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ダム展望台へ 翌朝目が醒めると,船はダム下流の右岸の茅坪に停泊していた。 6時45分にロビーに集合,朝食前にダム見学に出発。 マイクロバスの中ではローカルガイドのお嬢さんが行きも帰りもずう〜っと一時も休まず説明しているが,中国語なので何をしゃべっているのかさっぱり分からん! 国内の旅行は黄ちゃんが手配してくれたので,われわれはいつも中国語チームに組み入れられる,英語チームであれば何をしゃべっているか少しくらいは分かるのだが! ダムの見学といっても,展望台へ登ってモデルルームでダム施設の全景模型を前に説明がされ,あとは勝手にダムを遠望し閘門を見るだけである(一昨年は,三峡工程公司の方がダム上まで案内してくれて,展示室でくだんの模型を前に質疑応答の時間もとってくれた)。 今回は観光であるから仕方ないか! 展望台からでもダムはやっぱりちょっと遠いよ〜 展望台は昨夕下ったシップロックとダムサイトの中間の小山にありダムはすこし遠いが,シップロックはすぐ眼下に見ることが出来る,5000t級の船を通過させることが出来る巨大さに改めて驚愕する。 昨夕,上流側から見て,シップリフトがまだ完成していないものとみたが,下流側も仮締切堤内側で工事がまだ行われていることが確認できた。 展望台にはダムの基盤から取り出された大きな石が鎮座している,花崗岩である。この辺り一帯の地質は石灰岩で出来ているのだが,幸運にもこの三峡ダムが建設された所だけに堅硬な花崗岩が分布していると言う。ダムサイトとして格好な地形と地質条件を天が与えてくれたと言うしかない。
おおよそ1時間弱の展望台での観光と写真撮りを終えて船に戻る。がバスから船に乗り換える際がたいへん!たいへん 物売りがわんさと囲んでくる,モデルルームで定価60元で売っていた冊子「長江三峡ダム工事」を買いたいのだが,仲間全部であわせて10部ほどになる。10部も買うと言ったら大混乱になるのが目に見えている。ここは黄ちゃんに任せる事とする。わたしらはしつこく乗船口ぎりぎりまでついて来る売り子を振り払って帰船。 さすがの黄ちゃんも10部買うと言ったら,売り子達がわれもわれもと寄ってきて大変だったようだ。結局,言い値30元を20元(定価の1/3)にして大幅安で無事ゲット。 2004年3月に発行されたもので2期工事までの最新の写真がいっぱい載っている,一昨年一緒に訪れた中国通かつダム好きなNさんに差し上げようと思って2部購入した。 三峡ダムの概要 ガイドの説明やら文献から三峡ダムの概要を下記にまとめた。
三峡ダムプロジェクトは2009年完成の予定である,いまのところ工程,予算とも計画通り順調に進んでいると聞いている。 が,完成後に問題がないわけではない。私見を以下に記す。 @ 住民の移転問題
A 斜面崩壊
B その他
宣昌で下船 さて,朝食を摂っている間,船は西陵峡の残りの区間を宣昌へ向かって航行を続ける。 宣昌で10時下船の予定なので荷物をまとめドアの外に出し,再びデッキに上がり三峡最後の風景を眺める。ここらあたりはまだ西陵峡の一部であり,三峡ダムの下流38km地点に1988年に完成した葛洲覇ダムによりここも湖水と化してはいるが両岸の風景は見るべきものが残っている。 船は10時きっかりに宣昌の船着場に到着。 下流に葛洲覇ダムが霞んで見える。 また長江を突っ切るロープウェイが見える,お客のいないゴンドラが数基,河の上にぶら下がったままである。 あとで分かったのだが対岸に蜀の将軍関羽の像があるということだ。 さあ ここでEAST QUEEN号とお別れであるが,前日配られたスケジュール表の下欄に「一人当たり20US$のチップを下さい」と堂々と要求してある。 チップの習慣のない中国なのになぜ? 一昨年も違う船であったが同様であった,その時は,衆議一決無視したのだが,今回は,サービスが結構行き届いていると感じていたので,二人でつまり一家族で百元(おおよそ1400円)で応えることとした。
さて船着場であるが, えっつここが船着場かいな? っていうとんでもないところだ 岸に上がると,すぐ急な崖を登らなければならない,自分の荷物を自分で船から降ろし駐車場まで運ぶことはまず無理だ。 したがって頼まなくてもポーターが自動的に担ぎ上げてくれる。われわれも一汗かいて迎えのミニバスに乗り込んだ。 おっちゃんトランク返してくれ〜! そのあと,ひと騒動がおきた! ポーターの手配師らしきギョロ目のおっさんと黄ちゃんがののしり合いを始めた。大きな声で互いに譲らない,ギョロ目がEさんのトランクを引き渡さない。人質ならぬトランク質だ! 黄ちゃんが運び賃一個10元がべらボーだ5元にしろと文句を言っている様子。 一方ギョロ目は10元払わないんならこのトランクは渡さねぇ〜,船に戻すといって脅す。 この勝負,人質を取られてしまった黄ちゃんの負けであえなく決着した。 それにしてもこの船着場はナンだ! ちょっと見たところ,路線バスも,タクシーもないじゃないか,ここからどうやって10キロ近くも離れた市街地へ行けと言うんだ。中国語が喋れなかったら,個人では絶対これない! 上海へ向かう飛行機は16時発なので,時間はまだたっぷりあるので,三遊堂へ行くこととする。(入園料30元) 三遊堂へ 宜昌の郊外に「三遊洞」という洞窟がある。唐代の詩人白居易とその弟白行簡および元槙の三人の詩人が詩作に興じた洞窟で名前はこれに由来する。 下牢渓という支流が長江に合流する大変美しいところで,昔から詩人がたくさん集まってきて詩を作ったそうだ。洞内外には歴代の石壁題刻と碑刻が沢山残っている。 洞窟の前に印鑑彫りと願掛け屋さんが屋台を張っている。 前者は1個10元,北京よりずっと安いとN夫人は二つも三つも彫ってもらった。 願掛けの方は小さな南京錠に願掛けをして洞窟内にかけると願いがかなうという,T夫人が娘さんの相手が早く決まるようにとお願いしていた。 この洞窟と隣接して長江の岸へかけての一帯が庭園風になっている。 門を入ってすぐ右手に土産物店がある。 売っているものは菊花石みたいな模様の入った石と化石。 ここらあたりは4億4千年前古生代の石灰岩でできていると言う。細長い円錐状の化石が沢山売られている。 本物か否か分からない!あまりにも立派過ぎるのがあって全部が本物とは思われない。でも日本円で2万円もするなんてよほどのマニアでもなければ,ちょっと買う気は起こらない。 園内の石段に使われている石灰岩の中にあったのをカメラに収めたのが右の写真。 この化石は,直角石(トレプトセラス)といって古生代 オルドビス紀・後期 オウムガイの先祖である。中国では,「多宝塔石」と呼ばれ,表面を磨いて皿や台などの工芸品として売られていることが多い。 店を出て更に進むと頂上に蜀の将軍劉封が築いたと言う砦(劉封城)を復元したと言う建物がある。内部にはさっきと同じようなみやげ店や演劇を上演する小舞台がある。 そこから少し下ると石に印を彫った印石を一面に展示してある印石園がある,現代の作家達のものが多い,箱根の彫刻園みたいなものか? さらに進むと長江を望むあづまや風の建物が建つ展望台にいたる。 ここからの長江の眺めが素晴らしい。 一帯は南津関(みなみしんかん)といって三峡の東口,西陵峡の末端にあたる。長江はここを出ると広々とした中流の平原にいたる。 先ほどの洞窟前の渓谷は下牢津とも言われ,劉備がこの津の南に守りの兵をおいたことがあるので南津関という名がついたとの伝聞もあるという。 長江を渡ってくる風に涼み,黄ちゃんが売店から買ってきてくれた冷たいミネラルウォーターで喉を潤しながらしばし休憩。
あとで気が付いたのだがここで撮った写真(右上)に「張飛雷鼓台」が偶然写っている。赤壁の戦い(魏と呉・蜀連合軍の戦い)のあとこの高台で三国志の英雄・張飛が兵士を訓練・鼓舞するために太鼓を叩いたと言われている場所(ちょっと眉唾くさいが)で,張飛の石像が建っている。 先ほど船の上から見えたロープウェイは,そこから西陵峡を突っ切って対岸の関羽の石膏像を拝めるようになっていると言うことだ。 田舎料理に舌つずみ 三遊堂を出て,すぐ右手にある長江の岩壁の上に立つ”望江楼”というレストランで昼食。
三峡・宣昌空港に14時過ぎに到着,飛行機は16時発上海航空FM366便,220人乗りB757はほぼ満席,17時20分上海虹橋空港着。
これらの店をざっと見回してから階上へ。「鷺鷺酒店」というレストランでお待ちかねの上海料理。いつものとおり黄ちゃんが料理を見繕って注文してくれる。すべて美味しいものばかり。ヨーロッパの料理と違って,材料とか料理法が馴染みのあるものなので日本人の口によく合う。食べ過ぎないようにしないと! |