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ご当地洋食 |
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「洋食」というのは日本食だと思う。フレンチはフレンチ、イタリアンはイタリアン。しかし洋食は海外から入ってきた料理の手法を日本人が日本人向けにアレンジして自分達の口に合うように発明した料理の数々だと思う。カツレツはもともとは「コートレット」がなまった物だといわれているが、ビーフカツレツは洋食、てんぷらの技法を取り入れたとんかつは和食の範疇だろう。オムレツは「オムレット」が、コロッケは「クロケット」がそれぞれなまったものと聞いているが、もの自体は日本に上陸したものがベースで、ほぼ同じ料理であるのに対して、ご当地洋食はやや趣が違う。料理の名称には必ず由来があるはずだが、郷土料理が地元の方言などで名前がつけられているのが多いのに対して、ご当地洋食は発案したコックの創作的な名称となっているものが多いような気がする。
面白いことに隣町にも伝わっていない洋食が数多くあり、地域の限定性が非常に高い。それぞれ広がらなかった理由はあるだろうが、地域に根付いた料理として数十年もの歴史を持っているものが多い事も興味深い。 |
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北海道・東北のご当地洋食 |
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北海道のご当地洋食といえば最も旬なのは札幌の「スープカレー」だろう。ここ数年ものすごい勢いで提供する店舗も増え、スープカレーに関するガイド本もここ2〜3年で次々に出版されてきている。基本的にはスリランカのさらっとしたカレーをベースに工夫を凝らしたメニューとのこと。いわゆるスリランカカレーを出す店のものとは確かに若干違う感じがする。最もポピュラーなメニューとして数多く紹介されているのが、チキン&ベジタブル。鶏のもも肉が丸ごと一本とジャガイモや人参をはじめ季節の野菜が入っている。
北海道の中で最近注目を集めているのが根室の「エスカロップ」。エスカロップという名前のロシア料理も存在するようだが、全くの別物で東京で修行したコックの創作料理とのこと。市内の喫茶店にはほとんどある根室市民にはおなじみのメニュー。基本形は筍のみじん切りの入ったバターライスにカツが乗り、その上にドミグラスソースがかかる。サラダが添えられて一品となっているようだ。「オリエンタルライス」という、カレー味のピラフに牛サガリのサイコロステーキ状のものが乗り、やはりドミグラスソースがかかるものもあるが、これを出す店はそれほど多くはなさそうだ。ビジュアル的にはオリエンタルライスの方がそそるものはあるが。
東北については今のところ対象が見当たらず調査中。 |
札幌スープカレー
根室エスカロップ |
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関東・甲信越のご当地洋食 |
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東京・横浜には名だたる有名洋食店がひしめいている。洋食メニューの元祖を持った店も当然数多くあるが、ご当地洋食として取り上げられるものかどうかは現在調査中。情報・ご意見も待ってます。 |
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東海・北陸のご当地洋食 |
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B級グルメの宝庫名古屋は「あんかけスパ」。やや辛目のあんがかかったパスタだと思う。かなりボリュームのあるメニューで、ミラカンと呼ばれるものがもっともポピュラーらしい。あんかけのバリエーションは結構ある。
石川県には「ハントンライス」というメニューがある。基本形はケチャップライスが卵で包まれるというオムライス上のものに、小エビもしくは魚の白身フライがのり、タルタルソースとケチャップがかかるといったもの。カツののったメニューなどのバリエーションもある。
洋食の範疇にするかどうかは微妙だが、福井にはカツ丼の元祖といわれる店からご当地メニューとして広がった「ソースカツ丼」がある。ウスターソースベースのたれをたっぷりまとった薄めのカツが3枚程度でどんぶりを覆い、ご飯にもこのたれがたっぷりかかっており、これだけでも飯が進む。半熟の目玉焼きが乗るものもあり、これも食欲をそそる。 |
名古屋あんけけスパ
金沢ハントンライス
福井ソースカツ丼 |
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関西のご当地洋食 |
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東京同様これが大阪のご当地洋食、と決められるものがあるかどうかはなんともいえない。しいて言うなら「お好み焼き」の前身は「一銭洋食」と呼ばれていたと聞いたことがあり、ここでは一応「関西風お好み焼き」をご当地洋食としてみた。
兵庫県は神戸に冷凍食品で大ブレイクし全国区となった「そばめし」がある。もとは鉄板焼きの裏メニューだったとも聞いているが、これも店では食べたことがないのでよくわからない。
また同じく兵庫県の加古川には「かつめし」がある。ご飯の上にカツがのり、ドミグラスソースがかかるというもの。かつはもともと牛かつだったようだが、とんかつをあわせて出したり、またとんかつのみの店もある。名称も「かつめし」ではなく「カツライス」とメニューに載っている店もある。メニューのイメージ的にはカツライスの方がしっくりくる感じはするが、かつめしほうがご当地っぽくてうれしい響きだ。
ちなみに大阪にも長崎のご当地洋食で有名な「トルコライス」が違ったスタイルで存在している。ご当地洋食といえる規模か、ご当店洋食(要は人気のオリジナルメニュー)のレベルなのかは微妙だが。 |
関西お好み焼き
加古川かつめし |
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中国・四国のご当地洋食 |
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岡山には「ドミカツ丼」というカツ丼にドミグラススースのかかったカツ丼がある。ご飯に茹でキャベツを載せ、その上にかつをのせとろっとしたドミグラスソースがかかるのもあれば、ブラウンシチューのようなさらっとしたソースをかける店もあり、はっきりとしたレシピがあるわけではなさそう。ただそれぞれおいしくて、ここの店を食べればとりあえずOKというわけにはいかない。
大阪のお好み焼きをご当地洋食にしたので、当然「広島風お好み焼き」もそうせねばなるまい。しかし、関西風と広島風はかなり違うものだ。関西風は基本的に小麦粉の料理であるのに対して広島風は、キャベツやもやしなど野菜が大半の位置を占めている。かわと呼んでもいいようなクレープ風の薄い生地で、野菜を蒸し焼きにするためのふたをしているといった感じ。もう片方のふたは目玉をつぶした卵の鉄板焼きだ。 |
岡山ドミカツ丼
広島お好み焼き |
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九州・沖縄のご当地洋食 |
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九州のご当地洋食といえば、全国ネットの放送でもよく紹介されるようになった、長崎の「トルコライス」だろう。基本はサフランライスなどの黄色いピラフにナポリタンスバゲッティ、上にカツが乗ってドミグラスソースがかかるというもの。大人のお子様ランチといった風情だが、店によってさまざまな個性があり、カレーがかかったり、ステーキが乗ったりとバリエーションは豊富。根室の「エスカロップ」や加古川の「かつめし」などよく似たメニューがあると一部ネットをにぎわしている。
ハウステンボスにも程近い佐世保は日本のハンバーガー発祥の地といわれている。、ナショナルチェーンのハンバーガーショップとは別に昔から地元のハンバーガーショップがあるが、これが実に旨い。全国チェーンのハンバーガーしか食べたことがない人は結構驚きのうまさだろう。
九州には各県さまざまな鶏料理が存在する。その中でご当地洋食と呼べるのは、宮崎の「チキン南蛮」だろう。甘酸っぱいたれに漬け込まれた大ぶりの鶏のから揚げにタルタルソースがかかるというもの。かなりこってりしていてそうだが、見た目ほどではなく、食べつけるとはまってしまう。
沖縄の「タコライス」は洋食と言っていいのかどうかはわからないが、蛸めしではなくタコスの具が入っためしだと考えればいい。弁当でしか食べていないのだが、結構旨かった。ぜひ店で食べてみたいものだ。 |
長崎トルコライス
佐世保ハンバーガー
宮崎チキン南蛮 |
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