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英文法指導50年 坪井英語塾です。英文の作り方

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名詞が2度目の時はどうするか?

以下の文章を作ってみてください。

3a  この犬はTomの犬です。 
3b  彼の犬はかわいい犬です。 
 
3c  私は犬を買います。とてもかわいいです。 
 

主語を書いて動詞を書いて、残っているものを書いて、文の終わりにはピリオド。そのまま書いていけば、以下の文章になります。
3a  この犬はTomの犬です。 
  This dog is Tom's dog.
3b  彼の犬はかわいい犬です。 
 Tom's dog is a cute dog.
3c  私は犬を買います。とてもかわいいです。 
 I buy a dog. A dog is very cute.

それぞれの文章で、「犬」という名詞が2回出てきています。同じ名詞をそのまま使用することは日本語では問題ありません。

しかし、英文では同じ名詞をそのまま使用することはできないというルールがあります。
このページでは、独立所有格の用法、不定代名詞oneの用法、itやtheの用法など名詞が2度目の時に使用される文法をご説明します。 

まずは、ルールをまとめて見てみましょう。

名詞が2度目の場合

ルール@
1つの文章の中に同じ名詞が2度出ている場合、その2度目の名詞の前に所有格があった場合には、所有格+名詞の2語は独立所有格1語を使用する。A'sBも所有格であり、この独立所有格は、A'sの形になる。

ルールA
1つの文章の中に同じ名詞が2度出ている場合、その2度目の名詞の前にthis、that、these、those、形容詞がある場合、2度目の名詞は、oneまたはonesを使用する。

ルールB
@A以外の場合には、人称代名詞を使用する。
男が1人 he/his/him
女が1人 she/her/her
物が1つ it/its/it
複数 they/their/them

ルール@(独立所有格)から見ていきましょう。このルールは、実は「英文の作り方」のルールにもあります。
こちらです)復習してみましょう。

この犬は彼女の犬です。
This dog is her dog.

主語を書いて、動詞を書いて、残っているものを書いて、文の終わりにはピリオドをつけます。すると、her dogのdogが2度目になっていました。名詞が2度目で、その前に所有格があったら、独立所有格1語にする、というルールでした

この犬は彼女の犬です。
This dog is hers.


では、「彼女の犬」が「Tomの犬」になったらどうすればよいのでしょうか。

(3a)この犬はTomの犬です。
That dog is Tom's dog.

同じです。このA'sBのルール(こちらで復習)も、所有格です。「私の本:my book」も、「Tomの本:Tom's book」も「私が持っている本」「Tomが持っている本」というように所有しているという意味ですよね。したがって、名詞が2度目で、その前にあるのが所有格だった場合には、独立所有格にすることも同じです。 A'sBの独立所有格の形は、A'sで終わる形です。

正解は
(3a)この犬はTomの犬です。
That dog is Tom's.


ルールA(不定代名詞one)について

次の例文はどうなりますか。

(3b)Tomの犬はかわいい犬です。
Tom's dog is a cute dog.

dogが2度目ですね。しかし、2度目の名詞の前には所有格がありません。ここで使用される文法が、不定代名詞oneの用法です。

2度目の名詞の前に「cute:かわいい」という形容詞があります。(形容詞とはい・な・の で終わる語が多く、名詞を修飾し補語になるものです)
この例文では、2度目の名詞の前に形容詞がある場合なので、oneを使用します。このoneは、数字の1を意味するoneとは、何も関係ありません。aもsもつきます。

解答は

(3b)Tomの犬はかわいい犬です。
× Tom's dog is a cute dog.
○ Tom's dog is a cute one.

もう1つ見てみましょう。

(5)あれらのリンゴは、とてもよいリンゴです。
Those apples are very good apples.

 applesが2度目ですね。その前にあるのは、「good:よい」という形容詞です。名詞が2度目で、その前にあるのが、形容詞なので、oneを使用します。ただし、applesという複数形の名詞なので、oneではなく、その複数形のonesを使用します。

(5)あれらのリンゴは、とてもよいリンゴです。
Those apples are very good ones.


ルールBについて

(3c)私は犬を買います。
犬はとてもかわいいです。
I buy a dog.
A dog is very cute.

2つめの文章にあるA dogが2度目です。ここでは、人称代名詞を使用します。
この2度目の名詞である a dog の前には、所有格もなければ、this、that、these、those、形容詞もないので、ここまで見てきたルール@Aが適用できません。この時に使用されるのが、人称代名詞です。2度目の名詞が男か女か物が一つか、複数かで判断します。ただし、その2度目の名詞がどのような形で使われていたかに合わせて、主格、所有格、目的格に変化させて使う必要があります。2度目の名詞が主語として使用されていれば主格、(〜の)の形で使用されていれば所有格、2度目の名詞が目的語であれば、目的格を使用します。「男が1人はhe、女が1人はshe・・・」どこかで見覚えがありませんか。そうです、疑問文の答え方のところでやりましたね。

例文で確認してみましょう。

(3c)私は犬を買います。犬はとてもかわいいです。
I buy a dog. A dog is very cute.

 A dogが2度目ですが、その前には、所有格もなければ、this、that、these、those、形容詞もありません。したがって、ルールBにより、人称代名詞を使用することになります。2度目の名詞であるA dogは物が1つです。そして、A dogは主語として使用していますので、ここでは、主格のitを使用することになります。

正解は

(3c)私は犬を買います。犬はとてもかわいいです。
I buy a dog. It is very cute.

別の例文でも見てみましょう。

(6)私はあなたの妹を知っています。私はあなたの妹の歌が好きです。
I know your sister. I like your sister's song.

2度目の名詞は、「あなたの妹」です。「あなたの妹」は、「女が1人」です。そして、「あなたの妹」「の」という形で使用されているので、人称代名詞 her の所有格であるhersを使用します。

正解は

(6)私はあなたの妹を知っています。私はあなたの妹の歌が好きです。
I know your sister. I like her song.


注意 theについて
先ほどの例文(3c)
(3c)私は犬を買います。犬はとてもかわいいです。
I buy a dog. It is very cute.

ですが、
I buy a dog. The dog is very cute.

とすることも可能です。
英文では、1つの分用の中で、同じ名詞を2度使用することは原則としてできません。独立所有格や、不定代名詞oneや人称代名詞などを使い分けていく必要があります。
しかし、同じ文章ではない新しい文章の中であれば、同じ名詞をそのまま使用することも可能です。その場合には名詞の前にtheをつけなければなりません。 日本語でいうと「その」になります。


ここで、theについてご説明させていただきます。

theを使う場合
@1度出た名詞を表す場合。
A形容詞や序数詞などで修飾されることによって、その名詞が限定できる場合
Bその場の状況や環境などからその名詞を限定できる場合


@1度出た名詞を表す場合とは、名詞が2度目の場合のことです。

(3c2)私は犬を買います。(その)犬はとてもかわいいです。
I buy a dog.The dog is very cute.

1度、「犬」という名詞が出ています。どの「犬」か特定できます。日本語でも「その」という言葉がつけて使うのが普通です。


A形容詞や序数詞などで修飾されることによって、その名詞が限定できる場合

(7)彼女は背が高い女の子です。

 「背が高い」というだけでは、「背が高い女の子」は何人でもいるでしょうから、1つには限定できません。しかし、

(8)彼女は世界で最も背が高い女の子です。

 となった場合、「最も背が高い」と修飾されていれば、その女の子がどの女の子かは特定できます。この場合には、theを使用します。なお、「最も背が高い」という文法は最上級という文法になります。また、別の本でご説明できればと思います。
 なお、この場合のtheは「その」という日本語には訳せません。


Bその場の状況や環境などからその名詞を限定できる場合

 その場の状況などから、その名詞が明らかな場合です。例えば、

(9)私は公園でテニスをします。
I play tennis in the park.

 と言った場合、「どこか家か学校かの近くの公園なんだろうな」ということがわかります。

 別の例文で、aとtheの違いを見ます。

私は、医者に勧められたので運動しています。
私は1度も医者にかかったことはない。

 上の文章では、運動を勧められたのは、たぶんかかりつけの医者でしょう。theをつけます。下の文章では、どの医者か限定はできません。一般に「医者」というものにかかったことがない、という意味でしょう。aを使います。

 不特定の1つの名詞にはa、特定できる名詞にはtheと覚えておきましょう。

 もう1つ見てみましょう。

(9a) I bought this book in a town.
(9b) I bought this book in the town.

「 bought 」は「買った」という一般動詞です。過去形の話は今はしません。(9a)も(9b)もどちらも「私はこの本を買いました。」になっています。異なる部分は、「 in a town 」か「 in the town 」です。

 a は不特定のもの、theは特定されているものという違いから、以下のように、この2つの文章には違いがあることがわかります。
 「 in a town 」は、「不特定のどこかの町」を意味するため、(9a)の文章の意味は、「私は、(名も知れないどこかの)ある町でこの本を買った」となり、この(9a)の文章の話し手も聞き手も、「どの町で買ったのか」は興味もなく、問題にもなっていません。
 一方、「 in the town 」は、「特定できる町」を意味するため、(9b)の文章の意味は、「私は町でこの本を買ってきた」となり、話し手も聞き手も、どの町のことを言っているのかがわかる文章となります。


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