【7日目】 8月6日(金)】くもり時々雨

 祈りもむなしく今日も曇っている。今日はショッピングと市内観光の予定。6番のトラムに乗って中央駅まで行き、昨日は閉まっていた駅の案内所でバス、地下鉄、トラムの路線図を手に入れた。これで市内の交通は把握できた。また、ヘルシンキ-タンペレ間の列車の時刻表も入手した。明日に予定している湖クルーズのためだ。このクルーズはタンペレ-ハメーンリンナ間に広がる湖を渡って行くもので、この航路はシルバーラインと呼ばれている。

 外に出ると雨が結構降っている。観光案内所に行くため、奥さんは傘をさし、私はフード付きのコートを着て港まで歩いて行った。港にはマーケット広場、道を1本挟んでエスプラナーディ(Esplanadi)公園があり、天気が悪いわりには多くの人で賑わっていた。公園の両側には、ポホヨイスエスプラナーディ(Pohjoisesplanadi)通りとエテラエスプラナーディ(Etelaesplanadi)通りがあり、ちょっとしたショッピング街のようになっている。

 観光案内所で24時間有効のヘルシンキカードを購入し(このカードで市内交通機関は乗り放題になる)、シルバーラインのことについても聞いてみたが、なにやら他にオフィスがあるのでそこで聞いてくれとのことだった。外に出て、言われた通りに行ってみるがそれらしきオフィスは見当たらない。しかたなく、観光船の案内ポスターを店の前に貼っていた小さなオフィスに入って聞いてみた。やはりここではシルバーラインは扱っていないとのことだったのだが、話しを聞いてみると、どうやら我々が行った観光案内所は、「ヘルシンキの観光案内所」で、その向かいに「フィンランドの観光案内所」があるらしい。引き返してみると、なんだあるではないか、「フィンランドの観光案内所」が。最初に行った観光案内所と公園を挟んだところだった。こんなに近くにあるとは思わなかったので見落としていたようだ。ここにはシルバーラインに関する日本語のパンフレットが置いてあって、おまけに親切なお姉さんがいろいろと説明までしてくれた。

 次は観光案内所のすぐ近くにある「アラビア」というフィンランドの食器メーカーの本店に行った。もちろん奥さんのリクエストである(私がアラビアなぞ知っているわけがない)。奥さんはとても楽しそうだ。奥さんは好きにさせておいて、私は店内を何の気なしにブラブラと見ていたのだが、ふとあるグラスが目についた。アラビアではなく、フィンランドの他のメーカーの物であったが、なかなかセンスが良いし、値段も手頃(私は食器よりはグラスの方に興味がある)。奥さんにも見せたが、彼女も気に入ったようだ。これも買うことにしよう。
【アラビア本店】

 さて、本命の食器であるが、彼女も気に入ったものがあったらしく、中くらいの皿と小さな皿、それにコーヒーカップが欲しいらしい。価格のタグが付いていなかったので店員に聞いてみると、思ったほどは高くない。この価格なら小さな皿3枚とコーヒーカップは3客ずつ買いたいと彼女が言い出した。最初は2客ずつのつもりだったくせに。まぁ、ロイヤルコペンハーゲンではイヤープレートしか買わなかったからいいだろう。店員が「他には何かありますか?」と言ってきたので、さっきのグラスを頼もうとしたら、横から奥さんがすかさず、「That's all(これで全部です)」と言うではないか。おいおい、私が買うと言ったグラスはどうなったんだ? 自分の事が済んだら、全部が済んだと思っている。ぐっとこらえて、「いや、まだあるんだ」と言って、店員をグラスが陳列されている棚まで連れて行き、さっき目に付いたグラスを頼んだ。ふぅ。

 店を出ると雨は小降りになっていた。スオメリンナ島行きのボートに乗るためにマーケット広場の方へ向かった。マーケット広場の前がすぐ港になっていて、目的のボートもここから出ている。マーケット広場では、野菜や果物、パン、魚、それに民芸品のような物が売っており、たくさんの人で賑わっていた。このような市場を見ると、やっぱりヨーロッパだなぁという感じがする。

 4つの島からなるスオメリンナは、フィンランドの南海岸を守る要塞として防御壁が張り巡らされ、スウェーデン-ロシア戦争、クリミア戦争、フィンランド国内戦争で重要な舞台となったそうである。現在では、博物館やカフェが点在する静かな島で、世界文化遺産に登録されている。

 ボートの中でヘルシンキカードのガイドブックを見ていると、マーケット広場近くから出ている半日ツアーが3種類あり、どれもヘルシンキカードで割引になることが分かった。曜日によってツアーが異なるのだが、今日はポルヴォー(Porvoo)という町への観光ツアーだった。ガイドブックの紹介によると、ポルヴォーはフィンランドで2番目に古い町で、木造建築の家が保存されているそうである。また、フィンランドの有名な詩人J.L.ルーヌベリ(Runeberg)が生まれた町でもあるらしい。面白そうなので、行ってみようということになったのだが、ツアーの出発時間は午後1時。次の船で港に帰ってもぎりぎりだ。

 スオメリンナ島では、まず第2次世界大戦の時に実際に使われていたという潜水艦が展示されている場所に行った。標識に従って海岸線を歩いて行くと潜水艦が見えてきた。回りには何もない。中にも入れるとのことだったので、恐る恐る入り口をのぞいてみると、女性が一人で受付をしていた。彼女に10FIM払って中に入る。潜水艦の中に入ったのは初めてだったがやはり狭い。入ってすぐ目の前は小さなベッドが3つ、そして左手(潜水艦の前方)には魚雷があった。右手(潜水艦の後方)はエンジンルームになっていて、さまざまな計器が並んでいる。時間もあまりないので、そそくさと外に出て、もと来た道を戻り、次の船でマーケット広場まで帰ってきた。スオメリンナ島には、他にもフィンランドの沿岸防衛に使われた様々な武器を集めた博物館があったので、行ってみたかったのだが時間がないのであきらめた。
【潜水艦の外観】 【潜水艦内部】 【潜水艦内のベッド】

 スオメリンナ島から帰ってきて、すぐにツアーの集合場所に行ったのだが、バスは既に満員でツアーに参加することができなかった。残念。しかし、2時半に同じ場所から市内観光バスが出ると書いてあったので、これに乗ることにした。所用時間は1時間半で市内の主な観光スポットを回ってくれるらしい。昼食は、マーケット広場の屋台で売っていたおいしそうな揚げパンと、そのとなりのパン屋で買ったパンで済ませた。このところ昼食はこんな感じだ。

 時間になったので集合場所に行き、来たバスに乗り込んで一番前の特等席に座った。ガイドは年配の女性で、英語とフィンランド語(多分)で観光スポットだけでなく、フィンランドについても色々と説明してくれた。

 フィンランドはスウェーデンに約650年、ロシアに約100年支配され、ロシア革命の時に独立した国で、その名残が町のあちこちにある。典型的なのが標識で、必ずフィンランド語とスウェーデン語の両方で書いてある。また、フィンランドでは小学校から英語教育があるそうだ。そのおかげで、皆あれだけ流暢な英語を話すのだろう。いや、それだけではない。元々北欧の人達は語学能力が高いのではないだろうか。フィンランドだけでなく、ノルウェーもデンマークも皆(キオスクのおばちゃんだって)非常に流暢な英語を話すのである(そう言えば新婚旅行で行ったオランダもそうだった)。日本で小学校から英語教育を導入したとして、果たして彼らのように英語が話せるようになるかは疑問だ。

 この観光バスのおかげで、ヘルシンキの概略が把握できたし、途中で岩をくり抜いて作ったテンペリアウキオ教会(別名ロックチャーチ)と、フィンランドの有名な作曲家ジャン・シベリウスを記念した肖像レリーフとモニュメントがあるシベリウス公園の2カ所に停車してくれたのでなかなか良かった。テンペリアウキオ教会にはたくさんの観光客がいたのだが、ちょうど結婚式の最中で、皆中に入れずにたむろしていた(式が終わるのを待って中に入った)。

【テンペリアウキオ教会】 【シベリウスの肖像レリーフ】 【ステンレスパイプのモニュメン】

 観光バスを降りた後、ヘルシンキ中央郵便局に行った。ムーミンの切手を買うためである。が、残念なことに売り切れ。しかし、レターセットと切手がセットになっているものがあったので、これを購入した。まだ夕食には時間があるので、バルト海の眺めがすばらしいというカイヴォプイスト公園に行ってみたが、天気が悪いせいか、眺めはいまいちであった。

 ホテルに戻り、部屋に入ってみると、タオルが取り替えられていないことに気が付いた。フロントに行って文句を言うと、「タオルを下に置いてなかったんじゃないのか?」と言う。確かにタオルはバスルームのドアの内側に引っかけておいた。フロントの説明では、タオルを下に置いていない時は取り替えないのだそうだ。と言うより、下に置いていないということは取り替えなくてもよいという意志表示になるようである。そう言えば下に置いてあった足ふきマットは取り替えられていた。後で分かったのだが、このホテルでは、自然保護のために極力洗剤の使用料を減らそうと、使えるタオルは2回位は使って欲しいと宿泊客に呼び掛けていたのだった。バスルームをよく見ると札のようなものが下げてあり、それに書いてあったのである。そうとは知らずフロントに文句を言ってしまった。。。しかし、どうせならもっと目立つところに書いておくなり、チェックインの時に言うなりして欲しかった。

 夕食はまたホテルのレストランでとった。ずいぶん時間がかかるなと思っていると、ウエイトレスがやってきて、ミスでオーダーが厨房に通っていなかったらしく、もうちょっと時間がかかると言ってきた(本人は端末に入力したオーダーがなぜか消えていたと言っていたが多分入力ミスでもしたのだろう)。お詫びにサラダを持ってきたので許してあげた。

 明日は北欧旅行のハイライト「森と湖クルーズ」。晴れて下さい!


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