アレルギー、花粉症…現代人特有の体の不調は腸内環境の悪化によるものかもしれない
さて、便秘が大腸ガンの原因になるという話を耳にしたことがあるかと思います。なんとなくイメージできる話ではりますが両者の因果関係は、まだ定かではありません。ただ、大腸ガンの占める部位を調べてみると、約70%が肛門に近い直腸とS状結腸に認められます。これは、直腸とS状結腸に便が滞留する時間が長いことが原因の1つと考えられます。ところで、大腸の腸壁は、内側から順に「粘膜」「粘膜下層」「固有筋層」「奨膜」の4層で構成されています。粘膜や粘膜下層でとどまっているガンを「早期ガン」と呼びます。一方、粘膜下層より深く進行しているガンは「進行ガン」と言います。早期ガンの段階であれば、内視鏡的治療など開腹手術以外の方法によって治療できるケースも多く、治療後の生存率も高いといわれています。早期ガンの多くは、無症状です。早期大腸ガンの患者524人中324人(62% )の人には自覚症状が認められませんでした。多くは、検診あるいは重症の便秘など、ほかの疾患で訪れた際に、大腸内視鏡検査を受けて偶然にも大腸ガンが発見されたケースです。このような人たちの多くは、自分では健康で理想的な大腸だと思っている人たちでした。最近では、大腸ガンの早期発見法として、便中に血液がまじっているかどうかを調べる便潜血反応が実施されています。しかし、便潜血反応で陽性になる人の割合は、進行した大腸ガンで約4分の3程度、早期ガンでは半数にも達しません。こうした点から考えると、大腸ガンを早期のうちに発見するためには、大腸内視鏡による診断が欠かせないといえます。とくに急に便秘が始まった人は、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。いくら大腸ガンと便秘の関連性が医学的に明確にされていないからといっても日頃から便秘解消につとめることは重要です。「脱・便秘」のための食物繊維の基本なども参考にするといいかもしれません。