沢登り

 一般的な登山が人の通った道を行くのに対して、沢登りは、滝の連続する上流の「沢」を登ります。つまりは、山の中に流れている沢を登るのが沢登りです。ふつうの山登りでは味わえない、渓谷美に出会えます。沢登りは、沢そのものの流れる姿の美しさだけでなく、普通の登山では味わえない自然(植物、動物)に接することができます。沢は、縦走よりも深く自然に入れるのです。縦走が「限られた自然vs人」であるのに対し、沢は「自然vs人」の登山が可能です。縦走には考えられない、冒険があります。
 リスクも大きいが、それなりのものも得られるのが沢です。

 「石(いは)ばしる 垂水の上の さ蕨の 萌え出るづる 春になりにけるかも」志貴皇子
 これを歌った人は沢登りをしていないと思いますが、沢登りのきれいさが、現れていると思います。

 そして、沢登りは沢という捕えどころのないものに挑むので、山登りの「応用編」といった感じの独特の技術を必要とします。なお、沢は登るだけでなく下りに使用してもかまいません。ですが、当然登るよりも下る方が難しいので、一般的には沢登りになります。(このページの下の方に沢下降の内容あり)

2011年王滝川鈴ノ沢の動画(沢登りって、こんな感じという意味でタイトルを「沢登りだよ おっかさん」にしました)

A. 沢登りの用具

沢登り基本用具 多少違うが左の用具を装着した自分 わらじで登る

 上の写真が、沢登りの基本用具です。以前は、渓流シューズの代わりに地下足袋とわらじを使っていました(上にわらじで滝を登っている写真あり)が、足のサイズが27.5と大きな自分は、サイズの合ったわらじがないこと、わらじ自体を作る人がいなくなったこと、渓流シューズの方が、わらじよりもひもをしばり易い事などから、わらじから渓流シューズに変えました。他に、沢登りは、水との格闘でもあるので、持ち物をきちんと防水することが必要です。自分は沢で携帯電話を2個壊しました(一回目は、なにも防水しないで、2回目はビニールを2重にしなかったので)。

2009年大滝沢 (紅葉と沢登り)

 上の沢登り基本用具には載っていませんが、ネオプレーンの靴下等を使えば、10月にも沢に入ることができ、沢と紅葉を楽しむことができます。ただ、10月になると8月のようなシャワークライミングや、水量の多い沢は避けるようになります。ホールドとなる部分に落ち葉がたまっていることが多く、払いのけながら登る。

当然ですが、沢は水量によって大きくルート、難易度が変わります。

水量の多い年 水量の少ない年
東黒沢の報告 2017年 2016年
 東黒沢と白毛門沢の二俣    


B. 沢登りの技術

沢登りのトラックログ(2008年 西ゼン)
 紫:沢登り、緑:藪こぎ、赤:登山道(登り)、黄:登山道(下り)

(沢を読む)(要パスワード)ひとたび沢に入りますと、縦走のように道標はないですから、地図が読めなければ、自分の進むべき道もわかりません。
別ページに記載

(沢を登る) (要パスワード)別ページに記載

(沢での生活技術) (要パスワード)別ページに記載

C. 沢登りについての追加
(1)沢下降 沢登りという言葉が示すように、基本的には沢を登りますが、沢を下っても別にいいわけで(技術的に少し難しくなるので、登りよりは簡単な沢が下降に選ばれます)。
 獲物山 Fielder別冊44頁より、「まっすぐな渓は、悪場がない」

沢下降(2009年虎毛沢)
 滝の上から見ると難しく思えましたが、下から見るとそれほどではないです。それにしても登るより下りる方が難しい。

さらに、沢登り→沢下降→沢登り→沢下降のように、沢登りを2回することも可です。普通、稜線に上がったら後は楽な登山道なのですが、最後まで気が抜けません。下の図は、2度目はおまけですが沢登りを2回した例です。

2010年男女川のルートの断面図(GPSデータでなくルートをざっくりと手で直線を引き断面図を取ったものです。あくまで参考程度に)
ですので右のデータの推定時間5:44:43というのはどこから出てきたのか不思議です

 2015年笹木沢では、通常の「沢遡行→登山道で下山」、でもなく「沢遡行→沢下降」でもなく、下山ルートとして良いルートがないため、「沢下降→沢遡行」という掟破りのタイプとなりました。初めてのタイプでしたが特に違和感なく、行動できました。入渓点のアプローチに時間がかかり、遡行終了点のアプローチが簡単で、近くに下降しやすい沢がある場合は、「掟破り」を考える価値があるようです。

(2)単独行 山の単独行は危険です。それはそうなのですが、自分が気になるのは
 もし二人で行って、はぐれたり、片方の方が動けなくなったら、それは単独行
です。「一人になってしまった、未経験の事態だ」を避けたいのです。単独行は、ある意味、自分にとって訓練山行というのはあります。
 その他、両親の元で、いつまでもすごしていると自立できないところがあるように、ある意味、単独行をしてみるべきで、単独行は一人暮らしと同じ、自由気ままですが、基本的に何もかも一人でやらねばならず、持ち物も時間も無駄に増える。でも、家族を持つのがベストのように、リーダーとしてみんなを連れていくのがベストで、単独行は、極力避けるべきなのかもしれません。他の人の文句ばかり言っているようでしたら、一度、単独行をしてみたら、と思います。
 「単独行は危険である、とよく言われる。何度考えても私はそれに頷くことができない。変なミスをするのは、他人の目を意識して頑張りすぎてしまったときだ。(服部文祥)」後半部分は、本当です。
 下山担当になると、単独行というのは心配なものですね。

単独行に行く場所の条件(バリエーションルート)
・(その人にとって)簡単で短い。あと(確保してもらえないので)基本的にロープを使わない沢。
・入口がわかりやすい(別の所へ入るのはやばいので)
・人がそこそこ入っている(報告の多い沢)

今まで行った単独行
2010年 丹沢・流れの沢
2011年 大滝沢マスキ嵐沢
2017年 谷川 東黒沢+ウツボギ沢 初の泊まりで沢


 地域研究という事を聞きます、同じ地域の山を集中的に登るという説明になるでしょうか。2013年10月安達太良山にて日帰りの沢を3本するということをしました。1日目が安達太良山から流れている東の沢、2日目が東南の沢、3日目が南南西の沢の沢でした。トップビレイの未熟さ等、自分にはまだまだ地域研究に集中できない部分がありました。同じ地域の沢なので、似ている所もあれば、違うところもあります。

今回の山行の大まかなルート図
(沢:赤、登山道:黄)


意外なところで使い道がある、ハンマーという道具:ハンマーという道具は、使おうと思えば、いろんなところで使える道具のようです。
 「ハンマーで足場を作りながら登る」
 「ハンマーを使って、砂利等をどけて整地」

「沢登り」にも種類がある?5タイプに分類して紹介!【初心者向け】(動画)

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