保険がカバーしなければならない範囲は、 被害者が思っている以上に実は広いのです。 しかし、前頁でも書きましたように、 支払金額算出基準の違いによって、 実際に提示される金額はとても低く出ることがあります。 低く出るならまだしも、示談書に記載されないこともあります。
「これは当社の基準ではお支払できないことになっています。」 との説明は、保険会社担当者の常套句です。 支払いができない根拠は「当社基準」なんです。 ここには法的に従う必要はないでしょう。 被害者の法的知識の少なさに付け込んで、 低額で不当な示談を強要する悪質な担当者もいるようですので、 ホントに注意して金額を決め、 示談書にサインすることが大切です。
例えばケガをして通院しかしていなくても、こんな項目で請求できます。 治療費・通院慰謝料・通院交通費・通院雑費、 後遺障害が出ているならば後遺症に対する慰謝料、 将来の遺失利益、その他将来発生することが確実な治療費、 などいろいろな項目で請求できます。
上記の項目も、やはり弁護士会基準(日弁連基準)で請求すべきでしょう。
治療がある程度終わると、 保険会社が示談書を提示してくると思いますが、 そこには含まれなくても請求できるものは数多くあるのが現状です。 請求されないものは払わないという、 半ば詐欺のような対応をする保険会社担当者も少なくありません。
十分な注意をもって対応しなければならないでしょう。
時折、物損事故で「慰謝料請求はできるか?」との質問を受けますが、 これは基本的には無理だと考えてください。 物を壊してしまった場合、壊したものの金額と、 その破損によって発生した損害を賠償すれば足りると考えています。 ですので、基本的には物損事故では慰謝料は発生しないと考えてください。 (慰謝料が認められるケースもありますが、これはかなり特殊な場合です。)
しかし、大事にしていた車をぶつけられて悔しい気持ちがあるのにもかかわらず、 保険会社から提示される金額は「なんじゃこりゃ!」といものでしょう。 これは「減価償却」という考え方を用いていますので、 仕方ないといえば仕方ないんですね。
例えば、300万円で買った車だったが、 1年後に事故にあって全損になった場合、 300万円の請求ができるのか?ということです。 常識的にいって、これは無理だということがお分かりでしょう。 実際には、使った分を差し引いて(減価償却して)、 その時に売ったらどれくらいになるのかを考え金額を算出します。 半額以下になる車もあるでしょう。
全損にならなかった場合、 乗り続ける車が「事故車」のレッテルを貼られ、 修理しても完全には修復できず、外観や機能に欠陥が残り、 いつか売るときには大きなマイナスを喰らうことが予想される場合、 これは、事故がなければそのマイナス分は生じないわけですから、 泣き寝入りする必要はありません。 正当に「評価損(格落ち)」という項目で請求できます。
この「評価損(格落ち)」については説明をしない保険会社もあるので、 自分の車の価値が下がってしまった分の補償は、 しっかりと請求するべきです。
当然、保険会社の担当者は支払いを渋るでしょうけれども、 しっかりとした過去の判例や損害の計算書があると、 スムーズに支払うことがあります。 また、この「評価損」の算定は、 『財団法人 日本自動車査定協会』で行ってくれます。 ここの鑑定をもってすれば、 保険会社もある程度の支払いをするはずです。
保険金の請求にあたって、 一番注意しなければいけないのは、 何の「根拠」をもって請求しているのかはっきりさせることです。 そして、何の根拠を持って保険会社は拒絶しているのか把握することです。 法的に認められる請求を、法的に認められてきた範囲で請求しているという、 そういった理論構成できちんと保険会社の担当者に話さねばなりません。
例えば、「過去にこんな判例があるから。」や、 「こんな支払事例もある。」というように、 きちんとそれを書面で説明することが必要です。
また、交通事故の紛争は非常に多いですから、 法的に支払い義務のある範囲もある程度確定しています。 これがいわゆる「弁護士会基準(日弁連基準)」であるわけです。 このようにある程度の慰謝料の相場、支払額の相場があるのも事実ですから、 過去の事例にしたがって請求することが円満解決の第一歩ではないでしょうか。
法的に認められない支払いを請求するということではなくて、 法的に認められているのにもかかわらず、 支払いを受けることができないのはおかしいですから、 法的に支払い義務があることを保険会社に伝えることが必要なわけです。
示談書作成は一度してしまったら引き返せません。 交通事故の示談には十分に注意して判を押すようにしましょう。
あなたの保険金請求は大丈夫ですか?
正当な金額を請求できていますか?
個人による請求には限界があります。 専門家による算定と請求によって、 支払保険金額は大きく変わるのではないでしょうか。 損害保険会社に対する損害賠償請求(保険金請求)には、 十分な注意を払わなければなりません。
交通事故の保険金請求書類作成等は、 当サイトを運営している藤川行政書士事務所でも承っています。 遠慮なくご依頼ください。 なお、行政書士は「示談交渉」は行いません。 書類作成の分野からバックアップいたします
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