日本全国、地方ならではのメニューを食べ歩こう | ||
第一回 長崎の“和華蘭(わからん)”グルメ | ||
多彩な長崎の食べ物 | ||
長崎は魅力的な街だと思う。初めて学生時代に長崎を訪れたとき、日本古来のものとは違う何かを感じた。昨今度々長崎を訪れる中で、日本と中国とヨーロッパ=オランダの融合した様々な文化が根付いていることに気づかされる。「和華蘭」文化といわれる、べたではあるが言い得て妙の表現は、江戸時代に日本の最先端の文化の入り口であったことを見事に表現している。 そうした歴史的背景があるからこそ、長崎にしかない独特のメニューが豊富にある。まずは「ちゃんぽん・皿うどん」。長崎名物といったら必食だろう。最近知る人ぞ知るのは「トルコライス」。簡単に言うと大人のお子様ランチのようなもの。みやげ物としては「カステラ」。また、中華街で人気の「角煮まんじゅう」がお土産としても評判がよい。 |
新地中華街 |
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ちゃんぽんを食べるなら | ||
長崎といえば「ちゃんぽん」。全国的にはリンガーハットが有名だが、現地ではかなり数多くの店がある。いろいろ食べ歩くのは楽しいが、旅行ではそんなに食べられないと思うので、私的おすすめをいくつかご紹介してみたい。 ちゃんぽんの元祖の店として有名なのは「四海楼(しかいろう)」実際にはちゃんぽんだけでなく、九州の中華料理の元祖といえるだろう。グラバー亭や大浦天主堂の近くにあり、ちゃんぽん博物館などもあり、観光の途中で回るには非常に便利。錦糸卵の乗った上品な感じのちゃんぽん。 今長崎駅はすっかりきれいになったが、改装前に駅に入っていた「江山楼(こうざんろう)」によく行って食べていた。今は中華街にしかないが、県外から来る人にはおすすめだ。こってり目のスープに一時期はまり、電車が出るまでの時間が10分しかなかったときに、食べられるだけ食べて帰ったこともあるほどだ。 この両店は地元では観光客向けといわれあまり評価の高くない声も聞くが、大体地元では大型店、チェーン店は昔はうまかったんだけど・・・といった声を聞く。自分は県外の人間なので、十分うまいと思うけど。 で、地元で評判の店ということで、おおよそ二十件位食べ歩いた中で、今一番うまいと思うのがめがね橋のすぐそばにある「共楽園」。あっさりとした中に深みのある絶妙のスープ。市役所のグルメN氏の紹介で行った店だ。ただし、初めて長崎に行く人にはあまり積極的には勧めない。ちゃんぽんを食べなれた人でこそ、ここの美味さがわかるのではないかと。実際、自分は激賞して話したら、初めて長崎のちゃんぽんを食べた人に、それほどインパクトはなかったと言われてしまった。多分それが観光客の現実だろうなあ。 ともかくちゃんぽんは、どこで食べてもだいたい美味いと思っていい。後は好みの問題だからね。ちなみにメニューに「そぼろちゃんぽん」とあるのは、特上ちゃんぽんのこと。関東の人はひき肉のそぼろと勘違いすることがあるようなのでご注意を。ま、聞けばわかるけど。 ■元祖の店:四海楼 ■観光客がはずさない:江山楼 ■地元の人気店:共楽園 |
四海楼のちゃんぽん 江山楼のちゃんぽん 共楽園のちゃんぽん |
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皿うどんを食べるなら | ||
皿うどんはそれほど多くの店を食べていないが、ちゃんぽんと同様、どこで食べても基本的には美味い。写真は紹介された永盛楼で、麺もぱりぱり、甘口のあんが馴染み柔らかくなった麺も絶妙だ。 さて皿うどんには太麺と細麺がある。イメージを伝えるなら、太麺はあんかけ焼そば。細麺はかた焼そばといえばわかってもらえるだろうか。個人的には細麺が好きなので、こちらをよく食べる。かた焼そばには、好みによってお酢をかけるが、長崎の細麺の皿うどんにはソースをかけて食べる。しかし、ソースといっても普通のソースではない。長崎には皿うどん専用のソースがある。金蝶ソースといってどっちの料理ショーにも登場したことのあるものだが、ウスターソースのようにさらっとしたソースで、辛さが抑えられている。普通のウスターソースではすぐ辛くなってしまうのだが、金蝶ソースは結構かけながら食べても大丈夫。しかもかけたほうが絶対美味いとおもう。長崎で皿うどんを食べるときには金蝶ソースをかけるのをお忘れなく。 ■中華街で買えます:金蝶ソース |
永盛楼の皿うどん(細麺) |
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トルコライスをたべるなら | ||
大人のお子様ランチ「トルコライス」。ピラフとスパゲティの上にトンカツが乗ってデミグラスソースがかかるというのが最もポピュラーだが、ピラフの味付けと上にかかるソースは、店によってバリエーションがある。 一番よく食べたのは「ツル茶ん」。トルコライスのバリエーションは4種類(増えているかも)あり、九州で最も古い喫茶店でもある。ソースはデミグラスソースやホワイトソース、カレーソースなどがあり、トッピングはトンカツの代わりにハンバーグが乗ったりもする。また「ミルクセーキ」と呼ばれるアイスシェイクのような飲み物?がある。一般的なミルクセーキとは別物。 トルコライスの元祖は諸説あるようだが、トルコライスを開発したといわれるシェフの二代目のお店「ボルドー」。ここのメニューは「トルコ風ライス」が正式名称。洋食としてみたときの完成度が高く、カツレツが美味い。コース料理などもある。 個人的には今一番のおすすめなのは「レストラン金子」。ここも洋食としてのレベルが高く、カツ、ピラフ、スパゲティのすべてが美味かった。 余談だがトルコライスという名称はトルコ料理の店を除けば大阪にもある。ただし、見た目は結構違っていてオムライスの上にカツがのり、その上からデミグラスソースがかかっている。トルコライスのヒントになった店が神戸にあったとの話もあるが、大阪のトルコライスがそれと関係があったかは定かではない。 ■バリエーション豊富:ツル茶ん ■元祖に近い店:ボルドー ■個人的おすすめ:レストラン金子 |
ツル茶ん ボルドー レストラン金子 |
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その他もろもろ | ||
長崎の郷土料理には「卓袱料理」というのがあるのだが、一度も食べたことがないのでコメントできない。和洋折衷のコース料理らしいが、結構根が張るもので・・・一度は食べてみたいものだ。 さて、長崎の名物というわけではないのだが、もし余裕があれば是非食べて欲しいメニューが一二三(ひふみ)亭の「おじや」と吉宗(よっそう)の「茶碗蒸し」。一二三亭はめがね橋のそばと思案橋の近くにあるのだが、ここのおじやはとにかく美味い。初めて食べたのは旅行誌の取材同行をしたときだが、普通の感覚のおじやとはまったく違う。ここは食べた人だれもが絶賛するもの。また、長崎の郷土料理もいろいろ食べられる。 吉宗の「茶碗蒸し」は蒸し寿司とのセットがあるが、ここの茶碗蒸しを食べるまで、正直言って茶碗蒸しにそんなに味の違いがあるとは思っていなかったが、ここのは本当に美味い。お持ち帰りもあって、二度ほど自分で作ったが、長時間のお持ち帰りは無理。 まだそれほど詳しく調べていないのだが、長崎には一口餃子の専門店がある。何度か食べたのは「雲竜亭」。思案橋の近くほか何店舗かある。結構癖になる味だが、前出のN氏に紹介された築町の姉妹店ではまずたれをつけずに味わう。確かにちょっと違う感じでこれも美味かった。 お土産ではカステラがやはり定番だが、知名度ナンバーワン「文明堂」、チョコのカステラ、ショコラーテの元祖で歴史ある「松翁軒」、地元のおつかいものの定番「福砂屋」などが、みやげ物としてはいいところ。個人的には、切れ端と呼ばれる切り落としが市内の庶民向けのお店で売っていることがあり、結構これを買ってかえる。これにバターをつけて軽くトースターで焼いて食べると、病み付きになる美味さ。地元に教えてもらった贅沢な食べ方だが、普通のカステラではもったいなくて出来ないといわれた。それ以外に自分でよく買うのは、長崎駅前のバスセンターの近くにある「清風堂」のチーズカステラ。普通のチーズカステラは粉を使うのがほとんどだが、ここのは生のチーズを練りこんでいるため、チーズケーキのようなコクがある。個人的に好みの一品だ。 みやげ物でだれに買っていっても喜ばれるのが「角煮まんじゅう」。中華街の中華料理店で食べたのが初めてだったが、とろけるような豚の角煮が中華まんのような皮に挟まれている。角煮は卓袱料理にも入っており「阪本屋」という料理屋でも角煮まんじゅうがあり有名だが、長崎駅にある「岩崎本舗」で、お土産も食べることも出来る。 ■おじや:一二三(ひふみ)亭 ■茶碗蒸し:吉宗(よっそう) ■おつかいもの用カステラ:文明堂、松翁軒、福砂屋 ■好みのカステラ:清風堂のチーズカステラ ■角煮まんじゅう:岩崎本舗 |
一二三亭 吉宗 雲竜亭 |
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