元気は腸の排便メカニズム

どのような腸が健康で「元気な腸」と言うのでしょうか?腸の役割から考えてみると、食べ物から栄養分を消化・吸収し、老廃物をきちんと排出し、大腸ガンなどの病気を回避できる腸これが「元気な腸」ということになります。
「元気な腸」を理解するために、ここで「元気な腸」の排便のメカニズムを見てみましょう。
一般的には、胃と十二指腸、肝臓・胆嚢・膵臓、小腸から分泌された消化液を含め、小腸において栄養分が吸収されます。
小腸を通過して回腸・盲腸に達した液状の大腸内容物は、非伝播性の不規則な膨起形成性収縮(膨起往復運動) の緩やかな運動を受け、撹拝されます。
回盲部から横行結腸通過まで8~15時間を要します。また、上行結腸では逆煽動も多く見られます。この間に水分および電解質が吸収され、半液状から半固形物へと変化していくわけです。横行結腸からS状結腸にかけての便の移送は、総体移動(大嬬動)と呼ばれます。このように、大腸で水分のほとんどが吸収され、便が固形化されてS状結腸まで送られてたまります。
このたまった便が排泄されるためには、脳と胃、結腸、直腸、肛門が連動した排便運動が起こらなければなりません。排便は、次の3つのステップから成り立っています。

第一段階

結腸全体に強い収縮運動が起こります(総体移動= 大嬬動)。この収縮運動により、便を下方に押しやります。
一連の総体移動(大嬬動)は、嬬動運動に多膨起性移送運動が加わったときに起こりますが、1日に数回しか生じません。起こりやすいのは、朝食後の約1時間の間で、通常10~30分しか持続しません。
また、次に起こるのが半日後から1日後であり、この機会を失うと便秘の原因になります。また総体移動(大揺動) は、胃結腸反射や十二指腸結腸反射の結腸の過伸展によっても増強されます。この収縮運動によって、結腸内の便は直腸に移動します。

第二段階

直腸に便が流入すると、便意が起こります。脳からの信号である便意をもよおすことで、腹筋の持続的な収縮などによって便を直腸に向けて前進させるわけです。
便が直腸に流入すると、伸展された直腸壁が信号(求心性信号)を送り始め、この信号が筋層間神経叢を通って下行結腸、S状結腸、直腸に嬬動波を起こします。これを「内排便反射」と呼びます。
内排便反射のみでは弱いため、増強するための副交感神経性排便反射が存在します。これにより、直腸の神経末端が刺激されて信号が仙髄に送られ、そこで2つの経路に分かれます。
一方、脳(高次中枢) に伝わって便意をもよおし、もう一方が骨盤神経の副交感神経繊維を通って反射的に下行結腸、S状結腸、直腸、肛門に戻り、内肛門括約筋が弛緩されると同時に嬬動波を増強させます。

第三段階

嬬動波が肛門に近づくと、内肛門括約筋が筋層間神経叢からの抑制信号によって弛緩し、また恥骨直腸筋が反射的に緩んで直腸と肛門が一直線の状態になります。そこで随意的(意識的)に外肛門括約筋を弛緩させると、排便となるわけです。

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