともあったという。不審火のことが話題になると、「放火犯と間違えられて、何回も警察や消防に話を聞かれた」と話していたこともあったらしい。〔2〕

 

この報道では、逮捕された記者が火災現場の近くに住んでいた事実が抜け落ちている。産経新聞の記事を見ると、〈大津市内で四月から五月に相次いだ連続十一件の放火事件を捜査していた滋賀県警と大阪府警の合同捜査本部は五日、大阪府岸和田市の建築現場で六月にあった放火未遂の容疑で、NHK大津放送局記者、笠松裕史容疑者(24)=岸和田市磯上町=を逮捕した。笠松容疑者は容疑を認め、「大津の火事も自分がやった」と連続放火も自供。動機について「いろいろ悩んでいた」と供述しているという。〉〈笠松容疑者は昨年四月、NHKに入局。大津放送局に配属され、警察担当記者として県警記者クラブに詰めていた。事情聴取後の五月中旬、体調不良を理由に傷病休暇を取って岸和田市の実家に戻り、一時入院。岸和田の犯行時は一時帰宅中だった。〔3〕〉読売新聞は、〈調べでは、笠松容疑者は6月5日午前1時ごろ、岸和田市内の実家近くで、建築中の木造2階建て住宅の玄関東側にあった段ボール箱にライターで火をつけ、住宅を燃やそうとした疑い。大津市の事件を受けて張り込んでいた県警捜査員が見つけ、消し止めた。〉〈大津市での一連の火災は、笠松容疑者が住んでいたマンション近くの約250メートルの範囲内で主に土、日曜に発生していた。4月23日未明、住宅新築現場でコンテナ内の廃材が燃え、5月1日、9日未明に、民家とアパートで屋外の洗濯機などを焦がすボヤがあった。同15日には民家や竹やぶで、網戸などが燃える8件の不審火が相次ぎ、このうち木造2階建て民家延べ約120平方メートルが全焼した。〔4〕

 

  一連の不審火は、逮捕された記者がそのとき住んでいた大津市のマンションと岸和田市の実家の近辺で発生した。真っ赤な炎が県警担当の、それも視聴者の不信と朝日新聞による自民党干渉疑惑の渦に落ち込んだNHKの放送記者を追い回したのである。こんな状況では新入りの記者がノイローゼになるのは当然だと思わない人はいないだろう。HHJは、2000年夏から数年続いた田代町山田の連続放火事件で似たような状況に巻き込まれた。取材やドキュメンタリー撮影に行くと、警察が強制的に事情聴取するのではないか、と疑った。

 大津市の放送記者は、彼が住んでいた住居の周辺で火事が起きたのだから、現場に行かないということは困難である。妄想的な疑心を払いながら勇気を出してジャーナリストの義務を果たしたことに感心する。しかし、それがおそらく予感したとおり罠の入口だった。警察の取調べで最初は犯行を否認しても、やがて〈はい、そのとおりです〉と警察のシナリオを承認せざるをえなくなる。なぜか、と言えば、放送記者の家族や親しい友人の生命の危険が執拗に暗示されるからである。

  NHKは、今度の逮捕劇を謀略と受け止めて真相解明に生命を賭けるべきである。そして、国連の勧告にしたがって警察の取調べを電磁的に記録する法律を制定するように番組を通して国民と国会に訴えなければいけない。朝日新聞は、先に箱島真一前社長が新聞協会の会長を辞任する際に語った朝日新聞の歴史的な〈体質〉を本当に改善する意志があるなら、現実の問題においてNHKのその戦いに共同歩調を取るべきだろう。

しかし、朝日新聞の報道記事を見るためにグーのポータル・サイトを開くと、不審火と放送記者の住居の位置関係については明確な記述を嫌っている〔5〕TBSは、反対に重大な事実という認識である。〈大阪府岸和田市の実家近くの建築現場でダンボール箱に火をつけた疑い〉〈全焼した住宅の向かいのアパートに笠松容疑者が住んでいたことや、火災現場で度々、笠松容疑者に似た人物が目撃されていたことなどから、逮捕につながりました。〉〈「火事のたびにその人がいたという話は聞いている」(被害者の男性)〔6〕

この謀略は、国際テロ組織が救助者を殺傷する目的で実行するダブル・アタックの手法に似ていないだろうか?

H

 

1 毎日新聞 116110

2 同 116025

3 産経新聞 116250

4 読売新聞 11638

5         Asahi.com 200511 6 () 01:14

6         TBSi 0523:52

 

半分半分放送局長と特派員はどう考えるか?

▼ 無意味な破片 Updated 2005.11.9

その他の重要参考記事

▼ HHJのバイオ・テロ騒ぎ日記

▼ 警察の取調べを透明に

  警察の取調べが闇の中で行なわれる理由

▼ 東京駅暗殺事件~1

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.11.14

 

 

イランの指導者は絶滅の言葉に酔う

 

 

イランの極端な保守主義者アフマディネヤド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は、1026日イスラエルの破壊を公式の場で呼びかけた〔1〕。この真意は〈シオニスムのない世界〉という協議会において過激な学生たちの前で宣言されていた。〈ホメイニ(Khomeyni)師が言ったように、イスラエルは地図から消さなければならない。〉

 AFPの記者が想起させるのは、この脅迫がイランの核問題でヨーロッパが痙攣している真っ最中に投げ込まれたことである。フランスとドイツは、その極端さをすぐに迎撃した。アメリカは〈イランの核の野心を非常に恐れる〉と強調した。イスラエルでは、副首相のシモン・ペレス(Shimon Pérès)がシャロン(Ariel Sharon)首相に手紙を送り、国連からのイラン除名を訴えた。〈アマディネヤドのアピールは国連憲章にそむき、人間性に反する罪にあたいする。ジェノサイドを呼びかける者が国連に加盟する国の先頭にいることは、理解に苦しむ。〔1〕

 古代帝国の大統領が何を狙ったか、と言えば、イスラエルとパレスチナ自治政府の間で進展する平和の建設に亀裂を入れることである。これは無駄な扇動だ、と思われる。アラファト(Yasser Arafat)という象徴的存在が去年1111日なくなったあとイギリスとアメリカがパレスチナ国民の平和を保証したために、対話が始まったからだ。過激派のハマスがテロ活動を止めて自治政府の支配下に戻れば、深刻な障害はない。とはいえ、破壊宣告はテロに対する警戒の厳重なフランスでの暴動を誘発した信号になったかもしれない。

 イスラエルの副首相の提案は、プレッシャーが目的なら、イラン国民には効果的だろう。国連から除名された国は国際的な自由と平和と経済水準を維持するのが難しいと思うが、〈悪の枢軸〉の攻撃的な指導者はそれを恐れるかどうか、怪しい。

 D

 

 

1 Le président iranien veut la destruction d'Israël

(AFP)  Le Figaro [27 octobre 2005]

 

Le leader travailliste écrit que «cet appel (d'Ahmadinejad) contrevient à la charte des Nations unies et équivaut à un crime contre l'humanité (...). Il est inconcevable qu'à la tête d'un pays membre de l'ONU se trouve un homme appelant à un génocide».

 

 

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.11.14

 

追放処分は内部暴力的に

 

 

国連からのイラン除名提案ニュースの翌日28日、日本でも除名騒ぎが起きた。自民党が郵政民営化法案に反対した議員50人の処分を決定したが、野呂田芳成元防衛庁長官一人が除名だった。能代市が本拠地の衆議院議員はこんなコメントを発表した。〈政治家が自らの信念と見識で法案の賛否を決めるのは当然であり、それを権力で無理やり否定するのは反民主的行為だ。〔1〕TVニュースを見たある大館市民は、処分を決めた委員会に同じ能代市出身の元体操選手小野清子参議院議員の姿があったことに強烈な印象を受けた。封建的な村社会の特徴であり、内ゲバ(内部暴力)状況の本質的な構図があると言わなければならない。

 それを聞いて、まもなく特派員はふと想い出した。田中真紀子外相がNGO問題で小泉純一郎首相を批判して国連総会に出席しなかったとき、国連から除名されたのか、と冗談半分に書いたことを2

 除名ニュースが二つ連続したのは、たぶん世界の心理的流行が背景にあると思う。

D

 

1        TBS i  2821:47

2 HHJ VOL.83  2001.12.15

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.10.28

 

TBSと楽天市場の間に低気圧

 

インターネット関連企業の楽天が13TBS(東京放送局)の株式を約15%取得して筆頭株主になり、共同持ち株会社による経営統合を提案した。特派員はNHKオンラインのニュースで不意打ちを食らい、楽天とは何をやってる会社か、と楽天のサイトにアクセスしてみた。特徴は、報道プログラムがないこと、商品の通信販売、TVドラマや映画、スポーツ・ゲーム、セクシー映像の有料配信、である。ライブドアが去年プロ野球チームの獲得の資格審査で楽天に敗れたのは、ニュースと批評を売り物にしているせいだろう、と遅まきながら日本の事情を理解した。

  楽天はグローバリゼーションの戦線を維持するために、三木谷浩史社長が言うようにTBSが制作する番組の配信を狙う〔1〕。自社の制作プログラムがないのは競争に勝ち抜く体力がないことだ、と認識したようだ。それなら、協議を続けていた柔軟な業務提携で十分間に合う。しかし、楽天の計画には〈統合後の社名・ブランド名の取り扱い〔2〕〉という項目が明らかにするとおり、警戒心を掻き立てる不審な思惑が見え、そのうえ、強引な株の買い増しによる征服欲がちらつく。TBS25日統合案を拒否した。〈楽天一社とだけ組むことは、「豊富な優良コンテンツを持つことが有利となる放送と通信の融合時代に弊害が多い」〔3〕。〉制作する側が強くありたい。

TBS70年代まで報道とドラマの分野で高い信頼を得ていた。そういう放送局が単なるコマーシャリズムの論理で主体性を奪われることを嫌うのは当然だろう。楽天は文化の在り方に責任と自覚を持つなら、ヨーロッパ・アメリカ並みの生き方を取り入れて自分の手で創造する苦労をしてみなければいけないと思う。

 

半分半分放送局長―これはニュース潰しなんだ。あの放送局は国会議事堂と官庁街と料亭街の一番近くにあるから、おもしろくないというわけだよ。

特派員―なるほど、楽天市場は古物に人気があります。

放送局長―料亭にも古物が。結局、楽天とTBSのそれぞれを応援する金持ち連中が料亭で話を決める、という日本の伝統的なストーリーになるんじゃないか?

☆ D

 

1 NHK  2005/10/15

2  読売新聞 1020

3  産経新聞 1026

 

文化とは何か、少し関心を持つため10年前の記事を見る

▼ 文化という言葉

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.10.14

 

38度線の北の断念と希望

 

北朝鮮の核計画をめぐる第4回協議は、919日初の共同声明を発表して終わった。北朝鮮は核兵器と軍事目的の核施設を断念して、2003年に離脱した核非拡散条約(TNP)に再び加盟すると約束した。しかし、核の平和利用について中国などの関係国は北朝鮮の権利を認めて、適当な時期に軽水炉の供給のための話し合いをすることに決めた〔1〕HHJはこういう気前の良さを否定するが、アメリカの外交団長クリストファー・ヒル(Christopher Hill)国務次官補は、〈みんなが儲かった〉と評価した。〈大事なのは、この合意をコントロールすることだ。〉有識者が強調するとおり、〈北朝鮮体制の豹変的な性癖〉を警戒するということである。実際、人のいいアメリカ人がずるいアジア人に何度もだまされるとは考えるべきではない。

 なかなか現実味のある意見を言ったのは、韓国代表のソン・ミ・スン(Song Mi-Soon)である。〈冷戦を受け継いだ構造の解体という観点からすれば、重大な段階を越えた。〉朝鮮半島の統一を予想させるように受け取れるが、極東の風土を考えれば、東西ドイツ統一のような劇的な変化より晦渋な変化の可能性の方が強いのではないか?この動きについては、北朝鮮が9月下旬世界食糧計画(WFP)による人道的食糧支援の拒否を国連に告げたとき、〈韓国の監視なしの食糧供給のせいだ〉〈南北の共謀だ〉とアメリカがさっそく厳しく警告した〔2〕。しかし、恐怖の感情は消えない。韓国の文正仁・延世大教授(政治学)は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙でこんな反論をした。〈韓国の食糧支援は南北関係改善、軍事的緊張緩和、同胞の救済という複雑かつ困難な努力の一部だ。〉それは、まあ、そうかもしれない。恐怖と愛情の間の国境線も曖昧なのである。

☆ D

1 Les pourparlers sur le nucléaire nord-coréen sauvés du justesse

(Avec AFP.)[19 septembre 2005]

 

2 産経新聞  1010日 ソウル 久保田るり子

 

▼ 北京会議 : 核危機に関する寄せ集め報告

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.9.14

 

山菜たっぷりの民主主義的な選挙

 

特派員ダレナニ―衆議院選挙の秋田2区は、野呂田芳成が楽勝しました。山本喜代宏は地元鹿角と大館で票を伸ばして前回より得票数が増えたけれど、予想に反して比例での復活はできませんでした。全国では自民党が大勝して、分裂解体どころか、第3帝国を宣言しかねないムードです。感想を聞かせてください。

編集長―選挙の翌日リヴァー・ドキュメンタリー撮影のため花輪線の始発電車に乗って十和田南駅で降りた。そこから丘の上に広がるリンゴの林を通り抜けるコースを考えていた。しかし、朝霧が消えないうちに走り出しても意味がないので、好奇心半分で駅の食堂で350円の山菜そばを食べたら、山菜の種類が多くて、生そばとつゆもおいしかった。山菜は、ワラビ、ゼンマイ、タケノコ、フキノトウ、キクラゲ。本当ですよ。

ナモネ氏―そりゃあ、感動的だ。

編集長―全国どこに行っても、そんなに山菜がいっぱい入った山菜そばはない。絶対にない。霞ヶ関あたりで注文すれば、〈山菜〉と書いた札が一枚載ってるだけだ。

ナモネ氏―十和田南駅で列車はバックして盛岡に向かう。今度の選挙は、それだよ。金に執着する日本国民の大半が後ろ向きの進行を選択した。政権交代がないのは、民主主義制度のどこかが狂ってる証拠だ。

特派員―先進国の人たちも怪しむでしょうね。今日はありがとうございました。貴重な個人的な時間をわざわざHHJのような無力なメディアのために浪費していただきまして、感謝の言葉もありません。

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.9.9

 

取材メモ偽造 :

記者が自由でなければ

 

取材メモ偽造ドラマのヒーロー西山卓記者の生の声が載っていないか、とインターネットのサーチで調べると、4万件以上のHPが出た。適当に開いてみたが、記者がみずからその前例のない行為について書いた文章は見つからない。短い弁明の言葉はどのメディアでも不思議に一致していることを考えると、問題を引き起こした本人に直接取材していない。それができない理由があるとすれば、何か?西山記者と他のメディアは、自由でないのか?朝日新聞は根本的な改革を決意したというから、調査報告書の中に客観的な資料として西山記者の詳細な弁明を積極的に入れるべきだろう。

 

 朝日新聞の前社長箱島信一は責任を取って、97日日本新聞協会会長と朝日の相談役を辞任することを表明した。臺宏士記者によれば、〈新聞をはじめジャーナリズム全体の信頼と名誉を傷つけ〉〈この事態を重大なものと受け止め〉〈(朝日の)組織に体質的、構造的な問題があるのではないか。126年と歴史が長くなると、いろいろ組織に硬直的なことが出てくる。〉〔1〕

秋山耿太郎社長は、〈記者教育や会社の風土、制度など根本的な再建策を考える。新聞づくりを土台から改革していく。〉〔2〕

しかし、1991HHJを創刊して以来、朝日新聞大館通信局と秋田支局の活動を眺めてきたが、真の改革は新聞社の地下構造を破壊しなければ不可能だろう。その絶望感は箱島の言葉にも滲んでいた。民主主義の支配的な世界に戦前ファシズム構造を組み合わせれば、始終ノイズが発生する。アメリカが自由のネットワークを強力に拡大すれば、ノイズは爆発的な響きに変わる。個人主義的なジャーナリストの自由な思考と行動を束縛しないことである。

 

1 毎日新聞   2005 9 7()

2 朝日新聞  2005 9 7()

 

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.9.3

 

会って話を聞かないで偽造記事、そのアイロニー

 

とうとう朝日新聞の記者がカミカゼ・テロもどきの取材メモを偽造、それを下敷きにした衆院選挙記事が821日全国の読者を欺いた。新党結成で取材を受けていなかった長野県の田中康夫知事の抗議で、朝日新聞は事実を認めて、長野総局西山卓記者を懲戒解雇処分にした。東京本社の木村伊量編集局長なども報道の責任を問われた1

 今度の出来事に現われた異様な点は、28才の若いジャーナリストが小説家知事に会って話を聞くという基本的で最低限必要な行為を止めてしまったこと、そして、事実に見せかけた小説を書き送り朝日新聞の政治欄をフィクションにしようと計画したことである。西山記者は〈書いたこと自体悔やまれる〉と話したが、信じがたい2

なぜこんなことが起きたか、朝日新聞は例によって検証するという。〈記者倫理に反する〉ことだと吉田慎一編集担当(朝日新聞社常務取締役)は紋切り型の非難をして、全編集局員に自己改革を求めるアピールを出した1。〈解体的出直しが必要だ。〉無理もないことだが、真相は朝日新聞の歴史を見れば分かるはずである。敗戦後60年、本気で民主主義のために戦わなかったことも無関係ではないだろう。今度の事件には、朝日の記者だから小説を書くのが好きなのだ、というアイロニーが感じられる。

 

1  asahi.com 朝日新聞 2005 830日、31

2 産経新聞 2005/08/30

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.9.3

自治体はどんな新聞雑誌に

どれくらい金を使っているか?

 

朝日の礼拝を廃止

 

大館市立中央図書館では、4月から全国紙の特別閲覧で朝日新聞だけを優遇してきた慣習を廃止して、朝日・読売・毎日を2か月ごとに換えて閲覧台に置くことに決めた。職員に聞くと、朝日新聞を特別扱いするように定めた法律や規則はないということである。全国の市町村と都道府県の図書館は首長の政治信条に関係なくどこでも同じことをしているのじゃないか、という質問には無言だった。その実態調査は朝日新聞に任せたい。理由については、一般国民が歴史的に推理するだろう。

 

 

▼ 自治体はどんな新聞雑誌にどれくらい金を使っているか?

 

 

 

 

 

 

 


Updated 2005.9.1

 

地球市民の手で投票する

 

秋田2区の衆議院選挙で、HHJはどの立候補者を推薦するか? 305人が選挙戦の第一声を挙げたので、名前を並べてみる。

 

藤本金治(59) 共産党 新

野呂田芳成(75) 無所属 前

山本喜代宏(49) 社民党 前 比例重複

小野貴樹(34) 自民党 新 比例重複

佐々木重人(35) 民主党 比例重複

 

NHKが民営化されれば、喜ぶのは右翼と甘ったれの資本家である。HHJが郵政民営化に反対する理由はそれと同じで、郵便局の利用者である一般国民の目がこれまでよりも届かなくなることが一番大きい。

野呂田は郵政民営化に反対した自民党議員の一人で、新党に参加しないで戦う。北秋田地方では絶対的に強いが、〈日本は沈没する〉という政治に対する激しい危機感は今まで表面に出なかったものだ1。しかし、その状況を招いた政権党の中枢議員としての反省が聞かれない。共産党は、頭の良さを行動で示すよう求められている。自民公認の〈落下傘候補〉は、出番を間違えているんじゃないだろうか?国会議員の任命制に変わる恐れがある。民主党は保守層の人気を得ようとして、リベラルから離れてしまった。選挙の本当の争点をマニフェストで遠慮なく提示しなければ、期待されない。

 そうすると、残るのは《カズノ・ロワイヤル》でスリリングな戦いに勝ったオーバーホール農民、山本喜代宏ではないか?空港のある北秋田市でこんな風にアピールした。〈国民不在の小泉政治。言うことを聞かないものは抹殺するというような独裁政治を許してはならない。〉

 良心の声に聞きしたがい、国際社会で仲よく生きようと決意するべきである。一票を箱に入れる手は、地球市民の暖かい手でなければならない。

 

1 引用は北鹿新聞から。 2005.8.31

 

正しい民主主義の作り方を考える

▼ テロ組織が管理する選挙

 

 

 

 

 

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