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硫黄山 1等三角点百名山

2016年07月20日 天気 ガス・一時曇り・のち小雨・ガス

「羅臼側が晴、ウトロ側が雨」のいつもと違う大変珍しい(と地元の方がいう)天気の1日。

5:30、岩尾別YHから昨日予約したタクシに乗車、15km先のカムイワッカの滝湯滝に向かう。
6:00着。ガスが舞っていて、視界は100mほど。協定価格のタクシー(ハイヤー?)代9000円。

駐車場には2−3台が停車。10分ほどうろうろしたが、山に登ろうとする人はいなさそう。
湯滝から流れ落ちてくる水は温め。何人かが滝壺を見物でジャブジャブと登って行く。ご丁寧に水中用の履き物持参。

駐車場隅に置かれた箱に「道路使用許可届け」(=ここから先10分間分の林道使用許可申請)を投函。弁当を半分ほど胃袋に詰め、合羽に身を包み、6:25発。前方には車止めゲート。
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左6:10カムイワッカ滝駐車場から湯滝方向を振り返る     中:湯滝へのルート   右: 6:25前方にゲート

10分ほどで登山道入り口着。
そこにある掲示板には、熊の目撃情報を記入する地図とカレンダーシートが張ってある。今月は2日分で、今日のルート上では15日前に、沢すじから稜線に出る当たりで1回一頭。
もっとも、手前に置かれた「記録シートを入れた箱」には、16−19日の間に、毎日1枚ずつの計4枚の記録。
ただ、明確に目撃場所が書かれたのは1枚だけ(2つ池=つまり硫黄山のずっと先)で、そのほかのうなり声とか熊の落とし物については、その位置の記載がない。

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左6:35登山口の記載場。登山届けの記入場所ではない 右:熊の目撃情報。今月2回分記載有り

ここまで来たので、あとは進むのみ。鈴(鐘)のチーンチーンと昨日買った笛ピーと、自作ペットボトルをベコベコ、ホーホーと声を上げつつ。
最初急目のジグザグ道、後緩やかなトラバース道を進む。過去の目撃情報は、この当たりの樹林帯と山頂付近が多い目とのことで、発する音は途切れないように進む。

7:04、樹木が切れ、見晴らしが良さそうなところに着く。視界は相変わらずの100−150m。
やや湿度が高く少々蒸れる。ここから岩がゴロゴロ目の道を上り、7:25鉱山跡に着く。
3−4m四方の浅い穴があり、その周囲を崩れかけたコンクリが囲む。赤くさびたワイヤロープが転がっているので、インクラインもあったのかも。5分ほど休む。
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左:7:04晴らしが良さそうなところ、今日は白一色が見える。 右:7:25鉱山跡

さらに進むと周囲は岩がゴロゴロし始める。7:57岩ペンキに沿って進む。下りの際はガスが上がり、この当たりは新噴火口が連続するエリアと知る。 
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左:7:57岩ペンキエリア(左右の青丸印は同じペンキ位置) 右:12:28帰路の雰囲気=写真左(青枠線内)を含む全体像


8:13表面が灰色の粘土が現れ始める。ひび割れした部分は鮮やかな黄色。ひび割れ部分を触ろうと手を伸ばすと熱い。熱風が吹いていて、慌てて引っ込める。この硫黄の丘は未だに成長していると言うことなのだろう。結構堅く、手では崩れず、ストックの先でようやく崩れるぐらい。
ペンキに従って登ると、灰色粘土が次々と現れる。この当たり一体が新火口と呼ばれているが、その全体像は白一色で全く判らない。
8:20硫黄火口最上部(登山口からのコースタイム:1:20、実績=1:45)と言う看板をみて、新火口は結構広いエリアと知る。
この地点で本日初めて携帯OK。昨夜のYHも谷間のため通じなかったが、タクシーの運ちゃんが言っていた「帰りのタクシーはここから呼べる」ということ。

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左:8:13灰色の割れ目   中:8:14灰色粘土の連なり   右:8:20硫黄火口最上部看板

この先はハイマツの中を進む。背丈以上の高さがあるが、たまには岩の上を通り、周りが見渡せる。
8:41当たりから一瞬ガスが晴れて、これから向かう山頂(硫黄山の手前のピーク?)が望める。振り返ればオホーツク海側もガスが晴れ、青空らしきが望められた。期待できそう。

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左8:41ハイマツ帯の高見からの硫黄山(中央右のピーク)? 右:8:41オホーツク海方向

9:01頃から道は下りになり、硫黄沢に降り立つ9:07。沢の下流側にはこれ以上下らないようにと注意喚起のロープが張られている。
(登山口からのコースタイム:3:00、実績:2:37)。
合羽を脱ぎ、一休みして9:23発。
ゴロゴロ岩の沢で、なれていないと歩きにくいがそこそこの早さで進む。しかし、前方の山が再びガスり始めた。
9:33エゾコザクラが現れ、枯れ滝9:39通過、9:42頃から300歩ほどの雪渓を進み、9:48&9:50コザクラ群落を通過。
この先、残雪は残るものの、巻き道が現れていて、雪上を歩かずにすむ。
この当たりからガスが舞ったりあがったりが続く。

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左:9:36エゾコザクラ?   中:9:42 300歩ほどの雪渓   右:9:50花の群落

10:09ぐらいから岩の多い沢→ガラ沢に代わり、10:15迷い沢(仮称)地点に着く。しばし迷う。
ここは、前方方向には歩いた跡・ペンキが見つからず、左手に登れそうな沢(ただし今までより急登)があったので、そろそろ稜線に上がる頃かと考えたため。
まだ先にまっすぐ進めそうな地形なので、進むと、その先の岩に、雪に隠れたペンキがかろうじて見え、ルート確定。
10:24過ぎ、本日最初のすれ違い。二つ池で幕営していた7人グループ。このGrの下山が予定より1時間ほど遅れたために、当方の帰りの迎えが15分ほど遅れる事に。

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左:9:59岩棚の登り  中:10:09ザレに変わり始める 右:10:22頃、7人Grとすれ違う

そのうち足下の花が変わり始め、いつのまにかという感じで10:39谷をはずれ、左手の良く踏まれたザレ道を登り始める。
花の百名山によると、この当たりから稜線にかけて知床スミレがあるらしいのだが、全く気がつかず。

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左:10:33メアカンフスマ 中:10:33タルマイソウ(イワフクロ)  右:10:37メアカンキンバイ

下山後、知床自然センターで借りた熊避けスプレーを返すときに、スミレの場所を確認すると、知円別岳当たりまで行かないと無いらしく、また開花時期はもう過ぎているとの残念な情報も頂く。

登るにつれ、ガスで視界が50−100mぐらいになってしまう。やがて「下山」と穴の開いた看板と2m前後の岩が現れ、稜線に着く。この2つの目印がこのコース最大の目印。見損なうと「ウブシノッタ川」に迷い込んでしまう注意点。
ここで、張ってあるロープを超えて「ウブシノッタ川」側の稜線側に移って風をやり過ごしつつ、10:43−50弁当を平らげる。
このロープは硫黄山東面にずっと張られていて、「ウブシノッタ川」へ迷い込むのを防止しているようである。

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左:10:40良く踏まれたザレ道  中:10:42前方の稜線の岩と看板の眺め 右:10:43稜線の岩と案内看板を見返す

視界は100m以下になっていて、登るにつれ、さらに悪化してくる。それでも所々花が咲く。

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左:11:04 花 中:11:04前方を望む ロープがガイド役 右:11:06ベンケイソウ??
   
道が緩くなり、ほぼ水平になった頃、足元右手に、頭にペンキを塗った3−40cmほどの杭が右手上方に何本か連続して現れる。
左手前方は、ロープが張られたほぼ水平道で、杭が無い。何だろうとしばし考える。

調査感覚で2−3本連続する方向に登ると、まだずっと続いているのが判った。一瞬ガスが薄くなり、上方に薄暗く山らしいのが見える。このときの視界50mほど。

硫黄山の最後は急登とあったのを思い出し、さらに登る。チングルマやツガザクラ2種・ガンコウランが現れ、岩にペンキの「山頂」を見るに至り、先ほどの地点が分岐であったと確信に変わる。11:04

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左:11:13 山頂方向   右:11:15 山頂方向

ここから急に高山植物の道。あお・エゾ・コエゾの3つのツガザクラの群落が交互に現れ、チングルマの黄白を眺めながら・・・・でも、意外と急な岩登り。
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左:あお           中:エゾ        右:コエゾ

周りは白一色の目くらましだが、足下の花を眺めつつ、岩を登りつつ・・・。

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左:イワウメ      中:イワヒゲ    右:イワフクロ(タルマイソウ)

11:34そんなに広くはない山頂につく。「18cm角の大理石」と「點」がお出迎え。さすが、一等三角點百名山。

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左:11:34硫黄山 山頂   中:正面から   右:あれ? 文字が西向き と珍しい三角点

山頂にも花が咲く。
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左:山頂のこけもも      中:山頂のリンドウ    右:リンドウの内側

11:48下山。最初は岩の連続だが、急な下りを10分で分岐着。下りきった分岐点から見返すと岩の塊と花の塊。ふと見ると足下にはコザクラがあったりする。
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左:11:47山頂近くの下り岩道  中:11:55合流点から見返す花塊&岩塊 右:11:55危うく踏みそうになったコザクラ

分岐点から数分、帰路とは逆方向の知円別岳方向に足を伸ばすが、視界は相変わらずの100m。幅広い尾根の下りがあるのを確認して引き返す。硫黄山分岐を12:00通過。

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左:11:13 チングルマ   右:11:15 ミネズオウ

「下山」の看板のある稜線12:09通過、登りの際に迷った迷い沢を12:24通過。
12:35雪渓まで帰り着くと、前方に人影。追いついて聞けば、今朝、木下小屋をでて、1泊2日コースを1日で通過する元気な方。この当たりから小雨が降り始める
13:10沢からハイマツ帯に登る所で休み。元気な方は休まず先行。雨が強めになったので、合羽を再び着る。13:15発。
ハイマツ帯を20分ほど下ると、先行していた「元気な方」に追いつき、一緒に下山。 
        13:47硫黄火口最上部着。携帯でタクシー予約。この当たりから雨が上がり、ガスが晴れてくる。
14:07朝の岩ペンキエリアあたりまで下ると、新硫黄火口らしい大きい石組みが見える。ほんの150mぐらい先。
朝には見えなかった光景。写真を撮りつつ、2人連れの気の太さに安心しつつ、ゆっくり目で下る。

樹林帯に入り、20−25分後に登山口14:55。

視界が50−70mに悪化した林道を帰る途中、たむろする鹿に遭遇。鈴を鳴らし続けても動きもしない。14:56−57
遊び半分でペットボトルベコベコをならすとこっちを凝視。鳴らしながら近づくと5mほどで逃げ出す個体7−8匹。1匹だけは3mでも逃げず。
                                                  ↓青枠線の絵はクリックすると拡大可
左:14:07新硫黄火口らしい大きい石組み(白煙あり) 中:14:56林道と鹿     右:14:57 林道近くの鹿拡大

駐車場に予定の15:00着。
タクシーはまた来ていないので、汚れた合羽やスパッツを滝の湯で洗い流し、木の陰で雨宿りをする。
同行の方は、宿の車が置かれている駐車場に向かうためここで分かれる。

12分頃タクシー着。何でも、途中ですれ違った7人連れの到着が1時間遅れ、タクシー2台でウトロまで送っていたので遅くなったとの弁。電話したとき「運転手に言っておきます」との返事だったが、林道中では携帯が通じず、町中で受けて、慌ててやってきたとのこと。

運ちゃんはその昔、湯滝までのバス運転手。林道は熟知とのことで、通常の速度のX倍の時速○○Kmですっ飛ばしてきたそう。ちょっとだけその速度を体感させてもらい、30秒で普通の速度に戻してもらう。

9000円料金の斜里町のタクシー事情を切々と話す。ウトロ在住だった運転手が辞めた結果、タクシーは40km離れた斜里町からやってくるを得ない。やむなく、ウトロ温泉から先は距離にかかわらず9k円にして売り上げ確定しているのだとか。今朝の分も早朝料金をもらい損ねたのだそう。
たとえば、岩尾別から岩尾別温泉までの3.5kmの移送を頼まれても断るそう。4−5000円なら良さそうな・・・。
運転手側からすると、40km走って、3.5Km賃走し、43.5km走って帰るのは割が合わないし、 8月からは「湯の滝までの林道」はシャトルバス専用。タクシーも通行禁止なので、稼げるのは7月まで。
自然観察のためにレンジャーが運ぶ人の分は通行可なのがしゃくに障るよう。

羅臼側でもタクシー運転手が少なく、地元の方々の通学・通院の足確保のためか固定給制度。
羅臼のタクシーは、網走の病院まで100kmほど走って、2時間ほど診療待ちして帰ってくるので、ほぼ捕まえられない・・・・等々。
観光客が、移動しようとしても、タクシーが確保できず、「ウトロ側のタクシーで」と言われて電話がかかるが、羅臼までの往復を考えると割に合わない・・・等々。


熊避けスプレーを返すために、一度自然センター立ち寄ってもらう15:40−45。その後、またYHまで4kmほど引き返してもらったが、料金は料金9000円
YH15:50着
きょうも一番風呂に入り、濡れた靴にもらった古新聞紙を詰め、合羽を乾かし、汚れ物を洗濯。

17:30〜夕食。連泊の客とまた合う。シーカヤックツアーを予約をしている方と話し中&食事中に夕焼けを眺めに外に出る。今日も雲の隙間にちょこっとだした顔を眺めて今日を終える。
夜中、明日のバス時間を調べて愕然。次の宿まで行き着かない・・・。

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左:18:51 日の入り


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