第5回 ブルターニュの本屋さんの巻

本屋

 こちらに来て、ちょっとずつ本屋さんをのぞいていますが、これまでのぞいた本屋さんについてお伝えします。

 レンヌはブルターニュ地方の中心都市とはいえ、小さい町なので、残念ながらそれほど大きな本屋さんはありません。ただ小さな書店はあちこちにあり、ジャンル別の専門店といった感じです。

 町には大きめの書店がふたつあり、ひとつは「FORUM(フォーロム)」という書店で、これはパリ最大の書店「FNAC Forum(フナック・フォーロム)」の支店じゃないかと思うのですが、店名が大文字と小文字と違うので、もしかしたら別物かもしれません(フランス語が話せないので、お店に確認できない……トホホ)。もうひとつは「Virgin」(←確か綴りはこうだっと思うけど……)という書店です。

 FORUMは、売り場が建物の2階と3階の2フロアしかありませんが、品揃えは結構よく、専門書も充実しています(レンヌは学生が多いからかも)。児童書はというと、わりと売り場面積をとって並べてあります(←うれしい、けど、読めないよぉ……)。絵本は日本で見たor読んだことのある本が3分の1ぐらいありましたが(『ババール』や『タンタン』のシリーズ、バンサン、マーカス・フィスター、バーナデット、ウィルコン、ジョン・ロウ、トニー・ロスなどなど)それ以外は初めて目にする本ばかり。そのほとんどがフランスの画家のようですが、ドイツの画家らしきものも結構見かけました。読み物はペーパーバックがほとんどですが、その数はかなりのもの。ざっと見たところ、知ってる本は2割ぐらい(『プチ・ニコラ』、『星の王子さま』、ロアルド・ダール、古典の児童文学作品など)しかなく、知らないフランスの作家(←たぶん)がたくさん。PEFや、J.M.G.LE CLEZIOの本も数多く見かけました。

 この児童書のコーナーは、棚が他と比べると幾分低めで、絵本は表紙が見えるように並べてありますが、ぱっと見たら児童書売り場という感じがしません。すごく大人っぽい雰囲気なんです。児童書も大人の本と同じスタンスで扱われているという感じで、一般書とのバリアーがありません。児童書を子供だけでなく、大人も対象に考えているという気がしました。

 他のジャンルで目につくものというと、グルメ本や料理関係の本などです。ミシュランやゴー・ミヨーのレストランガイド(ここに掲載されているお店はどれも高級店なので、私など行けそうもありませんが・・・)を始め、予算別のレストランガイド、シャトー・レストランガイド、オーベルジュ・ガイドなどなど。やはり食文化の国だなあと思いました。

 それから「ユーモア」というジャンルの棚がありました。ユーモア小説がひとつのジャンルとして確立しているようです。

 Virginの方は、お店の雰囲気は東京のタワーレコードのような感じ(規模はずいぶん小さいけど)で、建物の2階が書籍売り場、3階がCDなどのミュージック関係の売り場になっています。本の品揃えはビジュアル系の本が目立ちました。この書店はVirgin価格というものがあるらしく、定価の5%引きと表示されている本が結構ありました。児童書コーナーは、やはり一般書とのバリアーを感じません。絵本の数はそれほどでもなかったのですが、読み物は数が多かったです(本の表紙から判断すると、軽めの読み物が多いようでした)。でも知っている本はほとんどありませんでした。英語の本はペンギンのペーパバックが少し置かれていましたが、古典作品のみでした(パフィンもあるといいのに)。

 それから専門店ですが、うれしいことにうちの近所に、コミックと絵本の専門店と、子供の本の専門店があります。コミックと絵本の専門店の方はコミックが中心で、絵本は定番ものだけですが扱っています。ただ、小さいお店なので、言葉のわからない私にはちょっと入りにくく(話しかけられると困る)、お店の前を何日も行ったり来たりしてやっと覗いてきました(でもあまり落ち着いて見れなかった……^^;)。お客さんは大人がほとんどで、半分が男性でした。

 子供の本の専門店の方は、1階が書店、2階がおもちゃ売り場になっています。小さい子供を連れたお母さん方が入れ替わり立ち代りいらっしゃっていました。ここは絵本がとても充実していて、対象年齢別に分けて置かれています。

 ただ小さいお店なので、絵本の表紙が見えるように置かれているのは少しだけなので、本を捜すのはちょっと大変そうです。

コミックと絵本の専門店

 

子どもの本の専門店

【コミックと絵本の専門店】

フランスでは日本のマンガがかなり翻訳されており、『スラムダンク』や『ドラゴンボール』などがある。

 

【子どもの本の専門店】

小さい店ながら絵本の品揃えはよく、対象年齢別に分けて置かれている。

     

 フランスでは雑誌は書店にはなく、TABAC(タバ)というタバコ小売店で売られていますが、先日雑誌を見ようと近くのTABACに行ったところ、児童書の目録を2冊もらいました。「Editions Nord-Sud 1998-99 Livres d'images・Premieres Lectures」と「CATALOGUE 1997-1998 Gallimard Juenesse」というもので、無料とは信じられないほどの充実ぶりです。「Nord-Sud」は82ページあり、掲載されているのはほとんど絵本で、1ページに3冊の割合で紹介されていて(紹介文は10行前後と結構長め)、絵本の表紙はすべてカラーです(私が知っている本は6割ぐらいかなあ)。「CATALOGUE」は176ページというボリュームで(読み物作品がほとんど)、ページの合間合間に30人ちょっとの作家紹介記事(これがすごく詳しい)が載っています。しかもほとんどが顔写真入り。ロアルド・ダールは顔写真ではなく、クウェンティン・ブレイクの手によるイラストでした(^^)。私にこれが読めないのはなんとも残念・・・。

(文・撮影:99年4月)

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