§.日本の観光立国行動計画とは
(The VISIT JAPAN program)

−− 2003.09.14 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)

 ■はじめに
 私が2003年4月28日に発表した「日本再発見の旅」を考える−第2作
  温故知新について(Discover something new in the past)
の中で、世界観光機関(WTO)の2000年度の統計データから
    日本 → 外国 : 1,800万人
    外国 → 日本 :   500万人弱
という値を提示し
 『日本は「観光」という点から見れば、3倍強の訪問客の出国超過で完全に観光後進国であり(香港、マレーシア、タイ、韓国、インドネシアより下位)、言い換えれば「外国人を来させる魅力」に乏しいという事に成ります。』
と、「観光」に於ける日本の後進性を指摘して置きました。日本人は長年輸出型の経済運営をして来た所為か、私にはどうも「モノの出国超過(=輸出)」と「ヒトの出国超過(=ヒトの流出)」とを混同し、ヒトの流出を”輸出は良い事”と見做している様に思えて為りません。
 ところがです、この批判が効いたのか7月末に成って政府が「観光立国行動計画」なるものを発表したのです。そこで言い出しっ屁の私が、この「行動計画」を検討してみたのが以下の論考です。

 ■「観光立国行動計画=ビジット・ジャパン計画」の中身
 私は8月1日の「環境ニュース」というネット上のニュース記事でこの計画を知りました。それに拠りますと
  平成15(=2003)年7月31日に首相官邸で開催された第2回観光立国関係閣僚会議で「観光立国行動計画」が決定された。行動計画は、小泉首相が15年1月に第156回国会施政方針演説の中で示した「日本を訪れる外国人旅行者数を2010年に倍増させる」という目標を達成する為の具体的な施策を定めたものと成っている。
らしいです。
 昔、昭和の時代に「所得倍増計画」 −給料が倍に成り金回りが良く成ったが”物価も倍”に成ったという経済政策− が在りましたが、今回は差し詰め平成の「外国人観光客倍増計画」で、これを「ビジット・ジャパン(Visit Japan)計画」と呼ぶそうです。と言うのは平成15年7月1日の扇国土交通省大臣の記者会見で扇大臣は
  特に私は観光立国、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで、ビジット・ジャパン元年と位置付けて、出るだけではなくて入る人にも、倍増しようという事に成ってますので、...
と述べているからです。
 で、具体的な施策はと言うと

  (1)工業・貿易立国一辺倒の価値観から脱却し「観光立国」の考え方を国民に浸透させる
  (2)日本が持つ魅力を向上・創造する
     [1].自然との共生と美の追求
     [2].伝統と現代性の共存
     [3].産業的活力と文化性の共存
     [4].日本的なものと西洋的なものとの並存
     [5].恵まれた自然景観
     [6].治安・衛生面の安全性
  (3)日本の魅力を海外に効果的に発信する
  (4)海外からの旅行者が日本に到着する迄の行動や滞在時の行動を快適にする
  (5)行動計画を効果的に進める

と成って居ます。
 このニュースに接した時、私は正直言って”唐突な感じ”がしましたね。と言うのは小泉首相は元々観光については何も言及して居ませんし、これ迄政府だけで無く日本の指導的オピニオン・リーダーたちの発言も文字通り経済一辺倒、正に”カネ”の話しか出て来なかったからです。「観光」について私と同じ様な問題意識から正面切って取り組んだ発言をして居たのは、私の知る限り川勝平太氏(※1)だけです。この計画の原案が川勝構想とどの程度関わりが有るのかは知りませんが、一読した限りでは川勝構想より大分ボケて居ます。しかし政府が日本の観光行政の後進性を認識し取り組む姿勢を示した、という点では”取り敢えず良し”として置きましょう。
 [ちょっと一言]方向指示(次) 川勝平太氏は近年文化とは民族のアイデンティティー(※2)であり、憧れられ模倣されることに依って普及し普遍性を獲得する」として「憧れを集める暮らしの立て方」をして「富国有徳」を目指すことを主張して居ます(△1のp125〜126)。氏の考え方は私の考えに近く、従って私と同じ様に外国人が余り来ない日本の「観光」の後進性とアメリカからの精神的自立や多自然居住地域の創造を指摘し、21世紀のグランド・デザインとして『ガーデン・アイランズ(Garden Islands)構想』(=川勝構想)を提唱して居ます。
 私は既に「アメリカからの自立」「目標にされる国」に成るべき事を「デフレ論議に疑問を呈す」をの中で発表して居ますので御一読下さい。


 ■「ビジット・ジャパン計画」の曖昧さ
 ここに挙げられた施策は、言わばマスタープランですから具体性に乏しいのは仕方無いとしても、この中で「観光立国」のイメージを述べているのは(2)です。そこで(2)−[1]〜[6]について見ると、玉虫色に善さそうな事ばかりアレもコレも宣っていて、「この方向に推進して行くぞ」という方向性が曖昧で焦点が完全にボケて仕舞って居ます。これでは単にコンセプトの無いお題目を並べただけで、気の利いた小学生でもこの程度の作文は書けますよ。即ち小学校高学年並みの出来です。列挙されて居る(2)−[1]〜[6]から、具体的なイメージが湧いて来るでしょうか?、皆さん。
 (2)−[1]〜[6]が曖昧なのは”共存”とか”並存”という文言が多いからです。”共存”とか”並存”を連発すると結局は、何でも共存・並存した今の儘で良いのだ、要はもっと日本を宣伝(=政府の言う発信)して治安と清潔さを保ちホテルや街角に英語を話せる人を配置すれば良いのだ、という発想しか出て来ないのです。従って何の方向性も出て来ないのは理の当然です。
 この様な曖昧さ・無内容さは折角(2)で「日本が持つ魅力」と掲げているのに、それを全く掘り下げて無いことに起因して居ます。この点を掘り下げて方向性を打ち出し、それについて国民的合意(=ナショナル・コンセンサス(national consensus))(※3)を得なければ結局は「絵に描いた餅」に終わって仕舞うでしょう。何故国民的合意が必要かと言えば、観光客が訪れるのは全国津々浦々だからです。

 ■「日本が持つ魅力」とは何か?
 そこで私が掘り下げて見せましょう、と通常ならする所ですが、実は私はもう答えを出して仕舞っているのです。私はこの問題に関しては既に「温故知新について」の中で充分論じ尽くして居て、「温故知新」というテーマを導き出して居ますのでそれを参照して下さい。
 しかし私は「温故知新」を皆さんに押し付ける気は全く有りません。「日本が持つ魅力」と言ってもそれぞれに異なった見解を持つのは当然だからです。但し国の施策として実行して行く為には幾つかのテーマを提示し、議論と合意の中から一つの方向性を打ち出す必要が有ります。それがナショナル・コンセンサスなのです。そこで私は皆さんがこの問題を掘り下げて行く時に必要な方法論のみをここで提示しましょう。
 重要な事は唯一つ、皆さんが「日本が持つ魅力」を考える場合、”日本人”の眼で見たらダメだということです。何故なら外国人観光客に日本に来て貰うのが目的ですから、”外国人”の眼で日本を見ることが大切です。具体的に言うと、日本人が西洋的近代的な東京に憧れても、果たして外国人がそういう所に憬れを持つのか?、という問題意識が必要です。西洋的近代的な面を観光するなら、外国人だったら東京などに来ずに直接ニューヨークやパリへ行って仕舞うでしょう。又、外国人に綺麗で清潔な”管理された”所だけを観せようとしても無理です。日本人が香港へ行く場合を考えてみればお解りでしょう。清潔な香港を観に行くのですか?、違うでしょう。この様に「混沌」や「喧騒」も又、魅力に成り得るのです。
 ですから、「日本が持つ魅力」とは何か?、から、「外国人を来させる魅力」とは何か?、に問題設定を替える必要が有るのです。私の論考「温故知新について」では既にこの方法論で論じて居ます。(2)−[1]〜[6]が焦点がボケているのは”日本人”の目で見て仕舞って居るからなのです。

 ■「外国人を来させる魅力」とは何か?
 では「外国人を来させる魅力」とは何か?、この答えを出す為には、出来るだけ多くの国の「外国人から成る諮問委員会」を作ることです。そこで外国人に「日本のこういう点を観たい」、「我が国の人間はこういう所に興味が有る」とか「空港が遠くて使用料が高い」、「ホテルの部屋が高くて狭い」、「高速道路で何故金取るのか」、「物価が高い、安くしろ」とか、洗いざらい出して貰えば自ずと方向性は出て来ます。或いは施策(3)の「日本の魅力を海外に効果的に発信する」の実践の一つとして各国駐在の日本大使館、領事館で現地外国人のアンケートを取ったらどうですか?、そうすれば外国人が日本をどう見ているのか、日本に何を求めているのか、自ずと答えは出て来る筈です。この方法しか有りません。要は”外国人”の眼が必要なのですから、外国人の意見を聴くのが本道であり手っ取り早いのです。この問題を日本の”学識経験者”や”エライさん”を集めて議論するのは全く本末転倒で時間(=税金)の浪費なのです。
 [ちょっと一言]方向指示(次) アンケートを取ったら、空港へのアクセスの悪さ、ホテル等の狭さ、高速道路の遅さと料金徴収、食事等の物価の高さは必ず出て来るでしょう。これらは外国人には評判悪いですよ、何れも”日本の常識が世界の非常識”に成って居ます。

 それでは日本人の遣る事は無いのか?、否々、遣る事は沢山有ります。

 ■日本人は何をすべきか?
 冒頭に述べた様に、日本人は外国には良く出掛けている訳ですから、自分が好きな外国について「自分が何故その国に惹かれるのか?」をじっくり自問自答してみて下さい。自分は何故パリに惹かれるのか?、何故ニューヨークが好きなのか?、何故東南アジアの市場の喧騒が好きなのか?、何故毎年北欧に行きたく成るのか?、...等々です。
 この事を突き詰めて考えれば「或る日本人が或る特定の外国に魅了されるモノやコト、それは取りも直さず外国人が日本に魅力を感じるモノやコトの裏返しであり、その本質は同じなのだ」ということに気付く筈です。この点に気付く事が重要です、気付きさえすれば後は自ずから答えは涌き出て来ますよ!
 貴方(貴女)が外国へ旅した時に、現地の人々に何を期待しましたか?、現地の施設や交通や環境などで何処に不便を感じましたか?、その外国に今後どう発展して行って欲しいと思いましたか?、...等々です。貴方(貴女)は自分が期待した事を自分に身に付ける努力をすれば良いのです、外国で感じた不便を日本から無くす様にすれば良いのです、自分が外国に望んだのと同じ様に日本の発展の方向性を選択して行けば良いのです。
 私たちが外国に観光旅行に出掛ける際は、その国の個性的な(=他では食べられない)食事は旅行の楽しみの主要な部分を占めます。逆に日本に来る外国人の殆どが日本食(=和食)を楽しみにして来るのです、「食」は「文化の固有性」を形成する源の一つです。
 この様に日本人も外国に目を転じて”日本の常識が世界の非常識”に成っている部分を是正して行く努力が必要です。逆に嘗ては”世界で最も安全な国”と言われた長所を失わず伸ばす努力も必要です。日本人が日本に居て遣る事は沢山有りますよ!
 と言っても短期的・個人的に出来る事と、長期的・国民的に推進しなければ為らない事の区別が有ります。後者の場合、先程述べた国民的合意(=ナショナル・コンセンサス)の形成が必要なのです。答えは皆さんでそれぞれ出して下さい、それぞれの答えの集合と収斂が国民的合意なのですから。

 ■「日本の魅力」創りのテーマを何に設定するか?
 ここで「観光立国」の方向性=テーマについて私の考えを明かにして置きましょう。前章で私は、日本人が特定の外国に惹かれたり外国人が日本に惹かれたりするのには「同じ本質のモノやコト」が在るから、と述べましたが「温故知新について」で既に指摘して居る通り、私はこの「同じ本質のモノやコト」こそ、その国固有の文化に根ざしたものであり、その国の民族のアイデンティティー(※2)を宿したものである、と思って居ます。これを図式的に纏めると以下▼の様に成ります。

  日本人が外国に惹かれるモノやコト = 外国人が日本に惹かれるモノやコト
             = 同じ本質のモノやコト
                   ↑
             その国固有の文化(=文化の固有性
                   ↑
              民族のアイデンティティー
           (単一民族と混血・複合民族が在る)

 つまり日本人であろうと外国人であろうと、互いに外国に対し「自国に無い何か」を望んで居るのではないでしょうか?
 私はこの考え方を日本に適用して、既に述べた様に「温故知新」を私の”答え”として居ます。しかし、何度も言いますが私は以上の考え方を主張はしますが、皆さんに押し付ける気は毛頭有りません。やはり皆さんは皆さんの答えを見出して下さい。

 ■日本の世界遺産をどう位置付けて行くのか?
 ところで「日本の魅力」と言った場合、現在日本が幾つも登録して居る世界遺産をどの様に位置付けて行くか、ということも課題に成ります。世界遺産に詳しい浦に〜と氏の資料に拠ると、2002年末の時点で日本は11箇所が世界遺産の自然遺産又は文化遺産に登録されて居ます。
 当然これらの文化的”資産”を効果的に「ビジット・ジャパン計画」に組み込んで行く必要が有るのですが、そもそも日本では世界遺産の位置付け自体が好い加減で、私が既に批判して居る様に、各地域の横並び意識から世界遺産という”商用看板”をカネで買って手に入れる様な態度ですから、何の問題意識も無いのが現状です。それはこれ迄の観光行政の無策振りと軌を一にして居ます。
 今後は外国人観光客を呼び込むアピールポイントとして世界遺産を生かして行って貰いたいですね。しかしその為に”開発で俗化”し本来の景観や環境を損なうことの無い様に充分な配慮が必要です。それは突き詰めると「文化の固有性」をどう考えるか、という問題に行き当たるのです。世界遺産と「文化の固有性」の保持に関する私の考えは、既に02年に
  世界遺産登録で本当に遺跡や文化が守られるのか?(World heritage)
の中で充分論じて居ますので参照して下さい。

 ■長期的・国民的に取り組むべき問題は何か?
 ともすれば日本の観光行政は一過性のイベントや表面的演出に終始し、悉く破綻して来ました。その一例が、客足が無いのに地方空港を造ったり、大したコンセプトの無いテーマパークを安易に林立させてみたり、でした。地方空港の場合は得体の知れないシンクタンクに”需要予測と経済効果”をデッチ上げさせて、潤ったのは政治と癒着した土建業とインチキなシンクタンクとバックマージンを受け取る議員の”センセイ”だけです。潤ったと言っても所詮”一時金”に過ぎません、何しろ”客足が無い”のですから。テーマパークも然り、マスコミを動員して煽っても精々が開館後2、3年で直ぐ”飽きられ”、こちらも客足が遠退き倒産です。
                (>o<)
 今度の「観光立国行動計画=外国人観光客倍増計画=ビジット・ジャパン計画」もヘタをすると、過去の二の舞に成り兼ねませんので、国土交通省には是非一過性で無い長期的ビジョンを確りと確立して貰いたいですね(倍増計画の目標年の2010年には小泉さんは降りてまっせ!)。その為には私は次の2点が鍵を握ると考えて居ます。
  [1].国民的合意に基づく観光立国の方向性=テーマ設定が大前提
  [2].観光立国のテーマを実現するには「日本を語れる人材」の教育が不可欠

です。
 観光立国のテーマを実現するにはやはり”人・物・カネ”です。今の大人が確りビジョンを作り、今の子供を「日本を語れる人材」に育て上げ、その人材が次代に「観光立国」を実現する、位の長期的ビジョンが必要です。
 私が教育を重要視すると言っても別に英語教育では有りません。英語を話せる人材も必要でしょうが、それ以前に”日本を知らない”で一体何を英語で話すのか?、ということです。今、日本に「日本を語れる人材」がどれだけ居るでしょうか?
 実はこれについても私は既に論じて居ますので、ここでは結論をそこから引用して置きます。詳しくはそちらを参照して下さい。
  ●第1は何回も出ている「温故知新について」から
  『そして日本人が日本のことをもっと理解し、日本の良さを外国人や次の世代の子供達に説明し伝えて行ける様にしたいものです、私はそれを願って居ます。』
  ●第2は「日本再発見の旅」を考える−第3作の「旅は身近な所から」からで
  『自分の住んで居る町や村を見直し、地元の良さを少しでも実感し体験して、皆でお国自慢地元自慢が出来たら最高です。「旅は身近な所から」の最終目標はこれです。』

 やはり足元から、「地に足が着いた所」から日本を知り己を知る、そしてその体験を外国人に自然に語れる事が最も大切です。その結果、日本の「文化の固有性」が世界の国々から広く認知され、世界の国々から「文化的目標」とされた時、外国人観光客の客足は自ずから増大するのです。そう成れば更に来日経験の有る外国人が、日本を語って呉れるのです。
 但し「文化的目標」には大きく別けて2種類有る、ということを予め断って置きましょう。それはオーソドックス(orthodox)(或いはグローバリズム(globalism))とエキゾティシズム(exoticism)(或いはローカリズム(localism))の問題です。例えばニューヨークに観光客が行くのは前者であり、バリ島に行くのは後者です。これについては日本はバリ島型のエキゾティシズムを目指すべきだ(オーソドックスには成り得ない)、というのが私の主張です。この問題についても「温故知新について」を参照して下さい。
                (-_*)
 以上の考察に於いて、半年位前に書いた論考「温故知新について」を随所で引用して来ましたが、今夏政府から提案された「ビジット・ジャパン計画」を検討するに際し、改めて読み返してみると”結構ポイントを押さえてるじゃん”という感じで、自分でも驚いて居ます。元々は「日本再発見の旅」のコンセプトの一つとして、さらさら書いて仕舞った随想なのですが、「ビジット・ジャパン計画」の課題を”先取り的に”論じ切って居ます。

 ■結び − 「個人的見解」のコーナーの先見性
 さて、この様に考察しこの論考を書き始めていた頃、ネットニュースで以下の様な記事を目にし、又々驚きました。8月17日の「読売新聞」の経済ニュースを要約すると
  内閣府は16日、全国の自治体中約2700在る人口5万人未満の市町村を対象とし、地元の住民が誇りと思う独自の伝統行事や自然環境、名所などの魅力を数値化した新「豊かさ指標」(※4)を作成し、これをホームページなどで全国に公表する方針を明らかにした。広く公開することで地方の良さを再発掘、観光や消費の拡大に繋げたい考えだ。項目の詳細や評価方法などは研究会で詰め、2006年度を目処に実施する予定だが、今回はランキングは作らない方針。
と在ります。この新「豊かさ指標」は恐らく「ビジット・ジャパン計画」と連動して出て来た指標でしょうが、GDPが高く成っても「豊か感」を持て無いことを少しは反省する気に成ったと解して良いでしょう。これは正に前章に記した「皆でお国自慢、地元自慢」の数値化に外なりません。前章の結論は引用で、私が元々「皆でお国自慢、地元自慢」のことを発表したのは「旅は身近な所から」の中で03年4月30日のことです。
 又、政府の「ビジット・ジャパン計画」は結局は日本の観光行政の後進性を政府が認め改善を図る計画ですが、この計画よりも前に「温故知新について」の中で日本が観光後進国であると指摘して居ます。
 更に「外国人を来させる魅力」を論じた章の中で空港のことに少し触れましたが、日本の国際空港の在り方を料金体系も含め、「観光立国」という目標の中で大いに再検討する必要が有ります。この点についても荒っぽい提案ですが、私は関西国際空港について「大阪にもっとお客さんを呼ぶ」方策を可笑しいぞ、大阪(Crazy Osaka)の中で既に03年2月1日に論じて居ます。
 以上の様に私が論じたり指摘した問題が後から話題に成っているのです。ここに私の「個人的見解」のコーナーの先見性が有り、それは当サイトのコンセプトでもあるのです!!

−−− 完 −−−

【脚注】
※1:川勝平太(かわかつへいた)は、比較経済史の学者(1948〜)。京都市生まれ。早稲田大学卒業、オックスフォード大学Ph.D.。早稲田大学教授の後、1998年から国際日本文化研究センター教授。海洋史観的文明論を展開し、著書に『文明の海洋史観』『富国有徳論』他、訳書に『鉄砲を捨てた日本人』(ノエル・ペリン著)など。

※2:アイデンティティー(identity)とは、同一性。存在証明。
 [1].狭義には、人格に於ける存在証明又は同一性。或る人が持つ「自分が自分である」という意識の一貫性が時間的・空間的に成り立ち、それが他者や共同体からも認められて居ること。自己の存在証明。自己同一性(又は自我同一性)。
 [2].広義には、集団に於ける同一性を指す。或る共同体の構成員が他の共同体とは異なる同一性や親近感を互いの裡に認め合うことが出来、それに依って強い同属意識(又は帰属意識)や絆で結ばれ、同じ立脚点に立って共通の目標や価値観を持つことが出来ること。「民族の―」「企業の―」。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※3:コンセンサス(consensus)とは、意見の一致。合意。特に、国家の政策について言う。「国民の―を得る」。

※4:旧「豊かさ指標」は、旧経済企画庁時代に住環境などを対象に都道府県別の数値をランキングして公表して居たが、ランキング下位と成った県から反発が出たり、比較の基準や方法に疑問が出て、1999年に中止。

    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】
△1:『NHK人間講座 近代はアジアの海から』(川勝平太著、日本放送出版協会)。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):先見性は当サイトのコンセプトの一つ▼
当サイトのコンセプトについて(The Concept of this site)
補完ページ(Complementary):「観光」に於ける日本の後進性批判▼
(「文化の固有性」やエキゾティシズムについて)
温故知新について(Discover something new in the past)
補完ページ(Complementary):「豊か感」を持て無い日本の現状と
「アメリカからの自立」や「目標にされる国」に成る事の意味▼
デフレ論議に疑問を呈す(Is our DEFLATION true ?)
補完ページ(Complementary):世界遺産と「文化の固有性」について▼
世界遺産登録で本当に遺跡や文化が守られるのか?(World heritage)
補完ページ(Complementary):地方の良さを知る実践論▼
旅は身近な所から(Usual and familiar travels)
「食」は「文化の固有性」の基本要素▼
「肉を食らう」ということ(Carnivorous life)
関西国際空港の改善策の提案▼
可笑しいぞ、大阪(Crazy Osaka)
世界遺産に詳しい浦に〜と氏のサイト▼
外部サイトへ一発リンク!(External links '1-PATSU !')


総合目次に戻ります。Go to Main-menu 上位画面に戻ります。Back to Category-menu