土を掘る 烏兎の庭 第三部
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2008年8月


8/2/2008/SAT

原画展 かこさとしの世界 おはなしの絵本と科学の絵本、教文館 ウエインライト・ホール、銀座

宇宙――そのひろがりをしろう――、かこさとし、1978、福音館

せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし(Life Story, 1962)、Virginia Lee Burton、石井桃子訳、岩波書店、1964

本文ではあえて書かないでおいたけれど、新しい発見や技術の大きな進歩があると、内容が一気に古くなってしまうという難しさが科学絵本にはある。

『宇宙』でも『せいめいのれきし』でも、太陽系の惑星は冥王星を含めて九つあるし、『宇宙』に書かれたスポーツの記録や飛行機の名前も現在のものとはまるで違う。


意外だったのは、『せいめいのれきし』で「恐竜」のことを「ダイノサウル」と原語のカタカナ読みにしてあったこと。1964年にはまだ「恐竜」という言葉は一般的ではなかったのだろうか。試しに漢和辞典を引いてみると、「恐」の項に「恐竜」はない。つまり、もともと漢語にあった言葉ではなかったということ。一方、「怪獣」は漢和辞典にある。怪獣という言葉のほうが古かったとは知らなかった。

絵本は第一に子どもが読むもの、とすれば、最新の知識を得られない『宇宙』も『せいめいのれきし』も、おそらく私の子どもたちはその子らには読みきかせないだろう。その分大人は、文学史と同じように絵本史の遺産として過去の名作を読むようになるのではないか。いや、そうあってほしい。


久しぶりの銀座。新しい店で失敗したくないと思いながら歩いていたら、結局、何度も行っている、去年のこの日にも行った店にたどり着いた。

それから15年ほど前、足繁く通ったライブ・ハウスに立ち寄った。メンバーの顔ぶれは少し変わっていたけど、以前と変わらない声で“Desperado”と“Hotel California”を聴いたので満足して帰った。

写真は、夕立のあと、夏休みの夕焼け。


8/16/2008/SAT

小さな夏休み

小さな夏休みの二つめ。

盆休みに一日と半分を休みにして、少し長い週末にした。休みは、いつも帰る場所で過ごした。夕方、久しぶりに海を眺めにクルマででかけた。

つづら折りの峠の山道を上って下りて、鎌倉へ。八幡宮前で右に曲がり、若宮大路を走る。こんなに空いていることも珍しい。いつもなら渋滞の中でぼんやり眺める鎌倉彫のお店や、雪ノ下の教会や、鎌倉の本がたくさん置いてある駅前の本屋もあっという間に過ぎてしまった。

海水浴をする人が減っているのだろうか。東京から来た人は帰り支度をする時間なのに、海のほうから駅に向かって歩いてくる人も数えるほど。


由比ヶ浜に面した滑川のT字路でも、いつもなら信号を何度も待たされるのに、今日はするすると横断歩道の前まで来た。いつもならここで右に曲がって134号線を稲村ヶ崎に向かう。稲村ヶ崎から見える七里ガ浜、江ノ島、晴れていれば富士山まで。海を見たいと思うとき、私はたいていこの風景を探しに来る。今日は、いつもとは違う雰囲気に思わず左折して逗子のほうへ向かった。

小坪から逗子海岸に向かって坂を下り、逗子海岸を右手に見ながら走る。この風景も好き。逗子海岸は小さくてひと息に見渡せる。向かいには、葉山のヨット・マリーナの灯り。運転免許をとったばかりの頃、道が空いている夜によく運転の練習をしに来た。「あの頃」、海岸線を走るときには、サザンオールスターズをよく聴いていた。

今年の夏はサザンの曲をよく聴く。デビュー30周年という湘南の風景やレストランとサザンの音楽をあわせて特集する雑誌も見かける。急に海岸沿いをドライブしたくなったのは、そのせいもある。手近にあったCDを借りてきたクルマにのせてきた。窓を開けて「希望の轍」のボリュームをあげる。


30年前といえば、1978年。ということは、これから1979年のこと、1980年のことがこれから30周年として回顧されるようになる。年々遠ざかっているはずの過去が少しずつ近づいてくる、そう思うと少し不思議に思える。

過去が近づいてくる。どんどん離れていたはずの昔の出来事が30年という重みをたずさえて近づいてくる。そう思うと、何の準備もできていない私は、少し恐ろしい気がする。盆休みというのに、鎌倉の峠さえ、黙って走りすぎてきてしまった。

連日、オリンピックをテレビで見ている。今大会の競技のほかにも、過去の名選手を特集した番組もおもしろい。思い出して、人名索引北島康介福原愛コマネチを追加した。

写真は、葉山港で見つけた新しい公園から眺めた江ノ島。


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