【8日目】 8月7日(土)晴


 朝起きてみると、今度は祈りが通じたのか晴れている。ラッキー。昨日と同じように、ホテル前から6番のトラムに乗ってヘルシンキ中央駅に行き、ハメーンリンナまでのチケットを購入した。今日は、ヘルシンキから列車で1時間程のハメーンリンナまで行って、ここからシルバーラインをクルーズする観光船に乗る予定だ。このクルーズでフィンランドの「森」と「湖」を堪能しようというわけである。

 ヘルシンキ中央駅はロシア風の駅である。線路の幅も広いらしく、スウェーデンには直接乗り入れることができないそうだ(乗り換えなければならない)。フランスやデンマークでは、列車に乗るときにチケットに時間を刻印しなければならないのだが、いくら探してもこの駅には刻印する機械が見つからない。ちょっと不安だったが、そのまま列車に乗り込んだ(フランスでは刻印していないチケットは無効と見なされ、見つかると多額の罰金を取られる)。列車のシートは大きく、前のシートとの間も結構広いので快適である。おまけに足置きと枕まで付いている。ガイドブックを見ていると、日本人の若い女性(一人旅のようだ)に、この車両は予約席なのかどうか訪ねられた。そういえばあまり気にしていなかったのだが、どうなのだろう? 乗り込んでくる人達を見ると、特に座席の番号を気にしているようでもなかったので、きっと自由席なんだと思っていたが(後で自由席だということが分かった)。

 ハメーンリンナ駅から船着場までは徒歩7〜8分。船着場にはまだ誰もいなかった。出発の11:30まではまだ時間があったので、観光案内所に行って今日の我々の計画が実現可能かどうか聞くことにした。

 シルバーラインではハメーンリンナからタンペレまで約8時間のクルーズを楽しむことができるのだが、今回はハメーンリンナの街も見てみたいので、トイヤラ(Toijala)という場所で船を降り、トイヤラ駅から列車でハメーンリンナまで戻ってくるというのがその計画なのである。これでも3時間以上のクルーズを楽しむことができる。しかし、トイヤラ周辺の地図を持っていないので地理は全く分からないし、船がどのあたりにつくかも分からないし、トイヤラ駅がどこにあるのかも知らない。しかも、トイヤラで船を降りてから目的の電車に乗るまでは約40分しか余裕がないのである(船はトイヤラに15:40に着く予定で、トイヤラ駅発16:22の列車に乗らなくてはならない)。このスケジュールが可能かどうか観光案内所で聞いたところ、トイヤラの船着場から駅までは約3キロで、タクシーを呼べば大丈夫とのことだった。まぁ、16:22発の列車に乗れなくてもその2時間後にまだ電車はあるし、今日中にヘルシンキに戻れるだろうと思い、ちょっと冒険してみることにした。船のチケットはここで買えるので、ハメーンリンナからトイヤラまでのシルバーラインのチケットを購入した。

 我々が案内所の人と話していると、なんと日本人のおじさんが入って来た。聞けば、7/25にフィンランドに入国して、気ままに歩き回っているそうだ。幸せな身分だ(全くの偶然だが、後でこのおじさんとヘルシンキで再会することになる)。出発までまだ少し時間があったので、湖の畔に行ってみる。湖は波もなくとても静かで、ここから見る景色もすばらしい。

 船着場に戻ってみると、船はまだ来ていなかったが、先程とはうって変わって大勢の人が船を待っていた。間もなく船が来たので早速乗り込む。船の名前は「Silver Moon」。中は1階がレストラン(全て予約席)、2階がレストランとデッキになっている。我々は2階のデッキに席を確保した。見渡すと、若い日本人の女性と男性が一人ずつ乗っていた。どちらも一人旅のようだ。
【シルバーライン】

 予定より少し遅れて船が動き始めた。いよいよ出発だ。出発してすぐに左手にハメ城が見えてきた。船は森の間をぬってどんどん進んでいく。いや、それにしてもこの船からの景色はすばらしい。やっぱりフィンランドは森と湖に国だ。ちょっと薄着だったのと、我々の席が開閉式屋根の一部の影になっていたせいもあって少々寒かったが、船に乗ってこのような景色をボケーッと眺めるというのはなんとも贅沢なものだ。

 お腹が空いてきたので、レストランでチキンサンドを買おうとしたのだが、厨房が忙しいらしく1時にもう一度来てくれと言われてしまった(確かに忙しそうだった)。次に1時に行ってみたが、まだダメ。そうこうしていると、レストランの人が来て、「チキンサンドを頼んだ人か?」と聞いてきた。そうだと答えると、わざわざデッキまでチキンサンドとコーヒーを持ってきてくれた(2度も追い返したので悪いと思ったのだろうか)。この景色を見ながら食べるチキンサンドは本当に最高だった。

 しばらくすると、1階の席で食事を済ませた人達がデッキに上がって来た。その中で特に目立っていたのがイタリア人らしき集団。とにかくやかましい。普通に話していてもやかましいのに、さらに歌まで歌いまくっていた。あまりのやかましさに船内放送も聞こえないほど。イタリア人って皆こうなのだろうか?

 
【森と湖のクルーズ】

 途中、ビサブオリ(Visavuori)という所で1時間ほど停まった。ビサブオリはタンペレから来た船とハメーンリンナから来た船が待ち合わせをする場所で、ここで船を乗り換えればもと来た航路へ戻ることができるのである。ビサブオリを出ると、25分程でトイヤラに着いてしまった。途中停まっていた時間を除けば3時間程のクルーズだったが、あっという間だった。これだったらタンペレまで8時間かけて行ってもきっと飽きないだろう。

 トイヤラにはほぼ予定通りの15:40に到着したので、急げば16:22発の列車に間に合うかもしれない。が、船の上から見る限り、船着場のそばにはボートハウスのようなものがあるだけで他には何もない。あのボートハウスでタクシーを呼んでもらえるのだろうか? うーむ、やばいかもしれない。しかし、下船して桟橋を歩いていると近くにバスが停まっているのが見えた。一見観光バスのようだが、運転手に駅までどうやって行ったらよいのかと聞くと、なんとこのバスに乗れと言うではないか。超ラッキー。観光シーズンは船着場と駅の間にバスを走らせているのかもしれない。バスで走った駅までの道はとても歩けそうになかったので、本当に運が良かった。降り際に運転手が「Have a nice trip!」と声を掛けてくれてた。こういうのがまた嬉しい。

 トイヤラ駅から列車に乗ってハメーンリンナ駅に15分ほどで無事到着。町を探索してみるが、残念なことに店はほとんど閉まっていた。せっかく戻ってきたのに。ちょっと小腹がへったので、ファーストフード店でフレンチフライを買い、湖の畔で食べた。雲が出てきて少し肌寒い。シルバーラインのクルーズも8/15で終わってしまうし、フィンランドではもうそろそろ夏も終わりなのだろうか。なんだか秋の気配を感じる。
【ハメーリンナの夕暮れ】

 ちょっと冒険してみたが、結局ヘルシンキ駅には20:00頃無事に帰ってくることができた。夕食は駅近くのTorniホテルのレストランで食べようということになり(またもやガイドブック情報)、私はここで牛のフィレステーキを頼んだ。ステーキ自体もおいしかったのだが、付け合わせで出てきた黒芋を揚げたやつがめちゃくちゃうまかった。もう一度食べてみたい。

 ホテルに帰り、2階のエレベータを降りてドアにカードを通したがエラーになって開かない(各階のエレベータを降りたらすぐにドアがあり、そのドアは部屋の鍵と兼用になっているカードを通さないと開かない仕組みになっている)。一旦フロント行って、新しくカードをもらって部屋に入ったら、今度は部屋がそのままになっていた。掃除もベッドメイキングもしてなく、タオルもそのままになっている。今日はタオルをバスルームのフロアに置いていたのに。またまたフロントに行って文句を言うと(今日は正当な文句)、何故か我々の宿泊が2泊となっていると言うではないか。カードが無効になっていたのもこのせいかもしれない。3泊するということを再確認して、すぐに部屋の掃除の手配をしてもらった。その間、フロント横のカフェでコーヒーを飲んで時間を潰した(もちろんホテルのおごり)。せっかく良い気分で帰ってきたのに。しかしこの手のこと、と言うかこの旅行では空港や駅でチケットを買ったり、何かを人に聞いたり、文句を言ったりするのは全部私だ。奥さんはその間荷物番をしてるか、後ろに立っているだけ。まぁ、いいか。


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