2008年・大阪城の躑躅
[5月の花]
(Azalea of Osaka castle, 2008)

−− 2008.04.24 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2008.04.27 改訂

※注意:このページは写真が多く、読込みに時間が掛かります。
★−−−暫くお待ち下さい(Wait a minute)−−−★

 ■はじめに − 好天の日に”一発撮り”

 日本の春は2月の、3月の、4月初めの −何れもバラ科サクラ属− と続きます。これらは既に[春を告げる花]シリーズとして以下の三部作を特集しました。
  2月の花 − 梅:「2003年・大阪城の梅便り」
  3月の花 − 桃:「大阪城の桃の花」
  4月の花 − 桜:「日本全国花見酒」

 そして桜花が散り葉桜に変わる頃から躑躅(つつじ)が咲き始め、初夏の5月末頃迄咲き誇ります。そこで今回は[5月の花]として躑躅を特集しようと思い立ち好天の08年4月22日に躑躅を撮影に行きました。1日で撮影を完了して仕舞う魂胆なので彼方此方(あちこち)には行きません、「私の庭」として勝手知ったる大阪城公園のみの”一発撮り”です。私は別に躑躅に詳しい訳では無いので、例に依って花の色と形で大雑把にグルーピング(grouping)して区分して居ます。各種のツツジについては末尾の「参考資料」を参照して下さい。

 この日は大阪城公園西南端の馬場町側入口から入り南外濠の外側をぐるっと回り玉造口から二の丸を通り楼門(ろうもん)から天守閣の在る本丸に入り、本丸を徘徊した後で楼門から再び二の丸に出て元来た道を途中迄引き返し、途中で北に折れて坂を下り梅林脇を通って北内濠の北側の林に寄って京橋口から出ました。お解りですか?!、ここで大阪城[公園]の地図をご覧下さい。
 →大阪城の地図を見る(Open the map)

 このコースの途中何箇所かに毎年躑躅が咲くことを私は知って居るのです、何しろ「私の庭」ですから。この日も何時も通りチャリンコで巡りました。今回はこのコースの順に大阪城の躑躅をご紹介して行くことにします。
 「参考資料」に在る様に、躑躅の花は漏斗状で先が5裂し、雄蕊(おしべ)は5本又は10本です。雄蕊の数は名前を特定する際にも重要な要素なので、大写しの花冠の写真を掲載しますので良く観察して下さい。

 ■大阪城を一回り

 (1)南外濠の外
写真a1:大阪城公園内を運行するロードトレイン。
 大阪城公園を馬場町側入口から入り外濠の外(南側)を東に進み教育塔を過ぎると桜が植えられた公園が見えて来ます。3月末から4月上旬は桜一色と成る所で現在は観光用のロードトレイン(右の写真)が走って居ます。
 上の写真の右端を更に右(=南)に行くと、一般には余り知られて居ませんが小さな池が在ります。この池は大阪城公園の最南部に位置しトンボやチョウが飛来する場所として既にご紹介済みですが、この池の周囲に白や薄桃色や赤紫の躑躅が毎年沢山咲きます。木の高さは大体1〜1.5m位です。

 そんな中の一つが左の白地で中央が紅色の躑躅で、ほぼ実物大です。
 右は中心部の拡大で、花柱を太く長く上に湾曲させた雌蕊の周囲に10本の雄蕊を確認出来ますね。
 この池の少し東側に周囲より整備の行き届いた小公園風の場所が在り、そこに樹高30cm位の真紅の躑躅(下の2枚の写真)が植えられて居ました。花は非常に小形で、左下がほぼ実物大です。流石に他の躑躅よりも大事に扱われて居る風で、キリシマツツジ(霧島躑躅)と書いた立て札が在りました。右下は実物の2倍位で5本の雄蕊葉の光沢を確認出来ます。それにしても実に鮮やかな色です。

 (2)玉造口近くの二の丸 − 躑躅と城と八重桜で花見は如何

 そして城の南東を回り込み玉造口から二の丸に入り西に少し進むと、ここにも高さ1m位の木に薄桃色や白や赤紫の躑躅の花が咲いています。ここから北西の方角を仰ぎ見れば躑躅の背後に城を望むことが出来(左下の写真)、ご覧の様に”解り易い”写真が撮れます。右下は左下の天守閣の拡大です。



 そして躑躅の上方には遅咲きのヤエザクラ(八重桜)が満開の花を付けて居るのがチラと見えて居ますね。そこで躑躅と競う様に咲いていた八重桜(右の写真)も載せて置きます。
 この季節(=4月下旬)この八重桜の下で城の遠景と間近な躑躅を見乍らの花見酒は中々乙な趣が有ります。人混みと喧騒の中の花見に飽きた”上級者”の方は一度お試し下さい。



 ここでは赤紫の躑躅の花(左の写真)を大写しで見て戴きましょう。
 中心部を拡大したのが右の写真ですが雄蕊は10本です。

 この様な赤色が濃く少し紫色の混ざった色の躑躅を見ると私は御在所岳のアカヤシオを思い出します。そのページは▼下▼からご覧下さい。
  2005年・アカヤシオ咲く御在所岳(Mt. Gozaisho surrounded by azalea, Mie, 2005)

 (3)本丸


 花見気分を味わったら出発です。西に進み豊国神社を遣り過ごし、城の真南に在る上り勾配の橋を渡って内濠を越えて楼門を潜れば本丸です。楼門からは右の写真の様に天守閣を覗き見ることが出来ます。
 さぁ、皆さんも一緒に楼門を潜って下さい。

 本丸に入ると直ぐに右手(=東)に旧市立博物館のレトロな建物が見えて来ます。観光客が多い本丸を見渡すと彼方此方に躑躅が咲いて居ますが、今迄見て来たのと同じ花です。そこで本丸南西に位置する池の在る日本庭園(=紀州御殿跡)に行って池の向こうを見たら在りました、朱色の躑躅(下の2枚)です。
 私は池の向こう側に行きました。左下が樹高1m位の木で池の向こう側に旧市立博物館が見えています。右下が小形の花冠(ほぼ実物大)で花弁の先が丸く雄蕊は5本です。それにしても炎の様な朱色が実に見事ですね。



 上の朱色の躑躅の近くの赤紫の躑躅の漏斗状の花の奥で蜜を吸うミツバチ(蜜蜂)で、実物の約3倍です。蜜蜂は小さく中々じっと静止しないので、この写真を撮るのは苦労しました。ミツバチの陰で全部見えませんが、これも雄蕊は10本です。
 こうして中央に雌蕊に受粉する訳ですね。
 

 (4)北内濠の北側の林

 本丸の後は北内濠の北側の林に行きます。徒歩であれば本丸の天守閣の西を北に突っ切り、石段を降りて山里丸を抜け極楽橋を渡るのが近道です。私はチャリなので、入って来た楼門から出て元来た道を玉造口方面に戻り、途中で北に折れて坂を下り梅林脇・青屋口脇を通って城の北に回り込み極楽橋迄向かいます。極楽橋から先は徒歩でもチャリでも一緒で少し右に進めば右手に林が見えて来ます。
 ここは北内濠と北外濠に挟まれた場所即ち未だ城内で、外濠に接した所には唯一の三層の櫓(他は全て二層)として知られた伏見櫓 −1945年の大阪大空襲で消失− が外濠に張り出して居た所です(△1のp67)。
 この林の中は当然の事乍ら薄暗いですが、良く手入れされベンチが置かれ、特に夏は木陰が涼しく人も余り来ないので本などを読むには良い場所です。そして春と秋には色々な花が咲き、良く見ると少し珍しい花々を幾つも見ることが出来ます。そして、これからご紹介する様に躑躅も珍しい種類が在るのです。

 下の3枚は橙色の躑躅です。左下が樹木全体で高さは1.5m位。
 右下がほぼ実物大の花冠。


 右上の写真の中央を拡大したのが右の写真ですが、5本の雄蕊が確認出来ます。
 

 下の2枚も橙色の躑躅ですが、上のものとは少し違う様です。樹高はやはり1.5m位で、大写しの花冠はほぼ実物大で5本の雄蕊が見えて居ます。


 下の2枚は黄色の躑躅 −黄色は珍しい− で、左下の樹高は1.2m位。
 右下が花冠(ほぼ実物大)で雄蕊は5本です。

 下の2枚白の躑躅です。樹高は低く40cm位です。右下の花冠(ほぼ実物大)を良く見て下さい。実は花弁の先が10裂(?) −10裂とは奇妙、5裂の筈です− の様に見え、雄蕊は10本です。
 樹高が低く花も小形で目立たず密やかですが、良く見ると実に優雅な趣が有り、私は好きですね。


 花弁の先が10裂とは奇妙な、と思った私は好天の4月25日に再度ここに来て実物をじっくりと観察したら、やっと解りました。花弁が二重に成っているのです!
 通常の5裂の花弁が二重に成り、5裂の花弁の先が互い違いにずれて居る為に正面から見ると10裂して居る様に見えたのです。右上の実物大の写真(4月22日撮影)を2倍に拡大したのが左下の写真ですので、良く見て下さい。
 ところで、ここに来てもう一つ発見をしました。この優雅で小さな花を良く見ると、花弁が二重で全く同じ様に見える花に雄蕊の数が5本と10本の2種類が在ることが解りました。その雄蕊が5本の白い二重躑躅をご覧戴きましょう、右下がそれで4月25日に撮影したものです。左下と同じく実物の約2倍ですので、左右を良く見比べて下さい。右下の写真は花弁の二重の構造が解り易い様に花の正面からでは無く斜め横から撮りました。

 下の2枚はピンク(桃色)の躑躅です。

 左が樹木全体で高さは1m位。花を良く見ると幾つもの花冠が一塊に成って居るのですが、遠くから見るとその塊が大きな一つの花の様に見えます。こういうのを合弁花(又は合弁花冠て言うんですね。



 しかし右の実物大の写真を見ればお判りの様に、多数の花冠が球形に寄り集まって居ます。1つの花冠の雄蕊は10本です。
 

 下の2枚は花弁の先が白で根元が赤の躑躅で、樹高は1m位です。これも大変珍しいものです。右下が実物大の花冠で真っ直ぐ長く突き出た雄蕊は5本です。漏斗の根元の赤が実に鮮やかです。


 下の2枚は普通の白い躑躅で、左下の花冠はほぼ実物大。右下は中央部の拡大で雄蕊は10本です。

 下の2枚は淡い赤紫の躑躅の花冠(ほぼ実物大)です。雄蕊は10本見えます。




 この林の南西端には既に見た白地で中央が紅色の躑躅が在り、そこに夕陽を浴びてモンシロチョウが2匹花から花へと飛んで居たので10分位見て居たら、到頭躑躅の花に止まって呉れました、その瞬間を逃さず2m位の距離から望遠でパチリ。左の写真は実物大で、花の奥迄夕陽に照らされて居ます。
 蜜を吸っては無く少し翅を休めて居る所です。この後直ぐに飛び立ちましたので、ほんの一瞬の事でした。
 

 (5)西外濠の外

 これで終わりとばかりに私は夕陽が傾く頃に京橋口の枡形(※1)から外濠を越えて城外に出て城の西側の大手前方面に向かいました。ここは大阪城公園の最西部で、ここにも躑躅が沢山植えられて居ますが有り触れた種類ばかりです。そんな中で目を引いたのが下の真紅の躑躅です。
 樹高は70cm位で花は小形で、左下がほぼ実物大です。右下は実物の約2倍で雄蕊は5本です。これは南外濠の外で見たキリシマツツジですね。

 ■躑躅を詠んだ歌

 日本最古の歌集『万葉集』には巻7−1188の

  山越えて 遠津の濱の (いは)つつじ
    わが来るまでに 含(ふふ)みてあり待て     詠み人知らず


がイワツツジ(岩躑躅)を詠んで居ます。又、巻9−1694の

  細領巾(たくひれ)の 鷺坂山の 白つつじ 吾に染(にほ)はね 妹に示さむ
                           詠み人知らず


や、巻10−1905の

  をみなへし さき野に生ふる 白つつじ 知らぬこともち 言はえし吾背
                           詠み人知らず


白躑躅(しらつつじ)を詠んで居ます(△2)。1694の「たくひれの」(※2)は「鷺」や「白」に掛かる枕詞ですが、この歌では「鷺坂山」と「白つつじ」の両方に掛かって居ます。
 平安中期の『古今和歌集』巻11−495には

  思ひいづる ときはの山の いはつゝじ
    言はねばこそあれ 恋しきものを        詠み人知らず


が在ります(△3)。この歌の「ときはの山」は「常磐の山」即ち「常に変わらない岩山」(※3)の意味と「思ひいづる時は、」の意味との両方に掛けた用法で、「思ひいづる ときはの山の」の出出しは同じ『古今和歌集』巻3−148と全く同じです。又、「いはつゝじ」は次の「言はねば...」を言い出す為の導入句の役割を担って居ます(→「参考資料」のイワツツジを参照)。和歌は高度な「言葉遊び」なんですね。
 平安末の西行の歌集『山家集』には

  躑躅咲く 山の岩かげ 夕ばえて をぐらはよその 名のみなりけり
                           西行


という歌が在りますが、これもイワツツジ(岩躑躅)なのでしょうか(△4のp40)。
 以上の様に古人(いにしえびと)は特に岩躑躅と白躑躅を好んだ様です。

 ■結び − ”一発撮り”は難しい

 ”一発撮り”と思って08年4月22日に大阪城公園の中を一回りしましたが、やはり”一発”で仕留めるのは難・し・い!
 白の二重躑躅の様に帰ってから記事を纏めて居る時に成って不明点が出たり写真の不足などが生じるからです。そういう時は再び現地に行けば解決することが多いですが、これが外国だと簡単に再訪する訳には行きません。そういう意味で”一発撮り”の腕を磨くことも私の場合は必要です。
 ところでラン(蘭)やバラ(薔薇)だと、その花に精通しその花だけをターゲットに園芸を楽しんで居る方が大勢居ります −日本人はどうも舶来の高級イメージを追い過ぎますが− が、躑躅と成ると余りそういう話を聞いた事が有りません。街中や小さな公園でも有り触れて見掛けることが出来る躑躅は”身近”過ぎて見向きもされない様に思えますが、こうして躑躅の写真を特集し改めて見ると大阪城公園だけでも随分と種類が在り、それぞれ違った色や形で個性を発揮して居ることが解りました。
 しかし、日本で”身近”で有り触れた存在の躑躅は「県の花」に指定されて居て、例を挙げれば

  静岡県 :ツツジ
  群馬県 :レンゲツツジ
  栃木県 :ヤシオツツジ
  長崎県 :ウンゼンツツジ
  鹿児島県:ミヤマキリシマ
  滋賀県 :シャクナゲ
  福島県 :ネモトシャクナゲ

という具合で意外と多いのです(シャクナゲもツツジ属なのでカウントしました)。まぁ、”身近”ということは”庶民的”というイメージなんでしょう。更に「市の花」「町の花」などにも指定され、マンホール蓋のデザインに採り入れられることも多いでっせ!

 [5月の花]のページを作ろうと思って躑躅にしましたが、”身近”過ぎて誰にも見向きもされない躑躅を採り上げる事は、日頃から「旅は身近な所から」をモットーにして居る私の闘志を掻き立てましたね。

 最後に”一発撮り”を補完する為に大阪城公園を3度目に訪れた日(4月26日)に見付けた躑躅をご紹介しましょう。右が南外濠の外の六番櫓が正面に見える一角に咲いていた濃い赤紫の躑躅です。ほぼ実物大で雄蕊は10本です。立て札にはヒラドツツジと書いて在りました。ヒラドは長崎県の平戸のことです。
 最後迄お読み戴き有り難う御座いました、これにて失礼致します!!

              m(_=_)m  (^o^)/~~~

 ◆◆◆参考資料 − ツツジ(躑躅)について

 躑躅も種類が多く、日本では慣例的にツツジ類とシャクナゲ類に大別して居ます。

 (1)シャクナゲを除くツツジ類

  ●ツツジ/躑躅(つつじ、azalea)は、ツツジ科ツツジ属(シャクナゲ類を除く)の常緑、又は落葉低木の通称。山地に多く自生、又、観賞用として栽培。小枝を多く分岐し、枝・葉には細毛が有る。春から夏に掛け、赤・白・紫・橙色などの大形の合弁花を単立又は散形花序に開く。花は漏斗状で先が5裂する。雄蕊(おしべ)は5、又は10本。日本には約40種が山地に自生。種類が多い。ヤマツツジレンゲツツジサツキ(又はサツキツツジ)など。季語は春。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

   ・花序(かじょ、inflorescence)とは、花が茎、又は枝に付く並び方。或いは花を付けた茎、又は枝。総穂花序集散花序、又は無限花序有限花序とに大別される。

   ・散形花序(さんけいかじょ、umbel)とは、総穂花序の一。主軸の先端から多数の花柄が散出して、傘骨状に拡がって咲く花序。ニンジン/ウド/サクラソウなどに見られる。傘形花序。

  ○ヤマツツジ/山躑躅(やまつつじ)は、ツツジ科の落葉低木。各地の山地に自生。高さ約3m。若枝には褐色の剛毛を有し、葉は楕円形。雄蕊は5本。5〜6月頃、枝頂に2〜3個ずつ朱・紅色の花を開く。園芸品種も多く、花色に紫・白などが在る。季語は春。

  ○イワツツジ/岩躑躅(いわつつじ)は、
 [1].岩間に生えているツツジ。和歌では、「言はず」「言はねば」などを言いだす為に用いる。万葉集7「山越えて遠津の浜の―」。古今和歌集恋「思ひいづるときはの山の―いはねばこそあれ恋しきものを」。
 [2].ツツジ科の落葉小低木。北日本の高山帯に自生。高さ約8cm。葉は膜質で頂部に集合。夏、葉腋に淡紅色の鐘形花を開く。果実は液果で紅熟。食用

  ○レンゲツツジ/蓮華躑躅(れんげつつじ)は、ツツジ科の落葉低木。山地や湿原に生え高さ約1.5m。6月頃に、大形で橙赤・黄、又は赤色の合弁花を蓮華状に付ける。有毒。季語は春。毛吹草2「三月、れんけつつし」。

  ○サツキツツジ/皐月躑躅・五月躑躅(azalea、さつきつつじ)は、ツツジ科の常緑低木。西日本に自生。高さ約30cm。6月頃、枝端に紅紫色漏斗状の5裂の花を開く。古くから観賞用。品種多く、白・絞り咲きなど。又広く、マルバサツキ・シナノサツキや洋種のアザレアを交雑した多くの園芸品種を含む総称。皐月(さつき)。

  ○アザレア(azalea)は、ツツジの園芸品種。中国南部原産のシナノサツキと日本原産のサツキとを交雑したもの。主にベルギーで改良。矮性で花は大形、白・紅色など種々。多くは鉢植にして栽培。高さ30〜50cm。開花は4〜5月。花は大形で八重咲きが多く、色も種々在り鮮やかで美しい。世界には2,000品種、日本には輸入品種・国内育成種を合わせて150品種が在る。セイヨウツツジ(西洋躑躅)オランダツツジ。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

  ○キリシマツツジ/霧島躑躅(きりしまつつじ)は、ツツジ科の常緑低木。庭園に栽培。高さ1〜5m。葉は倒卵形で互生、表面に光沢がある。4〜5月頃散形花序の紅色などの花を付ける。季語は春。

  ○ミヤマキリシマ/深山霧島(みやまきりしま)は、九州の山地に生えるツツジの一種。ヤマツツジより小さく、葉・花は共に小形。5〜6月、紅紫色の花が2〜3個ずつ枝先に開く。果実は卵形で褐色の毛が有る。霧島山を始め阿蘇・雲仙などで大群落を成して有名。園芸品種のキリシマツツジとは別種。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

  ○ウンゼンツツジ/雲仙躑躅(うんぜんつつじ)は、ツツジ科の常緑小低木。伊豆以西の所々に自生。雲仙岳には見られない。枝は繊細で、葉はツツジ属中最小。春、淡紅色又は白色の小漏斗状花を開く。盆栽などに栽培。

  ●ヤシオ/ヤシオツツジは、ツツジ科ツツジ属にし、赤ヤシオ白ヤシオが在る。赤ヤシオはアケボノツツジ(曙躑躅)の変種で白ヤシオはゴヨウツツジ(五葉躑躅)のこと。

  ○アカヤシオ/赤ヤシオは、落葉性で、別名をアカギツツジ(赤城躑躅)。学名には栃木県日光の名が冠せられて居る様に赤城山系や日光や近畿以西の山地に自生し、葉が展開する前に開花するのが特徴。花は5弁で薄紅色。白ヤシオと共にヤシオツツジと総称されることも有り、栃木県の県花

  ○オンツツジ/雄躑躅(おんつつじ)は、ツツジ科の落葉低木。近畿以西・四国・九州の日当たりの良い山地に生え春に赤い花が咲く。和名は木の男性的姿に由来。筑紫赤躑躅


 (2)シャクナゲ類

  ●シャクナゲ/石南花・石楠花(しゃくなげ、rhododendron)は、ツツジ科ツツジ属の常緑低木数種の総称。広くはセイヨウシャクナゲ及びその園芸品種なども含むが、狭義にはアズマシャクナゲ及び西日本のツクシシャクナゲを指す。高山・亜高山に生じ、高さ1〜2m。葉は革質、長楕円形、表面は深緑色で光沢が有り、裏面に淡褐色又は白色の密毛を生ずる。初夏、ツツジに似た5〜7弁の合弁花を多数開く。色は白色、乃至は淡紅色。褐色の毛の有る果実を結ぶ。卯月花。季語は夏。
 補足すると、シャクナゲは葉に毒素(=主にロードトキシン)を含み、摂取すると痙攣、吐き気や下痢、呼吸困難を引き起こすことが有る。

  ○アズマシャクナゲ/東石楠花(あずましゃくなげ)は、ツクシシャクナゲの変種で、本州中部以北に分布し、高さ1〜3m。葉は長楕円形で厚く光沢が有る。5〜6月、直径約5cmの紅紫色で漏斗状の花を付ける。花冠は5裂。群馬県草津白根山の群落は国の天然記念物。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>

  ○ツクシシャクナゲ/筑紫石楠花(つくししゃくなげ)は、本州中部以南に分布し、花冠は7裂。<出典:「学研新世紀ビジュアル百科辞典」>

    (以上、出典は主に広辞苑です)

φ−− おしまい −−ψ

【脚注】
※1:ますがた。城の一の門と二の門との間の広く平らな正方形(又は長方形)の地。ここで敵の進む勢を鈍らせる。

※2:栲領巾(たくひれ)とは、楮(こうぞ)の繊維で作ったひれ領巾(ひれ)。
※2−1:「栲領巾の」(たくひれの)は、「しろ(白)」「さぎ(鷺)」「かけ」に掛かる枕詞。万葉集11「―白浜波の寄りもあへず」。

※3:常磐(ときわ)は、(「とこいわ」の約)
 [1].常に変わらない岩。万葉集5「―なすかくしもがもと思へども」。
 [2].永久不変なこと。万葉集18「大君は―にまさむ」。
 [3].松・杉など、木の葉の常に緑色で色を変えないこと。万葉集20「―なる松のさ枝を」。

    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】
△1:『カラーブックス 大阪城ガイド』(渡辺武・内田九州男・中村司著、保育社)。

△2:『万葉集(上)』(佐佐木信綱編、岩波文庫)。

△3:『古今和歌集』(佐伯梅友校注、岩波文庫)。

△4:『山家集』(西行著、佐佐木信綱校訂、岩波文庫)。

●関連リンク
参照ページ(Reference-Page):大阪城付近の地図▼
地図−日本・淀川、桜之宮と大阪城
(Map of Yodo-river, Sakuranomiya, and Osaka castle, Osaka -Japan-)

補完ページ(Complementary):大阪城の花([春を告げる花#1])▼
2003年・大阪城の梅便り
(Japanese apricot blossoms of Osaka castle, 2003)

補完ページ(Complementary):大阪城の花([春を告げる花#2])▼
大阪城の桃の花(Peach blossoms of Osaka castle)
補完ページ(Complementary):[春を告げる花#3]▼
日本全国花見酒(Cherry blossoms and banquet in Japan)
補完ページ(Complementary):御在所岳のアカヤシオ▼
2005年・アカヤシオ咲く御在所岳
(Mt. Gozaisho surrounded by azalea, Mie, 2005)

「私の庭」について▼
ここが「私の庭」だ!(Here is the territory of Me !)
和歌は高度な「言葉遊び」▼
「言葉遊び」と遊び心(The 'play of word' and playing mind)
マンホール蓋に良くデザインされる躑躅▼
(マンホールのページで「躑躅」で検索すると幾つか在ります)
ちょっと気になるマンホール蓋(Slightly anxious MANHOLE COVER)
「旅は身近な所から」について▼
旅は身近な所から(Usual and familiar travels)


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