山を記録するということ

(1)GPSを用いてできること
 カシミール3DはGPSと組み合わせることでさらに使い道は広がります。自分も最近GPSを購入しました。



 大きさの比較にならないかもしれませんが隣に爪切りを

GARMIN社のeTrexシリーズのなかでは一番安い(パソコンにつなぐケーブルを含めて2万円)GARMIN社の単なるeTrexです。左側の写真が表面を撮ったもの、右側の写真がパソコンにつなぐケーブルを接続した状態で裏面を取ったものです。
 [GPSを手にいれた]
 2003年5月13日20:00頃GPSをついに手に入れた。電池を入れ、電源を入れて、家の中で衛星が補足されるのを待つ。5分経過、10分経過…変化せず。よくよく説明書を見ると、木々、建物などが近くにあると、eTrexは衛星を補足するのが難しいとのこと(よくよく考えてみれば当然だが)。
 急いで(急ぐ必要はないのだけど)、外出着に着替えて外にでる。GPSを片手に持って、どうしたら不審人物と間違われないだろうかと考えながら、家の周りをうろつく。すぐに、家の中では出なかった衛星を受信していることを示す棒線が出てくる。とてもうれしい。外に出てしばらくして、
READY TO NAVIGATE …
のメッセージが出てくる。測位完了
 
5月17日GPSを使ってみる
 ためしに、家の周りを散歩してみて、GPSにどのように記録されるか試してみました。


赤色に示した線が、GPSからとりこまれた線です。しかし、実際に進んだのは緑色の線でした。かなり違います。よくよく考えてみると、きちんと衛星が補足されているか確認しながら進んだ左端の部分は自分の進んだルートとかなり一致している。それ以降は、ザックの中に入れてしまったため、液晶面が常に上を向かず、うまく補足されなかったかもしれません。
上の始めてのGPS実験であのような、結果が出たのは
(1)液晶面が常に上を向いていなかったこと
(2)山中でなく、街中で行ったこと(街の中では、山の中と違って位置を比較する建物・道路があり、誤差に気づきやすい)
(3)電源を入れてすぐ後というのは、安定した衛星補足ができず、おかしな値が出やすい。
のためだと思います。

*GPSを沢にもって行こう
 さて、下の製品使用にもあるとおり、GPSの防水能力は「濡れた手で触る程度なら大丈夫という」程度で、これでは沢に持っていけません。では、ビニール袋で2重にしてしまえば? コンパスページとしての使用は、液晶の部分が読めないので×ですが、トラックログデータとしての使用は、液晶の部分を見る必要がなく、山行が終わってからパソコンに接続するだけなので、○ではないかと思います。このことをふまえて、8月12,13日に行った御嶽山では、結果はそちらのページを見ていただくとして、ビニールを2重にしてもOKでした。今度の課題は、流れの両岸が狭く垂直に近い岸壁が迫ったゴルジュのような環境でGPSがどういう動きをするかでしょう。
 ゴルジュのような環境はあまりありませんでしたが、8月17日丹沢のセドノ沢に行ってきました。GPSにとっては、始めての沢だったので、戸惑うことが多く、あまりうまく補足されませんでした。この結果を踏まえて、ちょっとしたゴルジュとして、9月14日あきる野市の石津窪に行ってきました。ゴルジュの部分ではまったく補足されませんでした。試行錯誤あるのみです。その後紆余曲折を経て、2004年9月11-12日に、会津駒ケ岳の下ノ沢に行ってきました。明るい沢だったので、始めて沢のトラックログという結果が出せました。2005年4月に行った勘七ノ沢では、ゴルジュの部分以外はけっこういい結果が出ました。明るい沢なら、だいぶ衛星が補足されるようです。写真を撮って暗くて何が写っているかわからないような沢だと、GPSの結果もだめということです。
 いろいろな沢にGPSを持っていったのですが、沢の中でトラックログを取っても面白いのは沢の入り口と出口だけで、後は基本的に沢の中にルートが入って当然なので、それほど意味がないのです。さらに沢の中では(1)基本的に沢の中では衛星を補足しづらい(2)防水処理が面倒(3)少しでも軽量化、等あり持っていってもあまり意味がないのです。さらに、最近高度がわかる腕時計、スントのベクターを買ったので、高度の記録はそれで行えば問題ない、というのもあります。GPSに気を使うよりも、良い遡行図が描けるよう気を使った方が良い記録になると思います。→沢へは基本的にGPSを持っていきません(雪山は沢と状況が違うので、雪山へは持っていきます)。

*GPSをもって山スキー(テレマークも)に行こう
 2003年12月14日の棒ノ折山では、低温下で、普通の電池を使ったところ、電池が早く消耗してしまい、結果をほとんど残せませんでした。では、低温に強いとされるリチウム電池を使ったら、2004年1月11日神立高原スキー場(ゲレンデスキーです)において、天気は吹雪という状況で、GPSを作動してみました。

この日の8時14分ー10時05分の結果
とのようにきちんと示せました。ゲレンデスキーでの試験ではまあ、OKです。今度は実際に山の中へもって行ったらどうなるかです。
 というわけで、行ってきました、上州武尊2004年2月22日、そのGPSの結果を見た時、自分は「なんて、きれいな結果なんだろう」と自画自賛してしまいました。寒さ対策さえしっかりしていれば、GPSがその威力を最も発揮するのは雪山かもしれません。雪山で使って今まで、とんでもない結果が出たということはないです。それでも自分は「雪山でGPSがあれば、読図能力がなくても」ということはないと思います。寒さのため、電池の消耗が早いということはありますし、「あくまで参考」として使うのがいいと思います。

 その他の機能
コンパスページ
 このページを使えば、現在の移動速度、現在の進行方向の方位(立ち止まってみても正確な方位は出ません)、現在の高度(高度誤差±30m)、現在の位置座標を緯度経度で示すことができます。しかし、自分は、GPSをトラックログの記録用に用いるつもりであって、コンパスページは確認の程度に使うつもりです。

 2006年4月9日権現山にて初めてナビの操作をしてきました。感想は「GPSは山を楽しむための道具の一つです。周囲の全部を五感を総動員して、自分の身を守りましょう。GPSを見ることも大事ですが、GPSの矢印ばかり見ていたらあなたの山は確実にだめになっていきます。ドライブでもそうでしょう。ドライブに行ってカーナビの画面しか見ていなかった、のは悲しいです。GPSがあれば、ということはありません。GPSもあったほうが、ならあると思いますが…」です。

              ナビ開始

                     製品仕様
測地精度:DGPS(注)対応時3メートル*1
       通常動作時5-15メートルRMS*2
(注)DGPS(Differential GPS):GPSの誤差を補正するシステム、通常GPSは、1台のGPS受信機を作動させて現在地を特定している、これに対し、DGPSは、位置情報がわかっている場所に設置した基準局でGPSデータを集め、これを用いて誤差を補正するシステムのことを言う(参:「最新GPS活用術」 山と渓谷社)

防水:濡れた手で触る程度なら大丈夫
使用温度範囲:−15℃〜70℃(低温での使用時は可能な限り、リチウム電池使用)
更新時間:連続1秒毎
電池寿命(セーブモード時):最高22時間*3(「最新GPS活用術」山と渓谷社によれば、e-Trexに限って、振動のせいで電池が接触不良になり、電源が落ちるというトラブルが起きているようです)
寸法:5(W)×11(H)×3(D)p
重量:150グラム(電池挿入時)

測位ができない場所:屋内、地下街、ガード下、一方が切り立った崖のふもと、木が生い茂った森の中など(自分の体験からすると、一方が切り立った崖のふもと、木が生い茂った森の中の2つは、受信が多少弱くなる程度です。他の3つは受信されないようです)
 他に、受信が悪くなる理由として、「最新GPS活用術」山と渓谷社から引用すると、
1. 衛星の周期はほぼ一日に地球を1週する。その位置は毎日少しずつ変化しているが、短期的に見ればほぼ同じ時刻では同じ状態になる。仰角30度を越える位置に衛星が比較的多く飛んでいるのは、1日のうちおよそ12時間であり、残りの半分の時間は、せいぜい3〜4個なのである。問題は比較的多く飛んでいる衛星配置の良い時間帯がいつかということである。2002年現在、衛星配置の良い時間帯は夏は昼間だが、冬は夜に移行している。逆にいえば、冬の日中、深い谷間の中ではGPS衛星を補足しにくい状況にある。
2. 衛星配置は基本的に南に厚い。従って同じような地形でも、その向きによって補足状態が異なることもある。同じ深さの谷でも、南に開けている場合では測位可能でも、北に開けている場合には測位が不可能なこともある。
3. なお、ごくまれに非常に大きな誤差の位置が示されることがある。私自身50メートル程度のずれを経験したこともあるし、あるとき200メートル以上の誤差が示されて仰天したことがある。これはおそらくマルチパス(反射波)の影響である。何らかの障害物で反射された電波を正規の電波と誤認したために起こる誤差である。

(3)カシミール3DとGPSを用いてできること
グラフ機能


 カシミール3DとGPSを用いることによって、距離と速度、などのグラフを作ることができます。上の図は、縦軸に速度、横軸に距離をとったものです。この図の0.5-1.2kmの速度が一定ですが、これは移動にリフトを使っているためです。高尾山山頂でだいぶ休憩をとったこともこの図からわかります。

USB購入
 今までは、上の写真のようにケーブルのみでUSBに接続できませんでした。今回新しく購入したパソコンがケーブルでは接続できないので、2007年7月8日午後、代々木近くのGPS専門店へUSB接続ケーブルを購入しに行ってまいりました。代々木駅から歩いて7分程度、ビルの1階にGPSストアはありました。品揃えは(聞いて確認したわけではないですが)店頭にはハンディGPSは5−6台しか置いてなく、それよりもGPSの付属品の方が多くありました(防水ケース、自転車用、バイク用、パソコンへの接続ケーブル、etc.)。自分は4200円(税込み)のUSB接続ケーブルを購入しました。

USBケーブル(イメージ画像) 実際に接続

さてさて、家に帰って、実際に接続です。この商品(USB接続ケーブル)をUSBポートに差し込み、付属品のCDをCDドライブにセットすれば、完了のはずですが、インストール開始後、見たこともない厳しい警告が出てきます(このソフトウエアをインストールすると動作がおかしくなることも…、マイクロソフトはこのインストールを止める事を推奨します、等々)。日本語版の説明書には概略しか書かれていない。詳しくかかれてある英語版を見ると、「Windows displays the following warnning: とあり英語で危険であることの警告が出ることが示されてある。しかし、その後に「You can safely ignore this warning」とあるではありませんか。"safely ignore"ですか? 意を決して先に進む。インストール完了! インストールできたからカシミールを立ち上げて、「GPSからデータをダウンロードだ。」ということでダウンロードしますが、USBを認識してくれません。先ほどのこともあり、煮詰まって、GPSショップに電話をすると、「きちんとインストールされているか確認します。スタートからマイコンピュータを右クリック、プロパティ→ハードウェア→デバイスマネージャ、ポート(comとLPT)はありますか? それをクリックして」「きちんとインストールされていますね」「ソフトは何を使われているんですか」「カシミールです」「ではカシミールの通信のところでcom7で接続してください」com7で接続したら、無事につながりました。

さっそく失敗

 最近「単なる」etrexの液晶がぼやけてきたので、次の機種としてetrxのVENTURE(日本語版)を購入しました。2008年8月の五竜・鹿島槍はVENTUREを使いました。衛星補足が「単なる」etrexよりも良い気がします。「気のせいか」を確認するために、2008年9月再度魚野川本流にVENTUREを持っていきました。結果を楽しみにしてカシミールにつないだ所トラックログが何一つありません。電源は入っていたので大丈夫と思っていたのですが…。よくよく説明書を確認するとVENTUREはログをオフにすることができる機能があり、五竜・鹿島槍に行ったあとログを削除するときに誤ってログをオフにするにチエックを入れてしまったようです。何事も勉強です。仕方がありません。

(カシミール3Dのホームページ)

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