HALF AND HALF JOURNAL

 

 


破 片

無 意味 な

                                                         

無意味な破片

                                        

 

                

           

 

Fragments

HHJ

                         inutiles

 

         

 

☆ ☆ ☆      Updated 2004.4.30

半分半分放送局長―〈無意味な破片〉に続けて二人の〈ウォルター〉が出てきた。舞台裏について話してみてくれないか?

編集長―オーケー。そう考えていたところだ。映画の《シャレード》について喋っているときは、CIAの部長に化けたコメディアンの名前しか意識になかったね。2週間後〈マスク・キングダム〉を書こうとして記憶を集めなおしていると、固有名詞が想い出せない。ウィスキーの〈ロバート・ブラウン〉、後味のいい芳醇なウィスキーだった。

放送局長―歴史的な味わいだったよ。

編集長―それから、ボードレールの詩を通して現代都市に関する鋭い批評を書いたウォルター・ベンヤミン。名前は忘れていたが、本の題名は《都市の観相学》だと思っていた。これは、後でインターネットなどで調べてみると、存在しない題名なので、訂正した。名前が想い出せないのは評価していなかったと誤解されるかもしれない。しかし、実際はその反対だから、どうにかこうにか意識の裏を掻いて、想い出した。予定ではウィスキーの話の後にもう一つ環境サインの実例を書くつもりで、それを優先的に考えていた。ナチスに迫害された学者のことは、次の機会に書こう、と。すると、コメディアンのウォルターが顔を出した。神経衰弱のカードが2枚そろったということだ。ぼくは、それで〈無意味な破片〉の対話のテーマにしようと構想を変えた。

特派員―〈ウォルター〉が二人そろったのは偶然かどうかここで問題にしようと考えたわけですね。HHJが試しにときおり使う手ですよ。

放送局長―そうか。世の中には偶然の一致のように見えて実は計画的だったのではないか、という出来事がいっぱいあるが、君、どういうわけか、いつまでも疑惑のままだな。

                                                    ☆ ☆ ☆

▼ 映画《シャレード》から; CIAに変装する不存在の謀略機関

▼ 東京駅暗殺事件~1

 

                             

 

 

 


              

マスク・キングダム-3    ☆ ☆ ☆        Updated 2004.4.15

編集長―二科展は俗っぽいと言われていたが、主義に関係なく前衛的な絵が少なくなかった。これは会長の東郷青児が美術への関心を高めて社会に根づかせようと苦心した結果だった。あるとき荻原寛子から戦前の前衛絵画展の招待券をもらったので見に行くと、東郷青児の《超現実主義者の散歩》という作品があった。ぼくは青と白と黒と灰色でピエロと夜の街を描いたそのメランコリックな色彩の構成が気に入って、地下室を改造するときに大胆に取り入れた。

特派員―荻原寛子は何か考えていたのではないでしょうか?

編集長―そう、彼女の悩みはアンダーソンさんの苦悩が何か自分の手の届かないところにあるということだった。ぼくはアンダーソンさんが駐車場でいつもと違う眼を向けたときに、はっとしたが、何か話したいことがあるように感じた。それはたぶん、新発売のウィスキー〈シーグラム〉を一緒に飲もうと誘って飲んだときに、聞くはずだった1。しかし、重要な話は出なかった。後で偶然そのウィスキーのCMを見ると、こういうメッセージが流れた。〈あなたは誰ですか?奇妙な暗合だった。最初の環境サインと言っていいが、そんな意識はまだなかった。その頃、アトリエで荻原寛子が話題のウォルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)の《複製時代の芸術》がおもしろいと言うので、読んでみた2。ナチスに追われてスペイン国境で自殺した学者が書いたもので、〈都市を読む〉という流行に火をつけた。

               ☆ ☆ ☆

1        KIRIN HP 2002.6.12

〈キリン・シーグラム社は、1972年にキリンビール社、シーグラム社(米国)およびシーグラム社の関連会社であるシーバスブラザーズ社(英国)の合弁会社として設立されました。出資3社の理念である「品質本位」、「完全主義」、「職人気質」を受け継ぎ、1974年には原酒100%を特長とした「ロバートブラウン」を発売しました。〉

   200271日より社名をキリンディスティラリーに変更するという告知である。ロバート・ブラウンのCMもかなり人気があったと思う。

2 ドイツの文学者、哲学者、社会科学者。1892~1940

本の題名はよく覚えていないが、ボードレールの詩についての考察が含まれていた。

 

 

■ マスク・キングダム-2

 

 

 

 

 

 


              ☆ ☆ ☆      Updated 2004.4.4

ナモネ氏―リンクサイトを見たが、ね、米代川流域のHPが少なすぎるよ。

編集長―自然環境保護やその他のおもしろそうなHP1年間適当にサーチで探したけれど、幸運な偶然がほとんどなかった。情けなくなりましたね。インターネットの楽しい特徴のひとつは、瞬間的に世界中のHPとリンクできることですから。

ナモネ氏―自然保護と環境保護の活動はやはり権力に嫌われる、ということだな。

編集長―インターネットも社会の縮図だと思いましたね。公共機関が幅を利かせて、個人はどこかに追いやられてる。もっと有意義なHPがあるだろうけど、結局、内容にはHHJは責任を持たないと気楽に考えてリンクサイトを作った。

ナモネ氏―不平不満の声が聞こえてきそうだが。リンクは自由勝手に付けていいのかね?

編集長―一時的なリンクでも恒常的なものでも、著作権法その他の法律に触れるという意見はないですね。これはおそらく、インターネットは表現する権利と情報伝達に関して自由と平等の対立を超えるメカニスムだと人々が感づいているせいでしょう。ただマス・メディアの機関日本新聞協会はリンクを付ける場合事前に連絡するようにと注意している。

ナモネ氏―あれは、返事を出さない癖がある組織の集まりだったな。

編集長―言葉では、ね。しかし、リンクを抑圧しようという自衛的な欲求は棄てるべきですよ。メディア企業の考え方は政治権力と同じで、どう言葉を操ろうと、情報を受け取る人たちの創造的な表現行為とそれの公表を阻害するというゴールをめざしている。著作権法とその解釈にはいろいろ考えさせられる。

ナモネ氏―引用についての見解は殺人的だ!

編集長―分かりやすい例を言うと、住民運動はそのために麻痺してしまう。

特派員―HHJは引用をできるだけ開放しようという方向で、実践していますよ。

編集長―営利目的とそうでない利用を区別しないってことはない。

ナモネ氏―内容が優れていれば、普通は文句を付ける気にはならないもんだ。特派員の批判的な記事から事実の引用を少なくしたら、客観性がなくなる。信頼度も低くなる。

特派員―アメリカ人が民主主義の憲法を作る才能がなかった日本人に代わって明るい人生の保障をしてくれたんだから、個人の基本的な生き方に対して反動的に構えて枠組みを崩してはいけませんね。プロバイダーもおおらかな気持になって、サーチに自然と環境保護の項目を設定して、どんなHPでも無料でサーチに載るようにするべきです。100円程度の景品も気前よくプレゼントするべきです。内容の審査なんて自由と権利の妨害ですよ。

☆ ☆ ☆

 

あなたと神経衰弱とリンクと

▼ リヴァー・ユートピアのリンクサイト

 

 

 

 

 

 


              ☆ ☆ ☆   Updated 2004.3.30

編集長―サスペンス映画の《シャレード》で記憶していたのは、冒頭のスキー場のシーンと、それから、へップバーン(Audrey Hepburn)CIAのフランス支部長と素性の怪しい主人公の対決に直面して、どっちが自分の敵か味方か分からなくなるラスト・シーンだ1

半分半分放送局長―似てるよ、世界情勢について真面目に考える人々が置かれてる現在の状況に。おれは主人公のケーリー・グラント(Cary Grant)が悪役だな、と思ったね。

ナモネ氏―アメリカ政府の所有物だった金塊を盗んだ悪党どもの一人を演じてるからな。へップバーンの夫がそれを独り占めして隠したが、殺されてしまい、CIAが捜索する。

アロマ―だまされるのも無理はない。ヒロインはパリのアメリカ大使館に呼ばれて、そこでCIAの支部長ウォルター・マッソー(Walter Matthau)から事情を説明される。第2次世界大戦中の出来事と金塊を盗んだ兵隊たちの写真。誰でも協力するわよ。

編集長―そうだ。ヴィデオで見てみると、マッソーは仲間を撮影した男だね。彼が劇場で死んでから明らかになるが、CIAの本当の支部長はグラントで、二枚目が留守の間にコメディアンのマッソーがそこに入り込んでスナックを食べながら悠然と芝居をしたというトリックだったんだよ。

放送局長―ううむ、そうだったか。すると、イラク戦争開始前にブッシュ大統領が言ったこと、つまり、〈フセインはシャレード(文字謎遊び)をしている〉というのは何だ2?文字の謎らしいものは出てこない。CIAを演じているということか?

編集長―そういう意味もあるだろうな。悪いことをして、それがアメリカの情報機関の仕業だと思いこませるのに成功すれば、ダブル・プレイだ。

                

特派員―アンボワイエ・スペシャル(特派員)の不在の間に、こんな雑談をしていたとは、ね。

編集長―録音したのは、愛読者の誤解を防ぐためだ。特派員が参加しない理由を勘ぐる人がいないともかぎらないからな。

特派員―みなさんが聞きたがってるのは特派員の悪い想像なんだ、と考えましょう。

放送局長―最高の視聴率を記録する非常に悪い想像だ。

特派員―ぼくが思うに、CIAの活動と思い込ませる計画を実行していたのは日本の不存在の謀略機関ですね。目的は、言うまでもない、アメリカに対する信頼を傷つけることですよ。世界の各地域で発生する紛争、続発する内部抗争、国境地帯を挟んだ戦い、そこにはアジアの亡霊が暗躍してる

放送局長―アメリカの怒りが理解できるよ。映画の中で悪役に仕立てられるなら、まだ許せるだろうが、ねえ。

ナモネ氏―まったくだ。〈アジアの亡霊〉というのは、フランス人のジャーナリストが問題にした日本帝国の超国家主義者たちのことだな3?

編集長―ええ、行動から見れば、日本がアジアを隷属させて〈世界の新秩序〉を建設しようという妄想でしかない。ウルトラ・テロ組織ハマスの創立者で精神上の指導者ヤシン(C. Yassine)の野心と闇の中でつながってるよ。

特派員―22日イスラエルの空襲でやられましたね、あの坊さんは。

ナモネ氏―イスラムの神様も信用を落としてしまったなあ。

特派員―宗教政治思想の自爆ですよ。殉教者になったのはむしろ幸運で、最後の儲け、最後の滅私奉公です。

放送局長―君、タイミングから考えれば、マドリッドの残酷劇の結末だよ。しかし、思想の自爆というのは歴史的に起こりうることだな、日本帝国みたいに。

               ☆ ☆ ☆

1  CHARADE  1963年製作

  Produced and directed by Stanley Donen

  Screen play : Peter Stone

2         NBC NEWS

♪ 言葉の樹 : 甘ったれた国民の残酷さを防止するには

3 HHJ  VOL.44  1995.12  EN PASSANT

   Le nouvel observateur 〈アジアが復讐を夢見るとき〉

  De notre envoyé spécial à Singapour , Jean-Claude Guillebaud

  ---(東南アジアの)非民主的な思想を支えるのは、アジアの文化的な同一性と伝統への回帰である。それ以上に厄介なのは、と記者は指摘する。その思想が戦前の日本の国粋的な哲学の〈恐るべき命題につながっている〉ことだ。つまり、〈現代ヨーロッパの個人主義を棄て、現代ヨーロッパの諸原理の否定を称える〉というファシズムである。

 

▼ 書くことの舞台裏 ; 二人の〈ウォルター〉がそろったのは偶然か

 

 

 

 

 


☆ ☆ ☆      Updated 2004.3.23

特派員―日本の選挙もアメリカのように機械を使うべきではないでしょうか?

ナモネ氏―非常にいいことだ。コンピューターが社会と日常生活のライフライン的な道具になってる時代に、選挙の投票は昔ながらに手書きで候補者の氏名や政党を書き記す。

特派員―前々回の大館市議選では投票用紙に鉛筆で書かれた氏名の解読がおかしいというので、落選候補者と当選議員が裁判で争いましたね。機械で候補者を選択する方式にすれば、選挙管理委員会の主観が影響するようなことはない。

ナモネ氏―機械で数えれば、公正な集計ができる。主観というのが担当者の頭の中にない国だから、現代社会に合わせて、より間違いの少ない方法を採用しなければ、な。

特派員―明快に翻訳すれば、それは選挙管理委員会の職員らが不正を強要されているということですね。しかし、もっと悪い想像をしなければ、悪党に笑われますよ。

ナモネ氏―つまり、今は文学的な想像が必要だということだな。国際テロリスムには文学的な面があるから。特派員の悪い想像とは、何か?

特派員―テロ組織のメンバーが選挙を管理してるということです。民主主義制度にとって選挙以上に大事なものはないんだから。

ナモネ氏―ごまかしが難しい方式は採用しないわけだ。

特派員―日本政府が本気で国際テロリスムと戦う意志があるなら、役所などの公共機関内部に盗聴法を適用するとか内部の24時間監視システムを敷くべきですよ。

半分半分放送局長―台湾の総統選挙で33万もの無効票が出たそうだ1

☆ ☆ ☆

1 TBSi 3.22

 

 

 

 

 

 


             ☆ ☆ ☆      Updated 2004.3.19

編集長―16日中国とフランスが台湾の北約1000kmの黄海で初の海軍合同演習をした、とル・モンドが報道している1。インターネットで日本語のニュースをざっと探してみたが、新聞と通信社のサイトにはなかった。

特派員―どこもマドリッドの残虐きわまりない列車爆破テロで心理的に吹き飛ばされてますね。

編集長―国際テロとの戦争状況に置かれているときフランスと中国の海軍が仲よく8時間の連係プレーをしたのは、日本人に知らせなくてもいい出来事じゃないとは思わないんだが?

特派員―そうですね。フランスと中国の関係は去年TVの生産会社を設立してから注目していたんですけれど、海軍のデモンストレーションは1月末ユ・ジンタオ( Hu Jintao)首相のフランス公式訪問のときの約束なんでしょうね?あの歓迎ぶりは愉快でした。

編集長―さあ、どうかな。おもしろいのは、台湾では20日に大統領選挙と独立を問うレフェランドム(国民あるいは住民による直接投票選挙)が行なわれるということだ。つまり、今度の前例のない海軍合同トレーニングは島の独立を志向する今の権力サークルには、〈選挙に圧力をかける心理作戦にフランスを引き入れることを狙った操作〉のように受け取れる。だから、フランスに対する悔しさを激化させる、とフランス人の特派員は書く。

特派員―デピ(悔しさ)じゃなくてコレール(怒り)でしょう?

編集長―いや、デピ(un dépit) だ。

                

特派員―なるほど、ねえ。〈C'est l'incompréhension à Taïpeh. 〉と最初に書くというのは、EUのリーダーと組んだこんな強迫的な行動があまりにも突飛だから、でしょうね。〈台北にとっては合点が行かない(不可解なこと)〉…これは国際テロ組織がスペインで企んで成功したことだ!フランスと中国は先にやられたわけだ!

編集長―イスラム教徒が台湾の味方だとは、知らなかったね。

特派員―政治的な目的なんてありゃしませんよ。殺し尽くすこと、恐怖で震え上がらせること、だけですよ。

編集長―そうしてテロの間接被害者を隷属させて操り人形にすることだな。

特派員―ええ。テロ直後の選挙でアズナール(Jose Maria Aznar)首相が敗北したのは、言いたくないけれど、スペインの惨めな敗北ですよ。動揺してバスク人の独立運動グループに嫌疑をかけなかったとしても。

編集長―多数決だから、しようがない。ただ、反対投票したスペイン文学の教師が、ヘミングウェイやモンローのアメリカは好きだがイラク戦争は〈我々の戦争〉ではない、と語ってる。いつでも何でも他人事だ。こういうのは、スペインのためにだって戦うことができない生き方なんだ。しかし、被害者の復讐という認識しか持たないと、国際テロ組織の宣伝に嵌まって、被害者と敵対する側に入る可能性があるということは考えておかなくてはいけない。

               ☆ ☆ ☆

 

1  LE MONDE | 17.03.04 | 13h01  Taïwan condamne vivement les manœuvres navales conjointes de la Chine et de la France en mer Jaune

Frédéric Bobin   notre envoyé spécial

2  Madrid Bombs Shook Voters  By Glenn Frankel
Washington Post Foreign Service
Tuesday, March 16

 

 

 

 

 

 


              ☆ ☆ ☆         Updated 2004.3.6

特派員―大館市と田代町が独善的に合併しようと企んで、3月2日合併協議会法定協の初会合を開いたけれど、承認されたこんな事業計画は大館人として許せませんよね1?

ナモネ氏―ああ、そうだとも。北鹿新聞によれば、新しい自治体の庁舎をどこに建てるか、名称をどうするか、協議事項に入ってるが、現在のままでなければ、合併には反対だ。

特派員―理由は、役所に散歩がてらに行くことができなくなるからですか、ね?

ナモネ氏―ああ、君と同じだ。高齢化社会にはなじまないよ。それに、新庁舎建設は金の無駄使い。住民を虐げるための要塞は必要がない。民主主義に反する政治をしていますよ、と宣伝するようなもんだ。

特派員―だから、国が積極的に援助するわけです。

ナモネ氏―そうそう、呆れてしまうよ。しかし、もっと嫌なのは自治体の名前の変更だ。大館市の名は、どういうわけか世界的なんだから、少数の担当者が勝手に変えるべきじゃないな。住民投票条例を作って、住民の意思を問うことだ。

特派員―賛成です。何度でも言うけど、歴史的に重要な地名は変えるべきじゃありませんね。そこで生きた人々の記憶が保存されているからです。標識や公共機関の部局と同じ扱いじゃいけない。

ナモネ氏―とは言ったが、住民投票で決めろ、という声はないな。9月の合併調印式までに何とかしたいもんだが。

特派員―HHJのアイディアは、こうです。憲法改正に悪乗りして、国名を大館自由共和国に改める。さもなければ、アメリカ・ロシア・中国・イギリスの連合国に脅迫してもらって、その条文を入れ、さらに地方自治体の独立意志を尊重する規定を新設する。

ナモネ氏―いやはや。

特派員―仮に自治体の独立が住民の過半数の賛成投票で実現できるとしたら、日本の国家権力には脅威ですよ。いいじゃないですか?まんざらでもなさそうな顔ですよ。

ナモネ氏―まあ、そうだな。まあ、うまく行けば、あのナルチスティクな、自分の観念を何よりも可愛がるやつらの勝手な真似を抑えることができるだろうな。

               ☆ ☆ ☆         

 

 

 

 

 


             ☆ ☆ ☆          Updated 2004.2.23

半分半分放送局長―平和なときでさえ法律を守らない者たちが、戦争のときには法律にしたがって行動すると言っても、誰が信じるかな?

編集長―うむ、自分自身も信じてないだろうね。

特派員―そういう習慣がないですね、あの人たちには。                  

ナモネ氏―腹の中で考えるのが、あの権力者どもだがな。明日の生活のことだけで精一杯の国民、何の力もない弱者は痛いほど知ってるから、非常に警戒してる、海の向こうから来る侵略者よりも自衛隊と警察と政府と、それから役人を、な。

特派員―小泉首相と石破防衛長官と自衛隊は、世界中の視線を浴びる中で自由とヒューマニズムに立った法の支配を尊重するということをアピールできなかった。そういう言葉は文書の中にしかないんですね、この国では

放送局長―君の書いたリヴァー・ユートピア妨害工作の記事を読むと、これは完全に無法国家だな。大館市役所、北秋田土木事務所、秋田県庁、関係業者、市議会と県議会、警察、秋田地検、マス・メディア。そこに自由意志があったとすれば、犯罪組織のメンバーだ。

編集長―市民が一番恐れるのは、日本のそういう権力機関だろう。この法律(武力攻撃事態対処法などの有事関連法)を作ったのは、ただ安保条約の相手国アメリカのプレッシャーがあったから、止むをえず、だと思うね。

ナモネ氏―法の神様に服従しなければいけない、ということだな。

特派員―一般国民以外の、つまり、有事関連法の執行者たちがその条項や憲法や国連の規則などに違反した場合、どうするか、特別に定めるべきではないでしょうか?

編集長―それをチェックする仕事は、当事国の日本とアメリカと国連の義務だろうな。受動的な住民の訴えは全部レコーダーに録音されるべきだ。

放送局長―それから、国連の人権擁護委員会に毎日インターネットで報告する、と。

                

アロマ―有事関連法って、あたしには全然理解できない。99年の周辺事態法から始まって武力攻撃事態に備える法律や自衛隊法の改正、外国軍用品等海上輸送規制法案、米軍行動円滑化法案、交通・通信総合調整法案、捕虜等取り扱い法案、非人道的行為処罰法案、国民保護法案、日米物品役務相互提供協定改正案1、そのうえ、警察法改正案。一夜漬けの学習よ。

ナモネ氏―みんな分かった振りをしてるだけだ。

編集長―その時が来れば、沖縄の人たちと同じ意識を持つと思うね。島を攻撃したアメリカよりも敗戦後に日本が嫌われた理由は、それまで政府が徹底的に彼らをだましていたことを思い知らされたからなんだ。

特派員―その時が来れば、あのヒステリックな悪酔いの権力機関がどう豹変するか?

放送局長―ヒストリックでもある。中国と朝鮮半島の人たちは過去を想い出せば、こんな法律に疑惑と不安を感じるはずだ。

ナモネ氏―運悪く鳥インフルエンザが蔓延してるからな。日本帝国の細菌戦の被害者たちは二重に不愉快だろうよ。

              ☆ ☆ ☆          

1 以上2月21日付asahi.com 朝日新聞インターネット版

非人道的行為処罰法案; ジュネーブ条約の違反行為への罰則を規定する

 

無効になった記事でも、ちょっと読んでみるか?

▼ 武力攻撃事態法案に対してレジスタンス

 

 

 


 

 

 

                  ☆ ☆ ☆          Updated 2004.2.17

特派員―最近はもう凄いショッキングなニュースの連続ですね。

ナモネ氏―血圧が上がって仕方がないよ。

アロマ―2月8日のワシントン・ポスト紙の記事は、横殴りのブリザード(雪嵐)でしたね1。遠慮なく言うけど、パキスタンの核開発リーダーのカーン(Abdul Qadeer Khan)博士がみずから核密売のネットワークを作って世界中に核開発テクノロジーと装置を売り広めていた。リビア、イラン、北朝鮮、おそらくその他の国々に。そして、アフリカ・アジア・ヨーロッパの少なくても7か国がこのニュークリア・リングにつながっている。IAEA(the International Atomic Energy Agency, the Vienna-based U.N 代表エル・バラダイ Mohamed ElBaradei )とアメリカ・ヨーロッパの情報機関によれば、ですね。

ナモネ氏―それなら、私も知ってる。役人がバーの裏口で業者に情報を売るようなもんだ。ええと、朝日新聞のインターネット版2,4日付米ニューヨーク・タイムズ紙は、欧米の情報筋の情報として、カーン博士を中心とする「闇市場」のネットワークについて、遠心分離器の部品がマレーシアで製造されていたほか、他の部品はドイツや日本で調達されていたと伝えていた。日本については昨年、当局が北朝鮮向けの「決定的に重要な機器」を押収したが、公表されていないと報じている。〉マレーシアと言えば、ナチスのユダヤ人迫害のことでフランス人を挑発したマハティール首相が政権を握っていた頃だ。

特派員―図々しい権力者ですね。ル・モンドによれば、カーン博士は9.11テロ事件の翌日アル・カイダの王様(Oussama Ben Laden)との接触でFBIに逮捕されたパキスタンの科学者モハマッド・バシール(Mohammed Bashir)と非常に悪い関係を持っていた3。                             

アロマ―核兵器の密売リングは国際テロ組織が操っている、と考えていいでしょうね。会社や個人が関係してリングにつながっている7か国っていうのは、パキスタン、マレーシア、南アフリカ、日本、アラブ首長国連邦、ドイツ、それから、ヨーロッパの別のある国。記事の表題に出る〈Nuclear Ring〉って聞きなれないけれど、意味ありげじゃない?

特派員―ぼくは、あの、ちょっと行って白鳥にパンをやってきますよ。12月にフセインが捕まって、これで日本海に光が戻ってくるかな、と思っていたら…しかし、こういう多国籍企業のような真似、製造と販売のグローバリゼーションは科学者と暴力組織の頭脳でできることじゃないね。

ナモネ氏―私は、そうだなあ、夕日を見に行くか?それとも、ヴィデオ・レンタル・ショップでテレヴィ・ドラマ《リング》を探すか?超常現象のドラマだったかな、あれは?

特派員―おや、編集長ですよ。あの人もおなじ気持なんじゃないですか、ね、旧友がいるTBSのニュースを追ってたけど?

アロマ―そう言えば、米明さんはどこにいるの?

ナモネ氏―ああ、彼氏は、米の国が危ないって一人で騒いでたよ。

☆ ☆ ☆

1  At Least 7 Nations Tied To Pakistani Nuclear Ring                

By Peter Slevin, John Lancaster and Kamran Khan

2  2月6日付 asahi.com

3        2月12日付

 

 

 

 

 

 


              ★ ★ ★    Updated 2004.1.14

半分半分放送局長―リヴァー・ポートの前の大通りが、やっと冬らしい純白ムードになった。大館橋から眺めると、本当にクリスマス・ツリーのようだな。

編集長―あの眺めは壊されないようにしたい。大館に帰ったという気分になるのは、大館橋を渡るときだから。

ナモネ氏―昔からそう言う人が多い。生まれ故郷でない者も、だ。

アロマ―いつでも、それは共通してると思う。でも、残念なことに通りには名前がないのね。有栖川宮通りと命名すれば、最高じゃない?

特派員―アロマちゃん、君って、本当に感心な子だね。麻布の有栖川宮記念公園はリヴァー・ユートピアの原点なんだから、申し分がない由来だ。

編集長―そう。それに、有栖川宮の名が忘却の闇に置き去りにされるのは

正しいことじゃないな。歴史の誤りを黙認することになる、そうすると、後で後悔する。

放送局長―もっと悪いことに、政治的な方向を決定してしまうね。玄洋社のリーダー頭山満は西郷隆盛の崇拝者だった1。アメリカにやられる前に死んだが、明治時代からずっと日本の黒幕だった男だ。

ナモネ氏―少しは貴族的な精神の良さを見習いたいもんだな。街路の他にもっと有栖川の名を付けるところを考えようじゃないか?

アロマ―ええ。愉快な新年ですね。コート・ダジュールのみなさんに感謝しなくっちゃあ。

★ ★ ★

 

1 人ありて 頭山満 : 読売新聞 Web

 

 

 

 

 

 


★ ★ ★    Updated 2004.1.7

編集長―これは《ナジャ》の最後のシーンではない。70年頃日本語訳で読んだとき、この飛行機事故の挿話が最後に出るのはどんな理由からなのか、と不思議に思った。美の本質と共通点があるとすれば、偶然その日に読んだ新聞から直観的に切り抜きをして、コラージュのようにスパークさせようとしたものだろう、と。

特派員―実際、事故そのものに美が内在するはずがない!この事件は、テロリストが作ったシーンでしょうね。

半分半分放送局長―違うね。この終わりは、シュール・レアリスムの反小説を書き始める前から構想されたものさ。このエピローグを書くために、《ナジャ(Nadja)》を書いたのだ。

編集長―ぼくはこの風変わりな作品に惚れてしまった一人だが、日本ではほとんど読まれないようだから、環境サインの資料として忘却から拾い上げて別のアングルで眺めたいと思う。

特派員―時間が経てば、オブジェを見るアングルが変わるわけですね。

 

地震計のように美しい、人間的な心。沈黙が支配する王国…朝の新聞はいつも十分私にニュース(私の便り、私のうわさ)を与えてくれる1

X…1226---砂島にある無線電信局の任務についているオペレーターは、発のメッセージの断片を某時刻に捕まえた。このメッセージはこう言っていた。《何かが調子悪い》しかし、そのとき飛行機の位置を教えなかった。非常に悪い気象条件と電波の干渉の結果、オペレーターは他の文言を理解することができず、新たにコミュニケーションには入れなかった。

このメッセージは、625メートルの長波で伝えられた。他方、受信の力が回復すると、オペレーターは、飛行機の位置を砂島の周囲80キロメートルの半径の中に確定できると信じた。

美は痙攣的である、さもなければ、存在しないだろう。

特派員―砂島というのは、サーチで探してみると、カナダの大西洋岸にあった。

放送局長―飛行機は海の底だろうな。今気がついたが、ニュースは普通〈les nouvelles レ・ヌヴェル〉だ。新聞が有名な芸術家の噂を与えてくれる、っていうのは別に変じゃないが、そのあとに飛行機の断片的なメッセージが来ると、何だ、何だ、と引きずり込まれてしまうよな。

編集長―《ナジャ》が世に出た1927年と言えば…

放送局長―昭和2年。すでに極東では軍国主義の靴音が高く鳴り響いていた。

編集長―日本の右翼的な政治権力にはそういうテロに走る動機があったはずだ。つまり、だな、ここで重要なのは日本は明治時代にはヨーロッパ文明の模倣に熱中したが、普及するにつれて反感も強くなったということだ。鉄道や電気など科学機械に対する嫌悪が破壊のエネルギーになったと思うね。

放送局長―反対する理由はないな。そういう仮説で追跡しているんだから。もう一つ気がついたことがあるんだが、〈地震計〉という比喩がそこで使われている。

特派員―感受性が強い機械だから、ですね。

放送局長―ブルトンは、むしろ宇宙の秘密に触れていると思えるんだが。というのも、去年の1226日テヘランの古都バムで大地震が起き、14日エジプトの旅客機が離陸直後紅海に墜落した。原因は分からないという。地震の発生と飛行機の墜落事故の間には宇宙の未知の力があると思うね。磁場の作用とか。

編集長―ブルトンは、地震発生の事実を書いてないが、同じような想像に囚われていたのかもしれない。しかし、神秘主義的な。ぼくは、宇宙の未知の力が異常な出来事を引き起こす可能性を否定しないが、呪術的な頭脳が共同体を支配するためにそんな自然現象を利用することは絶えずどこかで行なわれてきた歴史をも忘れるわけにはいかない。硫黄が燃えて亜硫酸ガスの煙を発生させ人を苦しめたり殺すのを目撃した悪人は、今度は自分でそれを再現しようとするだろう。

特派員―地震を起こす破壊兵器を発明しようと考えた妄想狂がいても不思議ではないけれど、その結果はどうなったんでしょうか、ねえ?

放送局長―いずれにしても、大量破壊兵器とかいう言葉の定義がよく分からない。新兵器は、アイディアはいっぱいあるだろうな。実現したら、宇宙時代の社会は専制的な古代社会に似てくる。一般市民はだまされ放題だよ。

編集長―ううむ、本当だ。人が考えることが正しいかどうか言えれば、哲学は立派な脇役だと思う。

★ ★ ★

1        Nadja;André Breton(アンドレ・ブルトン) シュール・レアリスムの創始者、詩人。1896~1966

原文:

Le cœr humain, beau comme un sismographe. Royauté du silence...Un journal du matin suffira toujours à me donner mes nouvelles:

 

X...,26 décembre__L'opérateur chargé de la station de télégraphie sans fil située à L'Ile du Sable.a capté un fragment de message qui aurait été lancé dimanche soir à telle heure par le...Le message disait notamment :"Il y a quelque chose  qui ne va pas" mais il n'indiquait pas la position de l'avion à ce moment,et ,par suite de trés mauvaises conditions atmosphériques et des interférences qui se produisaient,l'opérateur n'a pu  comprendre autre phrase,ni entrer de nouveau  en communication.

Le message était transmis sur une longueur d'onde de 625 mètres; d' autre part ,étant donée la force de réception,l'opérateur  a cru pouvoir localiser l'avion dans un rayon de 80 kilomètres autour  de L'Ile du Sable.

 

 La beauté sera CONVULSIVE ou ne sera pas.

 

 

 

 

 

 


      Updated 2004.1.1

編集長―アメリカが環境サインをどうやって潰したかという疑問に、戦争だからできたことだ、と一言で答えていたが、街の中に戻ってみると、どういう変化があったんだろうか?

特派員―人々が民主主義的なヨーロッパ人と状況を共有したということは、恐怖の外側で妄想に怯えるのを止めることです。アメリカ市民の間に連帯感が生じることです。それから、確認したわけではないけれど、特別法で強制的な対応が可能になったと思いますね。

ナモネ氏―まだ抽象的だな。

 

編集長―国内の様子は今と似ていると思う。テロ対策で必死だったはずだ。

特派員―アメリカではダム建設は陸軍が担当するというのは、そんな背景があるからでしょうね?

編集長―そうかもしれないな。発電所が爆破されたり、貯水ダムが破壊されたりしたら、産業と生活が麻痺する。ところで、1941年ニューヨーク特派員だった朝日新聞の森恭三が、開戦当時を振り返って、おもしろいことを書いている。これが人生最後の文章だったそうだ1

半分半分放送局長―この回想によると、126日夜APのニュースでルーズベルト(Franklin D.Roosevelt)大統領の親電が天皇に送られたことを聞いている2。〈記憶は定かでないが、午後八時頃ではなかったかと思う。親電の内容は、「日本艦隊が東シナ海(仏印沖)を南下しつつある3。天皇の力によってこれを停めてほしい。」という趣旨のものであった。〉ニューヨーク特派員は、それで、いよいよ戦争だと直感した。なるほど。

編集長―ラジオでも報道したわけだが、ただ残念なのはその事実を知ったアメリカ人がどう思ったかという証言がどこにもない。戦争にはならないな、と楽観的に構えていたかどうか…この回想で引っかかるのは、ニューヨーク特派員がそのあとワシントン支局に電話したときの話だ。中村正吾記者から、いわゆる最後通牒暗号文がぞくぞく大使館に入ってきているが、大使館に残っているのは奥村一等書記官だけで、〈他の館員は全部、中南米に転勤して行くだれかの送別会出席のため、出払って〉いる、というのだ。この怠慢は意図的な戦術だと結論しても、今や文句は言われないと思うが、問題はニューヨーク特派員がなぜ〈だれか〉の名前を出さなかったのか、ということだ。

放送局長―転勤する日本人の一人が、あの寺崎英成だったな。

特派員―寺崎という人物を知らなかったんでしょうねえ。

編集長―パール・ハーバー攻撃のあと、二人とも収容所にぶち込まれているんだが。

ナモネ氏―やはり何か後ろめたさが、というか、抑圧があるよ、そこには。

特派員―寺崎がFBIにマークされていた諜報活動の責任者だということを知らなかったとすれば、別ですが、ね。

編集長―いや、わざととぼけてるんだよ。

放送局長―うむ、これは怪しいな。〈日本政府としては、だまし討ちの意図はなかったといえばいえるかもしれぬが、最後通告手交の後、時をうつさず攻撃にうつるという離れ業を考えたこと自体、むちゃであった。〉大使館員が転勤するとか送別会を開いて出席するというのは、自分の意思ではない。命令だ。〈その夜、収容所入りした私の気持は”I have done my duty”ということで、これを裏返せば、義務からの解放感である。義務とは、新聞記者として日本国民に真実を報道する義務と、駐在国においては、日本の政策はたとえそれが好ましいものでなくても弁護せねばならぬ、という義務感であった。〉日本国民に真実を報道することと国の政策を何が何でも弁護することは、この人には矛盾ではなかったようだな。        

ナモネ氏―事実からすれば、どこにいても、国の政策を弁護したのが当時のジャーナリストだ。                     

編集長―日清・日露戦争での宣戦布告のない戦いは〈よくない〉 と言いながら、自分が関係すると、正義の行動にしてしまう。ジャーナリストは、政治家と違って信頼される傾向があるから、アメリカ市民と日本国民はあっさ                           

りだまされる。

特派員―ヨーロッパ・アメリカの考え方や生き方を身につけた戦後の人間には、ちょっと信じられない言い訳ですね。

放送局長―これも、そうだ。ナチスの新秩序の哲学は〈愛ではなく、憎悪を基調としており、その人種政策は有色人種に対する軽蔑の上に立っていた。〉ユダヤ人に対する軽蔑と言うべきだが、日本の侵略については憎悪などなかったみたいに全然そういう分析はしない。

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1 AP(Associated Press)

2 ジャーナリストの証言 2 真珠湾攻撃  1986発行 講談社

この本は第2巻が大館市立中央図書館に欠けていたので、秋田県立図書館から取り寄せた。

3        仏印: フランス領インドシナ

 

▼ パール・ハーバーとは何か?

▼ 謀略のパール・ハーバー

▼ 東京駅暗殺事件~7

 

 

 

 

 

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