最終回 病気になっちゃったの巻

フランスの病院

 こちらではインフルエンザが猛威を振い、我が家ではお正月早々、夫がインフルエンザで5日間寝込んでしまいました。

 フランスに来てこれまで病院には行かずにすんでいたのですが、とうとう行くことになりました。病院嫌いの夫も、今回ばかりは素直に「病院に行く」と言ったので、相当つらかったのでしょう。

 でも病院に行こうにも、フランスは完全予約制なので、まずアポイントをとらなくちゃいけません。電話してフランス語で病状などを説明する自信はないので、朝、近所の病院(一般医)まで予約しに行きました(ああ、なさけない)。そして、「夫がとても具合が悪くて、熱が高いんです」と先生(女医さん)に伝えると、「予約、今日の夕方になるけど、大丈夫?」と言われました(ううむ、やっぱりすぐには診てもらえないんだわ)。そう言われれば仕方ないので、夕方の予約をお願いして帰りました。

 そして夕方、夫を連れて予約時間の少し前に病院へ行きました。でも閉まってる! ドアの外で患者さんが2人待っていて、「先生がまだ帰ってない」と教えてくれました。どうやら往診から戻ってないようです。そして先生を待つこと数十分。午後の診察時間は4時からなのに、先生が戻って来たのは5時すぎ……(^^;)。やっと夫の診察の順番になって先生に挨拶すると、握手を求められました。病院の先生と握手するなんて初めてです。フランス人はよく握手をしますが(親しい人同士では頬に3、4回キスしあいます。たまに男性同士でもするみたいです)、先生と握手すると、なんとなく安心感があります。さて、いよいよ診察。症状についてはなんとか伝えられましたが(夫は英語オンリーで、フランス語は全くダメ。わたしのフランス語だけが頼りだなんて、恐ろし〜)、先生の言うことがわからない……。先生はちょっとだけ英語が話せましたが、医学用語は英語で言われてもちんぷんかんぷん。先生と仏和辞書を引き合って、なんとか意志の疎通を図るという始末。どうやらインフルエンザのようで、薬を飲んであと2日安静にしていれば治るとのこと。先生が処方箋を書いて、薬の飲み方を説明してくれました(ううむ、わかったような、わからないような^^;;)。

 フランス国内で働いている人は、健康保険に強制加入となり、医療費は全額立替をして、あとで返還されるシステムになっているのですが、夫は日本から給与を得ているので、フランスの保険には入っていません。負担した医療費はあとで会社が支給してくれることになっています。それで医療費を証明するため、会社指定の用紙に先生に記入してもらわなければならないのですが、これが全部英語。先生にひとつひとつ説明して書いてもらい、書き終わったときは、先生もわたしたちもぐったり。

 このあとわたしは薬局へ行って、数種類の薬(フランスの薬はすべて箱入り)をもらって帰りました。これを夫が飲もうとしたところ、そのうちのひとつ(錠剤)があまりに大きい! トローチの1.5倍ぐらいありそうです。「これ、水に溶かして飲むんじゃないの?」と夫。たしかに大きすぎる。うーん、でもそうは言われなかったと思うけど……、と不安になって説明書を見ましたが、小さな字でびっしり書いてあってなにがなんだかさっぱり……。結局、夫は無理矢理飲み込みましたが、本当にそのまま飲んでよかったのか未だに謎です。まあ、治ったのでよしとしよう(^^;;)。

【病院こぼれ話】

 フランスでは、個人の開業医はアパートの一室を診察室にした小規模なものが多くて、「○○医院」というような看板も出ていません(動物病院だけは看板が出ていますが)。ただアパートの入り口に小さなプレートがあるだけなので、どこに何の病院があるのか注意して見ないとわかりません。先生1人で切り盛りしているところも多く、歯科医院ですら先生1人でやっているところもあります。また、フランスは医薬分業が徹底していて、注射や、血液検査、レントゲンなどが必要な場合は、それぞれの専門医のところへ出向かなくてはいけません(しかもすべて予約が必要!)。本当に面倒です。やはり、病気はしないのが一番。

フランスの病院1
このアパートの一室が病院

フランスの病院2
アパートの入り口

フランスの病院3
建物の中に病院があることを
示すプレート

(文・撮影:2000年2月)

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 番外編1 第8回 第9回 番外編2 第10回 おわりに

MOMOのフランス便りトップページへ戻る

Copyright (c) 1999-2002 yamaneko honyaku club and MOMO. All Rights Reserved.