1970年代奥の細道
岩手県南バスの江刺バスセンターに停車中のツーマンカー。中ドアの丈がやけに低く、明らかに前ドア車を改造したと分かる珍車。鍵形ホームのバスターミナルには、古くて変わった車両が次々に発着していったのでしょう。
撮影:板橋不二男様(江刺バスセンター 1976.4.19)
岩手県南バスは水沢市に本社を置き、内陸沿岸含めて県南部の広い地域をエリアとするバス事業者でした。釜石、遠野は1966年に合併した東部バスが運行するエリアでした。岩手県内だけでなく、全国的にも規模の大きなバス会社であったようです。
昭和40年代に入る頃から経営が悪化し始めましたが、他社資本には入らず独自経営を続けました。もともと沿線事業者出資により設立した長距離バス会社の岩手急行バスや東日本急行の経営にも近く、また宮城県のバス事業者との結びつきも深かったといわれています。
車両は日野車が圧倒的に多く、特に昭和40年代に入ってから様々な中古車を導入し、貸切バスタイプも含めて中ドアツーマンカーに改造して使用するなど、趣味的な興味も尽きない会社です。
1976年6月1日に合併により岩手県交通になりました。
(注)前所有者等の表記で、「東部バス」は釜石に本社を置いていたバス会社で、1966年に岩手県南バスに合併されています。「東武鉄道」は東京の大手私鉄で、そのバス部門で使用されていた車両が岩手県南バスに譲渡されてきています。いずれも誤植ではありませんので、ご了承ください。