-- 2009.03.04 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2017.01.27 改訂
「ダヴィデの星」(又は「ダビデの星」)(※1)について、愈々腰を入れて書くことにしました。しかし、これを書くとユダヤ(※2)についても書かねば為りませんが、それは後回しにします。
当ページを書く切っ掛けは▼下▼の
日本、珍にして奇なる光景(The RARE and STRANGE scene, Japan)
に於いて、07年7月22日に美空ひばりの生誕地(住所:横浜市磯子区滝頭)を訪ねた際に出身校の横浜市立滝頭小学校の校章が、何と「ダヴィデの星」のデザインそっくりだったからです。その事を「珍にして奇なる光景」では07年8月頃に”茶化した記事”を書きましたが、「ダヴィデの星」やそれに関連する事柄をより詳しく別ページに纏めた方が良いと思う様に成りました。それでは早速「珍にして奇なる光景」からスタートします。
尚、当ページは横書きなので引用文の漢数字はアラビア数字に変換しました。
先ず、07年8月頃に”茶化した記事”を書きましたが、「珍にして奇なる光景」に書いた内容を要約して転載します。
左が滝頭小学校の校章(横浜市磯子区滝頭)です。星型の真ん中に「瀧」の字が収まって居ます。「瀧」も「滝」も同じです(←「瀧」を正字、「滝」を俗字と言うのでしょうか(?))。
ユダヤ人の国家であるイスラエルの国旗が右の写真です。「ダヴィデの星」が国旗のド真ん中に鎮座してます。ユダヤ人にとって「ダヴィデの星」は最も神聖にして冒すべからざるマークなのです。「ダヴィデの星」を六芒星(※5)とも言います。
そして私は06年6月24日、即ち伊雑宮(三重県志摩市磯部町上之郷374、平成の大合併(住所は肥大化)で志摩郡→志摩市)の御田植神事(△2のp179、)の日に外宮(三重県伊勢市豊川町)の参道で下の灯籠の写真を撮りました(撮影時刻は午前8:00頃)。
日本の神社の筆頭の伊勢神宮の灯籠には、ユダヤと日本との関係に興味が有る方、更には雑誌『ムー』の愛読者たちを喜ばせる超有名なマーク=天皇家の「十六花弁菊花紋」と「ダヴィデの星」が入って居るのです(左の写真、右に拡大写真)。
私は「十六花弁菊花紋」と便宜的に呼んで居ますが正式には「十六葉八重表菊紋」と呼ぶそうです(△1のp183~184)。
私は由緒深き「伊雑宮の御田植神事」を見る為に、昨日は不味い伊勢饂飩(うどん)を食って伊勢市に泊まり、今日は朝早くから外宮と伊雑宮に来たのです。尚、私は06年1月20日にも伊雑宮に来て居り、それは御田植神事を獲る為の下準備だった訳です。
「伊雑宮の御田植神事」の事は未だどのページにも書いてませんので簡単に紹介します。06年6月24日は好天でした。私は伊雑宮(近鉄志摩線の上之郷駅)に10:30頃に寄り、御田植神事の会場に10:38頃に着きました。
ここ志摩は古くから海女(あま)(※7)で知られた地です。従って「伊雑宮の御田植神事」は農民の田植え祭と、漁師たちの行事が重ねられて居ます。
初めは農民たちの田植え祭で始まり(10:45頃、左の写真)、それが済むと11:10頃に漁師たちの勇壮な「泥んこ祭り」が始まります。この祭では大漁旗(「太一」(※8)と書いて在ります)が漁師たちに依って倒されます(右の写真は旗が倒れる瞬間です、11:30頃)。
その後で5、6歳の女児が可愛らしく舟に乗って御田植え祭の田圃に登場し(11:57頃、左の写真)、祭が終わると中学生位の女の子が「振る舞い酒」を注いで呉れるのです、私も2杯戴きました(12:08頃)。12:50頃に磯部神社(志摩市磯部町恵利原1270、近鉄志摩線の磯部駅)に寄って、この地を後にしたのです。因みに磯部神社の灯籠にも「十六花弁菊花紋」と「ダヴィデの星」が在りました。
↑
女児
私は大阪の住吉大社の御田植神事は既に発表して居ますが、この「伊雑宮の御田植神事」の事も何時か書こうと思っているのですが、未だ果たせて居ません。写真もビデオも撮って在るのですが...(>_<)。
ところで「伊雑宮の御田植神事」など「ダヴィデの星」に関係無いではないか?、とお思いの方が居られると承知して居りますが、文化を理解するという事は色々な角度から見なければ為りません。実は関係が有るのです(→後で解ります)。
という事で、「ダヴィデの星」について書いて行きますので、乞う御期待!
当ページを書く切っ掛けに成ったのは冒頭に記した様に「日本、珍にして奇なる光景」ですが、実は「ダヴィデの星」について初めて書いたのは2003年暮れの
阪堺電車沿線の風景-大阪編(Along the Hankai-Line, Osaka)
に於いてです。
この時は大阪の安倍晴明神社(大阪市阿倍野区阿倍野元町)から採った安倍晴明(※9~※9-4)の紋を載せました(左の写真)。ご覧の様に五芒星(※5-1)です。この紋は晴明桔梗(※6)と呼ばれて居ます(右の写真、△1のp265)。
安倍晴明は平安時代の陰陽師(※9-1)です。私は前から思っていたのですが,
彼が生きた時代は紫式部(※10)と重なります、即ち晴明(921~1005年)に対し紫式部(970年代~1010年代)です。尤も晴明は「従四位の下」なので殿上に上がれなかったの、中宮彰子に仕えていた女房とは接点は無かったのかも知れません。
古代~平安時代は暦を確定する事が最も重要な仕事で天文道(※9-3)は暦の基礎学問でした。晴明は天文道に優れて居り土御門家の祖に成りましたが、陰陽師とは如何にも”怪しい”ですね。実際、中世に成ると公家から武家に政権が移ると陰陽師は敵対する相手を呪(のろ)う術(←呪詛/呪禁/呪術など)を使う様に成り、陰陽師は表の世界から裏の世界の住人と成り、やがて賤視されて行きます。
◆五芒星の不思議
晴明が晴明桔梗の紋(=五芒星)を使う様に成ったかは定かでは有りませんが、五芒星は先ず一筆書(※5-2)が出来、
右上の写真が社殿に掛かっていた神社の表札で、安倍晴明の紋の五芒星(=籠目紋、ペンタグラム(pentagram))が描かれて居ます。ダヴィデの星の六芒星(ヘキサグラム(hexagram))にも通じるこの形は世界共通に「魔除け」(※5-3)の意味が有り、アメリカの国防総省が五芒星の形をしてペンタゴンと呼ばれて居るのもやはり魔除けに由来します。
中国ではダヴィデを「大闢」と漢訳しました。「闢」を大きくすると闢です。「天地開闢」などに使われます。
両性神バフォメット(Baphomet)の図を最初に知ったのは鬼才・澁澤龍彦氏の『黒魔術の手帖』(※17、△10のp120)という本です(右下の図)。黒ミサのサバト(夜宴)(※18)を象徴する牡山羊の顔、にも係わらず豊満な乳房、即ち両性具有なのです。そして陰部から2匹の蛇が出ていて魚か蛇の鱗が在る腹部で意味有り気なポーズを取り、何よりも額に在る五芒星が他を睥睨して居ます。
この図はエリファス・レヴィという魔術研究家がオカルト学(※22)の金字塔である『高等魔術の教理と祭儀』(1856年)で発表した、オカルト学では大変有名な図なのです(△10-1のp303)。著者は図の下部に「ELIPHAS LEVI DEL.」と自分の署名を書いて居ます。
澁澤の『黒魔術の手帖』には「黒ミサの起源は、一般に中世フランスの南部にひろまり、12世紀の終わりごろ法王グレゴリオ9世の命によって鏖殺された、キリスト教異端アルビ派から出ていると言われているが、はたしてこのアルビ派がどの程度、実際に悪魔礼拝にふけっていたかについては、たしかな証拠はない。エリファス・レヴィの意見によれば、アルビ派とは、善悪二元論を信じるゾロアストル教の頽廃した形だそうであるが、しかし、この一派は、一名純潔派といわれている通り、きわめて厳格な戒律をもった、禁欲的な集団だったことも事実のようである。また、キリストの化肉や十字架の象徴を認めないグノーシス的な聖堂騎士団の流れも、古くから両性神バフォメットを崇拝し、黒ミサ的な秘儀を行っていたと信じられている。」と書いて居ます(△10のp121から122)。
この文だけでは少々解り辛いですが、その前の章に「ところが13世紀も中葉になると、ドイツで妖術を研究したという法王グレゴリオ9世が、異端アルビ派の撲滅のためにインキジション(宗教裁判所)(※19~※19-3)というものを設けて、あらゆる背教者、異端者、妖術使に対して苛酷きわまりない火刑台を用意するまでになった。もっとも、このインキジションがもっぱら妖術迫害に大車輪の活躍をするようになるのは、16、17世紀のことであるが、ともかく中世1千年間を通じて悪魔の魅力の増大したこと、まさに燎原の火のごときものがある。グレゴリオ9世の大勅書には、妖術使たちのサバト(夜宴)(※18)の模様が、じつに詳細にわたって論じてあった。」(△10のp103~104)と在り、これで意味が通じる様に成ります。
『オカルトの図像学』に拠ると「大悪魔の像は、19世紀の著名なオカルティスト(編者注:エリファス・レヴィを指す)が描いたものだが、この人物は、大魔王の額の星もいにしえの産物であることを熟知していた。じっさいこの五芒星は、エジプトの象形文字でも神と霊力のシンボルとして使われているし、後世のオカルトの教えでも、純粋と霊性を示す肝心かなめのシンボルのひとつになっている。...<中略>...この像全体が諸々の逆転状態を題材にしているのである。例を挙げると、図には三日月がふたつある。ひとつは白、もうひとつは黒だ。また悪魔の陰部から上へとさかのぼる2匹のヘビも、1匹は白、1匹は黒、といった調子である。このぎゃくにするという発想は、大悪魔イコールさかさまの神という、サタン(※19-4)に関する重要なコンセプトとリンクしている。」と在ります(△10-1のp301~302)。
私の持っている『黒魔術の手帖』(△10)、『悪魔の辞典』(△10-2)には右上のバフォメットの図が表紙デザインに使われていて、斯様にこの図は名高く何よりもインパクトが在るのです。
『高等魔術の教理と祭儀』(或いは『高等魔術の教義と儀式』)は正に『世界の奇書』(△14のp171~174)に相応しい内容です。
ところで、黒魔術とか黒ミサとかいう言葉が出て来ますので、ここで魔術学の初歩を紹介しましょう。
[ちょっと一言] 澁澤龍彦著の『黒魔術の手帖』は私の座右の書です。この本で大体の所は理解出来る筈ですが、他には【参考文献】(△11~△11-2)を挙げて置きます。上のバフォメットの図は△11のp37、△11-1のp265にも載って居ます。
まぁ、白魔術は害の無い魔術、黒魔術は使い方を誤ると害を及ぼす魔術、と一般に思われて居ますが、魔術の場合「白ネコと黒ネコ」を分ける様には単純では無いのです。
この様に西洋でも中世に魔女(※19-5)とか黒魔術が出現しますが、近世後期には賤視されて行きましたので、日本と同じプロセスを辿って居ます。
ところで、最近は「魔女狩り」ならぬ”言葉狩り”が横行して居ますね。その事は当サイトのコンセプトにも謳って在ります。
{この章は2017年1月27日に最終更新}
ユダヤ教とイスラム教は似ている▼
昆明の「清真」通り('Qingzhen' street of Kunming, China)
斎宮
{この章は2015年9月23日に追加、2017年1月27日に最終更新}
【脚注】
※1:ダヴィデ/ダビデ/ダヴィド/ダヴィッド(David)は、(ヘブライ語で「愛された者」の意)イスラエル王(生年は不明、在位前1011頃~972頃、或いは在位前997頃~966頃)。初め牧童であったが、初代の王サウルに愛され(←「愛された者」と呼ばれる所以)、その後を受け、近隣の諸国を征服併合、エルサレムを陥れて首都としイスラエルを統一。その統治は北はダマスカスから南は紅海に及び、その子ソロモン王と共にイスラエルの最盛期を作る。後年、理想的な王と目され、メシア思想に結び付けられ、イエス・キリストはダヴィデの子孫とされた。ダヴィデはキリスト教美術や文学に繰り返し登場し、ミケランジェロのダヴィデ像はその代表例。又、旧約聖書「詩篇」の多くの作品の作者とされて来た。<出典:一部「世界史のための人名辞典」(山川出版社)より>
※1-1:ソロモン(Solomon)は、イスラエルの王(在位前961頃~922頃、或いは在位前971頃~932頃)。ダヴィデの子。隣国エジプト王の娘と結婚して同盟を結び、理財に長じ、通商に依って莫大な利を得、盛んに建築工事を行なった。その奢侈は「ソロモンの栄華」と謳われたが、民は重税に苦しんだ。又、晩年には多神教が移入され偶像崇拝で混乱を招き、王の没後、遂に国家は南北両国(=北のイスラエル王国と南のユダ王国)に分裂。ソロモンは博識で知られ、旧約聖書「雅歌」の作者に擬せられている。<出典:一部「世界史のための人名辞典」(山川出版社)より>
※2:ユダヤ/ユデア(猶太、Judea)は、広義にはパレスティナ全土、狭義にはパレスティナ中部のエルサレムを中心とする古代ユダ王国の地。→イスラエル。
※2-1:イスラエル(Israel)は、(yisrael[ヘブライ]は「神と争う者」の意)
[1].旧約聖書に見えるヤコブとその後裔たる12部族の総称。パレスティナの南東方荒地に起り、前千数百年頃エジプトに居住した人々で、モーセに導かれてエジプトを出、カナンの地に至り、前1250年頃サウルに依ってヘブライ王国を建設、前926年(=ソロモン王の時)、北のイスラエル王国と南のユダ王国とに分裂。イスラエルは前722年に、ユダは前586年に滅亡、バビロン捕囚の体験を経て、イスラエルの宗教はユダヤ教として発展。
[2].シオニズム運動の結果パレスティナに流入したユダヤ人が1948年イギリスの委任統治終了と共に建設した共和国。この国家の存在は、中東紛争の中で焦点と成っている。首都はエルサレム(国際的には未承認)。公用語はヘブライ語とアラビア語。面積2万1千㎢。人口555万(1995)。
※2-2:エルサレム/イェルサレム(Jerusalem)は、パレスティナの中心都市。1949年ヨルダンとイスラエルに依って東西に分割、67年イスラエルは東エルサレムを占領し併合を宣言。イスラエル国は1980年同国の首都としたが国際的には未承認。ユダヤ教/キリスト教/イスラム教の聖地。人口57万3千(1994)。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※2-3:パレスティナ/パレスチナ(Palestine, Palestina[ラ])とは、西アジアの地中海南東岸の地方。カナンとも称し、聖書に見える物語の舞台。第一次大戦後、オスマン帝国からイギリス委任統治領。以後、シオニズムに拠るユダヤ移民が進展。1948年イスラエル独立と共にイスラエルとヨルダンとに分割されたが、67年イスラエルはヨルダン川西岸地域とガザ地区を占領。パレスティナ人に依る国家建設運動も盛ん。
※2-4:シオニズム(Zionism[英], sionisme[仏])は、パレスティナにユダヤ人国家を建設しようとする運動。19世紀末に興起し、1948年イスラエル国家を実現。シオン主義。
※2-5:シオン(Zion[英], Sion[ラ・仏])は、エルサレム市街の丘の名。ダヴィデ王の城や墓が在る。転じてエルサレムの雅名。シオニズム運動の象徴。シオンの丘。
※3:ヤハウェ/ヤーウェ/エホバ(Yahweh)とは、(「私は現存する者」の意)「旧約聖書」のイスラエルの神で天地創造神。出エジプトに於いて初めてイスラエル民族の前に現れ、シナイ山でモーセを通じてイスラエル民族と契約を結んだ。万物の創造主で、宇宙の統治者。上帝。天帝。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※3-1:モーセ/モーゼ(Mosheh, Moses)は、ヘブライ人の指導者。前14世紀頃エジプトに生れ、ヤハウェに拠り苦役の同胞を率いてエジプトを脱出(出エジプト記)、シナイ山に於いて神と民との契約(=旧約)を仲保し、律法を民に与え、約束の地へ導いた。モイゼ。「モーセの十戒」で有名。
※3-2:モーセの十戒(―のじっかい、Decalogue, Ten Commandments)とは、〔宗〕神がシナイ山でモーセに与えたという10ヵ条の掟(おきて)。「わたしをおいてほかに神があってはならない」以下、殺人・姦淫・盗み・偽証・貪欲等を戒めたもの。「十誡」とも書く。(旧約聖書出エジプト記20章)。
※3-3:モーセの律法(―のりっぽう、Torah, Law of Moses)とは、〔宗〕ユダヤ教で、神から与えられた宗教上/生活上の命令や掟。モーセの五書を指し、広義には口伝のものも含める。キリスト教は律法の替わりに福音(Gospel)を説く。
※3-4:モーセの五書(―ごしょ、Pentateuch, Five Books of Moses)とは、旧約聖書巻頭の5書、即ち「創世記」「出エジプト記」「レヴィ記」「民数記」「申命記」のこと。モーセの著作と言われてこう呼ばれたが、実際は幾つかの資料の編集されたもの。
※3-5:律法宗教/律法教(りっぽう[しゅう]きょう、Law religion)とは、所定の律法、又は戒律を遵守することを中心とする宗教。代表的なものはユダヤ教とイスラム教。
※4:ヘブライ(希伯来、Hebraios[ギ])とは、他民族がイスラエル民族を呼ぶのに用いた名称。ヘブリュー(Hebrew)。
※4-1:ヘブライ語(―ご、Hebrew)は、ユダヤ民族に依って用いられている言語。アフロ・アジア語族中のセム語派西北セム語群の一。古代ヘブライ語は前9世紀~1世紀にパレスティナで用いられ、旧約聖書はこれで書かれた。ユダヤ人のバビロン捕囚以後、日常語としてのヘブライ語は衰退するが、1948年イスラエル建国とともに現代ヘブライ語として復活し、公用語に採用。綴りの方向は左進み。
※4-2:ヘブライズム(Hebraism)は、ヘブライ人の思想/文化。ユダヤ教/キリスト教の思想の基を成す。ヘレニズム(Hellenism)と共にヨーロッパ思想の源流の一。
※4-3:旧約聖書(きゅうやくせいしょ、The Old Testament)とは、(「旧約」という名称はキリスト教からの呼称で「イエスが現れる前の神との契約書」の意。)元来はヘブライ語で書かれたユダヤ教の聖典。キリスト教徒に依っても受け継がれ、新約聖書と区別してこう呼ばれた。古代イスラエル史、モーセの律法、詩篇、預言者の書などを含む。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※4-4:ユダヤ教(―きょう、Judaism)は、イスラエルに興った啓示宗教の一。モーセの律法を基礎として唯一神ヤハウェを信奉し、イスラエルの民の為に神の国を地上に齎すメシアの来臨を信ずる。バビロン捕囚以後に教団として発達し,BC6世紀末に成立。今日もユダヤ人の多くはイスラエルや世界の各地で、この信仰伝統に生きる。聖典は「旧約聖書」の他、律法・教訓・慣習などを5世紀末迄に集大成した「タルムード」。
※4-5:タルムード(Talmud)とは、(ヘブライ語で、学習/研究の意)ユダヤ教でモーセの律法に対して、未だ成文化せず十数世紀に亘って口伝された習慣律をラビ達が集大成したもので、A.D.4~6世紀迄に成立。本文であるミシュナ(Mishnah)、その注釈であるゲマラ(Gemara)の2部から成り、広くユダヤ民族の社会生活を物語る。エルサレム(又はパレスティナ)・タルムード(4世紀末)とバビロニア・タルムード(5世紀末)とが在る。「旧約聖書」に次ぐユダヤ教徒の基本文献。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※4-6:ラビ(rabbi)とは、(ヘブライ語で「我が主人」の意)ユダヤ教の教師の敬称。
※4-7:一神教(いっしんきょう、monotheism)は、ユダヤ教/キリスト教/イスラム教の様に、唯一の神を信仰する宗教。唯一神教。←→多神教。
これに対し、複数の神が在る中で1つの神だけを信仰する場合は、拝一神教(monolatry)と言う。古代イスラエルのヤハウェ信仰など。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※5:六芒星(ろくぼうせい、hexagram)は、六角の星形。二つの正三角形を組み合わせたもので「ダヴィデの星」としてユダヤ教のシンボル。「ソロモンの六芒星」も在る。日本では籠目模様として知られる。汎世界的に「魔除け」の意味が有る。
※5-1:五芒星(ごぼうせい、pentagram)は、五角の星形。一筆書きの、古くから神秘的図形とされ、六芒星と同じく「魔除け」にも用いられる。日本では安倍晴明の呪符。
※5-2:一筆書(ひとふでがき、draw with a single stroke of the brush)は、この場合、線描きの図形を、同じ線を二度以上通らず紙面から筆を離さないで書くこと。又、その書き方。線が分岐する点は、線の数が偶数の時に偶点、奇数の時に奇点と言い、奇点が2以下であれば一筆書きが出来る。L.オイラー -スイスの数学者(1707~1783)- がドイツのケーニヒスベルク(現ロシア領)を流れるプレーゲル川に架かる7つの橋を一度ずつ渡る問題から、この原理を考えたと言われ(Euler's
path)、後にトポロジー(位相幾何学)が生まれる切っ掛けと成った。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※5-3:魔除け(まよけ、talisman to protect one from evil)は、悪魔を避ける為の物。お守り。護符。「―のお札」。
※5-4:籠目/篭目(かごめ)は、籠(多くは竹籠)の編み目。
※6:桔梗(ききょう)は、[1]Chinese bellflower。キキョウ科の多年草。東アジアに分布。夏秋の頃、茎の先端に青紫色、又は白色の美しい5裂の鐘形花を開く。果実は蒴果(さくか)。山地/草原に自生し、秋の七草の一。根は牛蒡(ごぼう)状で太く、乾して生薬の桔梗根とし、去痰や鎮咳薬。古名、おかととき(桔梗)。きちこう(桔梗の異称)。季語は秋。源氏物語手習「女郎花・―など、咲き始めたるに」。
[2].襲(かさね)の色目。きちこう(桔梗)に同じ。
[3].紋所の名。キキョウの花に象ったもの。桔梗/細桔梗/桔梗崩し/八重桔梗/晴明桔梗など。
※6-1:襲の色目(かさねのいろめ)とは、[1].衣の襲(かさね)の色合い。女房の表着(うわぎ)/五衣(いつつぎぬ)/単(ひとえ)などの重なった色合い。
[2].直衣(のうし)/狩衣(かりぎぬ)/下襲(したがさね)などの表裏の地色の配合。紅梅/桜/桔梗など、季節に依って着用する色が一定していた。
※7:海女(あま/あまめ、woman diver)は、この場合、海に入って貝/海藻などを獲る女性。季語は春。「真珠取りの海女(あま)」。万葉集3「潮干の三津の海女(あまめ)のくぐつ持ち」(一説に、「海女」をアマと訓む)。
※8:太一/泰一/太乙(たいいつ)とは、[1].中国古代思想で、天地/万物の出現、又は成立の根元。宇宙の本体。天帝。天皇大帝。
[2].道教で、天を主宰する神の名、又はその天神の常居と考えられている星、即ち太一星。
※9:安倍晴明(あべのせいめい)は、平安中期の陰陽家(921~1005)。子孫は陰陽道を以て朝廷に仕え土御門家と称した。良く識神(しきがみ)を使い、有らゆることを未然に知ったと伝える。伝説が多い。著「占事略決」。
※9-1:陰陽師(おんみょうじ)とは、陰陽寮に属し、陰陽道に関する事を司る職員。中世以降、民間に在って加持祈祷を行う者の称。
※9-2:陰陽道(おんみょうどう)とは、古代中国の陰陽五行説に基づいて天文・暦数・卜筮・卜地などを扱う方術。大宝令に規定が在り、陰陽寮が置かれたが、次第に俗信化し、宮廷・公家の日常を物忌・方違えなどの禁忌で左右した。平安中期以後、賀茂・安倍の両氏が分掌。
※9-3:陰陽寮(おんみょうのつかさ、おんみょうりょう)とは、律令制で、中務(なかつかさ)省に属し、天文・気象・暦・時刻・卜占などを司った役所。陰陽頭の下に、陰陽博士・暦博士・天文博士・漏刻博士などで編成。うらのつかさ。
※9-4:陰陽博士(おんみょうはかせ)とは、陰陽寮に属し、陰陽道を学生に教授した教官。
※10:紫式部(むらさきしきぶ)は、平安中期の女房。生没年未詳(生年は970年代、没年は1010年代か)。藤原為時の女(むすめ)。女房名は藤式部、後に紫式部。源氏物語の「紫の上」と父の官位「式部丞」に由る名と言う説が有力。学者の父の影響で漢詩文の素養が有った。藤原宣孝(のぶたか)に嫁したが、間も無く死別。後、上東門院(一条天皇の中宮彰子)に仕え、その間、道長他の殿上人から重んじられた。中古三十六歌仙の一。著作は「源氏物語」の他、「紫式部日記」「紫式部集」など。<出典:一部「日本史人物辞典」(山川出版社)より>
※14:黄金数(おうごんすう、golden number)とは、〔数〕外中比(又は黄金比)を与える数のこと。(root(5)+1)/2(≒1.618)、又はその逆数(≒0.618)。→黄金分割。
※14-1:黄金分割(おうごんぶんかつ、golden section)とは、1つの線分を外中比に分割すること。即ち、下図の線分(長さ:a+b)を
a:b = b:a+b に成る様に分割すること。
<---- a+b ------>
───+─────
<- a -><-- b --->
この比は結局 (root(5)-1)/2:1 = 0.618:1 = 1:1.618 という値で黄金比と言われる。長方形の縦と横との関係など安定した美感を与える比とされ、古代ギリシャ以来研究され特にルネサンス絵画の構図決定に重用された。
※14-2:外中比(がいちゅうひ、outward-inside ratio)/黄金比(おうごんひ、golden ratio)とは、〔数〕二つの量a、bに対し
a:b=b:(a+b)
が成り立つとき、この比を外中比(又は黄金比)と言う。その値は(root(5)+1)/2(≒1.618)に等しい。中末比。→黄金分割。
※17:澁澤龍彦/渋沢龍彦(しぶさわたつひこ)は、仏文学者・評論家・小説家(1928~1987)。本名、龍雄。東京生れ。東大卒。マルキ・ド・サドを中心に仏文学の翻訳・研究や評論に活躍。訳「悪徳の栄え」。
※18:サバト(Sabbath[ヘブライ], sabado[葡], sabbat[蘭])とは、〔宗〕[1].安息日。
[2].魔女信仰で扱うサバトとは、この場合、安息日の訳語を借りているが、年に数回在るとされる魔女の夜宴を指す。元々は大地の神に豊穣な実りを祈る農耕儀礼で在ったが、中世にキリスト教から異端視(←中世~近世初期の”魔女狩り”は有名)され、次第に魔女や悪魔崇拝の様相を帯びて行き、遂には乱交パーティーと化した。現在のハロウィンやクリスマスはサバトと同一起源の農耕祭である。魔女の夜会。魔宴。
※19:宗教裁判(しゅうきょうさいばん、inquisition[ラ])とは、異端審問に同じ。
※19-1:異端審問(いたんしんもん、inquisition[ラ])とは、13世紀以降、カトリック教会で、異端者の摘発と処罰の為に設けた裁判制度。ローマ教皇直属の機関で、徹底した密告制度と拷問を伴う尋問を特色とした。後、プロテスタントも採用。→魔女狩り。魔女裁判。
※19-2:魔女狩り(まじょがり)とは、[1].witch hunt。中世から近世初期のヨーロッパで、諸国家と教会とが異端撲滅と関連して特定の人物を魔女に擬し、これを糾問する魔女裁判を行い、焚刑に処したこと。17世紀前半が全盛期。→魔女裁判。
[2].比喩的に、異端分子と見なす人物に対して権力者が不法の制裁を加えること。
※19-3:魔女裁判(まじょさいばん、Trial for Witchcraft)とは、「魔女」に対する裁判。13世紀以降のヨーロッパに現れ、特に宗教戦争が続いた16~17世紀に盛んに行われた。魔術を使う悪魔の手先とされた魔女は、男性をも含み、異端者を扱う教会の宗教裁判所に依って組織的に魔女狩りが行われ、残虐な拷問で自白を強要して火刑に因る処刑が行われた。→魔女狩り。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※19-4:サタン(Satan)は、(聖書で敵対者の意から)悪魔。魔王。「旧約聖書」では、エデンの園でヘビに化けてイブを誘惑して原罪を犯させ、又荒野でイエスを誘惑した。その後もキリスト教史上常に人間を神に背かせる誘惑者/否定者として現れる。神に逆らった大天使ルチフェルなど。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
※19-5:魔女(まじょ)は、[1].sorciere[仏], Hexe[独], witch。ヨーロッパの民間伝説に現れる妖女。悪魔(=サタン)と結託して、魔薬を用いたり呪法を行なったりして、人に害を与えるとされた。具体的には、神を呪(のろ)い、幼児を殺し、空を飛んだり淫行に耽り、秘密の集会(サバト)を開くなどと言われた女性。魔女はゲルマン人の古い精霊信仰に関係が有るとも言われる、中世から近世に掛けて、反キリスト教的存在として弾圧の対象とされた。→魔女狩り。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>
[2].悪魔の様に性悪な女。又、不思議な力を持った女。
※22:オカルト(occult)とは、(ラテン語「隠された」の意)[1].超自然的なもの。神秘的なもの。隠れたもの。
[2].神秘的・超自然的な事柄を研究する一種の擬似科学。ヨーロッパの中世にはキリスト教とスコラ哲学が画一的原理と成った為、全ての異教的なもの・呪術的なものが広大なオカルトの世界を作り、占星術・魔術・悪魔学などを研究する学者が多く現れた。現代では、所謂心霊現象を始め科学的合理主義信仰に反する全てのものがオカルトと呼ばれる。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>
※30:ディアスポラ(Diaspora, Diaspora[ギ])とは、(ギリシャ語「四散すること」の意)[1].離散。
[2].主にヘレニズム時代以降、パレスティナから他の世界に離散したユダヤ人。又、その共同体。
(以上、出典は主に広辞苑です)
【参考文献】
△1:『別冊歴史読本・永久保存版 日本姓氏紋章総覧』(新人物往来社編・発行)。
△2:『神社参拝 ポケット図鑑』(岡田荘司監修、主婦の友社)。
△10:『黒魔術の手帖』(澁澤龍彦著、河出文庫)。
△10-1:『オカルトの図像学』(フレッド・ゲティングス著、阿部秀典訳、青土社)。
△10-2:『悪魔の辞典』(A.ビアス著、奥田俊介・倉本譲・猪狩博共訳、角川文庫)。
△11:『禁書・白魔術の秘法』(エミール・シェラザード著、二見書房)。
△11-1:『禁書・黒魔術の秘法 悪魔学入門』(流智明・混沌魔術研究会「青狼団」著、二見書房)。
△11-2:『エピソード魔法の歴史 黒魔術と白魔術』(G.ジェニングズ著、市場泰男訳、現代教養文庫)。
△14:『世界の奇書 総解説』(自由国民社編・発行)。
△19:『神道の本(八百万の神々がつどう神秘的祭祀の世界)』(学研編・発行)。
●関連リンク
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