労務管理で失敗しない3つのポイント

労務管理に関しては、お客様からさまざまな質問や相談を受けることが多いです。
大別すると、以下の3つのポイントに分類することができます。

 1.労務・人事管理面
 2.賃金管理面
 3.労働法規面


「相談業務ハンドブック中小企業編2009版」のうち、 労務相談の一部を東海林が執筆しており、 「新卒者の採用手続きと方法」、「就業規則の作り方」からはじまり 「定年延長と給与支給額の調整」、「退職金支給規定の作り方」等、 多岐にわたる内容となっております。


ここでは代表的なポイントのうち3労働法規面の一部をQ&Aでご紹介します。



労働法規面


-リストラによる人員削減計画の進め方-

Q.「当社の主力製品の受注が激減し、従業員数が過剰になりました。リストラによる人員削減計画の正しい進め方を教えてください。」
A.労働契約法第16条にありますが、リストラによる人員削減の場合といえども、権利の濫用にならないように一定の手続きが必要です。

解説.
1.数値目標 会社の現状分析・将来の仕事の受注の予測などを勘案して、具体的なリストラの数値目標を設定します。

2.解雇回避措置 解雇回避措置としては、役員報酬カット、賃金カット、残業時間ゼロ、労働時間短縮、一時帰休、昇給停止、賞与支給停止、採用の停止、資産売却、人件費以外の経費削減努力、パート・臨時従業員の雇止め、出向・転籍・配置転換などの人事異動などがあります。

次に希望退職者の募集に移ります。募集人数を達成するには、退職金規程に定める退職金のほか、特別に退職加算金をいくら上乗せするかが決め手です。これらの段階を経てから、一部の従業員の退職勧奨を検討します。自主的に退職届を書いてもらうことが目的で、強要ととられることがあってはなりません。会社として取り得る措置をすべて取っているかどうかが解雇回避の努力を尽くしているかのポイントです。

3.整理解雇 それでも募集人数に満たない場合に、はじめてリストラ(整理解雇)へ進むことになります。しかし、整理解雇が認められるためには、①段階的に解雇回避の努力を尽くしたかどうか以外に、②経営上の人員の削減の必要が存在すること、③人選に合理性があること、④従業員(代表)に具体的内容を事前に説明・協議を誠実に実施することの要件が求められます。

この4要件(4要素)が充足していないと、整理解雇が解雇権の濫用にあたり無効とされますので、これらの手順を踏みながら、人員削減計画を進めることが大事です。

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