第7回 トイレで手を洗わないフランス人の巻

トイレ

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手洗い場所のない自宅のトイレ

   雑誌『翻訳の世界』(バベル・プレス)6月号(「海外レポーターから」Franceのコーナー)で、「(フランスの)一般家庭のトイレには手を洗うところがない」と書かれていましたが、うちのフラットもトイレの中に手を洗うところはありません。仕方ないので、トイレの後はバスルームまで行って手を洗っています(こちらでは一般にトイレとバスルームは別々になっています)。最初フランスがそういう事情とは知らず、一体どういうつもりでこんな設計をしたんだろう、と思っていました。

 さすがに公衆トイレには手洗いがついていますが、よく見ていると、手を洗っている人は半分もいないようです。この前行った公衆トイレでは、なんと一人も手を洗っている人がいませんでした。美しいフランス人女性が、トイレの後手を洗わずに平気で出て行くことに、どうしても違和感を感じてしまいます。彼女たちはこの後レストランに行ったら、その手でパンをちぎるのでしょうか? 先程、公衆トイレには手洗いがあると言いましたが、これまで一度だけ、手洗いのない公衆トイレがありました。トイレの隅々をくまなく見ても手洗い場所はなく、外に出てトイレのまわりを一周しましたが、やっぱりない。他の人たちはそれを不思議にも思っていないようでした。わたしはこのまま手を洗わずに出るのはどうしても気持ち悪くて、洗わないよりはましだろうと、バッグの中にあった便座除菌クリーナー(日本から持ってきたもの)で手をぬぐいました。おしぼりウェッティーなんかがあればよかったのですが(これは日本から持ってこなかった)、フランスでは今だかつてそういうものは見たことがありません。フランスの手洗い事情を考えれば、そんなものは必要ないのかもしれませんが・・・(赤ちゃんのおしりふきはあるけれど)。

 ところでこの公衆トイレですが、なぜか便座のないところが多いのです。洋式トイレの蓋をとり、それからその下の便座もとって、あとに残った便器そのもの、というと想像がつくでしょうか? どうやって用を足すのか、それはわたしにも今だに疑問です。少なくともそのまま座れば、いくらおしりの大きいわたしでもはまりこむことはまちがいありません(実際どうしているかは、ご想像にお任せします^^;)。

 トイレに限らず、他の面でもフランス人の衛生観念は、日本人とは違うみたいです。たとえばパン屋さんでフランスパンなどを買うと、お店の人はショーケースの上にパンをはだかのままポンと置きますが、最初これには抵抗がありました。今では平気になってしまいましたが(慣れとは恐ろしい)。

(文・撮影:99年5月)

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