硝子の林檎の樹の下で 烏兎の庭 第四部
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2014年5月


5/11/2014/SUN

先週は、久しぶりに大阪へ行った。

京阪電車の二階建特急に乗った。30年ほど前はテレビカーと名乗り、ぶれた野球中継を流していた。別料金なしで、ゆったりした乗り心地を楽しんだ。

夜、一人で新地に行ってみた。金がなくても一人でも、この街は楽しい。よそものだからか。銀座や新宿より区域が狭いので、妖しさと華やかさが凝縮されている。狭い路地に真っ白なロールスロイスが停まっていた。

いつものうどん屋。瓶ビールにこんにゃくのきんぴら、〆にぶっかけうどん。最近の規格に従うと、あまり細い麺は素麺に分類されてしまうという。東京では大阪うどんはなかなか食べられない。細うどんの店はみたことがない。4人分の土産を家へ送った。

その後、いつもの店。マスターが元気でうれしい。ギターの先生にリクエストしてバッハの「無伴奏チェロ組曲・前奏曲」を弾いてもらった。若い女の子が「恋人も濡れる街角」を唄った。この歌は横浜が舞台。あとで聞くと、横浜には行ったことがない、と言っていた。30年以上前の古い歌を唄った子に聞くと、中島みゆきの古い歌もよく聴くらしい。そういう若者もいることを知った。

0時を過ぎたところで、誕生日を祝ってもらった


5/18/2014/SUN

金曜日の朝、今週は調子がいいので週末にはちょっと出かけてみようかな、と思う。ところが、帰りのバスを降りるときに心をよぎる気持ちは、今夜は呑んで明日も日曜も寝ていよう。そんなことをもう6年近く続けている。

先週末、回復している実感があるので薬を減らしたい、と言った癖に、今思い返すことは、やっぱり病気なのかな、ということ。薬を減らすのは、いい調子が6ヶ月程度続いてから、と言われた。回復するから生活が復調するのではなく、生活を規則正しく、野放図にしないから「寛解状態」に近づく。

気持ちが乱れるのは病気のせいかもしれない。でも、気持ちが弱いのは気質の問題。


会社の上司に精神科に通院していることを伝えた。

昨年6月に入社した新しい日本支社長には助けられている。認められ、期待もされている。

期待があるから新しい仕事を任される。でもそれがこなせない。失敗ばかり。週末に、また壊れてしまった。

これ以上期待されても困る。もっと大きな仕事を任せられたら、もっと大きな失敗をするかもしれない。そんな不安から告白をした。

精神科に通院していることを自分から会社の上司に告げるとは、自分の評価を下げるものでしかないが、仕方がない。業務を減らし、期待を減らしてもらわなければ、いまにも壊れてしまいそうなのだから。


先のことは考えまい。目前にある「しなければならないこと」に誠実に真剣に取り組めばいい。そう思うようにしてはいる。

してはいるつもりでも、上手くいかない。先の先のことばかり考えてしまい、目の前のことには焦りながらこなしているだけ。

今度の冬は乗り越えられないかもしれない


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uto_midoriXyahoo.co.jp