東黒沢(湯桧曽川)(2016)(途中撤退)

日付:2016年6月4−5日
L:自分、メンバー:S木2さん、F川さん、I永さん、S林さん、F浦さん

 「恒例の谷川東黒沢での新緑山行を6月4日(土)5日(日)と実施したが、標高1200mの2m程度の小滝に掛かる流木よりメンバー1名が滑落し、左足を痛めた。山行遂行は不可能な状況であり、残りのメンバーのサポートにより翌日自力下山した。帰宅後の検診の結果、骨には異常なく、筋肉への打撲と診断された。」(事故報告より)
 ヘリを呼ばなかったにせよ、救助要請をしなかったにせよ、自分としては、初めての救助体勢(ガイド山行を除く)の山行。毎日、山岳事故は多数起きている中で、初めてとは、幸せといえば幸せです。挑戦していないと言えば、そうかもしれません。事故自体は防ぐのはかなり難しかった、自分の中の一番の反省は、報告が遅れたこと、手間取ったことです。
 怪我を悪化させず、現在でも、I永さんは問題なく山に行けているのですから、その点では大成功でした。

6月4日
天気:晴のち曇り
【コースタイム】11:40 白毛門駐車場−12:25 白毛門沢との二俣−13:00 900m二俣−14:05 1080m二俣−14:30 1200m付近でI永さん怪我−16:50 1050m付近テン場

11:40 出発

 駐車場を出てすぐに、右にある登山道に入る(この登山道に入らなくても、行けるが、この登山道が一番近い)。下の12時の入渓の写真の所で、登山道から外れる。

12:00 入渓

 左岸を進み、右岸に渡ったところで、ハナゲの滝です。

1 2:04 ハナゲの滝  

【他のパーティー】ハナゲの滝で、観光の方2名以外は、特に会わず。

12:13 通常ならここから登山道に合流ですが

【今回のロープワーク】行きにロープは一度も使われませんでした。普段からロープを出すところはありませんが、今回は水量が少なく、簡単に登れてしまったのも理由の一つです。
 帰りは、I永さん負傷のため、小さな通過にもロープを使いました。

水量が少ないので、通常なら、右岸の登山道を使わないと登れないハナゲの滝も登れてしまいます

 リーダーなので、最後尾、と思ったら、S林さんがラストを行きたがり、後ろから、2番手という中途半端な位置で登ってしまった。あとから思えば、リーダーはトップかラストだと思うし、ラストを譲るなら、トップに行くべきだった。

12:23 ここも水量が多いときは大変だった記憶があります

12:25 白毛門沢との二俣


12:33


12:40 水量が少ないため、いつもなら巻かねばならないゴルジュも巻かずに突破

【今回の読図】迷いそうな所を事前に予測、(1)迷うことはないが、自分が行くとなると入渓点付近で蛇行し、時間のロスをしそう。(2)翌日、広河原から丸山のコル1280m二俣か。出だしは、リーダーなので、最後尾に回ったら、先頭の方が、すんなりと進んでくれた。次回のために、メモ(上記)。丸山のコルには到達できなかったが、それまでの読図は問題なくできていた。

   
12:50 いつもは左岸を登っていますが、今回は水量が少ないので右岸を  
   

 いろんな場所に行きたいし、行くべきだと思う。それと同じくらい、同じ場所に毎年行くというのも、ありだと思う。今年の水量の少なさ、ガイドブック等読めば、ある程度は理解できるが、こういうのは1回行っただけでは理解できない。次回も、参加できますように。

12:58

例年ですと、どこかに雪渓が残っているものですが、今回は、標高1200mまでは雪渓には会いませんでした。

13:00 900m二俣


13:04


13:08

13:10 タニウツギ

 いつもは咲き始めのタニウツギが、今回は咲き終わりでした。

13:35


13:40 ナメ


14:05 1080m二俣


14:30 I永さん、この木で滑って怪我

 1200m付近で、I永さんが、滑った。「それはそれで仕方ない。右から巻けるよ、さあ行こう」と待ってみたものの、I永さんの様子がおかしいし、左足の付け根が痛むという。「しょうがないな」と思ったが、事故直後は、まさか断念して引き返すことになるとは思わなかった。しばらく様子を見たものの、斜面を登る際に痛むとのことで、往路を引き返すことに、決定。仕方がないけど、1m程度の滑落なので、自分の中では「?????」でした。
 この日は、I永さんのザックの荷物を他の人間で分配し空にし、I永さんはS林さんからストックを1本借り、I永さんの前後に一人ずつ位置し、後ろの人間は支え、前の人間はI永さんに何かあっても体重をかけられるよう補佐。その前に二人が先行して事前に簡単に通過できるルートを確認しながら下降。
 ディスタンスブレーキで下降しなければならない小岩場あり、自分がコントローラーの役を、ロープの支点の木が雪国に多い根元から地面に水平に木が伸びている形で、支点は抜けなかったが、F川さんから巻き結びで1箇所から無理なら、2・3箇所から取るように言われ、なんとか通過するも、「現場は頼りない支点で対処するしかない」こともある、でした。その他、下降の際、振られるので、向きに注意、でした。
 1080m二俣近くの左岸に、平らな地点があり、そこで幕営も考えたが、時間もあり、翌日のことを考えたら、少しでも下りておいたほうが良いので、S木2さんとF浦さんが偵察に行き、1050m右岸に幕営できる場所を見つけてきてくれて、1050mまで下りて幕営となった。幕営地点は沢から、5mほど上がったところで意識して探さないと素通りしてしまう、探してくれた二人に感謝。

平なテン場が見つかった


こんな焚き火もある

ヘッドランプを強力なのに変えました

6月5日
天気:晴時々曇り
【コースタイム】6:30 出発−9:05 900m二俣−10:30 白毛門との二俣−11:40 駐車場

 朝、早起きして、焚き火の仕度、前回もそうだったか、ビリー缶を焚き火にセットした頃消えかかり、再度やり直し。(1)基本的に難しくはないが、苦手意識があるため、小さな事でドタバタ、肝心なときに(もしくはあと一歩のところで)集中力が切れている。地図読みもそうか。(2)苦手意識がある割には、中くらいの薪の準備が事前に足りなかったりと、妙に準備不足。ちょうど、起きて来た方に引き継げて、大きなロスにはならなかったけど、今回も、「お湯がわきました〜」の声をかけれず。

6:30 出発

 準備のできたF川さん、I永さん、F浦さん、自分は先に出発。一晩越えたが、I永さんの足の状態は、良くも悪くもなっていない、とのこと。

7:30

 それでも歩き出すと、I永さんの調子が良くなってきたようで、前日は補助なしには懸垂下降ができず、ディスタンスブレーキとなったが、この日は一人で懸垂下降ができていた。いろいろあったが、とりあえず悪化させないようには成功した。悪化していたら、ヘリまたは、救助要請ですし、今現在、問題なく、山に行っているI永さんなので、広河原まで行けなかったのは残念ですが、仕方がないです。

7:55

 2本のロープを使い、1本で懸垂をし、もう1本はバックアップとした。1番目にI永さん以外のメンバーが下降し、楽に下りれそうなルートを確認しI永さんに指示、2番手にI永さんが下り、バックアップ用のロープはI永さんが下りたところでお役目ごめんとなり、先行して次の懸垂下降が必要な場所へセットするために、メンバー一人が先行し、I永さんが到着したら、すぐにでも下降体制に入れるようにした。

8:25


8:45

 予定のルートを行けなかったのは、確かに残念でしたが、この時は帰ることに必死で(自分)、他の方も愚痴も言わず、淡々と。

9:05 900m二俣


9:30

 登りは右岸でしたが、下りは左岸を下降。

10:10 I永さん回復

この頃には、I永さんの体調はさらに回復して、ストックがあれば、補助の必要がなくなりました

10:30 白毛門との二俣


10:58 ハナゲの滝
 あともう少し

 ハナゲの滝は当然ですが、右岸登山道を下りました。

11:38 戻ってこれた

 

A:駐車場、B:テント場(1050m付近)、C:事故現場1200m付近、D:広河原


 救助体勢をとったものの、下山後は、何事もなかったかのように運転するI永さんを見て、他の会員に報告するのが遅れてしまった。今回は、かなり微妙な内容だったにせよ、救助体勢を取ったなら、会員には早めの報告でした。様々なことが重なり、報告書の発行がぎりぎりになってしまったことすみませんでした。
 仕事が忙しい中、4週連続の山行で、今回はリーダー、いろんなことでいっぱいで、「4週あれば、一日くらい雨で中止になるかもしれない」の(根拠のない)予想も外れ、挑戦することも大切ですが、無理をしないように。仕事の忙しさにより、事故渋滞でなく、自然渋滞のように、様々な雑務がたまっていき、ボディブロのように効いていき、というのはありました。余力を残しておかないと、「事故報告」を書く気力がない、リーダーとして、余力を残すべきでした。
 違う点もありますが、M井さんも、ちょっとしたところで滑って怪我をしている(2003年)。I永さんだけでは、ないのでした。

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