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  価格 1,500円(税込み)
  単行本 283ページ
  出版社 ブックマン社
  発売日 2010年2月16日

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 貸し渋り

貸し渋り、貸し剥がしはなぜおこるのか?〜銀行融資の実態

 不良債権処理→損失計上→自己資本の減少→総資産を減少させて(分母対策)、
自己資本比率の維持、向上をはかるためにおこるのです。

 それでは、図で簡単に貸し渋りを説明しましょう。

融資(100)
預金(92) 
自己資本(8)


上図は、銀行のバランスシートをおおざっぱに示したものです。
 (※自己資本比率で詳しく説明してますので、参考にしてください。)

 上図の状態が自己資本比率が8%だということはわかりますよね。
 一応、これが健全な自己資本をもってる状態ということになります。

 ここで、不良債権処理のため、融資を5償却したとします。
 すると、お客さんから預かっている92の預金を取り崩して充てることはできませんか
ら、自己資本から同じく5をとります。
 その結果、バランスシートは下図のように変わります。

融資(95)
預金(92) 
自己資本(3)


 ここで、自己資本比率は、3÷95×100=3.16%となってしまいます。
 不良債権処理を一気にやってしまうと、
 過少自己資本状態になることがわかると思います。
 こうなると、監督庁から早期是正措置を発動され、万事休すとなってしまいます。
 いかに銀行融資への影響が大きいかわかると思います。

 そこでその年の利益の範囲内で、不良債権処理をしたとします。
 すると、自己資本比率の分子である自己資本は変わりません。
 この状態で、融資を減らすと分母が小さくなります。
 分子が変わらず分母が小さくなれば、自己資本比率は向上します。

 このために、貸し渋り、貸し剥がしと呼ばれる状態が起きてしまうのです。
 8÷100×100より、8÷95×100のほうが比率が高くなるのは、
 あたりまえですよね。



 貸し渋りは、この自己資本比率の計算上の分母対策です。くだいて言うと、割
る数を100から95とかにすればいいという単純なことなのです。


円安が貸し渋りの原因になるのはなぜか?

 都市銀行は、海外にも外貨建てで融資をしているからなんですよ。
 例えば、1ドル100円の時銀行融資したとします。その後すぐ1ドル120円の円安になっ
たとしましょう。

 すると、どうなるか?単純に円換算すると100円→120円となり、
融資金が膨張することになるでしょ。
 これも、自己資本比率の分母が大きくなってしまいます。
 したがって、円安も貸し渋り要因の一つになります。


都市銀行が貸し渋ると地方銀行も貸し渋りを始める?

 都市銀行が地方企業に対して、貸し渋りを始めると、
その地方で営業している地方銀行などは、逃げ場がないわけですから、
都市銀行が貸しなくなった分、
地方銀行などが貸し渋られた企業の支援をせざるをえなくなります。

 その時、支援を受けられる企業はいいのですが、
そうでない会社はたまったものではありませんよね。

 このケースは、4、5年前貸し渋りという言葉が出はじめた頃、
結構ありましたね。

 5000万くらいの短期運転資金で貸してた金を、
あっという間に引き揚げていきましたからね。
 代わりに結構その穴埋め資金を銀行融資した経験があるので。
 この貸し渋りの連鎖は、あまりテレビとかでは報道されてませんからね。



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